日之影町竹細工資料館、廣島一夫作の竹籠

廣島一夫作竹籠コメアゲジョーケ


竹職人・廣島一夫氏の竹籠を展示している宮﨑県日之影町にある日之影町竹細工資料館は貴重な場所だ。人のための道具として使うために作られた竹細工がこうして遺されるのは竹を志す多くの方にとって大切だろう。それぞれの作品に余計な事が書かれていないのが良い、そして籠について説明などしてくれる人がいないのも良い。最低限の説明があった方が楽しんでもらえるかもと前には思っていたが、訪れる人によって勝手に籠が話かけるのも魅力かも知れない。


廣島一夫作竹籠コイヒビ


このコイヒビと呼ばれる籠を自分が魚になった気分で見ていると、つい中に引き込まれそうだ。


廣島一夫作竹籠クワカゴ


桑籠。


廣島一夫作竹籠コザネトオシ


コザネトオシとはトウモロコシ用の籠の事で、砕いたトウモロコシを米の大きさと揃えて一緒に炊いたのだそう。


廣島一夫作竹籠テゴ・ナバトリホゴ


椎茸(なば)採り籠。


廣島一夫作竹籠イリコカゴ


イリコ籠。


廣島一夫作竹籠ミソコシ


味噌漉しザル。


廣島一夫作竹籠ミソコシ


廣島一夫作竹籠シタミ


魚籠(シタミ)、肩の部分が粗く編まれているのは空気を取り入れやすくするためらしい。


廣島一夫作竹籠バラ


バラ。


廣島一夫作竹籠ミソコシ


このミソコシざる、日本中探してもこんな籠は見つけられない。


背負い籠、竹虎四代目(山岸義浩)


大きな背負い籠が展示されている、しかし険しい山々の続くこの辺りの背負い籠と言えば独特の形をした「かるい」。青竹のむせ返るような香りの中、一本の竹が籠になる故・飯干五男さんの圧巻の技。これも竹の神様に導かれた時間だったが、全盛期にはこの籠を一日に三個編み上げていたと言う。





ソーシャルディスタンスのために!?

竹虎四代目(山岸義浩)、竹帽子


新型コロナウイルスによる感染症によって毎日のように耳にするようになったソーシャルディスタンス(social distance)、ご存知のように社会的距離という意味です。人が密集しそうな場所では適度な人との間隔を取る事が今では常識となっていて、自分たちの生活も今年は大きく変化しました。そこで、竹虎でもこの人との距離を取るための工夫ができないかと大きな竹の帽子を製作しようと考えました。理屈は簡単です、自分がいつも被っている竹帽子のツバを広げれば単純に人には近づけませんし、他の人も近づいて来れられません。


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そこで「大きな帽子を作る!」そう職人に伝えた所、出来あがりつつあったのがコチラ!これでは巨人が被る帽子です(笑)。


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さて、気を取り直してやり直しています。一体、どんな帽子ができるのやら!?ところで、コロナ対策にはマスクが大きな効果を持っていると言われます。マスクでウィルスの侵入自体は防げませんけれど、咳やクシャミの時には役立ちますし何よりウィルスがいるかも知れない自分の手で口や目、鼻を無意識に触る事がありません。夏場は暑かったマスクも、これからの季節は竹炭マスクのように大きく、厚みのある温かいタイプが良いのではないかと思います。





竹は、長く長く使うもの

竹の物差し


職人の工房に行くと必ずあるのが竹の物差し。実は自分も小学校から使っている50年近く前の竹物差しを今でも大事に使っていますが、子供の頃のものなので20センチサイズしかありません。もちろん、これは、これで年期が入って凄いと思って愛着もありますが、さすが職人の使う竹尺とは長さも比べ物になりませんし兎にも角にも先代からの物だったりして100年クラスがゴロゴロしているから敵いません(笑)。しかし、こうして正確に長さを測る機能をずっと持ち続けられるのも竹の耐久性の高さと直進性を良く表しています。


根曲竹買い物籠


自分が良く使う買い物籠は義理の母が愛用していた根曲竹で編まれたものです。少し小ぶりで家族全員分の沢山の買い物には使えないてので自分にはピッタリサイズ。軽くて丈夫で手にする竹の感触も心地よく使うたびに豊かな気持ちになる最高の買い物籠です。50年経って飴色に変色した竹肌もたまりません、竹はこうして長く長く使うものなのです。


