竹籠に藁縄の紐は何故似合う?

背負い籠の藁縄


現在の背負い籠といえば布編みの背負い紐ばかりになっていますが、かって布や紐というのは高価、手に入りにくいものであったため身近な素材を使った背負い紐が普通だったと思います。最後までそんな伝統を残していたのが「かるい」と呼ばれる背負い籠でした、祖父の代から伝わる技をずっと守り続けられていた竹職人、飯干五男さんの工房で長い時間を過ごした事があります。





雨音の中、竹を割る音、竹を編む音だけが聞こえる工房で、一本の美しい青竹が見る見るうちに竹籠になっていく様に言葉を失って魅入りました。まっこと、このような撮影の機会をいただけた事に心から感謝するのです。


背負い籠(かるい)


編みあがった竹籠には、やはり職人さん手製の藁編みの背負い紐を取り付けて完成するがぜよ。昔から紐やロープとして利用されてきた素材には藁の他にもカズラや藤蔓、そして竹など様々なものがあったと思いますが思い荷物を背負う強度と肩当たりの具合から結局、藁になったのだと思います。


古い竹籠と藁縄


竹と藁の組み合わせ、まったく違うようですが、藁と言えばお米を収穫した後の稲藁です。植物学的にいうと竹は何とイネ科なので、言うなれば親戚同士で協働しているようなもの、古くから残っている背負い籠も一心同体、誠にしっくり来ているのです。


ピタリと閉まった飯籠の蓋を簡単に開けるには

飯かご


磨きの竹細工の経年変色の事をお話しさせて頂いて思い出すのが昨年でしたか古い竹の飯籠に蓋を合わせて新たに製作いただいた時の事ですぞね。前に職人さんの所にあった数十年前の古い飯籠だったのですが、あまり美しい色合いになっていたので譲ってもらった物でした。


ところが、古いその飯籠だけに蓋が無くなっていたのです。そこで、蓋だけ製作いただく事になったのですが、どうですろうか?赤茶けた本体籠部分に真新しいピカピカの新しい蓋が付いちょります。本体の縁巻きなどご覧になれるかと思いますが、かなりの凄腕職人さんの作、けんど、そこに更に蓋だけを後から製作するのです。一見何でもないように見えますけんど、ピタリと合わせる竹籠の蓋は熟練職人さんでないとできない仕事。


あまりに色合いが違うので、普通の方なら染めた赤い竹と白い竹とを合わせてあるくらいに思われるかも知れませんが、40年、50年と使われてきた古い竹籠に新しい竹蓋など、実は、あまり見ることのできない特別な飯籠なのです。





腕のよい竹職人が編む、ピタリと閉まる飯籠の蓋はどう開けるがご存じですろうか?もちろん取っ手は付けていますが、もっと簡単にスムーズに開けられる方法があるがです。飯籠は冷蔵庫のなどの無かった時代に、余ったご飯を軒先に吊して保管するために必ず持ち手があったものです。


その持ち手を使って軽く、動画のように開けるがですぞね。


赤染め?塗り...?自然そのままの竹手提げ籠バックです

竹籠バック


「赤染めの竹手提げ籠バックです」そう言えば、なるとほど赤っぽい染料で染めた竹なのだなあと納得される方もおられそうなくらい赤茶になっている竹籠です。ところが、これは染めたワケでも、ましてや何か塗料を塗ったりしたものでもないのです。時間が経過するうちに、だんだんとこのような美しい色合いに変色したものぞね。


磨き竹手提げ籠


編みあがったばかりの竹籠はこのような色合いです。竹は表皮部分に近い程強いのです、そこで「磨き」と言うて竹表皮部分を薄く薄く剥いで出来るだけ皮に近い部分を使い竹籠を編むのです。


日本唯一の虎竹などは、その表皮の虎模様が命ですので磨きをする事はありませんが、真竹(青竹)も自然のままの竹は色つきにバラ付きがありますし、キズやしシミもあります。それが表皮一枚薄く剥ぐ事によって、まるで生まれたての赤ちゃんのような繊細で瑞々しい竹肌となり、その竹ヒゴで竹籠をあむと、その出来あがり美しさは秀逸です。


真竹手提げ籠バック


この竹籠バックを使うようになって、もう4~5年前になると思うのですが、小振りなためそんなに使う機会は多くないのに、このような色合いに変わってきちょります。竹により、色合いの変化にも違いがあったりして使えば使うほどに楽しめるのが磨きの竹籠なのです。


初めてなのに懐かしいスズ竹の写真 その2

スズ竹行李


母の実家は古い農家だったので、小さい頃たまに遊びに行って鬼ごっこなどで物置などに隠れると積み上げられた布団の傍らに行李が何個も置かれていました。角を黒い当て布で補強したヤナギ行李がほとんどだったように覚えているのですが、もしかしたらスズ竹製のものもあったのかも知れません。


とにかく、昔の衣装箱といえば、このような自然素材で編まれたものばかりやったのです。画像の行李は小さいタイプですが、サイズ的にはもっと大きなものが中心でした。そして、こような綺麗な色合いではなく使い込まれて色は飴色に変わったり、少し破れた所があったりでしたが、その上に飛び乗っても衣類のいっぱい入った行李はビクともせず、踏みしめる足には弾力が伝わってきて子供心にも丈夫な箱だという意識はあったのです。


ヒゴ取り機械


家庭でなくてはならない竹製品を大量に製造するために出来るだけの工夫が繰り返されてきた中で、このような竹のヒゴ取りをする機械も生み出されたのだと思います。元々あったものではありません。それぞれ地元の鉄工所さん等に相談して、その産地特有の機械を作ったはずなのですが全国各地で見る竹加工用機械は良く似ていますので、どこかのタイミングで技術交流が行われていたのかも知れません。


天井のホイール


かって盛んに製造されていた竹細工の痕跡は天井にありました。動力で回す鉄棒に取り付けられたホイールが3個見えますが、かってはそれぞれにベルトが巻かれその下にはヒゴ取りの機械が並び賑やかな音を立てていた事だと思います。


古い竹工場の写真


これも、初めて見せて頂いた写真なのに懐かしい仕事場風景ぜよ。自分の小さい頃の竹虎の工場のような雰囲気、頬被りの叔母さんがこちらを振り返ったら、あの優しい笑顔に出会えそうな一枚を、何度も何度も見てしまうのです。


初めてなのに懐かしいスズ竹の写真

みすず細工竹割


昔の職人さんとのお話しさせていただく事は、本当に面白いものなのです。現代との一番の違いは、その技のスピード。竹製品が全国の家庭で毎日使われるのが当たり前の時代には、とにかく大量生産が基本だったようで豪快な製作工程の話は何度聞いても痛快ぜよ。


少しでも早く、良い商品を作りたいという思いは何処でも同じ事だったのかも知れません。みすず竹細工のヒゴ取り用には、このような見慣れない竹割り道具がありました。


スズ竹竹割機械


片方にはスズ竹が入れられるくらいの穴が開いていて、もう一方には十文字の金具が取り付けられています。


竹割機械


こちらの道具には更に斜めに「×」が入っています。


スズ竹割機械


これは一体何の道具かと言いますと、穴の開いた方にスズ竹の丸竹を突っ込み竹の太さによって四ツ割や八ツ割にする道具なのです。


スズ竹割機械


実際にスズ竹を割って見せて頂くと粗割ではありますが思ったよりもスピーディーに竹ヒゴを取る事ができます。行李などには竹ヒゴが沢山必要だったと思いますが、このような道具をフルに使って効率適に作業をしていた活気ある職場がチラリと垣間見ることができた気がしました。


