竹虎創業125周年記念、スペイン・ボックスカートレースその3

2019年4月24日

岡山科学技術専門学校


さて、スペイン・ボックスカートレース(Carrera de Goitiberas de las Fiestas de la Blanca de Vitoria-Gasteiz)に出場を決めたものの一番の大きな課題は全く解決していませんでした。それは肝心のレースに出場する車です。日本でも坂道レースは開催されているようですので専門の方に相談もさせて頂きました。エンジンが付いていなくとも本格的な素材で製作した場合には200万円を超える費用がかかる事が分かり愕然とします。


岡山科学技術専門学校


車体だけに200万円も使ってしまうと輸送費用や交通費、滞在費など参加するだけで費用はウナギ昇りです。これでは、あのサン・ビセンテ・マルティル教会(Iglesia de San Vicente)横から走りだした先に待つゴールは遠のくばかりでした。


市販されている車体を改造するか?どこかの鉄工所さんにお願いするか?あらゆる可能性を検討してるうちに、たまたま鳴った一本の電話に救われました。


岡山科学技術専門学校


あの日、休日出勤していて良かったと今でも思い返します、岡山科学技術専門学校の先生からの電話でした。実は、こちらの学校では「Red Bull Box Cart Race」という東京赤坂で開催されたレースに出場した車体製作の経験があったのです。まったくノウハウのない自分からすれば出場した車体を見学させてもらうだけでも願ったり叶ったりです。


さすが専門の先生方が参加して製作されただけあってボディなど素晴らしく綺麗に作られている車体でした。外装は簡単に取り外せるとの事で外して見せていただける事になります。


岡山科学技術専門学校


車体フレーム部分を見せてもらうと14インチの自転車タイヤを使っていて自分のイメージにかなり近い感じです。前輪にも後輪にもスプリングが付いて、実際乗ってみますと非常にクッション性の高い車体でした。


スペイン・ボックスカートレース車体、竹虎四代目


岡山科学技術専門学校さんにお伺いした時は、ちょうど春休みで実習に使われてる車庫には生徒さんもおられません。しかし新学期になれば又授業もはじまり実習もあるのだろうと思っていましたので、もし出来る事なら目の前にある車体を参考にしながら竹虎用に一台製造いただけないかとお願いしてみました。


すると...またまた竹の神の御加護です!この車体はもう不要で処分してしまうのでこのままお譲りいただけると言うのです。


スペイン・ボックスカートレース車体、竹虎四代目


何というラッキー!有難い事かと感謝感激でした。ずっと懸案だった課題が一瞬にして解決するとはっ!?こんな嬉しい事もあるのだなあと思いながら竹虎に帰社し、翌日早朝からトラックに乗り換えて岡山に向かい頂いて帰ってきたのです。ところが喜んでいるのも束の間、やはり一筋縄ではいきません。次々と問題が見えてきました。













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竹虎創業125周年記念、スペイン・ボックスカートレースその2

2019年4月23日

バスク州ビトリア


最寄りのビルバオ空港に着いたのは夜、Ivanさんの車で一時間少しかけてビトリアに到着しました。標高が高いせいか途中の山は雪道でした、気温が何度か分からないものの結構寒く感じます。しかし、まったく知らない街に深夜やって来ましたので翌朝が楽しみです。


ビトリア銅像


遅く寝たのですが、いつものように早起きしてみると街全体に少し霧がかかっていました。スペインといえば青い空しか連想できなかったのですけれど山間部の気候はまた違うのでしょうか。ホテルから一歩外に出てみるとヒンヤリした空気、そして誰ひとりいないようにシーンと静まりかえっています。ふと見るとアッそこに人が「朝の挨拶しよう...」


そう思ったら銅像でした。


ビトリア、竹虎四代目(山岸義浩)


さて、見知らぬ土地を知るには走ってみるのが一番です。いつものトレーニングウェアに虎竹ヌンチャクを持って軽快に走りだします。(もちろん、すぐに歩きに変更)


ビトリアの城壁


少し散策するだけで古い教会や石畳の美しい街並があり歴史ある美しいビトリアを感じることができます。旧市街地には城壁もあって当時は周辺ぐるりと囲っていたのではないかと思います。


