メゴ笹戦国時代 その2

自生するメゴ笹


竹と笹の違いというのは実は研究者の方の間でも明確ではないがです。だいたいの区別は学術的にも出来るようなのですが、自然のものに、そんな線引きは少し難しいがではないですろうか?どっちにせよ自分達のように竹であっても、笹であっても昔からの経験や伝承によって人のお役に立てるモノであれば、竹も笹も関係なく、大切に使うていくだけながですぞね。メゴ笹は背が低く、山で見ると繊細なくらい細い素材ぜよ。けんど、背丈が低く、か細いと言えどもやはり成長力が強く、その強靱な強さ、粘りという事は何ら他の竹類と違う事はないがです。


メゴ笹の稈


メゴ笹洗濯籠では伐採したメゴ笹をサイズ別に選別する事も大事な一つの竹編み前の仕事ながですぞね。太さを揃える事により仕事の効率が全く違ってきますし、出来映えも美しく、丈夫な籠に編み上げる事ができるがです。


メゴ笹切り口


このメゴ笹細工は職人さん自体は少なくなり、編み上がる洗濯籠は、本当に数量的に言うたらごくわずかなものぞね。けんど、以前は毎日使われよった籠ですので各地に沢山の職人さんもおられて、素材も、それぞれの地域の山々などに結構広がっているのです。そして、それが実は戦国時代と関係があるがやちや。


まず、このメゴ笹の切り口をご覧いただきたいがです。こじゃんと(とても)鋭利になっちょりますぞね。そして細いというても、この竹の強さ、粘り、堅牢さは折り紙付き。だから長く長く生活の中で洗濯籠としても使われてきたがです。さて、そこでです。このメゴ笹を地上から数センチの所で、このように先端が鋭利になるよう伐採するとどうですろうか?


そうです、想像して頂きたいのですが、辺り一面がまるで針の山ぜよ。今のように靴底がしっかりした履物がある時代ならいざ知らず、昔のように裸足に近いワラ草履程度の装備の足元では、この針山に入ることはかなり困難な事やったと想像できますぞね。だから、このメゴ笹はお城や武士の屋敷周りの防御用として、争いの多かった戦国の世からずっと植えられて来たとの事ですし、神社仏閣などの立ち入りがを禁止したい場合などにも重用され植えられたとの事なのです。今でも素材に困ることのないくらい色々な所に自生しているのには、こんな歴史的な背景もあったがやにゃあ。メゴ笹と戦国時代の意外な関係ですが、あの竹の硬さ、強さを思えば納得するお話ですちや。




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