希少な国産の竹串

国産竹串


大きな器に炊きたてのご飯と共に入れられた数種類の焼鳥は、まさにこれから竹串を抜いて焼鳥丼にしてお客様に出されようとしている所だ。美味しそうな焼き目、こだわりの店主の気迫あふれる仕事ぶり、炭の香り、幸せな煙のたちこめる店内だが、竹串に注目される方は少ないかも知れない。




日本人が竹を忘れていると話す事があるけれど、このような串や割箸など含めて食に関わる道具には竹に代替えできない物も多い。だから竹串も、かつてはこのような竹工場で何人もの職人さんが関わって大量に作られていた時代があった。それぞれの仕事に熟練の方がおられて、見事な手さばきには惚れ惚れしたものだ。


孟宗竹の竹林


時は移り、日本の竹林では竹が伐採される事さえも随分と少なくなってきている。指先に摘まめる程の細い竹串も、実はこのように広い竹林から運ばれてくる、直径が10センチを超える大きな孟宗竹で製造されているのだ。


国産竹串


しかし、海外からいくらでも輸入されている竹串を、そこまで国産にこだわる必要もあるのだろうか?そこに店主から電話がかかってきた、自分の使う炭を知りたくて高知の山奥にある窯を訪ねるような方だ。この炭窯の主も面白いが、少年のように声を弾ませる店主も面白い。このような方がいるのなら、竹串職人も少しは報われるのだろうと思っている。



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