虎竹和紙の新団扇(うちわ)

黒竹団扇


虎竹を繊維にして和紙にしているお話は前にもさせてもらいました。只今、製造中で出来上がりが、まっこと楽しみで待ち遠しいのですが、その和紙で前に作った黒竹団扇というものがあるがです。せっかくの虎竹和紙ですので、持ち手(骨の部分)の部分にもこだわって、近くに豊富にある黒竹という竹の丸竹そのままを使って、団扇を作りたいと思って職人さんにお願させて頂いたのです。


普通にある丸竹の団扇というのは女竹(めんちく)といって節間の長い竹です。団扇はご存じのように和紙を貼る部分の竹が細かく裂かれちょります。節間が長いと、この工程が比較的簡単で早くできるのですが、初めて黒竹を団扇の素材として見て頂きますと節が詰まっているし、竹自体の粘りもあって仕事が、やり辛いとお断りされそうになったのです。自分も、初めての素材や仕事が、いつもの細工より何倍も時間がかかり、しかも難しい場合ほど、熟練の職人さん限定となりますので、引き受ける方からすると本当に大変な事は十分に理解しちょりました。


黒竹うちわの骨


何とかお引き受けいただいて今までになかった黒竹丸団扇という、ちっくと画期的とも言える団扇を製作したがですぞね。普通の真竹などで少しは丸竹の団扇も見かける事はありますが、黒竹の丸竹を使った団扇を目にされた方は恐らく今までなかった事ではないか、そう、思うちゅうがです。


さて、国内の職人さんが高齢化してモノづくりが出来なくなりつつある、いえいえ、ただのモノ作りというと語弊がありすまぜよ。「良い」モノづくりが出来にくくなっちょりますが、残念ながら、ついに、この黒竹団扇も今年からは製作できなくなりましたぞね。難しい黒竹を裂く工程の熟練職人さんができなくなったがです。何人もの手を経てひとつの竹製品となるものには、今までも、そしてこれらかもこのような事が多々起こってくるかと思います。どこが一つでも歯抜けになると、製品として仕上げる事は出来ないのです。


柿渋うちわ


どうしようか?思いよった時に出会うたのが100年前の団扇ぜよ。どうして、こんな濃く渋い茶色になっているのかと聞くと、和紙に柿渋を塗ってしあげてあるとの事やったのです。最近製作した同じタイプの団扇と比べてみたら、まっこと、こんなに違うがぜよ!けんど、そんなに長く団扇が使えるとは思うてもみませんでした。これは柿渋の防虫、防腐、抗菌作用などが大きく作用しちゅうようです。


竹骨は寒暖の差が激しく伸びが良い高い山々から伐採されて運ばれます。自分が作りたいと思っている虎竹の和紙を使うた団扇は、出来るだけ長く愛用いただける団扇にしたいがです。これはピッタリではないろうか...。一本づつ団扇用の竹を細く手割りされている職人さんの鮮やかな手さばきを見ながら思うがですぞね。


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