見た事ない竹編みアタッシュケースで行く空の旅

 
竹編みアタッシュケース


昨年から、すっかり飛行機に乗ることもなくなりました。竹編みアタッシュケースを提げて日帰り出張したのは一体いつだったかと思うほどです。竹の手提げ籠バッグは丈夫と言いましても革製や防弾チョッキと同じ素材で作られている鞄に比べると取り扱いはデリケートになりますから、やはり出先も選びますし持つ人も自ずと選んでしまいます。


スズ竹


市場籠の素材と言えばご存知の方も多いと思いますが、このアタッシュケースはスズ竹で編まれています。このように細く繊細でしなりがあって籠編み用としては最高の素材のひとつです。




スズ竹は120年に一度の開花があって現在は素材不足から籠があまり作られなくなっています。花が咲くのが120年に一度というのも神秘的な話で驚かれるお客様もいますけれど、それによって根で繋がった大きな家族のような竹林全体が枯れススキのようになってしまう寂しさは実際に見ると想像を超えています。


スズ竹市場籠


新しく編まれる事が少なくなったためか昨年あたりからスズ竹市場籠の修理依頼が多くなりました。この手提げ籠も持ち手と口巻部分の修理のために届いています。そこで先程のスズ竹アタッシュケースとの色合いがあまりにも違うので違和感を覚える方は多いはずです。


炭化釜


実はスズ竹アタッシュケースは燻蒸処理をしています。言わば人工煤竹と申し上げても良いかも知れません、しかし炭化竹を作るために高温と圧力で蒸し焼きにして短時間で製竹するのではりあません。昔の囲炉裏で100年、200年と燻された色合いに少しでも近づけるため本当の煙で毎日燻しつづけ12ヵ月以上かけて色づけしているのです。


スズ竹編みアタッシュケース


乾燥など含めて素材作りだけで24ヵ月以上かけたスズ竹です。竹職人によって緻密に編み込まれた後は革職人に内側のあしらいをお願いしてようやく完成します。ノートパソコンを入れるとあとは書類と一泊程度の下着類などはいれられます。この鞄が再び活躍する日が早く来るように祈るのみです。




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