2026年2月 2日の投稿

Eames Plaza(イームズプラザ)で感じた深い縁

Eames Plaza


イームズプラザ(Eames Plaza)

日本から遠く離れた異国の地、初めて来た場所でボクは胸の奥が熱くなるような、不思議で深い縁を感じることがありました。インド、アーメダバードの国立デザイン研究所(NID)のキャンパスを初めて案内していただいた時、学生たちの憩いの場である「イームズプラザ(Eames Plaza)」という、芝生の美しい広場がありました。昼休みにくつろいだり、フリスビーや凧あげしたり、座り込んで円陣になり何やらゲームに興じていたりと、笑いの絶えない場所でした。何と驚いたことに、名前の由来はボクでも知っているあの有名なチャールズ&レイ・イームズ夫妻、実はこのNIDはイームズ夫妻の提唱(1958年の「インド・レポート」)によって誕生した教育機関だったのです。


Eames Plaza


イームズのラウンジチェア

「Eames Plaza」と案内板が出ていますけれど、ここで、その話を聞いた時には本当にビックリしました。ボクの自宅には、これといった家具があるわけではありませんが、唯一ご縁があって若い頃から数十年に渡りずっと愛用し続けているものが、イームズのラウンジチェアだったからです。硬すぎず柔らかすぎない絶妙なクッション性、腰から背中、そして頭部へと体のラインに合わせて無理のない角度でサポートしてくれ、まるで大きな手で身体を包み込んでくれるような感触と安心感なので、自宅にいる時はほとんどここにいると言ってもいいほどです。


イームズラウンジチェア


ブランケットと、父の寝顔

一昨年亡くなった父も、このチェアが大のお気に入りで、遊びに来るたびにいつも決まってこの椅子に腰を下ろしていました。最初は新聞を広げたり、テレビを眺めたりしているのですが、あまりの気持ち良さにでしょうか、いつの間にかウトウトと居眠りをしてしまうのです。気がつけば、チェアに深く身体を預けてグッスリと眠ってしまっているのが常でした。竹虎の経営が厳しい時代を、家族に弱音も言わず黙って耐え抜いてきた竹虎三代目。「今年の虎竹はどうや?」最後まで竹林を思いながら逝った父の声が聞こえてきそうな気もします。あのラウンジチェアでオットマンに足をのばし、ブランケットをかけて心地よさそうに寝息を立てている穏やかな姿が目に浮かびます。


竹籠製作


誰の笑顔が見たいのか

イームズ夫妻がNIDの設立を提唱した時、ふたりが大切にしたのは「日常の道具がいかに人々に喜びを与え、生活を豊かにするか」という視点だそうです。竹製品の製作工程が並んだ前で、学生のみなさんに「どのプロセスが大切でしょうか?」と質問したことがあります。最初の編み込みから仕上げまで、どこも重要でないところなどありません。ただ、工程に並んでいない部分、つまり工程に入る前と、製品が完成した後が大切だとお伝えしました。竹細工は作り手と使い手ではじめて完成するものです、イームズ夫妻の視点と同じなのです。


イームズ広場のベンチ


イームズプラザの学生たち

オープンエレクティブで滞在中は、ゲストハウスまでイームズプラザを何度も横切っていましたので沢山の学生さんたちを見かけました。その一人ひとりが、未来を担う輝かしい存在だと思いながら、イームズ夫妻の想いは、数十年の時を経た今でも、しっかり息づいていると感じていました。



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竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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