竹干しの川原


初めてなのに懐かしい一枚の写真に出会いましたぞね。小石のゴロゴロした感じは川原のように見えますが、広々とした場所いっぱいにスズ竹が広げられています。自分が幼い頃に遊んだ安和海外の浜辺にも、当時はこの写真のように一面に割った虎竹が並べられていた事を思い出しますぜよ。土手の向こうに見えるトラックが時代を感じさせます。


しかし、首に巻いた手ぬぐい、腕ぬき姿の職人さんは、まるで竹虎の古いアルバムに写った竹職人さんとあまりに似た格好!目が釘付けになりました。竹林で竹の根が縦横無尽に走りそれぞれの竹と繋がるように、遠いように思えるこの地の竹も、自分達とどこかで繋がっているのではないかと思わせてくれるがです。


旧開智学校の竹編みフローリング床

旧開智学校竹編み床


長野県松本市といえば日本最古の天守で有名な松本城ですが、そこから徒歩でもそれほど遠くない所に残る明治時代初期の洋風校舎、旧開智学校があるのです。モダンな校舎は被写体としても、こじゃんと人気のようで観光で来られた沢山の方が写真を撮られよりましたので関心のある方は是非インターネットで検索されて、ご覧になられると良いかと思いますぞね。けんど、自分が前々からずっと見たいと思っていたのは、この美しい校舎のたたずまいではないのです。


実は、この校舎の中にスズ竹という竹を使い、しっかりと編み込まれた床があるのです。床と言うと少し語弊がありそうで、板張りの床の上に敷かれた敷物の方が正確な表現かも知れません。


旧開智学校竹編み床製造


しかし、これは単なる敷物ではなく床一面を熟練の職人が編み込んだ、まさに竹編みの床。今回は嬉しい事に、たまたま当時の写真を拝見させていただく機会もあり、施行当時の様子がよく分かります。全ての教室がこのように竹編みされているワケではありませんが生徒さんが一同に会したであろう広い部屋一面にも圧巻の細工が施されていて感動するのです。


みすず行李


スズ竹は東北はじめ寒い地方に育つボールペンほどの細さの竹で、竹と名前が付いていますが分類すれば笹の仲間になります。厳しい自然の中で鍛えられているせいか強く、粘り、しなりがある素晴らしい竹素材であり、特に日常使いでの性能が重んじられた当時は人々の生活になくてはならない存在やったと思います。


行李と言うても今の若い方は知らない人がおられますが、プラスチック素材などが普及するまでは物流には、この行李が活躍しちょりました。ヤナギ製の行李なども多用されていましたが、スズ竹の製造も行李などが中心だったと聞きます。材料のスズ竹が高く積み上げられていますが、これだけの製品を製造するには、さぞ大量の材料が必要だったと考えられます。まっこと、想像するだけてワクワクしてきますぞね。


みすず竹細工


松本ではスズ竹の細工の事を「みすず細工」と言います。不思議に思っていましたが信州には「美須々(みすず)」という地名の他、みすずと名前の付く物が多々あるようです。これは、それだけ信州一帯の広い地域でスズ竹が大事な産品だった証であると思います。


そんな伝統のせいですうろか?籠やザルなどの生活用品を取っても技巧に優れた興味深いものが多く残されています。今でも十分使えそうなモダンな雰囲気のボストンバックや、実用性と共に装飾性の強い細工など目を見張るような製品が作られていたのです。そして、そんな地域特有の竹文化が生み出したのが竹編みのフローリングだったのかも知れません。


一目で違い分かる丈夫さの国産蒸籠

国産檜蒸籠


暑くなってくると蒸し料理はどちらかと言うと敬遠されるように思うのですが、さすがに寒い時期と同じという事ではありませんが、今年はどういうワケか蒸籠へのお問い合わせも多いようぜよ。蒸し料理は、格好良くカタカナで「スチームフード」などとも言われていますが、これほど簡単で手間いらず、料理の経験のあまりない方でも失敗無く美味しく頂ける料理方はそうないのではないかと思いよります。


実は自分も一年前くらいからダイエットをしていて少しづつ体重を落としてきました。今年に入って10キロくらい減った体重を何とか維持していて、先月の会社の検診では担当医の先生にお褒めの言葉をいだいたのですが、日々の食事では野菜を多めにとるように心がけているのです。


日本製、ひのき蒸籠


生野菜でサラダとして食しても美味しいのですが、豚肉などと一緒に蒸してポン酢でいただくと更に美味しく沢山の野菜を食べる事ができますので、まっこと気に入っちょります。油を使わずに調理できるので、ムシムシして食欲のわかない時でもあっさりと頂けるあたりがヘルシーですし、もしかしたら夏でも人気な理由なのかも知れませんにゃあ。自分などがたまに料理をすると鍋を焦げ付かせて後始末に大変な思いをするのですが、食べた後のお手入れが簡単なのもエイところですろう。


国産の檜蒸籠は一目見ただけで縁の厚みがしっかりして本当に丈夫な作りです。蒸籠の蓋部分は蒸気を逃がすように竹編みで作られていますが、この竹編みなどもガッチリ堅牢な編み込み。お値段は多少高額なものの、この辺りの作りが輸入の蒸籠とは全く違う点で長くご愛用いただける方にでしたらオススメするのは、やはりコチラなのです。


日本唯一の虎竹自動車、長距離走行の課題

日本唯一の虎竹自動車、光岡自動車(Like-T3)


8月のチャレンジラン横浜に向けて日本唯一の虎竹自動車での試運転をしています。実際に高知から横浜まで走るとなると天気の事など言ってられませんが、今のところ雨が降っていると苦労して製作した職人が良い顔をしないのでわざわざ乗るワケにもいきません。


日本唯一の虎竹自動車ワイパー


なので実はワイパーは一度も使った事がなく、実際に雨の日の走行はどうなのか?はこれからの課題となっています。バイクを乗られている方のようにカッパ着用となるかと思いますが、出発までには雨天対策もしっかり考えちょかんとイカンがです。


日本唯一の虎竹自動車タイヤ


とにかく、一番最初の走行テストでタイヤのトラブルがあり半日つぶしてしまいました。いきなり会社から遠く離れた場所に行ったので修理の対応にも時間がかかりましたので少し慎重になって少しづつ距離を伸ばしながら走りよります。そうは言うても、実は思うほどは乗る機会が取れず、ほんの数える程度しか乗っておらず、まだまだ経験不足なのですが来たるべき長距離走行でポイントのひとつは充電だと思うちょります。


スペック通りですとフル充電で50キロの走行が可能とは言われていますが、車体重量が増え、重たい荷物も載せて走ります。道路の状態にもより走ることのできる距離には自ずと違いができてきそうです。メーターで残り電池量は当然確認できますが、単純に走行距離を目盛りの数で割って一目盛りで何キロという計算ができるのか、どうか?経験値をあげて確認しておかないと道路沿いに沢山あるガソリンスタンドで手軽に燃料を入れられる訳でありません。充電場所を探しながらの走行を考えていますので余裕も十分みないといけないのです。


日本唯一の虎竹自動車


まだまだ長距離走行ができていませんが、少し走るだけでも乗れば乗るだけ課題が出てきます。まっこと(本当に)これで横浜に辿りつけるがやろうか?面白くなってきそうです。


竹虎ロゴマーク入りヘルメット

日本唯一の虎竹自動車(Tiger Bamboo car)、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、光岡自動車(Like-T3)


