青竹タガで生まれ変わった古い桶

青竹タガ


長年使ったものは愛着がわいて思い切って捨てるなどという事ができないものです。このお客様も大事に愛用してきた木桶が古くなってタガが壊れてしまっても、まだまだお使いになられたいと、タガの修理に持って来られました。


真竹タガの古い桶


青竹タガ


真竹でタガをやり直してみたら、どうでしょうか?もちろん木材部分まで新しくなった訳ではありませんものの、まるで新品同様に使えるようになりました。


虎竹買い物籠


今回は桶でしたけれど、木や竹は加工性が高く修理も比較的容易なことから一つのモノを手直ししながら長く長くご愛用いただく事ができます。お買い物に重宝いただく虎竹買い物籠も傷みやすい持ち手部分などを修理させていただく場合がございます。まさに、竹など自然素材の素晴らしい一面です。




根曲竹の色々

 
根曲竹御所籠


無骨なイメージのある根曲竹ですけれど、実はこのような緻密な編み込みのに変身することもあります。炭化窯で渋い色合いになっているので余計に分かりづらいかも知れませんが、細かい竹ヒゴにしても魅力的な竹籠になる秀逸な素材なのです。


根曲竹座布団


かって、しなやかなスズ竹を使って座布団が編まれていた事があります。根曲竹だと少しだけ粗い感じになるものの、しっかり実用に使える(実際に使うにはもったいなさ過ぎます)製品が出来あがります。


根曲竹玉入れ籠<br>


レアな玉入れ籠は竹の中でも強さは圧倒的なので、逆さにしてサイドテーブルのような形で愛用しています。重たい鞄をのせながら数年経っても全くビクともしないばかりか、竹ヒゴがツヤツヤと輝いてきて青々とした若かりし頃より数段成長した感があります。


この根曲竹の伐採も今月からはじまっています、同じ竹と言っても虎竹や真竹などとは全く違う竹林の姿と伐採の様子は本当に興味深いものです。山深い竹林に生える根曲竹の様子をご覧いただくのも、籠の粘りや堅牢さをご理解いただくのに役立つのではないかと思っています。




レトロな竹手毬かんざし

 
竹手毬かんざし


自分達にとったら忘れかけていたような古い竹手毬かんざしも、竹アクセサリーなど知らない若い世代には新鮮で興味を魅かれるようです。竹アクセサリーや竹ビーズを使ったバッグ類は、60年以上も前に考案され一世を風靡するような人気で次々と新しい製品が登場していました。


竹ビーズバッグ


竹ビーズバッグ


倉庫の片隅で、45年間も眠り続けていた竹ビーズバッグを見つけた時には、幼い頃の思い出が一気に甦りました。バッグ類も手提げタイプからセカンドバッグ、ポシェットなど実に多種多様、更にレインボーカラーかと言うくらい色展開もあって当時の好評ぶりを知る事ができます。


竹ブローチ


竹ネックレス


竹ブローチ、竹ネックレスも今では到底真似できないような技ばかりです。


竹ブローチ


虎竹ブローチ


もちろん、当時の技術を継承した竹細工は残されていて新しく虎竹で編んだブローチもあります。けれど、一番大きな違いは価格です。


竹手毬かんざし


この竹手毬かんざしは、高い技術力と量産体制を整えたお陰で販売価格は何百円という安価だったそうです。とても素晴らしい製品でもあり、復刻を願うお客様の声もありながら消えてゆく昭和の竹スターのひとつです。




流鏑馬笠(騎射笠・端反笠・陣笠)を復刻した

 
流鏑馬笠、騎射笠、竹虎四代目(山岸義浩)


流鏑馬(やぶさめ)をご存じだろうか?馬に乗ったまま走りながら弓を放つ騎射術を、テレビなどで見た事があると思う。何を隠そう自分も明徳時代は、弓道部に籍を置いたこともあるので少し覚えがあるが、弓を射るだけでも大変なのに、あの不安定な馬に跨って弓を射るとは体力はもちろん、想像を絶する精神力が必要だ。その時にかぶる笠が流鏑馬笠(騎射笠)、綾藺笠などと呼ばれていて、どうにか復刻できないかとチャレンジしていたのだ。ここまで来るのに一体何年かかったろうか?美しい出来映えに満足しながらも少し複雑な思いも感じている。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠原型


