
霜が降りると虎竹の色がつく
「霜が降りると虎竹の色がつく」。これは、虎竹の里で昔から言い伝えのように地域のお年寄りから聞かされていた言葉です。大学を卒業し竹虎の仕事を始めた頃には、毎年2tトラックで200台もの竹を来る日も来る日も山出ししていましたので気にもとめていませんでした。ところが、それが近年特に耳にするようになった温暖化と共に、冬の厳しい寒さがなくなり、虎竹の色づきに確かな変化が起こるようになってから、あの言葉は本当だったのかと思うようになりました。

120年に一度の虎竹開花
そして、更に淡竹の仲間である虎竹は歴史的な曲がり角を迎えています。竹の花が120年に一度開花するのをご存じでしょうか?あまりにも開花スパンが長いので、代々竹林を管理してきた家人でも誰ひとりとして知る者がなく、古老の職人でも見たことのないと言う方が多い神秘的な現象です。一度開花した竹林は全て枯れてしまうので、昭和40年頃の真竹全国一斉開花では竹が足りなくなったこともある一大事です。実は、この時の開花では竹材が足りなくなり海外からの輸入増大の契機となりました。

てんぐ巣病
現在、国内の竹生産量は当時と比べると随分と減少していること、淡竹が真竹ほどには竹細工・竹製品に多用される竹ではないことから竹業界全体としてはそこまでのインパクトはないのかも知れません。しかし、虎竹専業メーカーであるボク達には大きな問題です。開花にともない竹の生命力が低下している気がしています、勢いがなくなった竹林では今まであまりなかったテング巣病も見られるようになりました。15年前くらいから虎竹の色づきが芳しくないのは温暖化のせいだけではないのかも知れません。

虎竹伐採
わずか1.5キロの幅しかない谷間、峠の標高228メートルの山々に囲まれた虎竹の里にしか成育しない虎竹。創業131年になる竹虎にとりましても初めての開花時代の竹伐採がはじまっています。

虎竹の里の高速道路
今までの竹林からの山出しの効率化と同時に、少しでも色づきのよい虎竹を求めて新しい山道を整備する工事を続けてきました。

整備された山道は細く曲がりくねった道のように見えますけれど、以前を思えば断然通りやすく綺麗な山道です。もちろん舗装もされてはいませんが、まさに虎竹の里の高速道路!温暖化や開花など逆風の中に一筋の光が差し込んで神々しくさえ感じさせながら遠くの竹林まで続いています。

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