台風14号と蓬莱竹「All You Need Is Bamboo」

 
護岸に蓬莱竹、シンニョウダケ


数十年に一度と言われた猛烈な台風14号が去って行った、高知も九州ほどではないものの猛烈な風と雨で少し怖いくらいだったが幸い大きな被害もなく感謝している。今日はまさに台風一過の気持ちいい一日になりそうだが、大雨で川が増水するたびに思うのが護岸竹として植えられた竹の事、温暖な高知では南方系の蓬莱竹が川岸にポイントに植えられていて人の命と財産を守ってきた。


蓬莱竹の株


この株の大きさをご覧いただきたい!バンブー系の竹なので真竹や淡竹のように根が外に広がる事なく、その場で株が大きくなりしっかりと土壌をつかみ固めている。山の境界や目印などにも使われてきたのはそのためだ。


蓬莱竹


これは大きな蓬莱竹だ、おそらく樹齢は100年近いのではないかと思う。ちなみにこの竹は火縄銃の火縄を作る素材として日本に入ってきているので当時はかなり珍重されたと想像できる、後から渡ってきた孟宗竹も同様だ。必要とされ大変な思いで国内に持ち込まれて広がったものの現代ではあまり顧みられていないのが少し寂しくはある。


護岸に蓬莱竹


蓬莱竹は節間が長く、節も低い、割ってヒゴにすると本当にしなやかな材質で竹細工の素材としては申し分ない。なので現在はあまり使われる事が無くなったと言うものの、古老の中には今でも真竹などより好んで使う職人もいて実はまだまだ重宝されている竹なのだ。


修理した手付き飯籠


前にも直径40センチある飯籠の蓋の修理をする事なったが、ちょうど他の竹材が無くなっていたので節間の長い蓬莱竹を使って仕上げてくれた。


寿司バラ


一番素晴らしいと思うのは九州は宮崎や鹿児島でみられた寿司バラだ。網代編みにしたザルの上で寿司飯をまぜて作れるほどの竹材はそうそうない。沢山の山の素材を使って編み上げる桜箕(日置箕)にも欠かせない竹としても蓬莱竹が使われた。防災、人の暮らし、文化、思想、竹の恵みは本当に偉大だ。こうやって知っていけば、「All You Need Is Bamboo」とボクが言うのも納得いただけるのではなかろうか。




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