明日に続く竹の道

竹の道


その日、虎竹の里の細い山道には見慣れないビニールが白いロープのようになって急な坂道のずっと上まで続いていた。これは一体何だろうか?知らない方が見たら見当もつかないに違いない。


虎竹の里、山の職人


虎竹の伐採は1月末までだが竹林からの搬出作業が残っている。山道から長い虎竹を運び降ろすために使う運搬機械にはキャタピラーが付いていて大概のキツイ勾配も平気で登り下りできる、ところが大敵があって、それは雨だ。


竹山出し機械


路が雨に濡れてしまうと、さすがの運搬機械も滑ってしまい登り下りできなくなる。長く重たい伐採したばかりの竹を安全に運ぶために雨が降ったら山の仕事は中止する。


竹の道、竹虎四代目(山岸義浩)


ずっと好天が続いていた虎竹の里だが、2月下旬あたりから様子がおかしい、珍しく雪まで降る始末。この時期は山道が濡れてしまうと気温が低いため思うにように乾かない。そこで、このビニールが登場、山の職人は山道にビニールをかけて養生する、少しでも濡れないようにとの工夫だ。


竹職人、竹の道


そもそも搬出のための山道は夏場の大雨で崩れていたりしている事も多い。大きな石を取り除き、平らにならして自分で整備しているから誰よりも道を知っている。ビニールまでかけて道を守るような黙々と続く仕事はずっと昔から繋がっているのだろう。


明日に続く竹の道だ。




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