秋を待つ、二重(ふたえ)ばら

二重(ふたえ)ばら


この秋、ひとつ楽しみにしちゅうのが「二重(ふたえ)バラ」ながです。バラとは方言で、高知で竹笊の事を「さつま」と呼ぶように、昔ながらの呼び名の一つで網代編みされた底が平らになった竹ざるの事ですけんど、もともとは小麦や蕎麦などを手挽きの石臼で挽く時に粉が落ちないように、下にすげて使うという用途が多かったようながです。


高知は雨が多いと言うお話は度々させてもらいよります。だから高知の民家は庇(ひさし)が深いのが特徴やと聞いた事がありますぞね。その深い庇の下で雨だけでなく、強い陽射しなども避けながら、このような農作業をしたがですろう。前にお伺いした農家さんでも庇の壁には使い古されて渋い色合いになった、竹籠や竹ザルが吊されちゅうのを思いだしますちや。


このバラの編み込みはキッチリと目が詰まり小麦粉や蕎麦粉など、細かい粉でも下に落とさないように作られちょりますし、バラの縁も挽いた物が出ないように高さを取って作られちゅうがです。もちろん、最近では石臼など使う農家さんは少ないかと思います。主な使い方は、梅干しの土用干し、干し大根、干物など、干し物をする時に使われているのを良く目にするがです。


楽しみにしちゅうバラは二重と言うだけあって網代編みの裏側には、何と六ツ目編みの竹で、しっかりと補強されちゅうがですちや。竹の旬のよくなる秋以降の良質の竹を使い、こんな美しい竹ザルが出来上がるかと思うたら、涼しい秋風や虫の音が、こじゃんと恋しくなってくるがぜよ。もちろん、この夏の雨の多さと蒸し暑さに、ちっくと、うんざりしちゅうという事も理由の一つかにゃあ。


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