玄関が料亭になる?黒竹すのこの作り方

竹虎職人


黒竹玄関すのこを作ったのには、いつか見た古民家の月見台の思い出があります。開放的なスペースにワクワクしましたけれど、昔の民家というのはたとえ大きなお宅ではなくてもちょっとした遊びの空間があって、そんな場所には決まって竹が使われていたのです。


黒竹玄関すのこ


あんな楽しく心休まる場所を現代のご自宅にも作る事ができないか?虎竹の里のお隣、中土佐町では昔から特産として知られた黒く渋い光沢が高級感を醸しだす黒竹があります。日本唯一の虎竹と同じくらい馴染みの竹材なので玄関すのこと決めてからはすぐに出来あがりました。


黒竹玄関すのこ


一枚だけでも普通のご家庭でしたら十分なサイズだと思います。さらに長くつなげて軒先でご使用されたり、ベランダに敷き詰めたりお客様によって色々なご使用の仕方をされています。


別注黒竹玄関すのこ


幅や高さを別注サイズで製作させていただく事も多く、ご自宅にピッタリのお好みの大きさでご愛用いただけます。


竹虎四代目、黒竹玄関すのこ


足を踏み込んだ時の黒竹ならではの独特のしなりと感触が足裏にたまりません。


黒竹簀の子


「玄関が料亭っぽい感じです。」そんなお声をいただくようになって実は職人が一番喜んでいるのです。






竹のアクセサリーについて

竹アクセサリー


竹は日本人にとって身近であるし、量的にも申し分なく、木材に比べると扱いやすく加工もしやすい素材でしたので昔から様々な使い方をされると同時に随分と研究もされてきたのです。このような装飾性の高い竹アクセサリーは人の暮らしの中から必然的に生まれたというよりも、豊かにある竹林の恵みをもっと広く活用できないかという作り手のたゆまぬ努力が実を結んだものでした。


竹アクセサリー


45年間も倉庫で眠り続けていたアクセサリーは竹の特性を見事に活かしきっているのが素晴らしい所です。細く竹ヒゴを取って曲線美を強調したり、編組模様をデザインにしたり竹細工にとっては新しい魅力を表現した画期的な製品でした。太い孟宗竹を球形や楕円形に削り出してネックレスやブレスレットにしたものも当時は大量に製造されて店頭で販売されていく様子はブームと言ってもよいのではないかと思うほどのヒット商品だったように記憶しています。


竹アクセサリー


当時を振り返ってみると様々な竹製品が次々に作られ人気を博していました。倉庫から見つかった竹アクセサリーは極一部とはいえ形や色のバリエーションの多さに驚きますが、それが一世風靡していた人気の証ではなかろうかと思うのです。


虎竹ヘアピン


現在ではあまり見ることのなくなっていた竹アクセサリーですが、この虎竹髪飾りのように少しづつ作っているものがあります。


虎竹鈴


アクセサリーとは違うものの同じく虎竹で作った福音鈴が編み上がるまでを動画にしましたら予想以上に沢山の方にご覧いただいています。手作りにご関心のある方が多いのだと嬉しくなります。





これであなたも竹職人の仲間入り!?

竹職人


手作りに関心のある方は結構多くてご自分の空いた時間を利用して色々なモノ作りにチャレンジされています。講師の先生がいて教えてくれる教室もあれば通信教育のようなものもあって、前に見たことがありますが本当に様々な習い事があることに少しビックリした事を覚えています。料理などは詳しく解説されていると聞ききますので、もしかしたら最近ではYouTube動画をご覧になりながら趣味を楽しまれている方もおられるかも知れません。


やはり日本人と竹は長い長いお付き合いがあります、今まで竹など全く知らなかった方でも歳を重ねるごとに何となく竹が気になりだす事は自然のように思います。そして中にはご自分で籠やざるを作ってみたいと考える方もおられるのです。実はそんな方からのお問い合わせも前々から沢山ありますので竹虎では【竹編み職人なりきりセット】届いたその日から竹職人、すぐに編み始められます。虎竹細工編み方・作り方キット(DVD付き)というセットをご用意しています。


