200万回突破!YouTube動画、日本唯一の虎竹を使った玉袖垣の作り方

虎竹袖垣


竹は実に様々な形に姿を変える、常用漢字で竹冠の付く文字は144もあるからその多さが分かる。その成長力と加工性の高さから、ずっと人々の近くに寄り添い生活のあらゆる場面で活躍する道具となり役立ってきた。まず竹細工と言えば竹ざるや籠を思い浮かべると思うけれど、実はそれだけではない。筍は貴重な食べ物として飢えを救ってきたし、護岸や地滑り、防風林として人の命と財産を守り続けてきた。


虎竹角袖垣、bamboo fence


近年ではすっかり馴染みのなくなった竹袖垣も無数と思えるくらい沢山の顔を持つ竹の一つの形だ。飾りとして目隠しとして竹ならではの雰囲気を醸し出して庭に鎮座してきた。写真に写っている角袖垣の他にも丸みを帯びた玉袖垣、片袖垣や屋根付き、穂垣、焼き柱垣、光悦垣など竹虎で定番として製作していたものだけでもかなりの種類になる。


虎竹垣製作、竹職人


ところが現在では、若い方はもちろんの事、このような竹文化を知る方は日本からいなくなったのではないか?と思えるくらい寂しい状態が続いてきた。だから昨年の6月10日にこの動画をアップした時にも実は全く期待しておらず日本唯一の虎竹袖垣のアーカイブ程度に考えていた。まさか1年と2カ月で再生回数が200万回を越えるなど夢にも思っていなかった、しかも想像するより日本国内からの視聴回数が多い。忘れられたと嘆いている他の伝統産業でも、きっと同じような事があるかも知れない。




虎竹ミニ屋形垣が出来るまで

 
虎竹袖垣、竹職人


竹袖垣は高さ170センチのものが定番ですが、場所によって120センチの小さいサイズをお使いいただく場合もあります。少ないミニサイズの中でも今回は更に珍しい屋形垣を製作することになりました。


虎竹ミニ屋形垣柱


小さくとも製作工程は全く同じで、芯の部分につかう竹材から作ります。


屋形垣柱


袖垣格子入れ


黒竹の格子竹を入れシュロ縄で縛っていきます。


袖垣製作


袖垣製作工程


虎竹の巻竹完成です。


袖垣仕上げ


巻竹を施し、ヒシギや黒穂の飾りをします。


虎竹ミニ屋形垣




虎竹片袖垣の枝屋根について

虎竹片袖枝屋根付き、竹職人

 
一体どこで使うのだろう?最近あまり見かける事のなくなった袖垣をご覧になられて、こう思う方も少なくないのではないでしょうか。しかし、昔はごく一般的な住宅でもこのような袖垣を玄関脇などに設える事は多かったのです。今なら日本庭園や和風の店舗用のように見られてしまうかも知れませんが、20数年くらい前でも売り出しのイベントに参加させて頂くと地域によっては飛ぶように売れていた竹製品なのです。


枝屋根


レアになりつつある竹袖垣の中でも更にレアなのが、この枝屋根付きのタイプです。袖垣に屋根が付いている凝った作りが好きな方には人気がありました。ただの飾りのようにも見えますものの、外で雨風の当たる場所で使うこのような竹細工は少し雨除けがあるのと無いのとでは格段に耐久性に違いがでるものです。


杉皮


小さいとは言え杉皮を下地に黒穂で仕上げた本格的な作りなので、杉皮もそのためにストックしています。


枝屋根


実家の庭には同じような屋根付きの垣がありますけれど、玄関脇に設置していた袖垣が古くなり取り換えて
何代目か分からなくなってもまだまだ使えそうなので小さな屋根でも効果は絶大だと思います。


黒穂材料、職人


さて、この屋根の仕上げに使う黒穂は先端の細く短い部分だけを使用します。


袖垣の黒穂飾り


つまり袖垣の飾りに黒穂を使った時に切り飛ばす先端部分を有効活用しているのです。


枝屋根を作る

先日はYouTube動画で黒竹の竹林での黒穂集めをアップいたしました。ご覧いただければお分かりいただけるように、苦労してせっかく集めてきた黒穂なので捨てるところがないように全て有効活用しています。




虎竹ミニ弓垣

 
ミニ弓垣職人


まさに弓矢のような形をした弓垣も虎竹で製作するラインナップのひとつです。このような小さなサイズの竹垣など一体どこに使われているのか?不思議に思われるかも知れませんがも、たとえば飲食店の室内に設えた坪庭などで見かけた覚えはありませんでしょうか。