Ivanさん、竹虎四代目、スペイン・ボックスカートレース


Ivanさんに迎えにきてもらって、竹の車を見せてもらいました。


Ivanの竹の車


さすが元F1カーのデザイナーです、フレームは竹製ではありますが低い車高、タイヤ、ハンドルなど本格的で驚きました。これは速そうです。


スペイン・ボックスカートレース最初の坂道


この車で、この坂道を走り下るのか...!?凄いスピードと迫力が容易に想像できるのです。





晴れてきた青空の下、一応レースコースを歩いてみてイメージだけしてみました。


サン・ビセンテ・マルティル教会(Iglesia de San Vicente)横のスタート地点


サン・ビセンテ・マルティル教会(Iglesia de San Vicente)横に少し広くなった場所があります。ここが坂の頂上、ここからレースはスタートします。


ビトリアの酒場


ビトリアの方々の印象はよく食べて、よく飲んで、よく笑うでした。朝から多くのお客様でにぎわう店内には美味しそうな食材がならび、それだけで豊かな気持ちになります。


ビトリアステーキ


バスク地方は食材の宝庫と何かで聞いた事もありますけれど何を食べても本当に美味しい、素晴らしく旨いのです。


ビトリアのチョコレートケーキ


お年寄りも、若い人たちも周りの皆さんも気持ちが良いくらいガンガン食べています。デザートがまた最高でした。


スペイン・ボックスカートレース


こんな古い伝統の息づく街ながら開放的で明るい雰囲気は、自分の生まれ育った高知の県民性とも重なって、とても居心地の良さを感じました。真夏の祭典よさこい踊りが熱狂的に盛り上がるように、きっと8月6日のボックスカートレースも熱く燃えるようなお祭りに違いありません。














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竹虎創業125周年記念、スペイン・ボックスカートレース

2019年4月22日

スペイン・ボックスカートレース


スペイン・ボックスカートレース(Carrera de Goitiberas de las Fiestas de la Blanca de Vitoria-Gasteiz)を知ったのは昨年の夏の事です。開催されているのはスペインはバスク州ビトリアという歴史ある美しい街でした。サン・ビセンテ・マルティル教会(Iglesia de San Vicente)横の路上をスタートしてアルキージョス通りの下り坂を走るコースだと聞きましたが正直いいまして最初はどのようなレースかも分かりませんし、馴染もなくあまり興味を引かれる事もありませんでした。


スペイン・ボックスカートレース(Carrera de Goitiberas de las Fiestas de la Blanca de Vitoria-Gasteiz)


そもそもボックスカートレースは、ソープボックスカー(Soapbox)などとも呼ばれる動力を持たず坂道を下るレースの事です。アメリカ、ヨーロッパでは結構人気のレースで大きな大会が開かれているようですが自分は関心がないためか全然知りませんでした。ただ後から調べてみますと日本でも「Red Bull Box Cart Race」というイベントが一昨年東京赤坂で開催されて65台もの個性あふれる車が参加されていました、今年はよみうりランド特設会場にてレースが予定されているようです。


スペイン・ビトリアボックスカートレース(Carrera de Goitiberas de las Fiestas de la Blanca de Vitoria-Gasteiz)


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」を製作してチャレンジラン横浜、チャレンジランメキシコと虎竹のPRをしてきましたので今度は虎竹の車でレース...なのか?しかし、竹トラッカーで参加できるわけではありません、レースと名が付くからにはある程度のスピードの出るエンジン無の車をゼロから製作しなければなりません。


Ivan Platas


誘ってくれたのは元F1のレーシングカーデザインをされていたという経歴を持つIvan Platasさんです。前回の大会には何と竹の車で出場した竹LOVEな方、地元ビトリアに暮らされていますが昨年夏の世界竹会議(World Bamboo Congress)メキシコに参加されていて知り合いました。


スペイン・ボックスカートレース(Carrera de Goitiberas de las Fiestas de la Blanca de Vitoria-Gasteiz)


Ivanさんの製作された車体など拝見するとF1の設計をされていた方らしく、車体が低くいかにもスピードの出そうな凄い車です。レースの様子を聞かせてもらい、当日の様子を知るほどに何か心がワクワクしてきました、坂道を下るだけのレースに大人が集まって30チームも出場して走るなど想像すると楽しさしかありません。


スペイン・ボックスカートレース(Carrera de Goitiberas de las Fiestas de la Blanca de Vitoria-Gasteiz)


