日本の竹文化の不思議

 
日置の箕、土佐箕


日本は南北に長く伸びていて北には流氷がやってくる大地、南にはサンゴ礁が広がる温かい島々のある世界でも稀な自然環境を持つ国です。それだけに世界トップクラスの森林国でもある樹木の種類も豊富な事で知られますが、竹の種類も多くて世界約1300種ある内の何と600種もあると言われるほど豊かな多様性に満ちています。そして、数千年に渡って人々の生活の中に常に寄り添い育まれた竹文化も地域ごとに異なる素材によって変化しながら現在に至っていますから知れば知る程不思議で面白く興味は尽きません。


農業に必要なは日本各地で様々なものが作られて来たので、それぞれの土地で身近にあった竹材や木材などを活用して作られています。西日本では竹材を使った網代編みの箕が多く編まれてきました。箕を研究して西日本33か所の産地を調べられた資料を見ても全てが網代編みなのです、ところが、そんな中で鹿児島日置の箕はゴザ目編みであり、普通あまり使われない蓬莱竹と桜皮が使われています。


箕職人


「薩長土肥」などと言う江戸末期の事を言わずとも鹿児島と高知は強い結びつきがあり竹職人の交流もありました。名残のひとつが高知全域でサツマと呼ばれる竹ざるで、網代編みの技術は元々鹿児島からの伝来です。そんな竹編みの技の大元ともいえる薩摩の地でゴザ目編み、それも南方系の蓬莱竹、桜皮、琵琶の木など、同じ目的に使う道具であるのに、この違いは何なのか不思議で仕方なかったのです。


肥かご、箕


だから、そっくりな竹細工が遠く離れた東北宮城県にあるのを知った時には驚きました。非常に特徴的な箕で美しい工芸品としても通用しそうな竹細工、しかし、何故?これほど遠く離れた地域で?同じような素材を使い作りも酷似ているのか?竹と日本人の遥か古より続く歴史とロマンを感じずにいられません。




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