逆さ台形六ツ目編みのオモシロイ手提げ籠

逆台形手提げ籠バッグ


昨年末に、逆台形六ツ目編みの手提げ籠をコチラの30年ブログにてご紹介させていただきました。それ以来、買い物に行くたびに結構高い確率でこの竹手提げ籠を持参して行きます。白竹八ツ目編み試作時の籠や、一点物で無骨さが気に入っている根曲竹の買い物籠、昔から長く愛用しているスズ竹市場籠など常時車内には数個の籠が載っているのですが、ついつい手に取ってしまい気がつくと一番多用しているのが、この逆台形の籠なのです。


真竹手提げ籠


ユニークな形と長めの革持ち手に、ちょっとワクワクする感じを竹虎のお客様にも共有でればと思っていたところ、遂に10個程度ではありますものの籠が完成して後は革持ち手が出来上がるのを待つばかりとなっいます。

 
六ツ目手買い物籠


さて、手にしております二つの籠の色目が違うのは経年変色です(笑)。元々青竹そのままに編まれた六ツ目籠が2~3年経過しているので、まるで晒した白竹のように見えています。革持ち手にまだ一ヵ月以上かかりそうなので少しお時間頂戴いたしますけれど、お楽しみにお待ちいただきたいと思っています。




昔の篠竹細工の籠たち

 
篠竹細工、米研ぎざる、魚籠、腰籠、餅草摘みふご(よもぎ餅)<br>


先日5月14日の30年ブログで「竹は、作る人と使う人で完成するものなんだよ」と、しびれる話を聞かせていただいた篠崎ざるのお話をさせていただきました。同じ篠竹を使う竹細工でも、東京から北に上がって東北にまで行くと籠の種類や風合いは微妙に違ってくるものの、使う人を思って編まれる職人の精神は同じです。


篠竹米とぎざる


飴色に変わって、いかにも生活の中の竹という風合いの大振りの米研ぎざるを手にしてみました。数十年前に編まれたであろう細かく取った竹ヒゴの籠なのに、ついこの間出来たばかりのようにカチリとした感触、やはり縁巻がしっかりしています。


篠竹


虎竹をご存じない方から「どれくらいの太さの竹ですか?」と質問される事があります。太めのボールペンくらいの細さから直径10センチ近い太さの竹まで様々なのですが、同じように篠竹も細身の竹でありながらサイズには若干のバラつきがあります。


篠竹米とぎざる縁巻


この頃合いの丸竹を何と3本もまとめて縁にあてがって、そのまま口巻きしているのです。地味に見えますけれど、丸竹をこれだけ綺麗な円の形に仕上げているのは相当な熟練の技です。




昭和の御用籠、久々の登場

 
御用籠


無骨な御用籠をご覧になって、昭和生まれの皆様は懐かしく感じられる方が少なくないと思っています。ピンと来られない方にも、かって自転車やバイクの荷台にくくり付けられていた竹籠と言えばいかがでしょうか?「あ~、あれね!なるほど知ってる、知ってる」そんな声がチラホラと全国から聞こえて来る気がしています(笑)。


御用籠、竹虎四代目(山岸義浩)


兎に角、昔の竹籠ですから、まず丈夫さと使いやすさが一番。底に幾重にも重なる迫力の力竹を見ると、自分などは職人の仕事場で見た炭火の匂いが頭をよぎります。幅広に取った力竹は熱を加えて直角に曲げられているのです、この御用籠も角の部分は火を当てた跡が残っています。


古い御用籠


こちらは現役で使われていた当時の御用籠、さすがに良い色合いになっています。プラスチック製のコンテナ箱が出回るまでは竹籠が運搬用として主流だったので御用籠は全国各地で編まれていて、基本的な構造は同じでも作りは微妙に違っていました。


古い御用籠


確か前にもお話した底の力竹です、今なら絶対に使わないような節付きの竹が使われています。これは竹のウラ(先端)部分まで無駄にならないようにしていた証で、昔は竹材を少しでも節約して製作しないと間に合わないほど大量生産されていた事かうかがえるのです。


御用籠


「ウラの竹材を使っても、しっカリ作っているから強さは変わらんよ!使えば分かる。」昭和の籠からは、そんな熟練職人の自信が聞こえてきそうですが、現代では見栄えも機能と同時に見栄えも大事に編まれています。


御用籠


御用籠は、まさに万能籠として色々な使われ方をしていました。竹虎の工場ではリヤカーに載せて運ばないといけない程の大きさの籠をゴミ箱として使っていたのを覚えています。えっ?リヤカーをご存じない...?そんな方はgoogleで検索して下さい。自分も試しに見てみたらアルミ製のカッコイイものが出てきましたけれど、竹虎の職人が使っていたのは木製の本体に古タイヤを取り付けたようなものでした。


御用籠


大の大人が数人がかりで持つような大型の籠から自転車の荷台で使かわれるサイズまで、用途によって様々な大きさが作られて愛されてきた御用籠の魅力が尽きることはありません。