「これは現地に行くしかないな」


そう思った時点で、ほぼ参加は決まっていましたけれど一応確認のためしっかり視察せねばなりません。ちょうど竹虎は創業125周年の節目の年となります、その大きなひとつの記念イベントして取り組みたいと考えていたのです。













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東北の様々な箕が収蔵される秋田県立博物館

2019年4月 4日

オエダラ(オイダラ)箕


オエダラ(オイダラ)箕が代々作られてきた太平黒沢地区には勝手神社と言う技術の神様が祀られた神社があります。箕は非常に高度な技を必要とする細工ですので、この地域にはうってつけの神様であり、この神社にまつわる話も非常に興味深く面白いものでした。


現代では箕の需要も激減し職人さんも箕作りだけでは仕事として成り立たない状態です。しかし、昨日の30年ブログでお話ししたように50年前には材料のイタヤカエデが山から無くなってしまうほど売れていた農家にとっては必需品だった道具です。三つの集落でのみ行われていた箕の生産は地域の人々にとっては大事な収入源だったのです。そこで、今では考えられませんが箕の製作技術が集落の外に出ることを防止するために、技術の神様である勝手神社の威光も使われていたようです。


秋田県立博物館、箕


オエダラ(オイダラ)箕作りの名人、田口召平さんは自ら箕作りをする傍ら東北一円の箕に関心を持たれていて、驚くほど程の量を収集されています。おそらく個人所有のとしてはダントツで日本一、まさに箕マニアです。


あまりの多さに保管を委ねたのが秋田県立博物館、ここが又凄いところで時間があれば一日いたいほど面白い収蔵品があり飽きません。箕の他にも見たいものが山のようにありましたが、箕だけでも沢山あって見切れないのです。


皮箕


西日本ではほとんど見られない樹皮で作られた箕は皮箕と言います。竹網代やゴザ目編みの箕しか知らない自分にとっても、この迫力、存在感、圧巻で惚れ惚れと眺めることは何度かありましたけれどもこれだけの大量の数が一堂に揃っているのは初めてです。


皮箕


皮箕に使われているのは矢竹でしょうか?同じ笹類で寒い地方で良く見られる根曲竹ではないでしょうか?実は、そうあって欲しいとも願っています。(笑)東北の箕には矢竹使わる事が多いようです、けれど自分の持っている最高に丈夫で大好きなステッキが秋田産の根曲竹なのです。


軽くて細くて扱いやすいので、力の弱ったお年寄りの方が持つには最高です。そして本当に驚くほど強いのです、耐久性を要求される箕には、うってつけの素材ではなかったかと考えています。


サキアリ箕


これも実物は初めて見ました、サキアリ箕は先端がとがっているので、その部分が上下運動しやすく穀物の選り分けがしやすいのが特徴です。


面岸箕(ニギョウ箕)


箕の中で最高に美しいと絶賛されるのが岩手県の面岸(オモギシ)集落で製作されてきた面岸箕、ニギョウ箕とも呼ばれるサルナシ(シラクチ)と白柳を材料にした箕です。出来あがったばかりはベンガラのような赤い色、経年変色でこんな渋味を出していました。


マナグ


箕の先端両側には「ツリ」と言われていた細工が施されています。本当に珍しい細工であり傷みやすい部分の補強のための工夫かと思っていましたが、地元の職人さんに聞くと「マナグ」と言う選別した穀物を通す穴だそうです。


広い日本の津々浦々の農家さんにあって、一軒あたり少なくとも5~6枚、多い家だと10数枚も持って毎日のように使われてきた道具だけあって知れば知る程深いのが箕です。













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静かなる竹工房

2019年3月27日

六ツ目編み籠


この竹工房の近くには大きな川が流れていた、かって鵜飼が盛んだったのだろうか?丸みを帯びた大きな籠が天井から吊り提げられている。鵜籠かと思ったけれど、このような籠は地鶏を入れるのにも良く使われていたので全くの見当違いかも知れない。


そんな事を考えながら薄暗い通路を奥に進んでいくと、これも大きな六ツ目編み籠みの平籠が壁にかかってあって明かり取りから差し込む光が面白い模様を作っている。


竹工房


この竹工房は素晴らしい、居間から一段低くなった作業場からは長い竹材を床下に入れて自由に操る事が出来るようになっている。一面に張られている板も見惚れるほど年期が入っていて懐かしさと心地よさで時間を忘れてしまうほどだ。


菊割


最近ではあまり使われていない竹材置き場の下に菊割が置かれていた。


今度の出番はいつだろうか?


