
横田峰斎作の竹籠
以前、不思議な花籠を見た事がありました、一本の竹の両端を割ってヒゴにして編み込まれた籠です。昔から台所で使われている竹細工で、ちょうど同じように一本の竹を割って編まれたお玉があるので印象深く覚えていました。

斎藤正光さんの圧巻のコレクション
今月の12/9日まで日本橋の「中長小西」さんで開催されていた、竹工芸の蒐集家・斎藤正光さんの圧巻のコレクションを拝見していて作者の横田峰斎の名前も思い出しました。それにしても、いつもは美術館のガラスケースの中に置かれている作品が、直接見られる稀有な素晴らしい機会でした。

飯塚琅玕斎の根曲竹
名だたる竹工芸作家の中でも、やはり飯塚琅玕斎は別格です。緻密な編み込みも凄いですが、この方の真骨頂は素朴な竹編みにこそあります。天狗巣病や竹の花などの話をしても通じない作り手が多い現在ですが、竹を知り尽くしていないと編めない心を感じます。民具に敬意をはらい、東北では「真竹より篠竹、篠竹よりスズ竹、スズ竹より根曲竹」と言われる根曲竹を多用されているのも好きです。
柴田春家さんの根曲竹家具
展覧会の会場には所せましと見どころ十分な作品が並んでいましたが、ボクが一番気になったのは柴田春家さんの根曲竹の家具。おそらく知っているのは日本では、斎藤さんとボクと、あとひとりかも知れません。一見すると籐家具と思われそうなのですが、巧みな技で根曲竹を家具にまでしたてられています。根曲竹の持つ強さ、しなやかさ、雪に鍛えられた粘り強い竹ならではの特性を活かした最高の逸品です。
こんな家具で生活できれば、どんなに楽しいだろうか?そう思いながらボクが工房を訪ねた時には、既に古びた製品が遺されているばかりでしたが、一台の状態のよい肘掛け椅子を今回の会場の片隅に見つけた時には驚きました。この椅子の価値が分かる方は、そうそういません。もし、この家具の大量生産に成功していたら、もっともっと面白い竹の時代があっただろうと何度か夢想したことがあります。

NO BAMBOO NO LIFE
さて、今回の図録に書かれた「NO BAMBOO NO LIFE」、ボク達が使い始めたのは2011年の事でした。この言葉がもっともっと広く知られて、竹に関心を持つ方が増え、広まっていけば良いなあと思います。2012年の新春動画にこの言葉を使いましたけれど、もうすぐ来年の午年の新春動画も公開される予定で準備が進んでいます(笑)、是非ご期待ください。

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