孟宗竹の理由

孟宗竹


竹は長い日本歴史の中で生活、文化に深く根ざし、昔から身近に感じてきた存在であると思います。今でも田舎の古い民家の周りを竹林が囲っていたり、すぐ近くの里山に竹林が広がっていたりしますが、その多くは日本最大級の孟宗竹である事が多いのです。日本在来種でない竹ではありますが、その長さ、太さから重宝されて各地に広がり、美味しく大きな筍が採れる事などから、今では北限の東北より南の地域では見かけない事がないほど、どこにでも見られる日本を代表する竹のひとつとなっちょります。


ストックホルム国際見本市


ストックホルム国際見本市に出展していた竹家具は、この孟宗竹の太さと丈夫さを活かした作品でした。近くにあって、ずっと竹と共に暮らしてきた自分達が、まだまだ気づいていない竹の魅力を存分に表現されちゅうのは、竹をまったく新しい未知の素材として、新鮮な目で見られるステファンさんならではですろう。ところが、この孟宗竹こそ今の日本で活躍の場がなく、いわゆる放置竹林などと、あまり喜ばしくない名前で呼ばれ、ひどい場合ですと他の竹林や畑などを浸食する「悪者」のように見られることすらあるがです。


竹をそのまま造形に使う場合には晒した白竹であったり、自然な竹の雰囲気を感じてもらいたい場合にも、青竹に手を入れて更に美しい青く加工するような、竹素材にそのものにこだわりを持った製品作りをするかと思いますが、今回はまったく竹素材そのものには重きをおいちょりませんでした。


それは、どこにでもある孟宗竹をそのまま使う事によって、せっかく山々に沢山ありながら各地で使われずにいる竹が、実はそのままでも竹の美しさを持ち、自分達が忘れていたり、気づかずにいる孟宗竹との新しい関係が、もしかしたら生まれる事に繋がるのではという思いがあったがです。そして竹は、そのままで竹として素晴らしいものであり、それがステファンさんと言うデザイナーの手をお借りすると、一体どれくらい人に伝わるものなのか?どんな世界が広がるのか?自分が見てみたいと思いよったのです。


竹ポスター


長いと思いよった国際見本市の日程も、アッと言う間に過ぎてしまい、まっこと(本当に)慌ただしくストックホルムを後にして、飛行機を乗り継いで帰ってきましたけんど、空港にあった一枚の竹をモチーフにしたポスターに目が止まりましたぞね。海外の方が持つ日本のイメージや、美しさの象徴として、このポスターのように竹は度々登場しちょって、日本の竹を認めていただき、憧れのような気持ちを抱いて頂いているようにも思います。


今回の竹家具動画も既に6万回もの再生回数を数えちょりますぜよ。海外の方の竹への関心の高さは会場にいて肌で感じましたけんど、こうやって増えていく実際の数字は、それぞれお一人、お一人の人数の事ですので、改めて勇気づけられる思いながぞね。


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