若い真竹磨き縦ヒゴ手提げ籠バッグ

真竹磨き縦ヒゴ手提げ籠バッグ


磨きの手提げ籠バッグができてきた。磨きとは竹の表皮を薄く剥いで編む竹細工のこと、竹皮のキズやシミなどを綺麗に削ぎ落す形となり編み上がった籠は青々として本当に美しい。


竹磨き


竹表皮が鉋屑のようになっている所をご覧いただくと、なるほど確かに竹表皮を削ったのだとお分かりいただけるかも知れない。


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人の青春時代と同じだろうか、竹籠の青々とした色合いの時はすぐに過ぎてしまう。鮮やかさが無くなり、少し落ち着いた色合いになっていく、しかし、これで枯れていくのかと心配する事はない。愛用する年月を重ねるほどに今度は段々と色合いが深まり渋さが増してくる。


大正市場の生簀籠で思い出した鰯籠

 
巨大なイワシ籠


昨日の中土佐町久礼は大正市場にある大きな生簀籠で思い出す竹籠がある、この30年ブログには何度か登場している巨大鰯籠だ。横3.6メートル、奧行き2.6メートル、高さ2.3メートルだから竹籠と言ってよいのか何なのか、とにかく初めて見た時には腰を抜かして言葉をなくした。


鰯籠の材料、孟宗竹


編み込みに使う材料は全て近くで伐採してきた孟宗竹だ。豪快に手割している竹ヒゴを見ていると竹虎でも作っていた、土壁の下地に使う壁竹のようだった。


鰯籠竹職人


目を丸くしている自分に「どうだ、これ」と言わんばかりの職人。脚立を使って編んでいく竹籠など何処にあるというのか?四角い籠の内側に入って仕事される職人を上から覗くとまるで部屋の中にいるようだと思った。


生簀籠


一人では決して編めない籠だった、家族三人がそれぞれ役割分担して息をあわせて作り上げていくチームワークの良さにも心服した。真竹使った土佐の生簀籠も一人では到底作れないサイズなのだが、こうして比べると随分と小さく軟に見えてくる。


鰯籠の海


竹をそのまま使った豪快な姿が格好いい。今では見られなくなった竹の技のひとつではあるが、青空の下、威風堂々と八代海を見つめていた。


続・宮城の肥籠


肥籠職人


昨日の30年ブログの記事で不思議な気持ちが沸き上がると言ったのは、この東北宮城で編まれる肥料ふりに使われてきた肥籠が、遥か南の鹿児島日置の箕と酷似しているからである。


肥籠編み込み


そもそもこの肥籠自体の編み方が独特で箕作りの製法である。だから、この辺りまでの編み込みを比べると、東北なのか鹿児島なのか、どちらで編まれものか分からないくらいなのだ。


スズ竹


肥籠にはスズ竹、桜皮桜皮、藤を編みこんでいく。北と南では竹材が違うのでさすがに全く同じ素材は使われていない。


蓬莱竹


ところが西日本にはスズ竹に負けない柔軟な素材の蓬莱竹(ほうらいちく)がある。鹿児島の箕は蓬莱竹と桜皮を使って編まれるのだ、その編み込みに使われるのは東北の職人さんが使っていたナギナタとよくにた箕刀(ミガナタ)である。




ちなみに蓬莱竹のYouTube動画を作っていますので是非ご覧ください。


古い箕


これらは職人さんの工房にあった古い箕たち、肥籠と同じような素材で編まれているものの箕先(箕の先端部分)が平らなので宮城でも仙南の作りだと言う。


宮城の箕


箕先の尖った仙台より北で編まれていた箕だ。立てた時に箕先が傷まないようにUの字に曲げたソゾミ(ガマズミ)は長めに取られている。


日置の箕


ソゾミは南天のような赤い実のなる木だが曲げてから一旦固まると元に戻らない。日置の箕にはビワの木が使われている。それぞれ山の樹木の特徴を知り上手に活かしているのだが、竹を使った箕のほとんどが網代編みで作らている西日本の中で、まるで飛び地のように突然日置の箕が現れる。もしかしたら、消えてしまった産地があるのだろうか?南北に長い日本地図と、にらめっこが続く(笑)。




宮城の肥籠

 
肥籠


宮城の肥籠も面白い、竹籠と言っても編み込みには竹以外の素材が使われていて独特の模様になっている。木製の持ち手まで付いているのだが、これは一体いつからこんな形なのだろうか?東北には太い竹が少ないので、このように木材を使う事になったのだろうか?