編み台


竹職人たちの息づかいが聞こえてくるような静かな工房、ポツリと残った竹編み台が物寂しげに語りかけてくる。このような竹の仕事場を誰よりも多く見てきた。


そのせいだろうか?


竹の行き先を聞かれることが多いが自分ような田舎者に明日をたずねられても分かろうはずがない。しかし、ひとつ言えることがある。変わる事をためらっていては、あの日の活気は蘇りはしないに違いない。













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竹文化振興協会発刊「竹」掲載、第11回世界竹会議メキシコ 基調講演「日本唯一の虎竹と共に100年、持続可能な地域資源活用」

2019年3月23日

竹文化振興協会発行「竹」


今回で139号という長い歴史と格式を誇る竹文化振興協会発行の「竹」に掲載いただきました。一般の方にはあまり馴染の少ない冊子でもあるかと思いますので全文を掲載しておきたいと思います。


世界竹会議(World Bamboo Congress )
昨年の8月にメキシコ・ハラパで開催されました第11回世界竹会議(11th World Bamboo Congress )で「日本唯一の虎竹と共に100年、持続可能な地域資源活用」と題して基調講演をさせていただく機会をいただきました。お力添え頂きました皆様のお陰です、ありがとうございます。


竹虎四代目(山岸義浩)、世界竹会議


今回、光栄にも世界50カ国から500名もの参加のある世界竹会議での登壇の招待を頂きましたのは、当社の100年を超える日本唯一の虎斑竹(とらふだけ)への取り組みを評価いただいての事だったと思います。虎竹の里は高知県須崎市安和にあり、前方には須崎湾、三方は山に囲まれている本当に狭い地域です。そして虎竹は、この里の間口たった1.5kmの範囲でしか成育しない不思議ななのです。


竹の正式名称は「土佐虎斑竹」と言います。竹の表面に虎のような模様が浮かび上がることから、大正五年(1916年)に世界的な植物学者の牧野富太郎博士により命名されました。虎竹模様が出るのは、土中の細菌の作用とも言われていますが潮風や気温の微妙な変化など様々な要素があると考えられ今だにその要因は謎のままです。江戸時代には年貢として土佐藩山内家に献上された記録の残る銘竹でもあり、険しい山道で交通の難所だったという土地柄と藩令によって禁制品とされていたために広く知られることのなかった「幻の竹」であったと言う歴史もあります。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


さて、しかし世界竹会議といいましても日本では竹に携わる方でもご存じない方がおられます。当社の社員なども含めて馴染のない方々に説明するにはどうすれば良いか?思案した末に「世界各地で3年に1度開催される竹のオリンピックのような竹の祭典」と話す事にしてますが、前回の韓国・潭陽、そして今回のハラパに参加してみてその感を更に強くいたしました。


世界の竹の生育地域を考えますと日本をはじめ竹海を有する中国、そして東南アジアが思い浮かぶびます。しかし、南方系の竹は赤道直下の国々、オーストラリア、中南米、アフリカなどの温暖で湿潤な地域に広く分布しているのです。世界竹会議(WBC)にはこのような竹生産国はもちろん、アメリカ、ヨーロッパなど世界中の竹産業界、竹研究者が集結し、竹の活用や開発において世界中で何が起きているかを確認し合い、最新の情報交換を行っています。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」
2020年には日本でオリンピックが開催されます、そこで外務省が日本文化発信基地としてロンドン、ロサンジェルス、サンパウロに開設したJAPAN HOUSEと言う施設があり、様々な展示スペースを持って活発に活動されています。ブラジルには世界最大級の竹林がアマゾン流域にあるそうで竹の活用には予想以上に関心を持たれています、そこで 2017年にJAPAN HOUSE Sao Pauloにお招きいただき持続可能な地域資源としての竹について講演させて頂きました。また、サンパウロ州立パウリスタ大学では「サスティナブルな竹利用の可能性」について講義させてもらう機会がありました。竹産業に関わる皆様も、若い学生さん達も非常に熱心でしたが、このような場にお招きいただいたのは恐らく日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」プロジェクトへの組み等が評価されていたのではないかと考えています。


