歩み寄る両者

虎竹と白竹


新しく作った虎竹白三本手提げ籠は虎模様の入った虎竹に、白竹の持ち手を組み合わせたツートンカラーの籠になっちょります。もちろん虎竹で全て仕上げたものも試作をしてみましたけんど、近年虎竹の太い竹というのが少なくなってきて持ち手にも小振りの竹を使うたがです。そしたら、やはりどうも持ち手の感触が良くないがです。三本手と言うても、真ん中に通るメインの竹は太いしっかりしたものを使いたい。白竹だけで仕上げられた籠と持ち比べたり、使うてみたりして、結局自分が使いたいと思う白竹持ち手に落ちついたがです。


白竹手提げ籠


虎竹に白竹というのは今まであまりなかった竹籠には間違いないがぞね。職人さんも編んではみたものの、あまりエイ顔はしちょりません。虎竹は虎竹で、白竹は白竹でと言うがです。まあ、けんど竹細工と言うものは、出来上がったばかりの時が一番美しいものではありません。あの清々しい香り立つような青竹細工でさえ色が段々白っぽくなり、時間の経過とともに深まってくる竹の風合いに味があり、本当の美しさがあるがです。


虎竹であっても白竹であっても、ずっと編みあがった時のままではないからこそ竹は価値がありと思います。虎竹の色合いが落ち着いていき、白竹は飴色になっていき、まるで、意見の正反対だった人たちが月日を重ねて歩み寄るかのような、そんな竹籠になるがではないかと思いゆうがです。もしかしたら、そうなった時に初めて虎竹と白竹が馴染んだ、ひとつの竹籠として出来上がるがやろうか?そんな日を想像しながら気長に待つとするがぜよ。


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