自分がバイクに乗っていたのは、いやいやバイクと言っても中古で友人から譲ってもらったヤマハのロードパルという50㏄のバイクですが大学生の頃の話なので当時はヘルメットの着用義務はありませんでした。なのでヘルメットを購入したのは今回が生まれて初めてやったのです。


日本唯一の虎竹自動車は特殊車両として公道を走ることが認められていますのでヘルメットの着用は必要ないがです。ただ、長距離を走るので出来るだけ安全にと思い用意することにしましたぞね。それにしても同じヘルメットなのにピンからキリまであって驚きました、価格も全く違いますにゃあ。最初は安価なものでと考えていましたが店員さんから丁寧に説明いただくと、やはり信頼できる国内メーカーのものに決めたのです。


竹虎ロゴマーク入りヘルメット


ヘルメットにはハンドフリーで話すことのできるイヤホンマイクがセットできます。携帯のBluetooth(ブルートゥース)という機能を使い話す事ができるのですが、自分の持っていたガラケーにはこの機能がないのです。新しい携帯電話なのにと不思議に思って聞いてみますと、ガラケーには古いタイプの電話にしか付いてないそうなのです。


そこで、わざわざこの機能の搭載されている古い機種に変更する事にしましたぞね。前の携帯より厚みがあり、使いやすいとは言えないのですが仕方ありません、実は近年スマホで使う方が多くなり新しいガラケーにブルートゥースは搭載されていないとの事でした。


さて、ヘルメットを購入したのは高知市内にあるバイクのパーツ屋さんなのですが、説明をしっかりして頂いたものの覚えが悪く、上手く携帯電話とヘッドホンが同期せずに困っていました。そうすると、わざわざ店長さんがデモ機を持って調整しに来てくれると言うではありませんか!出張までして設定を直して使い方を教えてくれるとは...本当に感動したのです。けんど、まっこと今回の日本唯一の虎竹自動車はクラウドファンディングで直接応援いただいた方々はもちろん、このような多くの皆様に支えられて走ります。頑張らねばなりませんにゃあ。


日本唯一の虎竹自動車メイキング動画が出来ましたぞね

竹虎全社員、光岡自動車(Like-T3)


先週より、ずっと日本唯一の虎竹自動車の話題ばかりになっておりますが本日はメイキング動画が完成したいというお話ぜよ。何度も申し上げてはいますが、今回のプロジェクトは自分達だけでは到底できるようなものではありませんでした。そこで考えに考えた結果、クラウドファンディングという少し聞き慣れない新しい方法を使う事にしたのです。


クラウドファンディング、竹板のレーシングステッカー


そこで全国から思いがけない程の沢山の皆様からご支援を頂戴することができましたが、リワード(お礼)の一つである竹製レーシングステッカーは金額によりサイズが違っています。「大、中、小」と3種類あって大、中のサイズは車体両サイドに貼り付けて走らせていただきます。けんど、実は一番小さなサイズにも本当に沢山の方からの温かいお気持ちが届いておりました。中にはわざわざ工場まで届けくれた職人さんなどもいて感激したのですが、そのような皆様の分は車体には取り付けることが難しくなりましたので車内のフレームに吊り下げさせてもらう事にしたのです。


日本唯一の虎竹自動車クラウドファンディング、竹板のレーシングステッカー


虎竹の交通安全のお守りは車内にひとつありますが、もうひとつのお守りのようになりました。多くの皆様に見守って頂けているようで、まっこと心強いがです。


ヒロタリアンさん、竹虎四代目


今度のプロジェクトでは本当に素晴らしい皆様と出会い、竹虎が多くの方に支えて頂いている事を改めて実感できる機会となったことが大きな収穫でした。


日本唯一の虎竹自動車


虎竹の里の明日を考える時、実は課題も山積されていて例えるなら暗いトンネルを走っているようなものとも言えます。その先に小さく、しかし明るい出口を目指して、この日本唯一の虎竹自動車をご支援いただいたようなお客様を思いまっすぐに走ることしかありません。メイキング動画には応援いただく10名様のお名前を入れさせていただいています。




高知さんさんテレビさんで放映、日本唯一の虎竹自動車

野村舞アナウンサー、竹虎四代目、日本唯一の虎竹自動車、光岡自動車(Like-T3)


さんさんテレビさんが日本唯一の虎竹自動車を取材にお越しいただける事になったかです。ちょうど今は梅雨のうっとおしい天気が続く時期なのですが不思議とテレビ局が来られる時には天気が素晴らしく、まっこと嬉しゅうなりますぞね。


野村舞アナウンサー、竹虎四代目、日本唯一の虎竹自動車


インタビューいただくアナウンサー野村さんも本当に興味津々という感じで虎竹の車の事を聞いてくださいます。完成したばかりで、テスト走行でも遠出したこともなく、まだまだ人様の目に触れる機会は少ないのですが、このように皆様に関心を持ってご覧いただける事ができるとしたら、いろいろな壁はありましたが、苦労してでも製作した甲斐はあったのかも知れません。


日本唯一の虎竹自動車jpg


アクセルを踏み込むとスムーズに滑るように走り出す日本唯一の虎竹自動車。心地よい風をきって進みます、やはり「動く」という事が今までの細工と一番大きな違いぜよ。


虎竹


番組の中でも虎竹の紹介をしていただきましたが、このように普通の竹と何ら変わらないように見える竹をガスバーナーの炎で熱を加えますと竹の油成分が吹き出しきて独特の虎模様が現れるのです。


竹は本当に面白い素材であり、昔から衣食住すべてに深く関わってきたのは、成長が早く身近な素材として豊富にあった事、そして、堅さと柔らかさという相反するように思える性質を併せ持つ特性から様々な加工に使う事が出来たからですろう。


日本唯一の虎竹自動車


それにしても、梅雨の晴れ間というには良い天気、同乗されたアナウンサー野村さんも喜んで頂きました。日本唯一の虎竹自動車は高には高知の青空が、まっこと良く似合うがです。


完成した日本唯一の虎竹自動車の細部について その2

日本唯一の虎竹自動車、ステアリング


日本唯一の虎竹自動車のステアリングは円形ではなくUの字型をしています。前輪が一つの三輪車ですので小回りが効くのですが、その分ステアリングの形状の違いもあわせて少しだけ運転にはクセがあって慣れが必要なのです。このステアリングに巻き付けた虎竹は面取りをして素手で触れても手にやさしい丁寧な仕上げになっています。


日本唯一の虎竹自動車、床部分


乗り込むために足を入れる床は木賊(とくさ)張りです。木賊という節のようなものもあってミニチュアの竹のような植物からきた名前なのですが、均等に割り切りした虎竹をベニア板に張り付けた元々は室内の内装などに使うものです。竹は加工の仕方によって硬くもあり、柔らかくもあり、剛と柔の相反する性質を併せ持つ面白い素材ながです、今回はこのような竹の多様性をひとつの製品の中でわかりやすく表現するのも製作のねらいのひとつやったのです。


日本唯一の虎竹自動車、座席


何回かお話しさせても頂いておりますが、今回の日本唯一の虎竹自動車プロジェクトでは二人乗りの電気自動車にこだわりました。一人で走るよりも、お客様を乗せて一緒に竹の感触を全身で感じていただきたかったからですが、二人乗りの電気自動車は、この光岡のLike-T3だけやったのです。


