孟宗竹と真竹の寸胴

 
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「寸胴」と言えば、どうだろうか?一般の方はラーメン屋さんの厨房などにあるステンレスなどの大きな鍋を思い浮かべるのではないか。えっ?ご覧になられた事がないだろうか?美味しいラーメン屋さんは調理場自体も味の一つみたいになっている、大きな鍋に色々な食材いれてグツグツやって湯気が立ち込めている様子は見ているだけでお腹が空いてくる。


しかし、今回の寸胴は厨房に置かれているものではなく竹製だ。竹の寸胴は内側に銅板を入れ花器として使われるものだ、材料としては孟宗竹や真竹が使われるけれど、この竹はどちらだろうか?


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もう一本の寸胴と見比べると太さも同じくらいだし、色合いも油抜きして似たような感じになっているので孟宗竹か?真竹か?と聞かれても困ってしまう。実はそんな時には、節の部分に注目してもらいたい、節のラインが一本なら孟宗竹だし、二本ある方が真竹なのだ。


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こうして並んでいると、言われなければ多くの方が同じ竹だと思ってしまわれるだろう。しかし、竹はこのように見た目は微妙な違いであっても竹質が全く異なってくる。たとえば寸胴には両方の竹も使われるけれど、竹籠やザルなどに使う場合には繊維が細かく粘りのある真竹が使われる事が多い。孟宗竹のように大きくて扱いづらく、繊維の粗い竹は敬遠されるのが普通だ。


しかし高知県では、荒物の竹籠を編む文化が近年まで残っていたから身近で豊富にある孟宗竹が活用されてきた。真竹でも孟宗竹でも、あるいは淡竹でも、それぞれの竹を巧みに操る昔からの職人は凄いと感じる。だから、そんな地元の伝統竹細工にこだわって竹虎でも編組編みに孟宗竹をわざわざ使っているのだ。




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