
オリジナル蒸籠
国産の蒸籠工場がここ数年でさらに減少の一途をたどり、製造ができなくなりつつある中、存在感を更に増してきているのが杉材や竹材を使って製作される中華蒸籠です。無印良品で発売されている蒸篭をご覧になられた方も多いかも知れませんが、今まであまり関心のなかった若い世代の皆様にも、手軽にお使いいただく機会ができて蒸籠をご愛用いただく裾野が広がる一因になったようにも思います。そこで、竹虎でも、四半世紀にわたって蒸籠を取り扱ってきた知見をすべて注ぎ込み、本場・中国でオリジナル蒸籠を製造することにしました。

「中国製」と聞くと、安かろう悪かろうとあまり良くないイメージをお持ちの方もおられるかも知れません。けれど、その認識はそろそろ改めるべきないのかも知れません。国産であろうと、輸入であろうと、誰が、どんな竹材を使い、どうやって、どんな思いで作っているのかが大事ではないでしょうか。それぞれが一律ではありません、現在人気となっていて流通している多くの蒸籠は中国で製造されていますが、全てが同じではないのです。せっかく訪中した機会を大切にしたいと思って、早朝から深夜まで一軒でも多くの工場を巡りました。大規模な工場であっても、家族経営でされている小さな工房であっても、連日沢山の数をこなしているだけあって、それぞれの部署で職人の技術が際立っているのを感じます。

蒸籠の多様性
さらに、実際に現地へ足を運んで何より驚かされたのは、改めて中国における蒸籠の歴史の深さを感じさせらるような、その種類の圧倒的な多さでした。

とても全てをご紹介することはできませんけれど、六角形のものから、堅牢に金属で補強されたもの、楕円形や四角形など、日本では見かけないような作り、形やサイズがそれこそ溢れんばかりに並んでいます。

どのように使うのか分かりませんが、持ち手の付いた蒸籠などもあります。大量に製造されている蒸篭に、環境にやさしい竹材が多用されているのは素晴らしいことだと思います。
地球規模で愛用
蒸籠という道具は日本だけでなく、中国国内の膨大な需要はもちろん、アジア、アメリカ、ヨーロッパと世界中に輸出されており、まさに地球規模で愛用されている調理器具なのだと改めて実感させられました。
日本では入荷待ちになることさえあった蒸籠が、ここでは目を疑うほどの物量で積み上げられています。

切磋琢磨する蒸篭工場
フル稼働されている工場ばかりでしたけれど、そこで見えてきたのは、少しでも品質のよい製品をお客様に届けるために各社が切磋琢磨している様子でした。

十数社の工場を回り、それぞれの現場で職人さんに製品づくりの事を尋ねました。ある工場では、天日干しさせるために、このような金属製のカートが何十個と所狭しと並んでいました。それぞれの工場が効率的な製造方法を確立させている様子がうかがえるのです。

ひとつの工場で、職人さんが誰にも見せたことのない試作中の部屋に入れてくれました。蒸籠を製造する工程でさせて通れない所を、自身の開発した機械によって効率化し、他社より早く、品質の高い製品づくりが可能になるとの事でした。若い職人さんが熱意をもって常に研究開発を怠っていない様子に、まだまだ伸びしろのある蒸籠の可能性を感じます。

竹材加工
蒸籠の製造工場ばかり拝見していると、どうしてもその上流が気になります。たとえば、あれだけの量の竹蒸篭を製造するには、どんな竹材をどうやって加工しているのでしょうか?ある竹材加工工場を拝見させていただく事にしました。ちょうど、近くの竹林から竹材が運ばれてくる所にもでくわしました。

一次加工の優秀さ
実は竹加工機械の技術は中国が世界一ではないかと思います。日本では見たこともないような、自動化された最新の機械にビックリした事があります。蒸籠製造を支えているのは、間違いなくこのような一次加工する竹材メーカーの優秀さです。

蒸籠の部材
竹蒸篭の枠にする竹材が加工されています

杉蒸籠にしても竹蒸篭にしても、ある程度の部材までの加工を他社や内職さんが担当されていました。

蒸籠の上蓋部分には竹網代編みの部材が必要です。こちらでは網代編みしたものをシート状にして丸めて出荷していました。国産蒸籠に使われている網代編みの部材を、国内で製造できないか?とお問い合わせいただいて検討した時期がありますけれど、竹材確保からはじまり、そもそも竹職人が足らずこのような簡単そうに見える部材ほど用意することは難しかった事を思い出します。

竹の道具
中国の山々から、町の蒸籠工場まで、ひととおりの工程を拝見させていただきました。その根底にある営みは、ボクたちが竹林で竹を伐採し、工場で切断し、加工する姿と何ら変わりありませんでした。さらに専門職人が部材を作り、それらが一つの工場に集められて、ようやく最終的な形になる。場所は違えども人の手が生み出す「竹の道具」であることに変わりはありません。

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