黒竹箒につて

黒竹箒


日本で販売されている竹箒のほとんどは輸入のものではないかと思います。もう随分前の事ですが年に何度も中国に視察に行っていた時期がありました。その頃に訪れた山村の竹箒工場ではバスケットボールのコートが何面も取れそうなくらいの体育館のような広さの倉庫の天井までビッシリと積み上げられている竹箒を見て腰が抜けそうになった事を思いだします。あの箒が日本に運ばれてくるのなら、日本で製造する必要はなくなるなと感じました。


ところで、竹箒の先に小枝が付いているのは皆様ご存じかと思いますが、その小枝がどうやって作られるのかまでは、あまり意識されていない方が多いようにも思うちょります。国内で竹の需要が少なくなり竹は伐採される事は少なくなりました。という事は、その副産物である竹の小枝も少なくなるという事で、竹は里山に沢山あるように見えましても竹箒の材料自体が日本にはないと言うことなのです。竹箒職人が少なくなっていますが、それと同じように竹を伐採する事がなくなった竹林では箒の材料の小枝ができないのです。


竹箒の小枝は孟宗竹のしっかりとした小枝を使います。夏の終わりから10月にかけて伐採した竹林では小枝を落としてそのまま集めて放置しています。枝には竹葉がついているので、その葉が落ちるのを待っているのです。10月末から11月にかけて竹林の小枝を集め翌年の竹箒の材料にしますが、小枝を集めるのがこの時期だけなので一年間の竹箒の製造量は、この時点で決まっています。


竹虎の黒竹箒の場合には、持ちやすさを考えて柄の黒竹を少し太めにしています。なので通常の竹小枝から更に選別しないと良質の箒にはならず製造数は、もっと少なくなるのです。何のことのないように思われている竹箒です、確かにその通りで1本や2本ご用意するのなら問題はありません。ところが大量に必要となると他の竹製品と同じように、揃えるのはなかなか難しいものなのです。


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