「雨、降らんろうか。」

番傘


「雨、降らんろうか。」


竹虎は125年前に和傘を提供する竹材商として創業した。だから竹で出来た傘には思い入れがあって若い頃にはずっと愛用していた。軽くて撥水性にも優れた洋傘とは比べ物にならない位やっかいなものだった。重たく、かさばるので、とても普通に気軽に使える代物ではない、使った後も水切りした後で陰干しせねばならなかった。


高知の雨粒は大きく、激しい。貼ってある和紙が破れてボロボロになるのだが捨てられなかった。ただ強い風の中で差しても、しなって折れない竹骨にはいつも感心していた。


和傘


もう何年前になるだろうか?地元特産の黒竹を使った骨太の番傘を作ったのは、そんな思い出から。今では職人が少なくなって年に数本しか出来あがらない事もある傘を手にして空を眺めると本当は嫌いな雨が少しだけ恋しくなる。


あの頃でも和傘の人は珍しかった。今日は気持ちの良い五月晴れだが、早くも来月には梅雨がやってくる。久しぶりに愛傘と高下駄で歩いてみたい。


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