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全日本竹産業連合会主催・全国竹の大会 山口県大会での基調講演

全日本竹産業連合会主催・全国竹の大会 山口県大会


唯一無二の天然資源「竹」が持つ無限の可能性


全日本竹産業連合会が主催する全国竹の大会 山口県大会にて、基調講演の機会をいただきました。いよいよ今週の11月21日(金)山口県宇部市にあります、ときわ湖水ホールにて登壇予定です。今回の大会テーマ「TAKE(竹)×NEXT 未来を編む竹の力」に負けないようなお話ができるか分かりませんが、日本の竹産業の未来を担う皆様の前でお話しできることを心から光栄に思っています。


虎竹の筍


21世紀は竹の時代

竹の魅力は、その強靭さや柔軟性だけにとどまりません。竹虎では1985年から「21世紀は竹の時代」と言い続けてきましたけれど、それは竹が継続利用可能な唯一の天然資源と言われているからです。親竹と同じ15~20メートルもの高さに成長するのに、筍として頭を出してからわずか3ヶ月しかかからないという驚異的な成長スピード。もちろん課題はあるにせよ、里山で見渡せはどこにでもある竹の無尽蔵とも言える資源量は、持続可能性が問われる現代において最も注目すべきポイントです。


竹細工


日本の「もったいない」精神の具現化

古来より、竹は竹籠やザルとして生活用品から漁業、農作業、建材、工芸に至るまで、日本人の暮らしのあらゆる場面で活躍してきました。その柔軟性と加工性の高さから壊れても何度も手直しが可能であり、使えば使うほど飴色に風合いが深まり愛着が増していきます。


一閑張り手提籠


竹は未来資源

さらに修理ができなくなった籠に和紙を貼り、漆や柿渋で補強する一閑張りのような技法は、竹を使い尽くす日本古来のエコな暮らしそのものであり、現代のサステナビリティに通じる文化です。そう考えていきますと竹とは、単なる素材ではなく日本の文化と精神が宿った「未来資源」と言っても過言ではありません。


虎竹の林、竹虎四代目(山岸義浩)


変わりゆく竹林の異変

しかし今、この竹林で異変が起きています。ボクたちが百年にわたり携わってきた、日本唯一の虎竹(とらたけ)の竹林では、かつては半分ほどに見られた美しい虎斑模様が、今では8割から9割の竹にしか見られなくなってしまいました。地元に伝わる「霜が降りると色が付く」という言葉の通り、温暖化による気温の上昇が竹の成長サイクルに何らかの影響を与えている事は間違いないと考えています。


日本の竹林


竹と環境

地球全体の環境問題が、けっして遠いどこかの国の話ではなく、まさにボクたち日本唯一の竹林にまで影響を与えているという現実を受け止めねばなりません。この異変は、竹産業に関わる全員が竹と環境の関わりについて真剣に向き合い、具体的な行動を起こす必要性を示唆しているように感じています。


竹虎本社工場、虎竹油抜き


変わり続けて、変わらぬものを守る

竹虎では江戸時代から続く伝統を大切にしてきましたが、重要なのは過去の歴史を守ることだけではありません。ボクたちは、先人たちが延々とつないできた竹林の美しさ、竹文化を、これからの100年、さらにはその先につなげていけるかどうかの岐路に立っています。虎竹の里では120年に一度という竹の開花も始まりました。竹と伝統を守りながらも、大自然の営みや気候変動などの新たな課題にも対応し、竹の新しい価値を創造していく革新が必要なのです。


全日本竹産業連合会主催・全国竹の大会1975


50年前の全国竹の大会案内

さて、今回の全国竹の大会 山口県大会スローガンは下記のようになっていて、放置竹林問題、環境問題をふまえて全てが前を向いています。


1.竹のリブランディングについて考えよう
2.竹を活用した地域経済の活性化を目指そう
3.竹の循環利用について考えよう
4.地域の特性を活かした新たな竹産業について考えよう


今、ボクの手元には1975年に開催された全国竹の大会の小冊子があります。第16回大会、ちょうど50年前に三重県鳥羽市の大会の様子を今に伝えているその内容をみますと、竹業界の大きな変遷が分かります。半世紀前の大会案内では「日本の竹を守り育てよう」とあり、当時の時代背景もあるかと思いますが現在にも通じるテーマをもって開催されています。次の100年へ、伝統文化の継承と革新に答えがあるわけではありません。11月21日の基調講演では、この竹の可能性と課題を踏まえ、ボクたちが取り組むべき竹の未来の課題にヒントが見つかればと思っています。





竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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