「竹でコーヒーを淹れる」と聞いて、すぐにイメージが湧きますでしょうか?30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」のご購読者の皆様は、ある程度はどのようなものかお分かりになられている方もおられるでしょうか。しかし、多くの方は、竹といえば籠やザル、あるいは花器などが思い浮かべは良い方で、竹でコーヒーと言われてもサッパリなのかも知れません。竹虎では、以前から日本唯一の虎斑竹(とらふだけ)を使ったゴザ目編みと六ツ目編みの二種類の虎竹コーヒードリッパーをご提供しており、お陰様でご好評をいただいています 。
さて今回、ボクはゴザ目編みでもない、六ツ目編みでもない、もうひとつの竹網代(あじろ)編みタイプの竹製ドリッパーで淹れたコーヒーを味わう機会に恵まれました。
竹網代ドリッパーと同じ網代編みされたお盆で出していただく一杯は、驚くほど口当たりがまろやかで、雑味がなくボクの好きなスッキリした味わい。
緻密な網代編みなので、紙のフィルターは必要ないのでは?と思っていましたが、職人さん宅では手間を考えて使用されていました。
竹網代ドリッパーは、実は目新しいものではありません。昔は、塩取り籠と呼ばれて海水を煮詰めて塩をとる際に使われてきた円錐形の竹籠がありました。
その籠を応用して、一本の竹を割り、薄く剥ぎ、ミリ単位で厚みを揃え、寸分の狂いなく繊細な編み目の工芸品と呼べるほどの美しい竹編みにされています。
網代編みの竹ドリッパーが、竹職人の手仕事の素晴らしさを伝えると同時に、更にその元となった塩取り籠を知っていただくキッカケになればと思います。工房で作られている籠を眺めながら、日本人の暮らしに無くてはならない存在だった竹を改めて知る思いです。
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