持ち手付竹籠


西日本のように真竹でも淡竹でもそれなりに太い竹材が豊富にあれば同じような肥籠でもこのように持ち手も竹製で作るのが普通である。


まんごく


あるいは持ち手を掴むのではなくて小脇に抱えて使うこのような楕円形で大型の竹籠も昔から使われてきた。


スズ竹


職人さんが材料のスズ竹を見せてくれた。寒い地方に多い笹の仲間で細く背丈も低いが非常にしなりがあって丈夫な竹籠には編みやすく、使っても長く使える秀逸な素材だ。


桜皮


一緒に編みこんであって黒っぽく見えているのは桜皮。山に分け入り旬の良い時期に採ったものを綺麗にまるめて保管している。


肥籠編み込み


スズ竹、桜皮、藤をナギナタと呼ばれる道具で編みこんでいく、仕上げは唐竹で縁巻をする。


杉


杉の持ち手を麻紐で縛る。この麻紐が昔は藤だったと言う。


肥籠、経年変色を比べる


編み上がったばかりの青いスズ竹の色合いが落ち着いて黄金色になっているのがたまらない。それにしても不思議な気持ちが沸き上がる。




別誂えした菅笠の竹骨

 
笠骨、竹虎四代目(山岸義浩)


など使う方も限られているので、ほとんどの人はあまり興味も関心もないに違いない。自然豊かな高知県では川釣りを楽しむ太公望が使っていたり、道行くお遍路さんが被られているのを見かけるが、ほぼ全てが輸入品であり又その事に不便を感じている人はいないと思う。


角笠、菅笠


ところが、このような角笠(つのかさ)で定番のサイズではない別誂えを作りたいとなったら話は別だ。大量生産される海外からの製品では一つ、二つの別注はできないからである。


市女笠骨


おそらく、それまで笠の骨が竹である事にハッキリとした意識がある方もいないかも知れない。古来、手近にあって軽くしなやかで加工性の高い適材であった竹の事を思い出して違う形や大きさを希望した途端に笠骨の現実を知る。


笠骨


角笠骨


笠と一言にいっても先に出た角笠、市女笠(いちめがさ)、富士笠、大野笠、三度笠、胴深笠、次郎長笠、花笠など多種類あるけれど、竹骨であるとばかり思っていた芯に使われている素材は、いつの間にかプラスチックに取って変わられている。


クバ笠


お手元に笠を持たれている方は多くはないと思うが、もしあれば裏返してみてほしい。輸入された安価な笠はさておき、国産の笠ならどうだろう?竹だろうか?自分の持つクバ笠は石垣の職人さんにお願いして作ってもらったものだ。お土産物屋さんに海外で作られたものが並んでいるが、やはり作り手の顔が見えるものがいい。


蓬莱竹の笠骨


しかしクバ笠で何が気に入ってているかと言うと、この蓬莱竹で作られた笠骨だ。表からは見えなくなってしまうが、この自然のしなりと蓬莱竹の粘りが笠なのである。


ちなみに蓬莱竹については明日朝の竹虎チャンネルで防災に役立ってきた地域の守り神としての顔を紹介予定。是非一人でも多くの方にご覧いただきたいです。


続・根曲竹の竹林から編み上げられる竹細工たち

根曲竹籠、ざる、魚籠


昨日の30年ブログで根曲竹を野武士に例えましたけれど、やはり間違っていません(笑)。この面構え...明るい太陽の下で伸び伸びと過ごしてきた真竹等でしたら、こうはいきません。長く寒い冬をじっと耐え忍んだ竹ならではの堂々とした風格を感じます。