座席シートはベンチシートではなく、それぞれ独立したシートになっています。まるでバイクのシートがならんでいるようですが、このシートにそれぞれ虎竹をヤタラ編みで編み込みました。三角形になったシートへの作業は大変だったようで、職人は何度も何度も編んではやり直しを繰り返し、かなりの時間を費やしてようやく完成した力作ぞね。


日本唯一の虎竹自動車、座席台座


シートがのる台座部分があります。ここは細く取った竹ひごを隙間無く編み込む網代(あじろ)編みという技法が使われました。網代編みの代表選手といえば竹弁当箱が思い浮かびますが、いずれにせよ、これだけ大きな網代編みをする機会はあまりありません。


六ツ目編みサンルーフ


さて、意外に柔らかな座席に腰をおろして上を見上げると明るい陽射しの差し込む事に気づきます。座席上部はヤタラ編みで編み込まず、ざっくりした六ツ目編みのまま残したのです。まあ、言うなれば「虎竹六ツ目サンルーフ」。南国土佐の真っ青な空が見たかったのです。


日本唯一の虎竹自動車、メーター


日本唯一の虎竹自動車の運転席は極めてシンプル。小さなメーターがひとつ付いているだけです。ヤタラ編みで仕上げた所に一歩虎竹をスッーと通しているのも職人の感性。柔軟に編み込まれる細い竹ヒゴ、真っ直ぐにのびる艶やかな竹肌、キリッとはいる竹節、浮かびあがる虎模様。本当に虎竹って美しい...メーターより虎竹に目がいかないように注意せねばなりません(笑)。


日本唯一の虎竹自動車、荷台


座席後部の荷台部分はヒシギ張りで仕上げられています。唯一この両サイドに使用した黒竹と対比を楽しめるように少し明るい色合いの虎竹を平たく叩き割り張り付けています。最近では新しい感覚で店舗装飾などにも使われるようになっていますが、竹虎では袖垣に多用する技法です。


紐をひけば蓋が開くようになっちょりますが、この下には動力の心臓部分とも言えるバッテリーと充電器が内蔵されているのです。


完成した日本唯一の虎竹自動車の細部について

日本唯一の虎竹自動車(Tiger Bamboo car)、光岡自動車(Like-T3)


梅雨の晴れ間、早朝に工場から日本唯一の虎竹自動車に乗って虎竹の里の田舎道を走ると田植えを終えた緑の絨毯が美しく、まっこと気持ちがエイのです。


日本唯一の虎竹自動車(Tiger Bamboo car)フロント


先日から完成した日本唯一の虎竹自動車の事を何度かお話しさせて頂いておりますが、実は細かい部分についてはまだ何もお伝えしていなかったのではないですろうか?そこで、まずフロント部分ですが、やはり車の顔の部分ですので格好良く仕上げられちょりますぞね。戦国武将の鎧をイメージしたのですが、稟とした姿が美しいと思うのです。


日本唯一の虎竹自動車(Tiger Bamboo car)


車のボディは、ヤタラ編みという細い竹ヒゴの乱れ編みです。そこに厚みと幅のある虎竹を縦に並べているのですが、竹ヒゴを等間隔で飾っているのも虎竹。


日本唯一の虎竹自動車(Tiger Bamboo car)


そして、車体側面には比較的太い竹を、出来るだけ丸みをのこしたままの竹で飾っているのも虎竹の里の職人の心意気。竹そのままでも鑑賞にたえる、虎竹独特の虎模様を見てもらいたいとの思いなのです。


日本唯一の虎竹自動車(Tiger Bamboo car)


しかし、何と言うても、後ろ姿が圧巻でないかと思います。ご覧になられる方によって、懐かしい形とか、近未来のように感じるとか、様々なご感想を頂戴していますが、初めて出会う方々の目が釘付けになる様な存在感であることは間違いないと思います。


あまり早く走る事のできない電気自動車ですので、のんびり、ゆっくり走ります。後続車の方に迷惑にならないよう道を譲りながらの走行を心がけちょりますが、ついつい見とれられる方もおられるかも知れませんにゃあ。


縦に入れた細身の丸竹はヤタラ編みに使われる虎竹よりも、黒っぽい虎竹を選んであしらわれています。この日本唯一の虎竹自動車の車体カラーは自然の色合い、無限の配色というても良いのです。


ヒロタリアンさんを載せて走り出す日本唯一の虎竹自動車プロジェクト

ヒロタリアンさん、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、日本唯一の虎竹自動車、光岡自動車(Like-T3)


さて、今回の日本唯一の虎竹自動車プロジェクトはクラウドファンディングという仕組みを使って実現しちょります。全国各地の135名様から351万1455円という大きな大きなご支援を頂戴し完成した夢の車だと思いゆうがです。


クラウドファンディングと言うと聞き慣れない言葉です、何か不利益を被るのでは?そんな風に思われる方もおられるようですが、実は資金を出す方、提供いただく方、双方にとってリスクのない優れたやり方ですぞね。竹虎の今回のプロジェクトも最初は、この仕組みの周知ができていなかった為に全くご支援いただく事ができずにいました。


日本唯一の虎竹自動車レーシングステッカー


そんな中、前々から竹虎のお客様でもあられた横浜のヒロタリアン(ニックネーム)さんから大きな応援をいただき、それが引き金のような形となって次々と支援の輪が広がり、到底無理だと社内でも誰も信じる者のいなかった350万円という金額の達成となったがです。


日本唯一の虎竹自動車レーシングステッカー


ご支援頂いた皆様には、その金額により車体に取り付ける竹のレーシングステッカーはじめ様々な特典を用意させていただきました。今回の竹虎の場合ですと1500円からご参加いただけますが、たとえ金額はいくらであってもご自分の参加されたプロジェクトの行方は、ずっと関心を持って見守っていただけますので本当に有り難いと思っているのです。だから自分達のような小さな田舎の零細企業でも、うまく活用することによって活路を見いだす一つのチャンスがあるのではないですろうか。


ヒロタリアンさん、竹虎四代目、日本唯一の虎竹自動車


ヒロタリアンさんも、完成のニュースに触れ、わざわざ遠く横浜から駆け付けてくださいました。初めてご覧になられた時、アッと驚ろかれ、満面の笑みになります。この竹の車の完成を心から待ち望み、期待をいただいていた事に胸が熱くなりましたぜよ。


ヒロタリアンさん、竹虎四代目、日本唯一の虎竹自動車


自分達は初めての竹の車作りに集中してしまい、予定よりも大幅に遅くなる中、何度も何度も失敗して悪戦苦闘して、つい忘れがちになっちょりましたが、この日本唯一の虎竹自動車プロジェクトは竹虎の夢でありロマンであると共に、全国からご支援いただいた皆様ひとりとりの夢であり、ロマンである事を改めて思うのです。


ヒロタリアンさん、竹虎四代目(山岸義浩)、日本唯一の虎竹自動車


虎竹自動車の細部を色々とご説明させていただきます。本体の虎竹ヤタラ編みに丸竹や割竹を組み合わせた何の事も無いような作りも実は試行錯誤のして仕上げられた職人の力作です。


ヒロタリアンさん、竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、日本唯一の虎竹自動車


いよいよ、ヒロタリアンさんを載せて走り出す瞬間がきましたぜよ。昨年の8月下旬からクラウドファンディングがスタートして会社設立記念日の10月6日までの期間、ハラハラドキドキの日々でしたけんど、達成して日本唯一の虎竹自動車プロジェクトへの一歩を踏み出した時の感激が思い起こされます。