弓垣製造


サイズは小さいながらも作りは大きな袖垣と全く同じです。芯に使う竹材に切り込みを入れて曲りをゆったりと付けていき、格子を入れて仕上げにかかります。


ミニ弓垣、竹垣


細く割った虎竹で芯の竹材を巻いて完成します、今回この弓垣の製造工程も動画にした方が分かりやすいと考えて作ってみました。関心のある方は、意外と手間のかかる仕事の様子をご覧いただきたいと思っています。




竹の曲がり角が見える「穂垣」が出来あがりました

穂垣


袖垣というのは日頃はあまり身近に感じられている方は少ないと思います。時代と共に建築様式が変わり竹で垣根をされる事もありませんし、よく普通のご自宅でも玄関脇に設えられていた袖垣も見かける事は無くなりました。いえいえ実はお近くにあったりするのですが、実は意識していないので目に入っていない事も多いのではないでしょうか。


穂垣


今回完成したのは穂垣と呼ばれる竹の穂先を使った垣で、竹の垣の中でもかなり個性的で袖垣上級者の方がお使いいただきますので竹虎でも久しぶりに製作しました。実はあまり日頃から作るものではありませんし、最近では材料の竹の穂先自体が少なくなって仮に沢山の注文があってもまかない切れない竹製品のひとつです。


竹


竹の枝だから竹林にはいくらでもあるように思われるのが普通です。ところが竹はあってもその竹枝だけを使う訳ではありません、竹を伐採し竹の稈は別の加工に活かしてその際に切り外したものが竹穂に使われます。


虎竹山出し


今回製作した穂垣は黒穂と呼んでいる黒竹の穂先を使用しています。虎竹や孟宗竹の竹枝もかっては伐竹した後に小枝だけを集めて色やサイズにより等級に選別し、10トントラックに満載して出荷するほどでしたが現在のように竹を伐る事が少なくなると、このような竹枝も生産されなくなります。


何気なく竹の穂垣を御覧いただいていますが、竹一本を全て製品に加工して成り立っていた竹の仕事はすでに曲がり角に入っています。それでも昨年の6月に公開させてもらった袖垣製作の動画はすでに再生回数115万回を超えました、多くの方の期待と応援の声と励みに思いながら歩んで行きます。




虎竹光悦寺垣6尺を作る

虎竹光悦寺垣、竹職人


今年の夏も猛烈に暑い日が続いています。そんな中、職人が製造しているのは光悦寺垣、京都の光悦寺に由来する半月形の曲線の中をヤライで組んで仕上げた竹垣です。袖垣に比べても特殊で一般のご家庭で使われることは稀ですが、忘れた頃に一つ、二つのとご注文をいただきます。


虎竹林


今回作っているのは6尺(180センチ)サイズの光悦寺垣、出来あがるとかなりの大きさです。もちろん日本唯一の虎竹を使って作ります、竹林の画像に写るのは「青々とした真竹みたいな竹で虎模様がない」と心配される方がおられると思います。青々とした竹は今年の若竹です、虎竹は3年程度経ってくると虎模様が段々と浮かびあがってきますのでご安心ください(笑)。


光悦寺垣製作


光悦寺垣の巻竹は芯部分の孟宗竹のゆるやかな曲線に沿って巻いていくので長めのものが必要です。庭の演出に欠かせない垣のひとつのバリエーションとしてずっと続いてきたものの近年は定番のサイズというより先の牧野植物園さんに設置させていただいたような別誂えが主流になるのかも知れません。


虎竹光悦寺垣、竹職人


これだけ存在感のある竹垣です、やはり置き場所を選んでしまうのは仕方ありません。しかし思えば自分の入社した30数年前に3尺から7尺まで各サイズを定番のように製作していたのですから日本人の暮らしはここだけ見ても大きく変化していることになります。




虎竹枝折戸の作り方

 
枝折戸製作


虎竹の袖垣や枝折戸は完全な分業体制が整っていた。袖垣で言うと竹枠組みから、巻竹、仕上げまで大きく3工程に分かれていて、それぞれが専門職となりフル生産するのだが竹枠用の孟宗竹、巻竹の虎竹、仕上げに使う竹穂・四万十カズラ・ヒシギ等部材の採取の職人、その部材を加工・細工する職人のに細かく枝分かれのようにあったので内職を含めると数十人の人々が一枚の袖垣作りに関わっていた。