根曲竹手提籠バッグ
 

根曲竹角八ツ目手提籠バッグをご覧ください。この竹で八ツ目は珍しいです、初めてご覧になられる方も多いかと思いますけれど一目で心掴まれてしまいそうです。


根曲竹手提籠、竹虎四代目(山岸義浩)


形もいいし、大きさもいい。青々とした今よりは若干軽くなりますけれど、それでもしっかりした質感のある手提籠です、小柄な女性よりは男性にお使いいただきたいものです。


根曲竹茶碗籠


この根曲竹茶碗籠はたまりません。角型の形も好きですがやはり竹の表情が素晴らしい。


根曲竹茶碗籠、竹虎四代目(山岸義浩)


これらの竹籠は熊がでる山深いところにある竹林で伐採されました。爆竹を鳴らし、笛を吹きながらの伐竹、逞しく生きる竹、あの根曲竹だと思うとなおさら愛着が深まるのは日本唯一の虎竹と同じです。ご覧になっていない方は是非一度このYouTube動画を観て欲しいと思います。




根曲竹の竹林から編み上げられる竹細工たち

 
根曲竹細工


真竹や淡竹で編まれた籠や手提バッグとは違う、スズ竹細工とも少し違うようだ。そんな風に感じられる方は竹を少しご存知なのかも知れません。こちらに並んでいるのは根曲竹で編まれた竹細工たち、時代と共に人の暮らしに合わせて変わってきて現代風になりつつも、そこはかとなく伝わってくる野武士のようなタダ者ならぬ雰囲気が魅力です。


根曲竹手提買い物籠バッグ


根曲竹手提籠バッグは軽くはありません。何十年と使用に耐える革トランクがそうであるように堅牢さを感じさせる心地よい質感があります。ヒゴ幅もそろえず、自然の竹そのままを割りっぱなで編み込み、頃合いの太さの竹を火曲げして持ち手に使います。


根曲竹脱衣籠、茶碗籠


ランドリーバスケットに使えそうな大型の角籠、茶碗籠に持って来いの小さな角籠、それぞれ足が付いていて通気性も良く雪の重みに鍛えられて根が曲がる事から名前のついた根曲竹は長くお使いいただける事間違いありません。


根曲竹マガジンラック


「このマガジンラックが似合うような家に住みたい」そんな風にさえ思えてくる籠。


根曲竹魚籠


あまりに手離すのが惜しくて今も自分のデスクに置いている根曲竹の魚籠。正面からでは分からない裏側を見せると全国の太公望が欲しがりそうなので見せません(笑)。



青竹細工と時間職人と

 
茶碗籠


お正月といば三本束ねた大きな青竹をハス切りにして飾り付けられた門松、最近では少なくなったとは言えやはり見る度にの気持ちがピシッと改まり、清々しい面持ちになってきます。新春には、このような青々とした竹が多用され良く似合いますので今日は新竹で編まれたばかりの茶碗籠を持ち出してきました。


この大きな方の茶碗籠は直径35センチで普通のご家庭用ですが、隣の小振りな籠は直径25.5センチでお一人暮らしの方に喜ばれるコンパクトサイズとなっています。人の暮らしに寄り添う竹籠は人の生活にあわせて姿を変えていきます、大家族が当たり前だった頃の方が見たら、こんな小さな籠を台所で使うと聞けば驚くかも知れません。


真竹


青竹細工には、主に粘りがあり節間の長いこのような真竹が使われています。ガスや熱湯で油抜き加工せずに編み上げていくので虎竹や白竹などの竹細工とは又違って出来あがったばかりの瑞々しさといったら何と表現したら良いか分からない神々しいほどの美しさを感じる事があります。なるほど、竹取物語で竹の中からかぐや姫が誕生するという空想した古人の気持ちも良く理解できます。


