
飴色になった母の白竹八ツ目買い物籠
ボクはブランド物とはあまり縁がなくて、ほとんど何も持っていません。唯一、王冠マークが職人の五本の指を表していると聞いたロレックスを30数年来愛用しているくらいです。母も普段に提げる買い物籠やバックなどは全て竹製のものばかりで、ブランドのバッグなど使っているところを見た覚えがありません。ところが、そんな母が箱に入れて大事にしまっているヴィトンの箱があります。

ヴィトンクラッチバッグ
珍しいと思って箱を開けて見させてもらうと、クラッチバックが入っています。さすがに高級バッグは手触りもよくて、ただ単に有名なブランドというだけではないと感じます。使い勝手を考えたデザインと耐久性の高そうな革素材は多くの方に長く愛されている理由が分かります。

それにしても、箱からして立派です。そして、中に入っている保存袋も思わず何かに使いたくなるようなしっかりしたものです。あまりブランド品に触れることもないのでじっくり見てました。

福屋八丁堀店
ところが、その保存袋を取り出して箱の隅に入れられた「ルイヴィトン福屋八丁堀店」と書かれた文字を見つけて鳥肌が立ったのです。何故かというと、実はボクがまだ大学を卒業したばかりの頃、祖父と母、数名の社員と共に広島の福屋デパートさんの催事に出かけた事があったのです。

祖父からのプレゼント
福屋さんでの売り出しは初めてとの事でした。竹商品を満載した10トントラックを大通りからギリギリいっぱいの搬入口に何とか入れて、皆で最上階までエレベータで運びこみます。随分前のことなのに、何故か売り場担当の方の顔や名前までよく覚えています。そうそう、アルバイトのY君という学生さんも手伝いに来てくれていました。とても暑い日でした、クタクタになって設営を終えて会期が始まりましたが、思いがけず売れ行きが良くて準備の苦労も吹っ飛びました。そんな一週間の催事最終日に、労をねぎらってくれた祖父が留守を守る父へのお土産にと、母にプレゼントしたのがこのクラッチバックです。
久しぶりにみた広島の老舗福屋の文字、一気にあの頃のことが蘇ります。デパートの前には高知市内と同じような路面電車が走っていて親近感の沸く街だと思いました。そういえば、あまり行く機会もなくてしばらく行った事がありません。来月は山口県で全日本竹産業連合会の全国大会があります、車で向かう道すがら少し長距離運転になりますが瀬戸内しまなみ海道を通り立ち寄ってみたくなりました。