あれから、8ヶ月あまり、こうして同乗いただいて車を走らせる日を思い描いてきました。エンジンキーを回します、電気自動車なので音もしませんがスタンバイOKの電気が灯るがぜよ。アクセルを踏み込むと、静かに滑るように動き出す竹の車。記念すべき初乗りとなったがです。


高知新聞さんに掲載されましたぞね、日本唯一の虎竹自動車

高知新聞に日本唯一の虎竹自動車掲載、竹虎四代目


昨日は地元のテレビ局さんに放映いただいたというブログを書かせていただきましたが、先週の土曜日には高知新聞さんにも掲載いただいておりました。こうして、地域のメディアの皆様に可愛がってもらって嬉しい限りなのですが、これもこの虎竹の里にしかない地域資源である虎斑竹(とらふだけ)のお陰なのです。


日本唯一の虎竹自動車


今回の虎竹自動車のエイ所は、やはり実際に虎竹に触れ合っていただける事に尽きますぞね。虎竹の床を踏みしめ、虎竹のシートに腰をかけて、虎竹のハンドルを握る...そして周りグルリを虎竹に囲まれた今までに感じたことのない世界です。


日本唯一の虎竹自動車製造


ところが、ご覧になられた方は初めて皆様がアッと驚く虎竹の車なのですが、製作した職人たち本人は毎日の見て触っている虎竹ですし、苦労してようやく一つの形にしたという気持ちはあるものの、実はそれほど特別な事をしたという意識はありません。


できるだけ機会を作るようにはしているのですが、どうしてもお客様のお声を直接聞く事は少ないので、このような取材の時には記者やレポーターの方の感想を職人に聞いてもらい、自分達のした仕事の大きさを少しでも感じてもらえたらと思うちゅうのです。


日本唯一の虎竹自動車製造


そして、新聞紙面に載った虎竹自動車をご覧になられた周りの方からの声で自分達が創り上げた車が、沢山の方々に興味を持ってもらい、虎竹の興味に繋がる事を、職人たちの自信に繋がる事を願っているのです。


日本唯一の虎竹自動車がテレビのニュース番組に登場ぜよ!

竹虎四代目、有吉都アナウンサー、日本唯一虎竹自動車


完成したばかりの日本唯一の虎竹自動車を地元RKC高知放送のニュース番組「こうちeye」で取り上げて頂ける事になったがです。日頃の行いが良いせいでしょうか?梅雨に入ってスッキリしない天気の続く虎竹の里でしたが、テレビ局さんとの約束の朝には、取材に来られたアナウンサー有吉都さんの笑顔のように晴れやかな好天ぜよ!まっこと、誰かが天上から見ているに違いないですにゃあ(笑)。


竹虎四代目、有吉都アナウンサー、日本唯一虎竹自動車


車の本体部分は光岡自動車のLike-T3という電気自動車を使用しちょります。成長が早く継続利用可能な唯一の天然資源とも言われている竹をアピールするためにも、環境に優しい電気自動車でなければいけないと思っていました。調べてみますと電気自動車を製造されているメーカーさんは何社かあるのですが、価格的には一番高額な光岡自動車さんに決定したのは二人乗りの車だったからなのです。元々虎竹の里に来られたお客様を乗せて走ってみて竹の丈夫さや堅さ、しなりや弾力性を体感いただきたいと思っていましたので、二人乗りをずっと探していて最後に出会ったのが、この車体やったのです。


竹虎四代目、有吉都アナウンサー、日本唯一虎竹自動車


有馬温泉は昔から名湯と知られる観光地ですが、細い坂道が多いとの事でお客様のために、このLike-T3が走っているそうながです。しかも、二人乗りどころか四人乗り用に座席を増やして走行されていると聞き、そのパワフルさにも感心しました。さすが、昔からユニークな車作りをしてこられた光岡自動車さんなのです。


日本唯一虎竹自動車取材


そこで、アナウンサーの有吉さんに助手席に乗っていただいて少し駐車場の中を走ってみる事にしたのです。実は人を乗せて走るのは、これが初めての事でした。走行には問題はないと思っていましたが、なにせ狭い座席です、竹編みのシートの座り心地もどうだろうか?と思っていました。ところが、そんな心配もよそに走りだしますと有吉さんは大喜びしていただきホッとしたがです。


この車の座席はベンチシートではなく、それぞれ孤立したバイクのような形のシートになっています。上からみると三角形に近い形ですが、虎竹で編み込むのにも慣れない事なので何回もやり直しながら、ようやく今の形になりました。そんな、製造工程から見て来て何度となく腰かけて座っているので気づかなくなっている竹の弾力もそうでしたが、音の静かな電気自動車ならではの耳で感じる竹というのが意外に大きなものだと知る事ができました。


展示されているだけでも面白いものではありますが、やはりこうして同乗いただける事が、竹に近づいていただるような気がして、こじゃんと(とても)大事なことのように思えるのです。


日本唯一虎竹自動車(Tiger Bamboo car)


こうして取材いただいて、早くもその日の夕方6時のニュースで早速放映いただいたかです。田植えが終わった新緑にサンサンと太陽の光が降りそぞく中、田舎道を疾走する虎竹自動車ぜよ。


RKC高知放送取材


実は今回取材にお越しいただきました高知放送さんには3月にも一度お越し頂いちょりました。その時に撮影された、まだまだ製作途中だった虎竹自動車を今回の放映では流していただきましたので、ご覧になられた視聴者の皆様には全く違う形になる製作前と、製造後の姿を比べられて、本当に分かりやすかったのではないかと思います。


RKC高知放送ニュース番組「こうちeye」


RKC高知放送「こうちeye」番組の中では、クラウドファンディングの事についても触れていただきましたぞね。横文字で取っつきにくかったり、インターネットのサービスなので少し分かりづらいと思われる方がおられるかも知れません。


けんど、高知のように地方にあり知られていないモノやサービスを製作費、広告費をかけず世に出すことのできる凄い仕組みの一つであることは間違いないがです。


何かを始めるにしても特にリスクもないし、やってみて素晴らしいと思うのは、来た事のない地方であっても、小さい自分達のような零細企業にあっても、志があれば応援しようという有り難いお客様が沢山おられる事ですろうか。今までマイナスだったものがマイナス×マイナスでプラスになる、まっことそんな時代になっていると強く感じちょります。


竹製のガス缶カバーが出来ましたぞね

竹編みカバーのついたガス缶


「コールマン」と言うブランド名を聞くと、アウトドア好きの方やキャンプに行かれる事のある方でしたら知らない方はいないのではないかと思うくらい有名なブランドながです。キャンプ用品のテントなど大型の製品から細かな携帯用品、そして、バック、洋服、靴に致るまで実に様々なモノを作られていて、このようなガス缶も登山やキャンプの必需品として用意されちょります。


以前、ゴールデンレトリバーを飼っていた頃には水遊びの好きな愛犬にせがまれて頻繁に川原に連れて行ってました。犬が川で気持ち良さそうに泳いでいる間、その辺りの石に腰かけてコーヒーを飲む事も楽しみのひとつでしたので自分も湯沸かし用に、このようなガス缶と小さなコンロを持っていましたりので、実は馴染みのある品ではあるのです。けんど、そのガス缶に竹編みをしてもらいたい、とお客様に言われた時には、ちっくと(少し)戸惑いましたぞね。


竹のガス缶カバー


そもそもガス缶を使うのは当然屋外である事が多いと思いますし、雨が降らずとも水がかかったり汚れたりする場合もありますろう。携帯される場合にもリュックサックに放り込むとか、あまり丁寧な扱いはされないような気がします、そこに竹編みの必要があるがやろうか?