あれは寒い雪の日だった、そもそも初めて一つだけ残された反笠の原型を見た時には編めそうな職人の顔がすぐに思い浮かんだ。代官がかぶっている陣笠にも似ている、時代劇や映画で使われる網代編みの饅頭笠を製作していたので、もしやと思って頼んでみた。


竹職人


ところが、やはり騎射笠となると製法が違うのだ。少し時間があれば何とかなりそうでもあったけれど他の製作が忙しく新しい笠に取り組む余裕がなかった。そして、そのうち仕事ができなくなった。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠下地


また今回、竹編みを難しくしているのは柾目の竹ヒゴを使っている点だ。柾目とは丸い竹材を縦に割っていくので竹の厚み部分がヒゴ幅になる。虎竹細工など竹表皮部分を活かす場合の板目に比べると、圧倒的に多くの材料が取れるので竹細工の盛んな頃には良く使われていたが現在では殆ど見かけない。すぐ思い浮かぶのは、自宅で使っている輪弧編みの竹ペンダントライトくらいではないか。


流鏑馬笠の柾竹ヒゴ機械


従って柾目の竹ヒゴを取る機械なども流鏑馬笠復刻の過程で初めて見た。上に並んで丸いローラーがあるなんて感動的だ、これだけでも新しい細工作りに取り組んだ甲斐がある(笑)。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠、柾竹ヒゴ


流鏑馬笠の流れるような曲線は、この柾目の竹ヒゴがあってこそなのだ。当社にある青竹細工でも、竹ざるなど竹表皮を取った後の竹の身部分を二番ヒゴ、三番ヒゴと取っていく、一本の竹を出来るだけ使い切るのが昔から伝わる編み方だ。しかし、同じ身部分の竹ヒゴのように見えても柾の竹ヒゴは柔らかく、しなやかな性質をもちながら、それでいて竹で一番丈夫な竹表皮部分が竹ヒゴの片側に必ず備えられているから強い。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠


柿渋と漆で仕上げられる前の下地編みだけの真っ白い流鏑馬笠が、すでにピンと自立したような硬さを主張しているのはこの柾目の竹ヒゴのせいだ。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠


あの古老の熟練職人が尻尾まいた、この曲線。


流鏑馬笠、網代笠、騎射笠、端反笠、陣笠


色ムラにならないよう柿渋の濃度を少しづつ上げながら四回塗り重ねる、それから仕上げに漆を二回塗布した色合い。コンコンと軽く叩くと、軽く乾いた音が響くほどの硬度となっている。


流鏑馬笠・騎射笠・端反笠・陣笠・綾藺笠復刻


伝統ある産地の笠骨に、竹ではなくプラスチックが普通に使われている「国産」に落胆して、しかし、その苦しい事情に誰よりも納得せざるを得なかった頃に古い流鏑馬笠に出会った。復刻してみたい...、昔ながらの技で完成する日本の職人技が、まだまだ残っている事をこの目で見たかったのだ。




竹変化、50年

 
古い竹籠


たまにお話させていただく竹の経年変色ですが、先日はこんな竹籠に出会いました。しっかりした作りのため長く仕事に使われていたのに傷みもなく凄い存在感で輝いて見えます。しかし、まるで最初からこのような色使いで製作したかのようなコントラスト。飴色の横網部分は竹表皮が付いた竹材で、更に濃い赤茶色のように見えるのは竹表皮を剥いだ「磨き」と呼ばれる部分です。


古い竹籠


古い籠は、この変色具合がたまらない魅力のひとつです。職人さんの使っていたこの竹籠などは白竹に何か塗料で塗っているかのような輝きを放ち、真新しい白竹の籠より成長しているとしか言いようがありません。


古い竹籠


この色合いの違いを近寄ってみると、この通り、これだけ違うのです。


オーバーナイター


50年前に考案されて今でも作り続けられている白竹持ち手付籠オーバーナイターという持ち手のついたユニークな平籠があります。


オーバーナイター


勘違いされないように改めて申し上げておきますけれど、大きな籠の方も元々は小さな籠と同じ真っ白な白竹だったのです。染めた訳でも何でもありません、この色合いの違いが月日の流れなのです。