虎竹を使い電気自動車を製作したいと考えたのには理由があります。2000年から毎年開催しているインターンシップに参加いただく大学生の皆さんが青竹踏みを知らないのです。自分達からすれば昔からある手軽な健康法として日本全国の各ご家庭に一つはあるものだとばかり思っていたものが、今の若い世代の「竹離れ」を痛切に感じるようになっていました。このような事では、これからの日本の竹文化自体消え去ってしまうのではないか?何とか竹に興味を持っていただきたい、そう思っていた矢先に東洋竹工(株)さんが京都の地元企業や研究所、大学と共同開発した電気自動車を知り、虎竹で製作する事を思いついたのです。


ところが、田舎の小さな竹屋が単独で製作するには、あまりに時間と費用がかかります。そこで活用したのがクラウドファンディングでした。クラウドファンディングとは今では一般的になりましたが群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語であり主にインターネットを活用して不特定多数の方から資金提供を受ける仕組みです。自分がお客様を横に乗せて竹を体感しながら走りたいと思い二人乗りの電気自動車にこだわったために光岡自動車のLike-T3をベースに製作しましたので若干予算オーバーしましたもののクラウドファンディングを活用して全国135名様から3,511,455円という費用を調達して虎竹電気自動車「竹トラッカー」を完成させました。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


チャレンジラン・横浜
クラウドファンディングには思わぬ副産物がついていました。資金提供いただいたお客様へのリワード(返礼)のひとつで高知から神奈川県横浜市まで走って行かねばならなかったのです。しかし、これもプラスに考えますとその道中では沢山の方にご覧いただくチャンスにもなりますし、メディアへの露出も期待できます、まさに竹トラッカーを製作した甲斐があるのではないかと思い「チャレンジラン横浜」のプラン作りに入ります。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」、チャレンジラン横浜


高知県須崎市安和の虎竹の里から神奈川県横浜市までは約1000キロの距離。竹トラッカーは電気自動車のため連続して走れる距離は60キロです。荷物の重量加算や余裕を考えて40~45キロ走った時点で一回充電できるよう、国道沿いにあるコンビニ各店に充電協力のお願いとアポイントを取りました。竹トラッカーで45キロを走るには約2時間かかります。そして充電を満タンにするのには6時間が必要。早朝から走り出したとしても一日に充電できるのは3回が限界です。途中、箱根峠での充電切れなどトラブルもありつつ、1日に3回×6時間の充電を繰り返しながら高知から横浜まで、1000キロの道のりを11日間かけて無事走り切る事ができました。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、世界竹会議(11th World Bamboo Congress Mexico)


チャレンジラン・メキシコ
第11回世界竹会議(11th World Bamboo Congress )での基調講演は、サンパウロから帰国してすぐにお話しを頂戴いたしました。ただ、せっかくメキシコまで行くのであれば日本唯一の虎竹自動車「竹トラッカー」も連れていきたいと考えます。しかし、簡単に考えていた輸送が電気自動車という事で結構難しい事を知ります。輸出いただける運輸会社がないのです、慌ててあちこちの会社を当たるうちに、どうにか一社だけ運んでもらえそうな所がありました。


ところが虎竹の里から神戸港までトレーラーで陸送し、船でメキシコはマンザニーロの港へ、上陸したあとは会場のあるハラパの町まで1000キロのトラック移動です。全部の費用を見積もりして頂くと驚くことに302万円もかかってしまいます!この見積書が届いた時には、自分達に到底無理だと諦めの気持ちもありました。しかし諦めきれず、すがる思いで再びクラウドファンディングに挑戦させていただきます「チャレンジラン横浜」に続き「チャレンジラン、メキシコ」の始まりでした。 1ヵ月という短い期間でしたが、全国の皆様の応援のお陰でギリギリで無事達成することが出来てハラパまでの輸送が可能になります。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


それからは、沢山の応援を頂き、せっかく竹トラッカーをメキシコまで運んで行くのだから、どうしても現地の皆様と一緒にメキシコの町を走りたいとメッセージを送り続けていました。実は、世界竹会議が始まってからも竹トラッカーは会場に展示されているものの公道を走れる見通しは立っていない様子だったのです。しかし、今回こうして無事展示できているのはクラウドファンディングを応援いただいた皆様のお陰です、メキシコの空の下を疾走する姿を夢見て援助を下さった皆様のためにも、このまま帰国はできないと思っていました。


そこで初日から大会関係者の皆様への嘆願活動を開始します。自分の基調講演の出番は最終日の一番最後でした、講演はもちろん大事ですが目的の半分でしかありません。竹トラッカーでメキシコを走りたい、その思いを毎日伝えますが、そこではハラパの会場で自分を助けてくれる通訳の方や現地スタッフが大いに動いてくれました。


