2025年11月15日の投稿

十数年の時を超え蘇る、木と虎竹のハンドバッグ

木と虎竹のハンドバッグ


伝説のハンドバッグ

十数年の時を超えて、なんて言うと大袈裟に感じられるかも知れません。でも、久しぶりにこの木と虎竹のハンドバッグを手にできるとは、ちょっと感激してしまうのです。初めての方には新鮮な驚きをもってご覧いただく、伝説的なハンドバッグは、ほんの短い間の販売ではありましたけれど、かつて製作が追いつかないほどの人気を博してご紹介と共に瞬く間に店頭から姿を消してしまうほどでした。職人さんの都合で製作が休止されて以来、長きにわたり復活を待ち望んでいたのです。


木と虎竹のハンドバッグ


虎竹の象嵌細工の美しさ

このバッグの最大の魅力は、天然素材への徹底したこだわりと、それを具現化する職人の卓越した技術にあります。ウォルナット(アメリカのクルミ)の堅牢な木地を6ミリ厚の板材にするため曲りや歪みが出やすいので十二分に乾燥させて加工されています。柾目材を使用した本体に、日本の豊かな風土が育んだ虎竹が、まるで絵画のように緻密に埋め込まれています。この虎竹のあしらいは、古来より伝わる象嵌細工(インレイワーク)を思わせる、息をのむような美しさです。


木と虎竹のハンドバッグ


革持ち手

細部へのこだわりも徹底しています。手に持つたびに愛着が深まる上質な革の持ち手は、使うほどに手になじみ、艶を増していきます。その丈夫な作りは、日常使いのパートナーとして長く寄り添ってくれることを約束してくれそうです。


木と虎竹のハンドバッグ


別誂えされた金具

また、バッグの印象を決定づける留め具にも特別な配慮が施されています。木のハンドバッグならではのデザインと機能性を最大限に引き出すために別誂えされた金具は、衣類に引っ掛からない機能性と共に全体のエレガントなアクセントともなっています。


木と虎竹のハンドバッグ


秀逸な革のかぶせ

そして、当時からお客様に支持されていたディテールが、内側を覆う「革のかぶせ」です。これは単に飾りとしてだけでなく、バッグの中身が不用意に見えてしまったり、飛び出してしまうのを防ぐための、実用性を兼ね備えた工夫です。ご愛用される方の使い勝手を考えた作りは、熟練職人の心遣いと言えます。


木と虎竹のハンドバッグ


それぞれの自然素材の経年変化

久しぶりに出来上がった木と虎竹のハンドバッグは、時を超えても変わらない普遍的な美しさを持っています。それは流行に左右されることなく、ご愛用いただく皆様の毎日を豊かに彩ります。竹の経年変色の素晴らしさはいつもお伝えいしていますが、木材も天然素材ゆえに使い込むほどに木肌は深みを増し、革は艶やかに熟成されていきます。それぞれの自然素材の変化をお楽しみいただけるのも、このバッグを持つことの大きな醍醐味の一つなのです。



十数年ぶりに蘇ったこの逸品は、単なるファッションアイテムではなく、日本の伝統的な美意識と、受け継がれるべき職人技の結晶です。一本一本異なる虎竹の独特な虎模様が、木の温かみと見事に調和して唯一無二の表情を生み出しています。



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竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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