豊かな仁淀川の暮らしと鰻籠

仁淀の竹林


仁淀ブルーとして有名になった仁淀川ですが水の美しさは昔から知られていて、キャンプに行った時など流れる水をそのまま煮炊きの水に使っていました。公開中の映画「竜とそばかすの姫」の舞台にもなっていると聞いた時にはビックリしましたけれど、地元では一足先に全国に知られていた四万十川以上に認知度の高い川だったのです。そんな仁淀川に沿って県境に向かう山々の竹林は青々としてさすがに元気そうで安心しました。


仁淀川支流の滝


そして谷筋に沿って続く山道を登った支流には懐かしくホッと安らぐような景色が残されています。青い空と濃い緑、白い水しぶきを見ていますと、つくづく高知は素晴らしい所だと思うのです。


鮎の玉しゃくり漁


橋の上から麦わら帽子のお爺さんと子供たちが伝統の鮎の玉しゃくり漁をしていました。鮎は縄張り意識が強く同じ岩場をグルグルと回っているので泳ぐコースを見定めて意外なほど小さい針で素早く泳ぐ魚を引っ掛けるのです。水面は随分下だし、これでは釣れないだろう...ところが予想に反して釣れていました(笑)。


鰻うけ、ころばし


自分の小さい頃には虎竹の里も川の水量はいつも豊富に流れ、鰻ウケをつかって鰻などをよく捕まえたものです。いつかお話させていただきましたけれど、どこの家庭に行っても鰻をまな板に打ち付けるキリが台所に常備されていました。鰻は川で捕って食べるもので、大学に行くまでお店で食べた鰻は祖父に連れられて大阪千日前にあった「いづもや」だけでした。


虎竹の里の安和川


先日、たまたま工場から見える安和川で父と一緒にウケを沈めた日の事を思い出していました。面白いものです仕掛けた場所、重しに使った石、川のせせらぎ、風に揺らぐ川草など色々覚えています。


仁淀川と集落


そんな豊かな景色がここには残されていて川を見ていたら一時間経っていました。


鰻籠


人の暮らしの中に切り離せない存在として川があり、鮎や鰻もその一部です。そんな生活の中から編まれる籠だから迫力があります。名人は毎朝10匹もの鰻をハエナワで捕ると話してくれました、大物が飛び出さない籠の高さ、かっちりはまる上蓋、ずっしりと重い鰻籠を支えなければいけない力竹、この籠は本物です。




虎竹で甦る竹ブローチ

 
竹ブローチ


かって一世風靡した竹のアクセサリーというものがありました。この頃をご存じの竹関係の方は古き良き竹細工の時代を過ごされた幸せな皆様と言えるかも知れません。自分は大人たちが誰かれ問わず竹のバッグを手に持ち、竹の帽子をかぶり、竹のお洒落ベルトを腰に巻いているのを遠い記憶の中で知る程度でしたが、ある時、思いもかけない倉庫の中から45年間も眠り続けていたレトロブローチを発見して懐かしさと嬉しさに心躍ったのです。そこには当時に人気だった竹ビーズで作られたハンドバッグやショルダーバッグなども沢山あって本当に感動して、夢見るような心地でウェブサイトを通して皆様にご紹介させて頂きました。


バッグの中に型崩れ防止のために新聞紙が綺麗に折りたたんで入れられていましたけれど、その日付は昭和49年(1974年)だったりして涙が出そうでした(笑)。サイトに掲載した多くは既に完売してしまって手元には無いものの、それぞれご愛用いただけるお客様の元にお届けできて安堵しつつも古い竹製品の良さを若い皆様にも知って欲しいという思いから「売り切れ」になったページは現在でもそのまま残してあります。ご関心のある方は竹レトロ手提げハンドバッグなど是非ご覧ください。


虎竹ブローチ


「大発見」の時には竹アクセサリーも大量に出てきました。中でも結びの物は世界的なデザイナーの方が、ご自身の作品作りのために欲しいとの事です、生まれ変わって海外のセレブの皆様にお使いいただくのも面白いと思い全てお譲りしました。そして今回、虎竹で甦ればどんな風になるのか?楽しみにしていた結びの虎竹ブローチの登場です。




国産の竹熊手をご存じですか?