世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


かくして、沢山の協力者のお陰で竹トラッカーは初めて海外の道路を走りだす事になります。大会関係者の自動車4台に前後を守られながら、世界竹会議の会場であるGAMMA FIESTA AMERICANA XALAPA NUBARAから公道に滑るように走り出した時には感無量でした。地元ハラパ市民の方にも「Tiger Bamboo car」と親しまれ、道路脇に停車させると写真撮影を求める人だかりが出来て大いにメキシコの方々を熱狂させたのです。この時の様子は動画にまとめてフェイスブックで公開していますが、わすがこの5ヶ月で再生回数72万回を突破する大人気コンテンツとなっています。
※再生回数は2019年3月に100万回突破しました。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


21世紀は竹の時代(the 21st century is the age of bamboo)
第11回世界竹会議メキシコでの基調講演ではお伝えしたい事が二点ありました。まず一点は、文献に残るだけでも江戸時代から生産と製造を続けている虎竹の里と、竹虎の営みを世界に知ってほしい事。そして「虎竹の模様は霜が降りると綺麗に出る」という昔からの言い伝えどおり近年温暖化の影響から虎竹の色付きが悪くなってきている事です。虎竹の現状をお伝えし、環境問題に対して人が竹から学ぶことがもっとあるのではないかと問題提起をしたいと思いお話しさせていただきました。


環境問題は個人ではとうてい解決できない大きな問題です。でも、そんな課題に立ち向かう時、竹に学ぶことがあるように思っています。竹は天を目指して真っ直ぐに伸びていきます、それは目標に向かい迷う事なく真っ直ぐに進んでいくお手本となります。竹は柔軟性を持ち、しやなかで、強い風にも決して折れることがありません。それは、困難に突き当たった時にも粘り強く立ち向う姿を示唆してくれます。そして竹は地下茎で沢山の竹と繋がって「地震の時には竹林に逃げろ」と教わってきた強い地盤を形成します。これこそ仲間同士が繋がり連携し、助け合う事の大切さを教えてくれているようです。


竹虎では1985年から「21世紀は竹の時代」とずっと言ってきました。竹の成長はとても早く3ヶ月で親竹と同じ大きさになり、3~4年で製品に加工できる事から持続して活用することのできる唯一の天然資源であるからです。そして、環境問題が大きな課題の中で昔ながらの伝統的な竹細工にとどまらず、竹の持つ抗菌性や消臭性、竹繊維等の高度利用まで含めると無限の可能性を秘めていると考えています。世界の人々が人種や国籍を越えて、竹に学ぶ時代が来たのだと思います。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


「笑」=「竹」+「二人」
竹が日本人の暮らしに深く関わってきたと言うことは漢字を見てだけでも分かります。「籠」「笊」はもちろんですが、「箸」「竿」「箱」「筆」「筒」など実に多くの漢字に「竹」が付いているのです。そして、そんな漢字の中に「笑」という文字があります。この「笑」という文字は、「竹」に「二人」という漢字で構成されます、つまり、竹とあなたと私で笑顔になると言う事です。竹は古の昔から人々の生活に役立ち、笑顔を創って来られたからこそ「笑」という感じが生まれたのだと思います。これからの未来に向けても、竹が人を笑顔にする存在であり続けられるようにするのが自分達の使命です。


再生回数100万回を越え!遠い異国のメキシコを大疾走する日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」の雄姿をご覧ください。















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生き残る者は、強い者でも頭の良い者でもない。変わり続けた者だけ

2019年2月27日

Li Couture


先のパリでの事です、早朝にホテル近くの薄暗い道を歩いていました。そうしたら誰もいない静まりかえった街並の中、一軒の洋服屋さんらしきお店が開いており中では職人さんが一心不乱に手仕事に励まれています。その姿が竹虎を退職されて自宅兼工房で自分のペースで内職仕事を続けてくださっている職人に重なりました。


沢山吊り下げられた洋服が見えるので縫製作業をされているのか?通りかかっただけの何も知らないお店です。しかし、バカンスが長いとか聞いており、何となく勤勉なイメージは、どちらかと言うと少ないフランスにあっても手仕事をする職人の世界は同じです。自分の手から価値を生み出す竹職人を見るかのように思うと嬉しくなって暫く眺めていました。