しかし、それは価値感の違いかも知れないと思い直しとりあえず一つ製作してみる事ことにしたのです。大都会のコンクリートに囲まれて生活される方の自然の中で過ごす一日は、自分など田舎に暮らす者とは全く違うのかも知れません。そして、そこで使うガス缶、沸かすお湯や楽しむ食事、たとえ一杯のコーヒーでも自分のそれとは、きっと違うがぜよ。竹編みで飾ったガス缶を囲んで笑顔が広がるのなら、これも竹の大いなる役割であり喜びだと思うちょります。


竹職人の物差し

竹職人の物差し


長さが同じような、違うような大小の丸竹が無造作に棚に並べられちょります。ご存じない方が見られると一体何かと思うてしまうかも知れませんが、良くご覧になられると端は切りっぱなしではなくL字のように残されカットされています。実は、この竹は何に使うものかと言うと竹職人の物差しなのです。


色々な竹笊や竹籠を作る職人さんは、それぞれの大きさのサイズをこうして竹に覚えてもらっているのです。編み上げる竹細工の種類が増えるごとに、この竹の本数は多くなっていきます。ホームセンターなどに行けば今風のメジャーなどはいくらでもあると思うのですが、ただ単に長さを測るという意味合いだけではなく、籠ごとに違う大きさを記録しておくという事でもありますし、そもそも長さを測るという事にしても何を隠そう竹ほど素晴らしいものは無いがですぞね。


竹職人(Bamboo craftsman)


自分も小学校から数十年ずっと使い続けている20センチの竹物差しを今でもデスクに常備しちょりますが、竹は気温や湿度で伸び縮みしないという優れた性質を持った素材なのです。そのため昔から身の回りにある物差しといえば全て竹でありました、小さい頃に悪戯して怒られる時には必ず竹の長尺物の物差しが登場しませんでしたろうか?どこのご家庭にも一本や二本は竹の物差しがあった時代ではなかったかと思います。


竹工房でエアコンのある所はほとんどありません、冬は暖をとるための器具があり、燃やす竹材には不自由しませんので薪ストーブがある所もあったりしますが、夏はとにかく何処に行っても暑いのです。けんど、そんな環境でも竹なら正確な長さでしっかりと期待に応えてくれるのです。暮らしの中で使う竹籠に、そこまでカッチリとした長さは求められる事はないのですが、とにかく竹は変わりませんぞね。そう思うて改めてみたら、ただ置かれているだけの竹が又違う顔つきに見えてきますろう。


日本唯一の虎竹自動車テストラン

日本唯一の虎竹自動車


梅雨にどっぷりと入ってしもうた虎竹の里。けんど今日は楽しみにしちょったがです、昨夜から雲行きが変わり天気がよくなりつつある感じがしていたからぜよ。朝起きたら案の定、まずまずの空模様、少し薄日も差してきていましたので完成したばかりの日本唯一の虎竹自動車のテストランは今日しかないがです。


それにしても、ここまで紆余曲折ありましたにゃあ。まったく作業の進まない時期から、いざ製作がはじまっても初めての挑戦ですきに何度も何度もやり直し、見る度に姿が変わっていた事もありました。一番大変やったのは電気系統のトラブルで竹編み車体の前面を切り取らねばならなかった時。しかも、高知から遙々と富山の光岡自動車さんまで陸送するという大事になりました。まあしかし、それも何とかクリアして荷台部分も一新した形で今日の日を迎える事ができたがぜよ。


竹虎四代目(山岸義浩)


完成して初めて竹虎の工場から外に出て、走り出す日本唯一の虎竹自動車。さて、まず何処に出かけるか?それは前から決まっちょります、一番心待ちにして見たがっている人が眠る山にまずは向かうがぞね。虎竹の古里、焼坂の麓にある先祖代々のお墓で手を合わせて、これからの交通安全をお祈りするがです。


虎竹交通安全お守り


そういえばお守りは?もちろん、虎竹の里にある安和天満宮の日本唯一の虎竹で作られたお守りやきに、虎竹の自動車に虎竹のお守り、やけに「虎」ばっかり付くけんど虎は千里を駆けると昔らか言われちょります。千里いうたら今の距離に直したら4000キロ、しかも「千里を駆けて、千里をもどる」と聞くので2倍の8000キロっ!?高知から横浜までの930キロなど問題ない感じですぞね。まっこと、これは御利益があるに決まっちゅうぜよ。


中土佐町久礼


テストランの目標地点は七子峠なのです。中土佐町久礼から標高約300メートルの高さまで曲がりくねった道路が続いちょります。高速道路が四万十町まで完成するまでは、この国道が西部地域の生命線にもなっていましたが、なかなかの交通の難所でもあります。ここを難なく走行できないようでは、高知県から四国山脈を越えて徳島、香川へと続く国道32号線を行くことはできませんろう。つまり高知から出れないという事ですぞね。


高知から最初の難関でもある根曳峠(ねびきとうげ)は、この峠を堺に気候が変わるといわれる峠道。ここもカーブの連続の険しい山道...。七子峠は、スピードの出せない虎竹自動車の走行方法を試すテストランにはうってつけの道路ながです。


ここのガソリンスタンドを左に折れると漁師町久礼で有名な大正市場などがあります、直進して国道を進むとすぐに久礼坂の登り口になるがです。


日本唯一の虎竹自動車タイヤ


ところがっ!?ここまで順調に走ってきましたが登り口にさしかかる手前で異音がしました。ちょうど、すぐ近くの道路脇に広いスペースがありますので停車して点検しましたが分かりません。ところが、やはり目立つ車なので道行く人が車を停めて心配をしてくださるがです。その中に大きなバイクに乗られた方がいてタイヤの不具合を教えてくれたがぜよ。


日本唯一の虎竹自動車充電


ジャッキを使いタイヤを外し、それでもダメで結局はブレーキドラムまで外さねばならなくなったのです。まっこと、ブレーキドラムの中など初めてみましたちや。そうこうしながら全ての修理が終わったのは夕刻、むむむ、まっこと前途多難...、けんど、長距離の走行ではこのようなトラブルがある事も考えられると思うと予行練習にもなりましたし、今日このような事があってラッキーやったと思うがです。そういう意味では大成功のテストランとも言えますにゃあ。


日本唯一の虎竹自動車には、ゆっくり充電して休んでもらいよりますぜよ。


木鶏になりたい。

月刊誌「致知」


何とも迫力のある表紙が印象的な月刊誌「致知(ちち)」。今月号(2016年7月)号に竹虎の事を少しだけ掲載いただきましたので見本誌を届けてもらっています。「人間学を学ぶ月刊誌」とあまり馴染みのない言葉に引き寄せられるように手に取りパラパラとページをめくりますと、ストレートパンチのような見出しが目に飛び込んできますぞね。


日本で一番プレゼントされている雑誌との事ですが、それが良く分かります。必要とされる人には、まるで自分の事が書かれているかのように思うものかも知れません。今回の事があって日頃から尊敬する多くの方々が、実は前から愛読されていたと言うことにも衝撃をうけましたが、特に感じ入ったのは「社内木鶏」という、この致知をテキストにした勉強会ぜよ。


竹虎の事を知ってもらいたい、自分達がこれからどうして行くのか共有したいと思うて2006年から毎月全くの自己流で全社会議をやってきましたがこのような素晴らしいテキストがあれば、せっかく仕事の終わった貴重な時間と費用を使うて月に一度集まる社員ひとりひとりの成長が違うてくるのではないろうか、と感じちょります。