 
黒竹熊手、竹虎四代目(山岸義浩)


庭掃除に使う熊手はご存じかと思いますけれど、その先端は竹でなくてはなりません。落ち葉やゴミをかき出す時に竹の微妙なしなり程使いやすいものがないからです。金属製の熊手やプラスチック製のものもありますが竹の自然な柔らかさには遠く及びません。


クマデ


そんな熊手には、こんなサイズの超強力なタイプがある事をご存じでしょうか?もちろん国産、日本の竹を使って一本づつ丁寧に作られています。


黒竹柄


熊手など国産とか輸入とか考えた事もない、そんな方も多いのでしょうか。そんな方には是非、ブログの最後にご紹介しているYouTube動画をご覧いただきたいのです。国産にこだわり製造を続ける熊手工場の職人たちを見てください、熊手はこうやって一つづつ作りだされています。


竹虎四代目、熊手pg


熊手は実用品としての他に福をかき集めると言われて縁起物としても多くが流通しています。そこで大量生産するために考え抜かれた工場の専用機械は圧巻、日本の竹製品の底力を感じます。




虎竹色紙掛けをご存じですか?

 
虎竹色紙掛け


虎竹で作られた色紙掛けがありますがご存じでしょうか(笑)?おそらく色紙掛けなるもの自体を見た事も聞いた事もない方が殆どかも知れません。いやいや、もしかしたら色紙をあまり持っていなかったり、飾る習慣などないようにも思います。


虎竹色紙掛け


「新しい自分が見たいのだ 仕事する」
自分はたまたま陶芸家河井寛次郎の言葉が書かれた色紙を飾っていたりしますけれど、自分の世代より少し前までは色紙を飾るのがもっと一般的だったのか竹細工でこのような製品は多く作られていました。色紙をどうやって固定すること言いますと黒竹の小枝をVの字にカットして挟むのです。


虎竹色紙掛け


虎竹色紙掛け


虎竹の渋い色合いが色紙を引き立てます、もちろん壁に吊り提げられるように紐も付けています。少し前の日本の住宅は置物を置いたり、このように壁面を飾っていたのですから、やはり時代です。


虎竹色紙掛け


こうして見ると一体何に使うものなのか分からない若い方の声が聞こえてきそうです。骨董品的に見られるかも分かりません、けれど新品バリバリの竹細工です。


梅雨の終わり、黒竹番蛇の目傘

 
和傘


そろそろ梅雨が終わりそうな頃に和傘の話題です(笑)。黒竹番蛇の目傘は竹と和紙で作られています、機能的に言えば軽くて持ち運びも便利、お手入れも簡単な洋傘が機能的には優れているかと思います。ただ自分の場合は、竹虎自体が127年前に和傘の竹材屋として創業している事もあり小さい頃から身近でもあり愛着もあったので20代の頃から使っていました。


高知の雨はかなり強く降りますので実は和傘向きの地域ではありません。雨粒に叩かれて和紙が弱くなり、雨の度に広げて陰干しするなど手入れもしていたつもりですが穴が開いてボロボロになってしまいました。そうなっても和傘は何か風情があり捨てられずずっと愛用していた事を思い出します。


番傘


ある男性のお客様からいただいたお声があります。


「梅雨真っ只中の今、この「黒竹番蛇の目傘」を差して、古都鎌倉のアジサイ寺を散策しました。普通なら雨の日の散策は嫌ですが、「黒竹番蛇の目傘」を差していたので、傘に当たる雨音を楽しみながら、心はウキウキ、ワクワクでした。古都の雰囲気にもピッタリで、他の観光客の視線に何とも言えない一種の優越感のようなものも感じて楽しい一日でした。」


雨が楽しみになるほどの魅力が確かにあります。


蛇の目傘


さて、自分の場合にはボロボロになってしまった傘の和紙ですけれど、水を弾くためにエゴマ油、アマニ油、桐油という3種類を職人が独自に配合して塗布されています。和傘の製造が少なくなった今、このような細かいノウハウや分業化が進んで沢山の手を経て完成してきた伝統を途絶えさせないためには、それぞれの技を継承していかねばならず容易な事ではありません。