Uber


田舎者で日本語すら満足ではなく、土佐語しか話せません(笑)。なので海外など行くと地下鉄やバスといった公共交通機関を乗りこなす事に憧れるものの、迷ってしいまそうで利用できずにいるのです。そこでもっぱらの移動手段はタクシーでしたが、最近Uberを使う事を覚えましたが、使いだすとこれほど便利なものはありません。決済がカードで済んでいるので現金が不要ですし、知らない土地でも行きと帰りで料金が違うなどという事がありません。


また、Uberでは車種を選べますので少し割高ではありますが先のパリ市内で「Berlin」というハイヤーに相当するらしい車を選んでみました。するとベンツやアウディといった高級車が数分でやって来ると言いますからビックリします。一度乗車した車はTESLAという名前をかすかに聞いた事があるような車でした。初めて乗る車ですが何とコントロールパネルと言うのでしょうか?パソコンの画面のようなモニターがついています。


人を車で運ぶというずっと昔からあったサービスを圧倒的に利用すやすくしたUber、そしてこのTESLAという車。同じコトやモノでも進化し続けなければならないと感じさせてくれます。「生き残る者は、強い者でも頭の良い者でもない。変わり続けた者だけだ」という有名な言葉を思い出します。自分達も虎竹という背骨は変わる事はありませんが創業の1894年以来、作り出す製品や仕事のやり方はずっと変わり続けてきたから今があります。





変わらない職人の手仕事、変わり続ける竹の仕事、どちらも車の両輪のように大事なものなのです。昨日から公開している竹虎新卒採用動画で求める人材を問われた時に、やはり一番に考えた事は「変わる」でした。


竹虎四代目(山岸義浩)


そうこうして、今回はスペインのビルバオからロンドンのヒースロー空港まで飛んでから乗り換えて羽田、さらに乗り換えて高知に帰ってきてヘトヘトでした。しかし、誰も迎えには来てくれていません。この格好のせいでしょうか?(笑)













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明石高校では黒竹の花が開花

2019年2月26日

黒竹の開花、新聞記事


先日お客様からお送りいただいた神戸新聞には「数十年に一度?タケ開花」と、またまた竹の開花に関する話題が掲載されています。明石市の県立明石高校の庭に植えられている黒竹に花が咲いたとう事なので本当に全国的に竹の開花時期に入っているのは間違いないようです。


孟宗竹の花


昨年たまたま日本最大級の孟宗竹の開花竹林を見つけた時には思わず声があがるくらい興奮しました。孟宗竹は60年、真竹や淡竹は120年に一度と言われているので色々なところで竹を見ている自分も本格的な開花は知らなかったのです。


竹の花


開花スパンがあまりにも長いので人の一生の内に見られる事は稀な事、なので地元の山主さんや竹職人ですら竹の花とは気づかずにいたほど珍しいものです。竹虎ではウェブサイトでお買い物いただいたお客様に竹花のプレゼントを始めましたが、孟宗竹数本伐り倒しただけで凄い数の花が取れましたので今年になっても、まだまプレゼントは続いています。


孟宗竹の開花


一斉に花の咲いた竹林は、だんだんと勢いがなくなり枯れてしまいます。通年青々と生命力にあふれた竹が覇気がなくなっていくので昔は不吉な象徴のように思われていました。今まで見た事もない異様な光景ですので仕方のない事だったかも知れませんが、これも自然の摂理です。枯れた竹は種を残し10年、15年という長い時間をかけて元の美しい竹林に再生されて行きます、そう考えれば次世代の誕生という素晴らしい瞬間に立ちえていると言えます。


【竹虎】60年ぶり?孟宗竹の花が咲いた!
















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続・越中福岡の菅笠製作について

2019年2月25日

越中福岡の菅笠製作


越中福岡、菅笠の製作は竹骨から菅さし、仕掛け、のづけ、菅こぎ、笠縫いまでずっと手作業で進められます。暑い最中の7月に人の背丈以上に成長した菅を刈り取り、天日干しさせて乾燥させた材料を使って笠骨は男性の仕事、笠縫いは女性の仕事とされて来たそうです。


菅笠製作


笠縫いのステッチをご覧いただくといかに細かい手仕事かお分かりいただけます。


笠ぼんこ


竹で作られた道具が入った菅笠作りの道具箱は「笠ぼんこ」と呼ばれます。この地域では嫁入り道具として誰もが持っていて母から娘へと受け継がれてきた物もあると聞くと長い伝統を感じて心が温まるようです。


