スズ竹アタッシュケースの裏側に秘技あり

 
スズ竹アタッシュケース、竹虎四代目(山岸義浩)YOSHIHIRO YAMAGISHI


2年という時間をかけて製作されたスズ竹アタッシュケースだが、いよいよ内張の仕上げの段階にきている。おっとその前にスズ竹と言うけれど、自分の持っているスズ竹市場籠とは随分風合いが異なると思われている方はいないだろうか?色合いが全く違っているのには訳があってボクが愛用する右手のアタッシュは竹炭窯で一年が燻して深みのある色を付けている。今回新しく製作した左手の小振りな方は、炭化窯といって熱と圧力で蒸し焼き状態に竹を加工している。


スズ竹アタッシュケース


いずれにせよ染めや着色ではなく、天然竹に熱を入れる手の込んだ加工法でスズ竹の魅力を十二分に引き出しているのだ。使われる方が手にした時から、まるで何十年も前から愛用しているかのように思えてしまうかも知れない。持って歩く姿に、ご覧になられる方は人と竹アタッシュケースのしっくり馴染んだ感じに目がとまるはずだ。


スズ竹アタッシュケース


さて、それではアタッシュの内側はどうなっているのか?細かい竹網代編みは経年変化で竹材が微妙に痩せる場合がある、また竹編みが動いてしまう事も考慮して裏側から和紙張りして固定している。縁に使われているのは孟宗竹だ、丈夫で肉厚な竹材だが厚みがあり過ぎると重たくなってしまうので、強度を保ちつつ快適にご使用頂けるようギリギリまで薄く削ってある。


スズ竹アタッシュケース、竹虎四代目(山岸義浩)


こうして別誂えアタッシュケースの秘技をお話しさせてもらっている内に早くも季節は9月下旬にさしかかる。完成はお客様にとっても特別なクリスマスギフトになりそうだ。




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