そもそも、一番成長せねばならないのは自分です。「木鶏」とは中国古典「荘子」の故事から来ているそうです、ある人が立派な闘鶏を育てたのですが、何事にも動じない姿がまるで木の鶏のようであった...。


何と格好が良く、美しいがやろうか。事あるごとに右往左往する自分などは、まっこと憧れるあり方なのです。


NHK大河ドラマ「真田丸」に、柳弁当箱が登場ぜよ

柳弁当箱


自分は、ほとんどテレビは見ない方なのですが日曜夜8時のNHK大河ドラマは昔から好きで、ずっと見続けちょりますぞね。大河ドラマで取り上げられた地方では一年通して特別展が開催されたりもしていて、たまたま行き当たる事があると必ず覗いてみます。それぞれに趣向を凝らした展示がされていて、歴史ファンならずとも、まっこと楽しめます。大河ファンの方の中には、おそらく一年のうちにその土地に旅をされ事も多いのではないかと推察しちゅうがです。高知県でも5、6年前の「龍馬伝」以来ずっと駅前には幕末志士社中なるものが建って人を集め続けちょりますので、まだ土佐の地にお越しになられていない方は是非一度お越しください!


まあ、こんな話をしだすと長くなりますので、ひとまず置いておき、今年の「真田丸」は主人公の堺雅人さんはじめキャストも良いし、三谷幸喜さんのテンポのよいストーリーも面白く、例年以上の人気で大河ドラマファンの一人としては嬉しい限りぜよ。1985年の「真田太平記」で幸村を演じた草刈正雄さんが今度は父親である昌幸役をしている当たりも見所、当時はそれほど見ていなかった「真田太平記」を改めて観てみると草刈正雄さんのハツラツとした姿が印象的で、若い頃といえば映画「汚れた英雄」のイメージが強かったのですが、すっかり変わってしもうたがです。


柳弁当箱


さて、そんなこんなの「真田丸」ですが前回の劇中にて柳弁当箱が登場したのを覚えておられますろうか?北条家との裁定に真田代表として戦った信繁と豊臣秀次が長澤まさみさん演じる、きりからオニギリをもらうシーンです。秀次に手渡した大きなお弁当箱はかって沢山作られていた柳弁当箱でした。さすがNHKさん凄いものが小道具としてあるのだとハッと目を見張りましたぜよ。


柳は行李などに多用されていたように、しなりがあり耐久性が高く、本当にこんな素晴らしい素材がよくあったものだと、いつもつくづく感心する丈夫さを持っちょります。実は、テレビに登場していたものと同じような形で小さいタイプの物を限定でお分けさせてもらった事がありますが、弁当箱として使う場合にも通気性もあり、自然素材ならではの柔軟性で蓋もしっかりと締まり使いやすい弁当箱でした。


先日、たまたま長角の柳弁当箱を頂戴する機会があり、そのすぐに「真田丸」での弁当箱でしたので、ふと以前の事を思い出しましたけんど竹弁当箱なども含めて自然豊かな日本では古くからこうした適材適所に優れた素材が使われてきたのです。


静かに進む、虎竹バックニューヨーカー製作

虎竹バックニューヨーカー(Tiger Bamboo bag


ここしばらくは日本唯一の虎竹自動車の製作にかかりっきりになってしもうて、すっかり忘れられてように思われちょります虎竹バックニューヨーカー(Tiger Bamboo bag"New Yorker")です。しかし、どうかご安心くださいませ。実は水面下で少しづつではありますが、静かにプロジェクトは進行し続けているのです。


竹のような一本づつ違う素材に画一化された金具を合わせるのは簡単な事ではありませんが今回の虎竹バックのデザインを可能にした金具部分は、金具職人さんの多大なご協力を頂いて実現しちょります。ニューヨークCOTERIE展での事をふまえて細かい所で更に精度を上げてもらい製作頂いていましたが、それも、いよいよ数量をまとめた形で出来あがりつつあります。最終的な完成する留め具には竹虎のロゴマークなども入り、かなり格好のエイものになってくるのではないかと思いよります。


虎竹バックニューヨーカー(Tiger Bamboo bag


第一印象の見た目で大きく変わる所の一つに竹フレームを繋ぐ紐があります。この紐の素材、太さは強度にも関わる所ですので試作も作りながら慎重に何度も検証している所ですが今までのコゲ茶色をした紐から、虎竹染めの「竹虎ゴールド」とも言われる明るく優しい黄色い色合いに変わる予定ぜよ。虎竹の青々とした葉から、どうしてこのような鮮やかな黄色が生み出されるのか、まっこと自然素材の面白さですろうか。


インナーバックにも虎竹染めの生地を使います、虎竹フレームの隙間から見える色合いは紐と同じ色合いになりますので現在のバックよりも華やいだ雰囲気になるのではないかと期待しちょります。虎竹を使ったバックに、虎竹の葉から染められた紐や生地をを使う事も思えば初めての試みでありますが日本唯一の虎竹の里らしいバックになるのではないでしょうか。


使われない青竹踏み「世に生を得るは事を成すにあり」

B級品の青竹踏み


片隅の段ボール箱にギッシリと詰め込まれて誰にも見向きもされない竹踏みがあるのです。青竹踏みは竹を半割しただけの簡単な竹製品のように思われます、もちろん一つ二つ作るだけでしたら何の事もないかと思います。けんど、これを何百、何千本と作るとしたら、まずその竹材集めから考えねばなりません。


竹は根元からウラ(先端)部分にかけて同じ太さではありせん、節の間隔も違います、もっと言えば形も丸くなく楕円形だったりするがぜよ。もちろん竹は20数メートルもの高さになる素材ですけんど、その竹の全てが青竹踏みに適しているという事ではないがです。太い部分あれば、細い部分もあり、それが製品にした時の高さに関係してきます。キズやシミ、竹の個性や環境による歪み、細かな割れなど挙げていたらキリがないほど様々な理由でお客様のお手元に届けられない製品が出てくるのです。


ただ、今回は少し違う竹山の竹を初めての職人さんが試しに製造した製品でしたので、いわゆるB級品が普通の何倍もの数できてしもうたのです。このような販売できない商品も、もちろん職人さんが一生懸命に製造したもの、捨てる事など絶対に出来ませんぞね。そこで一部は竹炭に利用するなどしましたが、それでも何箱かの段ボールが残されました。ふと気づいた片隅にはそんな竹達がいたのです。


竹虎四代目(山岸義浩)


誰にも相手にされず、役立つ事ができず...ずっと見ているうちに涙があふれます。誰かに似ているからです。そうながです、自分が何者か知らず、何の為に生きているのか分らず、もがき苦しんでいた20歳の竹虎四代目そのものに見えてきます。この竹達も何かの目的があり、役割があり職人の手により生み出されてきたがです、けんど、ほんのちょっとの事で世に出る事ができず竹虎本店の隅っこで悶々としちょります。


「世に生を得るは事を成すにあり」


実は、この竹たちは幸せな方なのです。今の日本の竹山では、せっかく竹として生まれてきたものの、何の事もなせず、何にもなれず、人様に喜んでもらうことなく朽ちて行く竹のなんと多いことか!