越中福岡の菅笠製作


ずっと菅笠縫いの仕事をされてきた職人さんに、しばらく仕事の様子を拝見させてもらいました。


越中福岡の菅笠製作


静かな時間が流れます。一針、一針、丁寧な根気のいる仕事がずっと続いていきます。


越中福岡の菅笠製作


しかし、こんな地道な手仕事があってこそ美しく感動するような菅笠が生まれます。


越中福岡の菅笠製作


溜息の出るような一文字笠、素晴らしいの一言です。


越中福岡の菅笠


ただ、ひとつ残念な現状がありました。これだけの長い歴史のある越中福岡の菅笠作りであるはずなのに一部の笠の骨にはプラスチックが使われているのです。


これを「嘘」と呼ぶには少し厳しいかも知れません。沢山生産してきた地元にも時代の変化と共に人手不足、材料、コストの問題など自分達と同じように多くの課題がある事が分っているからです。でも、竹骨職人が健在であるならば、竹骨をプラスチックに変える意味があるのだろうか?こうしてコストを下げて生産量を増やたとしても、それが越中福岡の菅笠なのでしょうか?少なくとも地域の誇りでもあるはずの伝統技術が継承されて行くとは思えません。


八重山クバ笠


石垣島で作られている八重山のクバ笠も、自分が一体に何に感激したかと言えば外からは見えない蓬莱竹で作られた竹骨でした。それが同じように先人からの技を引き継いでいると思ってた菅笠に、安易に形だけ真似た大量生産される異素材が使われていることにショックを受けます。


本当に知らないのか?ただ、勉強不足なのか?プラスチックの骨を使わざるを得ない理由があるとすれば、それをしっかり説明する事は産地と扱う側の大きな責任です。自分は菅生産の歴史、職人のひたむきさや、竹骨の美しさに感動しました。そんな菅笠のこれからを、お客様含めて皆で考える契機となるはずです。













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越中福岡の菅笠製作について

2019年2月23日

越中福岡の菅笠、笠骨


まずは、この素晴らしい竹骨からご覧いただきたいのです、これらは全て越中福岡で400年以上も前から作られる菅笠に使用される竹骨なのです。富士笠、立山笠、市女笠、三度笠、胴深笠、一文字笠、角笠、ヘルメットなど色々と種類が多くて驚きますがつい数年前までは数千個単位での製造が行われていたと言いますので日本のシェアの90%を占める本当に一大産地なのです。


富山県高岡市周辺では菅(スゲ)が栽培され、その刈取りからスゲ干し、笠骨の製作、菅さし、仕掛け、のずけ、菅こき、笠縫いと言った菅笠づくりの一連の流れを地域の職人が分担し製品として完成させています。2009年には、この技術が国の重要無形民俗文化財に認定され2017年11月30日には国の伝統的工芸品に指定されています。


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時代劇では次郎長の親分が被っていたのはこの三度笠でしょうか?竹骨だけでも惚れ惚れするように見栄えです。


笠骨職人


今までずっとこの笠骨作りに従事されて来て数えきれない程の竹骨を作られた本物の職人さんは寡黙ですが迫力が違います。


越中福岡の菅笠、笠骨職人


その一端を垣間見るのが無造作に壁に掛けられている穴だらけの板なのです。年期の入った五寸釘が打たれているのを見れば竹を扱う者ならピンときます。


越中福岡の菅笠、笠骨職人


そうです笠の竹骨を曲げて固定するための道具です。繁忙期には一日に何十、何百と製造していきますので竹骨を次から次へとこの釘に引っ掛けて型が付くまで置いておくのです。


越中福岡の菅笠、笠骨職人


富山の冬は雪も降りかなり冷え込みます。しかし工房にはさしたる暖房器具も見当たらず職人さんが黙々と仕事に打ち込む姿があるだけです。やはり凄味が違う、圧巻です。


笠骨職人ヘルメット


このようなヘルメットは既に竹骨の状態で格好良く、思わず欲しくなります。菅草には防虫・抗菌作用のあるコボフェノールAや肝機能障害をおさえるパリドールという成分が含まれると言います。今までとは違う需要の開拓として野球帽なども試作されていましたが伝統の確かな技術があってこその新しい製品づくりです。













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