竹根の製品たち

地表に表れた竹根


地表を這うように伸びて行く竹根には、短い間隔で節があって厳しい自然の中で逞しく生き抜く強い生命力を感じます。竹林にはこのような強靭な竹根が縦横無尽に伸びているので天然の鉄筋コンクリートとも言われ「地震の時には竹林に逃げろ」と小さい頃から教わってきましたし、実際に鉄不足の時代には鉄筋の代わりに竹が使われていた事もあるほどなのです。


竹根団扇立て


そんな竹根は丈夫さと同時に、熱加工によって自由に曲げられるという加工性の高さがありますので意外と多くの竹細工に活用されてきました。そんな中でも竹根を多用した身近にあった製品のひとつが団扇立てです。エアコンが普及する前の話なので随分と古くはありますが、一時は色々な形のものが考案されていたのを覚えています。


竹根の灯


先日見かけた竹ペンダントライトにはアクセントとして竹根が使われていて雰囲気を醸し出していました。竹根はこのように、ちょっとした表情の変化を付けるのにも重宝されています。


竹根ステッキ


代表的なものに皆様ご存じの竹根ステッキがあります。現在では製造されなくなったものの、喜劇俳優のチャールズ・チャップリンも愛用していたのは有名なお話で、日本の竹根加工の技術力の高さを思います。


竹根彫刻刀


変わったところでは一刀彫の職人さんが使う道具が全て竹根製だったこともありました。味のある彫刻刀が何十本とならぶと壮観でした。


竹根印稈


竹根を専門に掘る職人がいなくなった今、太い良質な竹根素材は貴重品です。前々から竹根印が欲しいと思ってましたが満足できるものがなかなかありません。ところが先日、竹根の中でも太く、このように雰囲気のある漆仕上げをされた竹根印に出会ったのです。(つづく)


竹根の竹林

竹林の竹葉


心地の良い竹林を歩いています、晴れた空からは朝日が差し込んで来て最高の気分です。柔らかい土の感触を楽しみながらの竹林浴ほどリフレッシュできるものはありません。


青い竹根


ふと足元を見ると青々とした竹根が顔をのぞかせています。をご覧になられて不思議に思いませんか?辺りには竹節の見える稈が無数に天を目指して伸びていますけれど、地中を縦横無尽に走る地下茎にも同じように節があって見た目が良く似ています。


竹根素材


良くお話させていただく事ですが、竹は稈の部分はもちろんの事、竹の小枝、竹葉、そして竹根までも全て無駄にすることなく使い切れる素材です。竹の根は本当に良くしなって丈夫でもありますから鞭には最適の素材です、こうした竹根を見て小学校の先生にお尻を叩かれた思い出のある方はシニア世代では少なくないのではないでしょうか(笑)。


竹根盛り籠


それでは他にはどのような竹製品に活用されているかと言いますと、現在では製造されていない少し珍しい所で、このような竹根盛器などがありました。竹根に数カ所黒く見えている所は熱を加えて曲げているのです、大量生産の時代はスピード重視でしたからこのような焼け焦げもあまり気にせず製作されましたが今見るといい味に感じられます。


逆台形六ツ目手提げ籠の使い心地

 
逆台形六ツ目編みの竹籠


昨年末にご紹介したちょっと風変わりな形の六ツ目編み手提げ籠がありましたが覚えておられますでしょうか?台形を逆さにしたようなデザインに新鮮さを感じて使ってみたいと思った籠でした、通常の持ち手より革が似合うだろうと専用に誂えた革持ち手にすると何とも格好が良いのです。


逆三角背負い籠


もしかしたら逆三角形の形に、この背負い籠と間違えられている方もおられるのではないでしょうか。この背負い籠も、かなりのレアですが底が平らになっておらず完全におむすび型です。両方とも底が狭くなっているため収納力という点では優れているとは言えません。


逆台形六ツ目編みの竹籠


更に置いた時の安定感は、革の持ち手を付けた逆台形六ツ目編み手提げ籠も底の平部分が小さいため良くもありません。ところが、ここ数ケ月自分が愛用する中でついつい手が伸びるのがこの籠なのです。スーパーでは食材が口からはみ出す事もありましたけれど、底の狭くなる収納力の弱さは入れ方の工夫でどうにかカバーできますし安定感という点では大きな問題はありません。何より一番良いのが手にするだけで楽しくなる事です、手に感触のよい革一本手を肩にかけると足取りも軽くなる気がしますから夏に向けて少しだけ製作してみようと考えています。


竹タガで生き返る手桶

 
竹タガ


古い手桶には朽ちた竹タガが、ちょっと無残な感じで巻き付ついていた。まさか捨てる事はないかも知れないが、ご存じない方が見たら既に使えないと思ってお蔵入りの可能性は大きい。ところが愛着をもって使われていたお客様だから分かっている、竹のタガを巻き直せば生き返る。