日本唯一の虎竹、竹虎四代目(山岸義浩)


このセットさえあれば、自分の編んだ世界にひとつだけの虎竹花籠「松田一輪」が完成します(笑)。多くの皆様が少し誤解されている事があるのですけれど、竹籠を作る場合やはり一番大変なことは竹ヒゴを取る事です。編むという工程ばかりがクローズアップされていますから見落としがちですけれど良い竹ヒゴができないと良い竹細工は生まれません。


ただ、こちらのセットでは竹ヒゴが8割、竹編みが2割と言われるほど大変な竹ヒゴは折れることも想定して必要分以上に用意してセットにしてありますのでお手元に届いたらすぐに編み始める事ができます。DVDだけで編めるのだろうか?初めての方の心配もご無用です!毎年インターンシップの学生さんたちがこのセットを使って花籠を製作しています、もちろん当社の職人は全くお手伝いはしません。しかしそれでも早い方なら2時間、遅い方でも学生さん同士で助けあいながら4時間程度で作り上げています。


何といいましても日本唯一の虎竹で花籠ができると言うのが嬉しいところ。分かりやすいようにプロの方にお願いして作ったDVDがかなり費用かかりましたので全く赤字のセットですけれど虎竹に親しんでもらえれば良いと思っているのです。





本気で使える深竹丸ざるに、チビタケナガシンクイムシ

竹ざる


竹を喰う虫の話を時々させて頂きます、毎年今頃になってくると持ち上がってくる本当にやっかいな問題です。この超強力!頑固職人がガッチリ編み込んだ本気で使える深竹丸ざるに入っているのはチビタケナガシンクイムシ。タケトラカミキリと共に竹の二大害虫となっていますが身体が小さいだけあって細やかな竹細工にも入り込む手強い虫です。


簾、害虫


前にもお話しした簾にもチビタケナガシンクイムシの魔の手は伸びています。夏が近づいてきて、いざ出番となって見てみると、このような竹粉が落ちているのです。このような時にはまず熱湯消毒、熱いお湯をかけるだけでなくて大きな容器があれば少し浸しておく事も有効です。


簾、チビタケナガシンクイムシ


竹の虫は硬い皮の部分は食さず内側の身の部分に穴をあけて食べていきます。タケトラカミキリのようにある程度大きな虫でしたら身を薄く削っている製品は食べずらく敬遠していますけれどチビタケナガシンクイムシは細く薄くとった竹ヒゴにも入ってしまうのです。


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小さな竹細工から、このような大きな竹細工まで見境いがありません。熱湯消毒で対抗する場合、一度や二度の熱湯処理では不十分な場合も多いです。今回は何と中一日おいた四回目の熱湯処理だったのにもかかわらずこうして虫が三匹も出できました。


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竹の伐採時期を決めて、しっかり管理しているのはひとつにこの害虫対策があります。しかし、いくら旬が良くても虫が喰う竹がありますし、試しに最悪の時期に伐採しても喰われずにいる竹もあります。大自然の中で生かされているのは人間も同じ、完全にコントロールできるはずもなく決め手がないまま虫との付き合いはずっと昔から続いてきているのです。


竹籠や竹ざるをお使いになられる皆様にも是非知っておいて頂きたい竹の虫、ただ長く戸棚にしまう様な事をせず毎日使う竹ざるは不思議と喰われる事はあまりありません。その竹編みへの愛着が虫を遠ざけているのかも知れません。





修理完了!スズ竹市場籠

スズ竹市場カゴ


もう何年になるでしょうか?随分と前にスズ竹市場籠をお求めいただいていたお客様から籠の一部を修理して欲しいとのご連絡をいただきました。竹はしなりや粘りがあるものなのですが、そんな竹素材の中でも特にスズ竹は強く堅牢です。重たい荷物を入れてもビクともしない特性を活かして昔なら行李が大量に作られましたし、現在では大型の市場籠に編まれています。


スズ竹カゴ


編みあがったばかりのスズ竹の竹肌はこんな色合いですから、飴色に変色した買い物籠をどれだけ長くお客様がご愛用いただいているかが分かります。


スズ竹市場籠


しかし、普通に見ていたらどうともない市場籠の底部分を見てビックリ!