竹の経年変色をメゴ笹洗濯籠でご説明しています、あまりご存知ない方は下記のYouTube動画をご覧ください。





青竹で編まれる竹細工たち

温泉籠


昔から温泉籠と呼ばれて温泉場で使われていた手付き籠があります。オーソドックスな形の籠なので竹虎では似たような籠が農家さん向けとしても販売されてきましたが現在ではお客様のお好みで様々な使われて方がされています。それにしても長く製作できなかった大きなサイズを含めて久しぶりに沢山編み上がってきましたので思わず笑みがこぼれます。


菊底ざる


この季節にはザル蕎麦をいただく機会も多く、竹ざるを目にされる事も多いのではないでしょうか。緻密な編み込みのザルは蕎麦の味を何倍も美味しく感じさせてくれます。


青竹箕


また、青竹でしっかり美しく編まれた道具を使うと仕事の能率も上がります。


水切かご


梅干しざる


沢山編み上がる籠がある一方で、欲しくても出来ない梅干しざるがあります。それは今年の分の材料が無くなってしまったせいなのですけれど、竹林には青々とした竹がいくらでもあるそうなのに何故か?と不思議に終われてお問合せいただきます。


蕎麦ざる


竹は品質管理のために晩秋から冬場にかけての寒い時期にしか伐採しません。虎竹や白竹の場合には油抜きをすることによって竹の耐久性が上がり数年前の竹でも加工に使用できます。しかし、青竹細工の場合には油抜きすると、命でもある青さがなくなってしまいますので今年用の竹は今年中に使いきるのです。つまり、その時期に伐った竹がなくなれば青竹細工は終了、次期の伐採までは竹材のない状態が続きます。職人だけでなく竹材にも苦労もするこの多い青物細工は沢山編まれるだけで嬉しくなるのです。



玄関が料亭になる?黒竹すのこの作り方

竹虎職人


黒竹玄関すのこを作ったのには、いつか見た古民家の月見台の思い出があります。開放的なスペースにワクワクしましたけれど、昔の民家というのはたとえ大きなお宅ではなくてもちょっとした遊びの空間があって、そんな場所には決まって竹が使われていたのです。


黒竹玄関すのこ


あんな楽しく心休まる場所を現代のご自宅にも作る事ができないか?虎竹の里のお隣、中土佐町では昔から特産として知られた黒く渋い光沢が高級感を醸しだす黒竹があります。日本唯一の虎竹と同じくらい馴染みの竹材なので玄関すのこと決めてからはすぐに出来あがりました。


黒竹玄関すのこ


一枚だけでも普通のご家庭でしたら十分なサイズだと思います。さらに長くつなげて軒先でご使用されたり、ベランダに敷き詰めたりお客様によって色々なご使用の仕方をされています。


別注黒竹玄関すのこ


幅や高さを別注サイズで製作させていただく事も多く、ご自宅にピッタリのお好みの大きさでご愛用いただけます。


竹虎四代目、黒竹玄関すのこ


足を踏み込んだ時の黒竹ならではの独特のしなりと感触が足裏にたまりません。


黒竹簀の子


「玄関が料亭っぽい感じです。」そんなお声をいただくようになって実は職人が一番喜んでいるのです。






竹のアクセサリーについて

竹アクセサリー


竹は日本人にとって身近であるし、量的にも申し分なく、木材に比べると扱いやすく加工もしやすい素材でしたので昔から様々な使い方をされると同時に随分と研究もされてきたのです。このような装飾性の高い竹アクセサリーは人の暮らしの中から必然的に生まれたというよりも、豊かにある竹林の恵みをもっと広く活用できないかという作り手のたゆまぬ努力が実を結んだものでした。


竹アクセサリー


45年間も倉庫で眠り続けていたアクセサリーは竹の特性を見事に活かしきっているのが素晴らしい所です。細く竹ヒゴを取って曲線美を強調したり、編組模様をデザインにしたり竹細工にとっては新しい魅力を表現した画期的な製品でした。太い孟宗竹を球形や楕円形に削り出してネックレスやブレスレットにしたものも当時は大量に製造されて店頭で販売されていく様子はブームと言ってもよいのではないかと思うほどのヒット商品だったように記憶しています。


竹アクセサリー


当時を振り返ってみると様々な竹製品が次々に作られ人気を博していました。倉庫から見つかった竹アクセサリーは極一部とはいえ形や色のバリエーションの多さに驚きますが、それが一世風靡していた人気の証ではなかろうかと思うのです。


虎竹ヘアピン


現在ではあまり見ることのなくなっていた竹アクセサリーですが、この虎竹髪飾りのように少しづつ作っているものがあります。


虎竹鈴


アクセサリーとは違うものの同じく虎竹で作った福音鈴が編み上がるまでを動画にしましたら予想以上に沢山の方にご覧いただいています。手作りにご関心のある方が多いのだと嬉しくなります。





これであなたも竹職人の仲間入り!?

