感動の竹網代丸盆

竹網代丸盆


編組(へんそ)細工と言う言葉はあまり馴染みがないかも知れませんけんど、文字通り「編み」「組み」される細工の事をさしちょります。竹細工では丸い竹を割って竹ヒゴに取り竹編みしていきますが、その編組の技法は例えば竹の種類から、あるいは使用目的、耐久性からまた美観の面からも古来様々な方法が試されてきたと思います。そして、ベースとなる竹編みの種類だけでも100種類を数え、全く新しい編み方は無いのではないかと言われちゅうほどながです。


良く目にされる編み方のひとつに網代(あじろ)編みがあります。編み目を開けて風通しのよく編まれる四ツ目等の技法と対照的に、ギッシリと編み込んで隙間の編み目が特徴的でこじゃんと(とても)細かい竹ヒゴを使うた細工などは、その編み込みが芸術作品のようにも思えてくる程のものもありますぞね。


網代編み


この竹網代の丸盆は昔の名工が編まれたものの一つです。竹ヒゴは、それ程までも細くもないし編み込み自体は単調な作りですが、この丸盆から発する強いオーラの秘密は、この偉大なる単調さですろうか。


同じヒゴの厚み、幅、それを同じように繰り返し、繰り返し、来る日も来る日も繰り返して到達した職人の迫力を感じますぞね。決して美しいものを意図して編まれたものではなく、少しでも、早く、少しでも多くと日々、師匠とあるいは弟子仲間と競いあう鍛錬の中で技に磨きがかけられ気が付いたら、これが、人の手によっての造作かと目を見張るような竹になっちゃある。そんな職人業が少なくなった現代やきこそ本物に出会うた時の感動は、こじゃんと大きいがです。


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