幻の竹炭木琴の音色

 
竹炭木琴


竹炭木琴が奏でる音色の衝撃は今でもハッキリと覚えている。もう20年近くも前の事になるのだが、高温で焼き上げた最高級の竹炭を扱っているとキンキンと甲高く、まるで金属のような音がする。この音が楽しくて意味もなく触ってしまうほど耳に心地良いので、きっと風鈴に使えるのではないか?そう考えていた時期がある。


竹炭木琴、竹虎四代目(山岸義浩)


同じように思われている竹炭職人がいると知って見に行くと、これが素晴らしい竹炭風鈴で一発で好きになった。よく乾燥させた竹は軽やかな音をたてるけれど、硬く焼いた竹炭は更に透明感があって可愛らしく響く。そして、その時に傍らにあったのが、この竹炭木琴なのだ。


竹炭木琴


土窯で焼く竹炭は孟宗竹の質や時期によって品質が一定ではないのが普通だ。色々と焼き上がる大量の竹炭の中から一本づつ音を確かめながら並べていくという、気の遠くなるような仕事にも感動した。だから本当に数台程度しか作る事ができないが、当時使っていた竹虎ロゴマークも入れてもらった。


竹炭木琴


「もしかして、あの美しい音が聞けるのではっ!?」少なくとも10年前には全て無くなっていたと思っていた竹炭木琴が、偶然にも倉庫の奥から出てきたと聞いて色めき立った。台に使っている孟宗竹にヒビが入っていたため販売されずに残されていたようだ。懐かしい姿に思わず笑みになる、専用の小さなバチも無くなっていない、恐る恐る叩いてみると、あの音!竹炭とは思えないような不思議な響き、空の上で天使が叩いているような(言い過ぎかも)音色をお聴きください。




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