磨きの竹タガ


の表皮を薄く剥いだ磨きの竹ヒゴでしっかりと巻き直してもらう。こうして手直ししながら長く大切に物を使うのが昔からの伝統。もともと日本の暮らしは自然と共にある循環型だったのだ。


竹タガ


竹タガ


丈夫な竹も長く使用するうちに傷みがくる、しかし材料が身近にあり加工性の高い竹は重宝される。虎竹手提げ籠の持ち手を修理するYouTube動画をご覧いただきたい、まさに新品にのように出来あがる。




虎竹ボトルカバーの試作

 
虎竹ボトルカバー


普通の酒瓶にこのような虎竹編みのボトルカバーを付けることコスト的に全く合わないかと思います。ただ、特別な限定製造の一本なら面白いかも知れないと言うことで試作してみたボトルカバーです。


白竹広口瓶


もともと白竹で輪弧編みした瓶用の装飾カバーがありましたので今回はそのまま虎竹に変更しました。しかし、広口瓶に比べて酒瓶は直径が小さいので少し検討の余地がありそうです。一つの形になって、改めてお知らせできればよいと考えています。




孟宗竹を使う竹箒と手箒

 
国産竹箒


体育館のような大きな倉庫に、ちょっとした山のように積み上げられた竹箒を見た事があります。元々孟宗竹は中国原産の竹なので竹箒作りも盛んです、前に自分が見学に訪れた地域では村の隅々まで何処に行っても材料の竹穂が納屋に仕舞われてあり、庭先でも軒下でも日本向けに輸出される箒作りが行われていました。


そこで竹箒はホームセンターなどに行くと安価な価格で販売されていて何処で誰が作っているのかなど、あまり気にされない製品のひとつになっているかと思います。もしかしたら国内で製造されている竹箒があると聞くと驚くかもしれませんけれど、実は現在でも細々と作り続けられていて、その竹穂の強さから寒い地域の雪かき用として重宝されています。


孟宗伐り出し


竹材としての利用は少ない孟宗竹ではありますが、竹虎でも袖垣の芯の部分や竹ざるなど荒物細工の一部に使用していますので毎年伐採します。


孟宗竹を使う楽屋工場


楽屋と呼ばれる農業用の日除け材も全て孟宗竹でした。大量に伐れば伐るほど枝打ちした後の竹穂が残ってしまいます、竹箒作りはこのような副産物が活用されてきました。孟宗竹と言えば筍を忘れる事は出来ません、筍の竹林管理では和傘を差して歩けるほどの間隔が適当と言われ竹を間引きますので竹穂も沢山あり、必然的に昔から竹箒作りが行われてきたのです。


若竹を使う手箒


そんな箒の中で少し特殊なのがこの手箒。同じ孟宗竹とは思えない程の繊細な枝ぶりと柔らかさに最初はビックリしたものですが、その秘密は若竹の穂だからでした。竹は成長が早く3ケ月で親竹と同じ大きさに育つものの、竹材として使えるのは竹質がしっかりしてくる3年から4年あたりが適当です。どうして若竹の穂ができるのかは「京都の手箒」に書いていますので関心があればどうぞ。


青々とした孟宗竹


さて、焚火をしながら続いていた竹箒作りは一本が出来上がりました。立ち上がって裏山を見ると元気な竹林が見えています、身近にこれだけの資源があれば使わない手はありません。




鰻筌(うなぎうけ)とウツボ籠

 
鰻筌


漁獲量が少なくなってサンマの値段が上がったニュースなど記憶に新しい所です。虎竹の色付の際にも度々お話する地球温暖化、さらに乱獲や海洋汚染など理由があるようですけれど、サンマに限らずイカやサケなど身近な魚も減少しています。そんな中、ウナギは何と「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種」絶滅危惧種になっている事をご存じでしょうか?自分の入社した頃には副業もかねて稚魚であるシラスウナギ漁に参加する竹職人もいましたし、更にもっと昔の小さい頃にはこの鰻筌を川に仕掛けて当たり前のように鰻を捕っていました。当時は鰻を地元の店で食することは無く、スーパーなど買う事も皆無、鰻は捕って食べるものだったのです。


ウツボ籠


コロバシとも呼ばれる鰻筌はご覧になられた事のある方もいるかも知れません。しかし、このウツボ漁に使う籠はどうでしょうか?竹編みは全く同じながらヒゴ幅、厚みが全く違うのは獰猛な海のギャングとも言うウツボを籠から逃さないために必要不可欠だからです。このウツボ籠をご存じないのは当然で、実はウツボを食べる習慣があるのは地元高知県の他は宮崎県、和歌山県だけのようです。九州、四国、本州と離れた三県でも、さすが黒潮文化だけあって似ています(笑)。


鰻筌とウツボ籠


鰻筌とウツボ籠を比べてみると、この大きさの違い。ウツボ籠の迫力が更に伝わりませんでしょうか?


エギ


しかし、どちらも同じエギあるいはコジタとも言う竹の弾力性を活かした仕掛けは同じです。一度入ると出られない鰻やウツボにとってはコワイ罠なのです。