竹職人


手作りに関心のある方は結構多くてご自分の空いた時間を利用して色々なモノ作りにチャレンジされています。講師の先生がいて教えてくれる教室もあれば通信教育のようなものもあって、前に見たことがありますが本当に様々な習い事があることに少しビックリした事を覚えています。料理などは詳しく解説されていると聞ききますので、もしかしたら最近ではYouTube動画をご覧になりながら趣味を楽しまれている方もおられるかも知れません。


やはり日本人と竹は長い長いお付き合いがあります、今まで竹など全く知らなかった方でも歳を重ねるごとに何となく竹が気になりだす事は自然のように思います。そして中にはご自分で籠やざるを作ってみたいと考える方もおられるのです。実はそんな方からのお問い合わせも前々から沢山ありますので竹虎では【竹編み職人なりきりセット】届いたその日から竹職人、すぐに編み始められます。虎竹細工編み方・作り方キット(DVD付き)というセットをご用意しています。


日本唯一の虎竹、竹虎四代目(山岸義浩)


このセットさえあれば、自分の編んだ世界にひとつだけの虎竹花籠「松田一輪」が完成します(笑)。多くの皆様が少し誤解されている事があるのですけれど、竹籠を作る場合やはり一番大変なことは竹ヒゴを取る事です。編むという工程ばかりがクローズアップされていますから見落としがちですけれど良い竹ヒゴができないと良い竹細工は生まれません。


ただ、こちらのセットでは竹ヒゴが8割、竹編みが2割と言われるほど大変な竹ヒゴは折れることも想定して必要分以上に用意してセットにしてありますのでお手元に届いたらすぐに編み始める事ができます。DVDだけで編めるのだろうか?初めての方の心配もご無用です!毎年インターンシップの学生さんたちがこのセットを使って花籠を製作しています、もちろん当社の職人は全くお手伝いはしません。しかしそれでも早い方なら2時間、遅い方でも学生さん同士で助けあいながら4時間程度で作り上げています。


何といいましても日本唯一の虎竹で花籠ができると言うのが嬉しいところ。分かりやすいようにプロの方にお願いして作ったDVDがかなり費用かかりましたので全く赤字のセットですけれど虎竹に親しんでもらえれば良いと思っているのです。





本気で使える深竹丸ざるに、チビタケナガシンクイムシ

竹ざる


竹を喰う虫の話を時々させて頂きます、毎年今頃になってくると持ち上がってくる本当にやっかいな問題です。この超強力!頑固職人がガッチリ編み込んだ本気で使える深竹丸ざるに入っているのはチビタケナガシンクイムシ。タケトラカミキリと共に竹の二大害虫となっていますが身体が小さいだけあって細やかな竹細工にも入り込む手強い虫です。


簾、害虫


前にもお話しした簾にもチビタケナガシンクイムシの魔の手は伸びています。夏が近づいてきて、いざ出番となって見てみると、このような竹粉が落ちているのです。このような時にはまず熱湯消毒、熱いお湯をかけるだけでなくて大きな容器があれば少し浸しておく事も有効です。


簾、チビタケナガシンクイムシ


竹の虫は硬い皮の部分は食さず内側の身の部分に穴をあけて食べていきます。タケトラカミキリのようにある程度大きな虫でしたら身を薄く削っている製品は食べずらく敬遠していますけれどチビタケナガシンクイムシは細く薄くとった竹ヒゴにも入ってしまうのです。


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小さな竹細工から、このような大きな竹細工まで見境いがありません。熱湯消毒で対抗する場合、一度や二度の熱湯処理では不十分な場合も多いです。今回は何と中一日おいた四回目の熱湯処理だったのにもかかわらずこうして虫が三匹も出できました。


