棕櫚持ち手、伝統の箕

箕


編みかけていた箕が出来あがってきました。昔ながらの竹細工は孟宗竹を意外と多用するのです。籠の芯となる骨の部分、太い持ち手など直径が太く、厚みと強さのある竹の性質が好まれて使われます。旬の良い時の竹を確保しておけば良いのですが孟宗は真竹や淡竹に比べて筍の出るのが早く、従って伐採時期も数か月さかのぼってしまいます。竹の需要と供給を考えた時に素材をいくらでも積み込んでおけた時代とは違うので、その辺りの見極めも大切になってきます。


網代編み


そんな事もあり、網代に編み込む部分は孟宗であったり真竹を使うことも淡竹の場合もありますが、まず一枚の網代編みを作ってから両サイドの三角に切れ込みをいれて折り返し底を作ります。


箕づくり


箕も日本中で広く使われてきましたので全国各地にその土地で身近に手に入れられる素材で様々な箕があって面白いのですが、土佐箕の特徴は持ち手部分の棕櫚にあります。高知に暮らす自分などにとっては箕の持ち手に棕櫚が巻かれているのは普通の事だと思ってきましたが、県外でこのような竹細工は見た事も聞いた事もないのです。


箕の棕櫚巻


伝統の技法で箕を製作する職人は本当に少なくなりました。まるで綱渡りのように技が繋がってきましたので、考えたら今までが既に奇跡的だったのかも知れません。大きな選択をせまられているのを感じます。


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