スズ竹市場籠修理


これは只事ではありません。日常使いしていてこのように一部分だけ穴が開くなど考えられませんのできっとペットにかじられたのではないか?そう思ってお尋ねしてみたら、いつも自転車のカゴに入れてお使いだそうなのです。


スズ竹市場籠修理


そこで、自転車カゴにいつも触れている部分が擦れてしまったそうです。口巻の籐もギッシリしっかり巻かれているので、このように傷むのは不自然です。しかし擦り切れたというのでしたら納得です。


スズ竹市場籠修理


さっそく新しい籐で巻き直しです、古い籐とはどうしても色目が違ってきますがそれは皆様に勘弁いただいております。また数年お使いいただくうちに目立たなくなります。


スズ竹市場籠修理


籠の底部分もこの通り、どこを修理したか色の違う竹ヒゴが無ければ分からないくらい完璧に修理されています。


スズ竹市場籠修理


竹細工の良いところは竹が身近で成長が早く材料が無尽蔵と言ってよいほど豊富な事。柔と剛という相反するような性質を併せ持つ不思議な素材だから様々な形に加工が出来る事。そして、出来あがった籠やザルは万が一傷んだ場合にも修理をして再び同じように使える事です。


120年に一度という開花でスズ竹の材料不足が続く中、ご迷惑をおかけしている方々も少なくありません。スズ竹の竹林の様子など今までご覧になられた事はあまり機会はなかったのではないでしょうか?一度ご覧いただき山々の竹に少しでも心を向けていただくと嬉しく思います。





黒竹ビール運びの夏

黒竹ビール運び


夏といえば必ず登場する竹細工のひとつに黒竹ビール運びがあります。はじめてご覧になられる方も多いかも知れませんが、2本用、3本用、4本用とあって、4本だと結構重さもある瓶ビールをしっかり受け止めて持ち運べる強度も十分の黒竹製品です。


竹根栓抜き


現在はご自宅で晩酌にビールだと缶が多いように思います。自分の小さい頃には普通にあった竹根の栓抜きなども、もしかしたら珍しいのでしょうか?


黒竹


さて黒竹ですけれど、黒い色合いが美しく細身の竹なので丸竹のまま使われる事も多い竹です。


黒竹玄関すのこ


このようなお客様のご要望サイズで別誂えした玄関すのこにも黒竹を使います。ただ、竹は真っすぐだと思われる方が多いようですが、そのような竹は一本もありませんのでこのような製品に製造するため黒竹をまっすぐに矯め直す加工が必要なのです。





曲がった竹をこのように矯正する熟練の技がある一方、黒竹ビール運びのように曲げていく仕事もあるから職人の仕事は奥が深いです。


黒竹ビール運び


黒竹ビール運びを底部分からご覧いただきますと、曲げた黒竹ばかりで作られているのがお分かりいただけます。矯め直されて真っ直ぐになるのも竹、S字カーブのような曲線を作り出すのも竹、竹はどこまでも面白い素材なのです。


虎竹四ツ目小物籠が新登場

虎竹四ツ目小物籠


仕事用の大きなデスクにパソコンのモニターとキーボードだけしか見えずスッキリとした中で仕事をされている方がいる。あれだけ何も置かれていないと今やっている事に集中できて効率が良いのかも知れない、そう思いながらもとても真似ができないので憧れるだけである。自分の机の上には様々な小物が置かれていてペンを入れたり、あれやこれや入れる竹籠や竹筒がざっと見たところ10個あまりある。


虎竹四ツ目小物籠


使っているうちに渋い色合いに変わった籠には愛着を覚えるのだが、このような小物類をまとめる籠があったらいいなと前から考えていた。自分のデスクでは米研ぎざるを直径12センチ程度まで小さくした横編み籠や渡辺竹清先生にいただいた煤竹小皿など丸型のものも置いてあるけれど、やはり四角い形が使いやすいと思う。


