2025年11月26日の投稿

幾何学と自然の融合が魅せる「三角モザイク」の世界、虎竹アタッシュケース

虎竹アタッシュケース


高度な竹切の技術

虎竹を高度な技術で同じ三角形のパーツに切り取り製作された、他では見られない竹の使い方をした作品たちがあります。この作品のキモとなっているのは、竹を全く同じ正三角形のパーツに切り出すという工程です。言葉で言うのは簡単ですが、竹という素材を知っている方であれば、これがどれほど大変な作業であるかは想像がつくかと思います。そもそも竹は、均一な素材ではありません、丸い形でさえ、楕円であったり一定の形ではなく、一本一本が身の厚みも違えば、硬さや性質も微妙に異なります。特にやっかいなのは表皮部分です、非常に硬質でガラス質を含んでいるため、安易に鋸を入れると切断面にバリやササクレが出やすいのです。


虎竹パーツ


ため息が出るほどのパーツの美しさ

そんな気難しい素材を相手に、寸分違わぬ正確な三角形を何百、何千と切り出していく...。もし形がわずかでも歪めば、それらを組み合わせた時に致命的な隙間やズレが生じてしまいます。この正確無比な切断技術だけで、作家がいかに竹と対話しその性質を熟知されているかが伝わります。


虎竹パーツ


神は細部に宿る

製作の過程として置かれていた、一枚、一枚の虎竹の三角形のパーツ。見た瞬間、思わずため息をもらします。まだ作品として組み上げられる前の、ただの「部品」であるはずなのに、すでに完成された美を放っています。虎竹特有の、あの渋みのある独特の模様が、鋭利な三角形の中に閉じ込められている!「神は細部に宿る」と言いますが、このパーツひとつひとつの仕上がりの美しさこそが、最終的な作品の出来栄えを決めているのです。


虎竹布貼り


竹×布、しなやかな板

この美しい三角形のパーツたちは、特殊な技法で布の上に隙間なく張り付けられます。硬い竹のパーツが柔らかな布に整然と並ぶことで、一枚の板状の素材へと変わります。


虎竹三角部材


徹底された「手触り」へのこだわり

しかし、もちろん、ただの板ではありません。三角形の集合体であるがゆえに、パーツ同士の境目のラインに沿って自由自在に折り曲げることができるのです。硬くて曲がらないはずの竹が、まるで折り紙のように、しなやかに形を変えていく。平面だった竹のモザイクが、思い通りの立体形へと立ち上がっていくから驚きます。


虎竹モザイク比較


手仕事の温もり

さらに驚かされるのがその細部へのこだわりです。竹をカットして貼り付けただけでは、どうしても角や切断面が鋭利になります、手で触れた時に竹の硬さを感じてしまうのです。そこで、折り曲げて角となった箇所は一辺ずつ丁寧にグラインダーで削り、滑らかに整えられています。見た目の美しさだけでなく、実際に人が触れ、使う時のことまで考え抜かれた仕上げのお陰で指先で撫でた時に感じるのは、竹の冷たさではなく、職人の手仕事の温もりです。


虎竹ショルダーバッグ


ショルダーバッグから大物家具まで

この三角モザイクの技を使った作品は、その応用範囲も広がります。こちらの虎竹ショルダーバッグは、虎竹の重厚感がありながら、三角形の組み合わせがモダンな表情を作り出していて男性が持っても非常にかっこいいと思える仕上がりです。使い込むほどに虎竹の艶が増し、革製品と同じように育てる楽しみがある鞄です。


白竹モザイク調度品


虎竹と白竹、異なる表情の面白さ

そして圧巻なのが、小物だけでなく家具のような調度品です。虎竹のテーブルや違い棚など、竹虎でも実際に展示していたり、使用しているものもありますが、大きな作品の広い面積にこの幾何学模様が広がると、それはもう圧倒的な存在感を放つアートです。和室はもちろん、モダンな洋室に置いても主役としての輝きを放ち続けています。


白竹モザイク調度品


とくに非常に興味深いのは素材による表情の違いです。 同じ技法、同じ三角形のモザイクでありながら、虎竹で作られたものと白竹で作られたものでは、全く異なる個性のように感じます。虎竹の作品は、自然の虎模様が複雑に絡み合い、ワイルドで深みのある雰囲気を醸し出す一方、白竹の作品は、清廉で凛とした、洗練されたモダンさを感じさせます。素材を変えることで、これほどまでにガラリと印象が変わるのも竹という自然素材ならではの面白さかも知れません。



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竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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