竹深ざる


なので青竹細工の職人さんはこの「青さ」をとても気にされている方がいます。中には青い時が見栄えが良いので急いでお客様に届けようとされる事すらあります、確かに生鮮野菜のような側面が少しあって最高の状態を多くの方に知って頂く事も必要かも知れません。


苺籠


しかし、青竹細工がその色合いを保つ時間は皆様が思っているよりずっと短くほんの一時に過ぎません。青竹を伐採した切り口などを見れば分かりますけれど、あれよあれよという間に乾燥して白くなって色褪せます。このような青竹籠がこのままの色合いでいれば何と素晴らしいことか...多くの竹人が同じような事を思い、青さをそのままに留める工夫を考えてきたものの自然の色合いに勝るものは今もってありません。


真竹竹ざる四枚組


丁寧に編まれた四枚組の真竹ざる、編まれてから暫くして青さは少しづつ抜けていきます。


真竹竹ざる四枚組


一年以上経過するとこのような白っぽい色合いに変わってきました。そして、青竹細工は時間職人によって更に進化していきます、これからが始まりなのです。




日本の竹文化の不思議

 
日置の箕、土佐箕


日本は南北に長く伸びていて北には流氷がやってくる大地、南にはサンゴ礁が広がる温かい島々のある世界でも稀な自然環境を持つ国です。それだけに世界トップクラスの森林国でもある樹木の種類も豊富な事で知られますが、竹の種類も多くて世界約1300種ある内の何と600種もあると言われるほど豊かな多様性に満ちています。そして、数千年に渡って人々の生活の中に常に寄り添い育まれた竹文化も地域ごとに異なる素材によって変化しながら現在に至っていますから知れば知る程不思議で面白く興味は尽きません。


農業に必要なは日本各地で様々なものが作られて来たので、それぞれの土地で身近にあった竹材や木材などを活用して作られています。西日本では竹材を使った網代編みの箕が多く編まれてきました。箕を研究して西日本33か所の産地を調べられた資料を見ても全てが網代編みなのです、ところが、そんな中で鹿児島日置の箕はゴザ目編みであり、普通あまり使われない蓬莱竹と桜皮が使われています。


箕職人


「薩長土肥」などと言う江戸末期の事を言わずとも鹿児島と高知は強い結びつきがあり竹職人の交流もありました。名残のひとつが高知全域でサツマと呼ばれる竹ざるで、網代編みの技術は元々鹿児島からの伝来です。そんな竹編みの技の大元ともいえる薩摩の地でゴザ目編み、それも南方系の蓬莱竹、桜皮、琵琶の木など、同じ目的に使う道具であるのに、この違いは何なのか不思議で仕方なかったのです。


肥かご、箕


だから、そっくりな竹細工が遠く離れた東北宮城県にあるのを知った時には驚きました。非常に特徴的な箕で美しい工芸品としても通用しそうな竹細工、しかし、何故?これほど遠く離れた地域で?同じような素材を使い作りも酷似ているのか?竹と日本人の遥か古より続く歴史とロマンを感じずにいられません。




お一人様脱衣籠(ランドリーバスケット)・竹籠の作り方

 
お一人様ランドリーバスケット


「歌は世に連れ、人に連れ」という言葉がありますけれど、人の暮らしの中でご愛用いただく竹細工も人の生活スタイルによって変わっていくのは当然の事です。竹虎には竹編みのランドリーバスケットなどもいくつかありますが、次世代脱衣籠などと言って今年の2月に皆様にYouTube動画にてご紹介させていただいたお一人様の脱衣籠という製品があります。




スタイリッシュな形も良いですし、中に市販されているポリエチレン素材のランドーバスケットでちょうど内側に入るサイズにしたのも好評の理由かも知れません。


お一人様ランドリーバスケット


「お一人様」とうたっていますようにお一人暮らしの方でもジャマにならずお洒落なインテリアにも馴染むような作りになっているこの籠の紹介を動画でしていますので今度は、竹職人の手によってどんな風に編まれているのかご覧いただきたいと思います。