そんな中、何とか青竹踏みとう形になった竹たち、販売されず皆様にお届けされる事はないと言うても、そのチャンスは与えてあげてほしい。そんな思いで筆を取ったがです。


竹虎四代目(山岸義浩)


竹虎では2006年から毎月全社会議を開催しちょります。いつもこの場で自分の思い、竹虎の進む方向を話していますがこの報われない青竹踏みの事も話ました、これから竹虎でご購入いただいた方には、もしかしたらこの竹踏みが同梱されているかも知れません。高さが低かったり、表だけでなく裏側にも汚れやシミがあったり、節の部分に細かな割れがある事もあるかも知れません。竹表皮部分に大きな割れができれば危ないので使用できませんが、そうでなければ見栄えさせ気にしなければ十分にお使いいただける竹踏み達です。


竹は製造した時には真っ直ぐでも、乾燥などにより歪み多少のガタつきが出来る場合もあるのです。そのような時には、フローリングや堅い床面では使用できませんが(良品であってもフローリングなどでは滑りやすいので下にマットやタオルをオススメします。)マットやタオルを敷くとか、絨毯部分では問題なく使える事もあるがです。


そんな事をお見知りいただいた上で、竹虎のお客様ならきっとご理解いただけると思い段ボールからひとつひとつ取り出して製造した在庫のある限り、何かのお役に立てればという思いでプレゼントとしてお送りしたいと考えちゅうのです。荷物の大きさの関係で皆様にお入れできるワケではありません、また、在庫が無くなり次第終了いたしますので何卒よろしくお願いしたいと思っています。


竹の車椅子をご存じですろうか?

竹の車椅子


竹と日本人は数千年の歴史があって竹で出来ないものは何もないとお話させていただいちょります。これは、こじゃんと有名なお話ですので、ご存じの方も多いかと思うのですがエジソンが電球を発明した時に、電気の灯るフィラメントとして使われたのも日本の竹やったがです。衣食住の全てに広く関わり密接な関係を持ち続けてきた竹は身近過ぎて見過ごされがちではありますが実はほんのちっくと(少し)気を付けていただくと、このような意外な所で活用されて来た事も分るがです。


ここに竹製車椅子がありますぞね。竹を素材そのままで使うのではなく、均等に割った竹材を接着させて、ひとつの大きな角材のような形に加工する集成材という技法でつくった素材を削りだしフレームなどに加工しているのです。車椅子というと病院などで見かける金属製のものしか知りませんでしたので、はじめてこの竹製の車椅子を見た時には驚きましたぜよ。今までの車椅子とは全く違う明るい雰囲気、竹素材の温もりや優しさを改めて感じさせもらって嬉しくなったのです。


けんど、更に感激したのは、その竹車椅子に座って見た時でした。車椅子に座って誰かに介護していただく場合ばかりではないと思います、自分でタイヤを回して移動してみました。すると、竹の軽やかさ、しなり、柔軟性、スムーズさ、「人に寄り添う」という事をたまに聞くことがありますが、まさに竹が人に寄り添ってくれているような感じがします。


通常の車椅子とは比較にならないほどの価格設定ではありますが、もし車椅子で過ごす時間が長い方がおられれば、そのような方にこそ必要とされ、愛される竹の車だと思ったのです。


日本唯一虎竹自動車(Tiger Bamboo car)


いよいよ完成する日本唯一の虎竹自動車は、車椅子に使われている竹集成材とは又違い、自然の丸竹そのものや竹を割った竹ヒゴを竹編みした昔ながらの竹細工の技法で創り上げちょります。シートには何度も何度も座ってシュミレーションしているのですが、まだ一度も走ったことのない虎竹自動車です、車椅子とは竹材の違いはじめ様々な違いはあるものの、同じ竹の乗り物ではあります。はじめて竹の車椅子を動かした時に感じたような、あの今まで感じた事もないような新しい感覚、感激は、きっと同じかも知れないにゃあと思うのです。


大きなツガニ籠

ツガニ(モズクガニ)籠


大迫力の竹筒がありましたぞね。ここは美しい竹林に囲まれた山深い土地、もちろんウツボ漁ではないし、この太さだとウナギ漁でもありません。そこで、川ガニ(モクズガニ)漁に使う竹籠だと分かるのです。そういえば近くには大きな川が音をたてて流れちょりました、シーズンはもう少し先ですが、あれだけの清らかな流れやったら沢山のカニが捕れるのだろうなあ、立派な編み込みを眺めながら思うがです。


高知ではモズクガニの事をツガニと呼びますが、このカニはツガニ汁にすると本当に美味しいがです。人によったら上海ガニより美味しいとも言われて、食通の方にもファンの多い食材の一つぜよ。内職さんに毎年ツガニ漁をされている方がいて、山岸家の食卓には季節になると大きな鍋に一杯のツガニ汁をこしらえちょって、毎日のように食させてもらいよりました。豆腐や野菜を入れても良いのですが、好きなのは素麺ですろうか。ツガニの濃厚な味に素麺の淡泊な味と喉ごしは、まっこと何杯でもいける美味しさ、本当に豊かな川の恵みそのものながです。


ツガニ(モズクガニ)籠


ツガニ籠の構造は基本的にウナギウケ(鰻筌)と同じなのですがカニの場合はウナギのように俊敏な動きがないせいか、籠入り口のエギ(ゴジタ)と言われる部分は竹と竹の間隔も開いて中央もガッチリ閉じていないのが特徴ぞね。数年前になりますが竹職人さんに、先端に向かって細くなった違うタイプのツガニ籠を頂いた事がありますが、その籠もエギは閉じていません。


ツガニを沢山いただく時には一度に調理できず農家さんが柑橘類の運搬に多用する頑丈なプラスチックケースに蓋を付けて自宅の池に沈めていたほどで、さながらツガニの生け簀状態。今にして思えば、こじゃんと贅沢な話ですにゃあ。


川魚を捕るための竹細工というのは全国的に見ても実はかなり種類も多く、ウナギやツガニ漁だけではなくてハヤ(ウグイ)やコイ漁に使われたものなどもあります。それぞれ形も違い面白いのですが、たとえば魚籠ひとつ取っても竹の種類、編み方、形、大きさなども種類が沢山あって地域性があり、捕まえる魚の種類によってはアッと驚くような竹籠もあったりして本当に興味が尽きないものながです。


懐かしの図面竹人形

図面竹人形


これは随分と古い竹製品が出てきたものですぜよ。片目は無くなっていますし、まわしも綱も色褪せ形も崩れちょります。恐らく初めてご覧になる方も多いかと思いますが、かっては、このような竹人形が竹虎の店頭にズラリと並んでいた時代もあるがです。作られちょったのは40年...いやいや50年も前の事やろうか。陳列されていたのは竹虎だけではありません、観光施設やお土産物販売所、レストランなどでも販売されたり、又この竹人形に「いらっしゃいませ」などの文字プレートを付けて飾って店頭に置かれちゅう所もあったりしましたぞね。


けんど、これは立派な図面竹が使われています。図面竹は京都で職人さんによって孟宗竹に模様を色付けされた竹ですが、この竹の風合いを活かして高知の逞しい土佐犬をイメージして製造されていたのです。太い竹を使っていますので高さも50センチほどはあるでしょうか、当時はこのような大きさの竹製品であっても流通していた事を思えば、ゆるやかな川の流れのように変化の少ない竹業界であっても住環境の変化や時代の移ろいにより竹の商材もどんどん変わってきていることが分かるのです。


それにしても懐かしい。すっかり忘れかけていましたが、この竹人形を見ていたら幼い頃に周りに埋もれるくらい沢山あった竹の事をひとつ、ひとつ思い出してきましたぜよ。あんな物もあった、こんな物もあった、ああ、そうやった...。思えば思うほど当時の竹が、どれだけ豊かで、いかに生活の中に竹があふれて様々に役立っていたのかを改めて感じるのです。