霜が下りると虎竹が色づく

虎竹


「霜が下りると虎竹が色づく」、虎竹の里では昔から古老や山の職人が、こう話していました。実はあまり深く考える事もなく毎年の虎竹伐採を迎えていたのが特にこの数年の気温の変化で、土地の言い伝えのような言葉に真実味を感じています。


竹林の虎竹


虎竹は淡竹(はちく)の仲間で白い蝋質部分の下に虎模様が隠れています。そこで美しく耐久性の高い虎竹に加工するために熱を入れて、竹自身の余分な油分を炙り出し竹表皮を磨いて艶をだすのです。


虎竹油抜き加工のガスバーナの炎


虎竹は高温の窯に入れた瞬間に色付が変わります。それぞれの竹の太さ、性質、乾燥具合により調整しながら油抜きしたばかり竹は生まれたけの赤ちゃんと言えます。


竹虎工場


まだ湯気が立ち上っている虎竹です。


虎竹油抜き作業


竹は意外に曲っていますから竹の矯正作業をして矯め直す事があります。その場合も、この熱が非常に大事になって、熱いうちに曲げを矯正していきます。


竹虎四代目(山岸義浩)


竹は南方系の植物なので暖かい方が良さそうに思われるかも知れません。しかし、同じイネ科のお米も寒暖の差で美味しくなりますし、昔から品質が良いと職人に好まれる竹は実は冬の寒さが厳しい地方のものです。


加工したばかりの虎竹


今年は比較的寒さが続きましたので、有難いことに色付が良い竹が見られます。それでも、この中央に立てられた竹の右左で色づきが違うのがお分かりでしょうか?虎竹を土場で一本づつ選別し、工場に運ばれた竹の中でも色づきはこのように随分違うものなのです。




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