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竹の伐採時期を決めて、しっかり管理しているのはひとつにこの害虫対策があります。しかし、いくら旬が良くても虫が喰う竹がありますし、試しに最悪の時期に伐採しても喰われずにいる竹もあります。大自然の中で生かされているのは人間も同じ、完全にコントロールできるはずもなく決め手がないまま虫との付き合いはずっと昔から続いてきているのです。


竹籠や竹ざるをお使いになられる皆様にも是非知っておいて頂きたい竹の虫、ただ長く戸棚にしまう様な事をせず毎日使う竹ざるは不思議と喰われる事はあまりありません。その竹編みへの愛着が虫を遠ざけているのかも知れません。





修理完了!スズ竹市場籠

スズ竹市場カゴ


もう何年になるでしょうか?随分と前にスズ竹市場籠をお求めいただいていたお客様から籠の一部を修理して欲しいとのご連絡をいただきました。竹はしなりや粘りがあるものなのですが、そんな竹素材の中でも特にスズ竹は強く堅牢です。重たい荷物を入れてもビクともしない特性を活かして昔なら行李が大量に作られましたし、現在では大型の市場籠に編まれています。


スズ竹カゴ


編みあがったばかりのスズ竹の竹肌はこんな色合いですから、飴色に変色した買い物籠をどれだけ長くお客様がご愛用いただいているかが分かります。


スズ竹市場籠


しかし、普通に見ていたらどうともない市場籠の底部分を見てビックリ!


スズ竹市場籠修理


これは只事ではありません。日常使いしていてこのように一部分だけ穴が開くなど考えられませんのできっとペットにかじられたのではないか?そう思ってお尋ねしてみたら、いつも自転車のカゴに入れてお使いだそうなのです。


スズ竹市場籠修理


そこで、自転車カゴにいつも触れている部分が擦れてしまったそうです。口巻の籐もギッシリしっかり巻かれているので、このように傷むのは不自然です。しかし擦り切れたというのでしたら納得です。


スズ竹市場籠修理


さっそく新しい籐で巻き直しです、古い籐とはどうしても色目が違ってきますがそれは皆様に勘弁いただいております。また数年お使いいただくうちに目立たなくなります。


スズ竹市場籠修理


籠の底部分もこの通り、どこを修理したか色の違う竹ヒゴが無ければ分からないくらい完璧に修理されています。


スズ竹市場籠修理


竹細工の良いところは竹が身近で成長が早く材料が無尽蔵と言ってよいほど豊富な事。柔と剛という相反するような性質を併せ持つ不思議な素材だから様々な形に加工が出来る事。そして、出来あがった籠やザルは万が一傷んだ場合にも修理をして再び同じように使える事です。


120年に一度という開花でスズ竹の材料不足が続く中、ご迷惑をおかけしている方々も少なくありません。スズ竹の竹林の様子など今までご覧になられた事はあまり機会はなかったのではないでしょうか?一度ご覧いただき山々の竹に少しでも心を向けていただくと嬉しく思います。





黒竹ビール運びの夏

黒竹ビール運び


夏といえば必ず登場する竹細工のひとつに黒竹ビール運びがあります。はじめてご覧になられる方も多いかも知れませんが、2本用、3本用、4本用とあって、4本だと結構重さもある瓶ビールをしっかり受け止めて持ち運べる強度も十分の黒竹製品です。


竹根栓抜き


現在はご自宅で晩酌にビールだと缶が多いように思います。自分の小さい頃には普通にあった竹根の栓抜きなども、もしかしたら珍しいのでしょうか?


黒竹


さて黒竹ですけれど、黒い色合いが美しく細身の竹なので丸竹のまま使われる事も多い竹です。


黒竹玄関すのこ


このようなお客様のご要望サイズで別誂えした玄関すのこにも黒竹を使います。ただ、竹は真っすぐだと思われる方が多いようですが、そのような竹は一本もありませんのでこのような製品に製造するため黒竹をまっすぐに矯め直す加工が必要なのです。





曲がった竹をこのように矯正する熟練の技がある一方、黒竹ビール運びのように曲げていく仕事もあるから職人の仕事は奥が深いです。


黒竹ビール運び


黒竹ビール運びを底部分からご覧いただきますと、曲げた黒竹ばかりで作られているのがお分かりいただけます。矯め直されて真っ直ぐになるのも竹、S字カーブのような曲線を作り出すのも竹、竹はどこまでも面白い素材なのです。