懐かしい晒竹の光景
大阪・関西万博(EXPO2025)では、慌ただしくて何処かのパビリオンる事もありませんでしたけれど、竹の国・日本での開催らしく目についた竹がいつくかありました。入口から入ってすぐに、長尺の白竹がならべられた造作があります。竹虎では、白竹の製竹を止めて十年くらいになるでしょうか、それまでは、このように白竹をズラリと並べて天日干しするのが冬の風物詩になっていましたから見ただけで懐かしさが込み上げてきます。
万博大屋根リング
万博のシンボルである大屋根リングが見えて来ます、国産材7割、外国産木材を3割を使った、全周約2キロもある世界最大級の木造建築物だそうです。そんな大きな建物なのに、あんなに遠くに見える...万博会場は思う以上に広大です。
映像や画像では何度か見た、清水寺の貫工法という伝統工法で組み立てられた大屋根リング。強い日差しを避けながら、日本を感じつつ歩ける気持ちのよい通路になっています。
いったん、大屋根に上ってみました。ぐるりと見渡すと学生時代によく眺めた生駒山から、神戸、淡路島、遠くには明石大橋まで見えて、関西から淡路島、徳島あたりは案外遠くないのだなあと感じます。しかし、対面の大屋根リングまでは近くはありません、改めて会場の広さを思います。
万博の白竹ベンチ
行かれた方ならご存じのように、天気のよい開園時間頃には、大阪・関西万博の最寄り駅である夢洲駅から外に出たらもうかなりの暑さです。多くの来場者の方が日傘を差されていますが、これから夏の必須アイテムかも知れません。その暑さ対策にも、この白竹ベンチは役立っています。長く伸びた竹は見た目にも綺麗ですが、それだけではなく日除けとして機能しています。竹と竹の間が随分開いているけれど、大丈夫?はい、大丈夫です、これだけでも日差しを遮りますから全く違います。
竹の日除け天井
歩いている途中に、竹を日除けにした休憩所がありました。ここも竹同士はくっついているワケではなく、少し間をあけていて、大きな簾(すだれ)を並べたようにも見えます。
これで十分太陽の光が和らぎ、下のベンチにいると海風が吹いてきて一時の涼を楽しむことができました。炎天下では、とても昼寝など出来ませんけれど、ううん、ここなら出来そうかも...それくらい快適です。
白竹を使ったマレーシア館
今回ほど、竹の帽子を持ってこなかったと後悔した事はありません。坊主頭に直射日光がきつくてタオルで日差しを避けて少しでも近道したく、関係者用通路を通してもらいます。すると、白竹を建物に沿って美しく並べたパビリオンに行きあたりました。後から調べると、ここがマレーシア館で、波打ったように見える竹はマレーシアの伝統的な織物ソンケットがモチーフでした。
真っ暗になった帰りは表側を通りがかりました、この大きな建物には5000本の白竹が使われているそうです。同じ頃合いの晒竹を集めるのは、結構大変だったと思います。この曲線がソンケットを表現されていると聞いて少し親近感が沸きます。昔から東南アジアの織物は品質の割に手頃なので、ボクの愛用している竹皮草履の鼻緒に使っていたのです。
竹の三悪に「カビ、虫、割れ」があります。丸竹をそのまま屋外で使っているので割れは仕方ありません。でもこれは割れではなく、普段使ってもらえない竹が、こうして檜舞台に役立てて、大きな口を開けて笑っているんです。耳をすませば5000本の笑い声が聞こえてきますよ(笑)。