小さな本物の竹ざる


竹ざる


あれはいつの事やったろうか?急須の中にいれる竹籠をご注文いただいた事があったがです。金物でちょうどのサイズのものがあったがですが、どうしても金属のニオイが嫌で竹で編んで欲しいとの事やったぞね。たまたま竹帽子を何個か編んでもらいゆう時やったので、ついでに作って欲しい、つい気軽に頼んだがですが、慣れた細工なら手早くこなす熟練の職人さんやけんど、今まで全くやったことのない仕事には、思うより何倍もの時間がかかります。


竹籠は大き過ぎるものは力が必要で工程によっては一人では手に負えず、二人、三人ががりでないと編めないものもありますけんど、反対に特別小さいものは、竹の材料は少なくてすむものの細かいヒゴ取りから始まり編み込みが、まっこと大変ながぜよ。確か、この時には作ってはダメ、作ってはダメ...どうしても納得できるものが出来上がらずに5~6個も同じものを編んでもろうたがぞね。


竹笊


そんな難しい小さな竹籠ですけんど、ある時「これはっ!?」と心奪われるような小粋な籠に出会うた事があるがです。ただ小さいだけではなくて米研ぎ笊として使うても最高に使いやすそうな美しさ、縁巻きの丁寧さだけ見ても高度な技術を持たれちゅう凄い職人技やったがぜよ。その時には触る事もできず、ただ遠くから眺めて、美し出来映えにため息をついて、片思いのような気持ちで帰るしかなかったがですが、まっこと竹の神様の采配ですろうか?ひょんな事から、この竹笊を編まれゆう職人さんの工房にお邪魔する機会が巡ってきたがです。


手にした竹笊は、随分と前に編まれちょったようで、ホコリをかぶって汚れちゅうけんど水道の蛇口に持っていって水洗いしてから、トントン、と軽く縁で叩いて水切りしたら、おおっ!やっぱり本物ぜよ。時間の経過など全く関係ないようなオーラが籠から漂うてくるがです。













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