虎竹四ツ目小物籠


そこで、新しく作ってみたのが虎竹四ツ目小物籠。裏返しにした方が虎模様が見えて格好がいい...次回は反対に作っても面白いかも知れない。



竹虎の竹箒はズシリと重い

竹箒


竹虎の竹箒は少し違う、特産の黒竹を使い、四万十カズラを使っている。だからズシリと重い。ホームセンターなら350円で売られている竹箒だから、この重さをあまり人は考えないかも知れない。しかし、この箒一本作るのにも同じ頃合いの太さの黒竹があり竹穂がある。竹穂とは何だろうか?竹穂は孟宗竹の小枝だ、そうすると少なくとも箒に使っているだけの孟宗竹は伐採されていないといけない。


竹箒g


かっては全国各地で作られていた竹箒は安価な輸入品が売られるようになったから消えたと思われがちだがそれだけではない。元々は筍を生産する、竹材を活用するそんな竹の営みの中で副産物として作られてきたものなので竹箒の製造が見られなくなったという事は竹の暮らし自体がなくなったという事なのだ。この竹箒はズシリと重い、昔からの仕事として作っている箒だから値打ちがある。一本5800円の価値を感じる方だけにお求めいただいている。





「箒と言えば虎竹」。竹箒ではなくて座敷箒を作る工房を訪ねた時に職人の方に言っていただいた。今は製造をやめてしまった倉庫には50年以上前の虎竹が眠っていた。昨日YouTubeで公開したばかりなのに既に1200回以上も再生いただいている、同じ箒でも竹箒とは作り方は随分違うけれど是非ご覧ください。


鰻は家庭料理だった

鰻うけ、竹虎四代目(山岸義浩)


鰻は最近では稚魚が捕れなくなって価格が上がり庶民の食べ物とは言い難くなっていますけれど自分の子供の頃は川にいくらでもいました。だから鰻屋が近くになかったせいもありますが店で食べるというよりも家庭料理として味わう物だった記憶があります。


早朝、空気の澄み切った川原の香りをご存知でしょうか?ちょうど今頃の季節、毎朝早起きして鰻ウケを上げにいくのは楽しくて仕方ありませんでした。ピッタリの画像がなかったので誤解のないように言っておきますと、竹虎四代目が背負っているのは山芋籠で、その中に入れているのが鰻を捕るための鰻ウケです。実際は山芋籠にウケを入れて持ち歩くワケではありません。





その鰻ウケはこのようにして編まれています、熟練の職人の手にかかればいとも簡単に出来あがってしまいます。しかし、実際にはこうは簡単には作れません。


鰻うけ


そこで竹編みでない鰻ウケも実はいろいろとありました。これは竹筒をそのまま使ったもので片方の切り口に鰻が一度入ると出られなくなる仕掛けが見えています。竹は表皮と内側の収縮率の違いでヒビ割れが入りますから竹表皮の皮を磨い(削って)ています。四国内では結構残っているのを見かける事のあるタイプなので当時は随分沢山のウケが使われていたと考えられます。


鰻捕りの道具


現役で販売されているモノでは、プラスチック製のものが恐らく環境意識の変化であまり人気がないためにこのような木製のウケが主流かも知れません。近くを流れる新荘川で同じような木製ウケを十数本浮かべながら歩く方を見かけます。こんな道具を身近に感じるほど豊かな自然に囲まれいるという事でしょう、幸せです。





箕のある暮らし

箕職人


昔の竹細工は専門職として同じ籠ばかり編んでいた時代があった。近年ではオールマイティに何でも作ることが必要となってきたが、それでも数ある竹細工の中で箕作りは難しく製作する職人はごくわずかとなっている。


土佐箕


全国各地で使われてきた箕は、西日本の網代編みされた竹箕の種類だけでも30種類以上に分類されている。しかし、藁や棕櫚を巻いているのは土佐箕だけの特徴だ。気候風土が似ていて棕櫚が身近にあった和歌山あたりでも使われていない面白い特徴である。


箕職人


高知の山深い集落にある農家さんで数十年来使われてきた箕を拝見した。使い込まれて、すっかり古びた印象であったが何処も傷むことがなく、季節の山菜を並べて干しざるとして使われている。暮らしの一部として竹が溶け込んでいる、この当たり前さが大好きなのである。