枝折戸製作


実は枝折戸も袖垣ほど複雑ではないものの枠組と編み込みは分業で毎日のように内職さんに通っていた時代がある。竹枠と編み込み用に薄く剥いだ「ヘギ竹」を届けると、待ちかねたように古老の職人が無駄のない手さばきで編み始める。柔らかいヘギ竹は、編み台の上でまるで激しいダンスを踊っているかのようだった。あの頃、2台の10トントラックに満載されて運んでいた袖垣や枝折戸は何処に行ったのか?今でも細々と続いている枝折戸製作を見ながら思っている。




伝統の虎竹玉袖垣を製造する

虎竹玉袖垣、職人


竹製の玉袖垣を今回ご紹介してみたいと思ったのには幾つか理由があります。ひとつは、ほんの一昔前まではこのような袖垣が普通に玄関脇などに設えられていたのに今では本当に大きな邸宅であるとか、和風の庭園や特別な場所にしか設置しない竹製品となってしまった事です。


ご存知ない世代の方には信じられないかも知れません。日本は狭いようで広い国ですから、もちろん地域差はあって雪の多い地域では袖垣などあまり使われなかったりしますが、ごく一般的なご自宅の庭に設置されてきたものなのです。


虎竹枝折戸


毎月数回は定期的に10トントラックに袖垣を満載して出荷していた程ですし、イベント等に出かけて行っても4トン車くらいの製品は空になるほど人気と言うより当たり前に使われていた製品ですから少なくなったとは言え現在も需要はボツボツとあります。海外からの輸入品をホームセンターで見かけることもありますから、この虎竹枝折戸等と同様にやはりそれなりに流通している庭園用品ではあります。


竹虎職人


袖垣を初めてご覧になられた方の多くが口にされるのは、一本の柱をそのまま使っていると思っていたのに細くわった虎竹を孟宗竹の芯に巻き付けている手のかかった細工への驚きです。そこで、少し長めのYouTube動画となりましたものの竹枠組みから仕上がるまでをご紹介することにしました。どうかご覧ください。



虎竹袖垣のあるお宅

虎竹袖垣


とある勉強会で登壇された講師の先生が「皆さん、目を閉じて」と言いました。そして「私が今日しているネクタイの色が分かる方は手を上げてください」と続けたそうです。今さっきまで目の前にいた方のネクタイだから分かりそうなものですが、実は青だったか?赤系だったか?ほとんどの方は分からないという話を聞きました。


まさに、この虎竹袖垣などはその典型です。竹虎に来社される方は少なくないと思いますが、その中で袖垣をご存じの方はほんどおられません。中高年の方でしたら今まで何からかの形で見たりする機会はあったかも知れないものの関心がないと人の目には入らないもかも知れません。


虎竹玉袖垣


しかし、この虎竹玉袖垣などはどうでしょうか?洋風の建物には似合わないと思われてる方もおられますけけど何年も使って古びた袖垣も味があっていいものですし、新品にやり替えた袖垣も素晴らしいものです。このお宅のお客様はこうして数十年来同じ別注サイズの袖垣をご愛顧いただき続けていらっしゃいます。


虎竹袖垣


あまり見かけないと思われる方ほど、これから何処かに行かれる際には是非注意してみて下さると嬉しいです。玄関先の見えるお家にこのような袖垣が設えられているのを自分などは度々でくわします。


虎竹玉袖垣、竹垣


このように大きな特別サイズの袖垣は確かに少ないです。


建仁寺垣


京都とかに行くと白竹を一定幅に割った竹を並べて製作する建仁寺垣はあちらこちらにありますので探してみて下さい。白っぽい晒竹の色合いが枯れて渋い風合いに変わっているのも竹の魅力です。


虎竹光悦垣


さらに、このような形の光悦寺垣も庭にあったりしますので目につきだすと楽しくて仕方ありません。


パリの犬矢来

虎竹犬矢来


京都を歩くと必ず目を引くのが塀に設えられた犬矢来です。元々は軒下を守るための柵のようなもので犬のオシッコ除けだとか、雨宿りお断りのためのものだとか言われますが現在では古都の町を彩る無くてはならない竹の造作物となっています。


虎竹で製作することは珍しく、多くは白竹や青竹で作られています。出来あがったばかりの晒竹犬矢来がズラリと黒壁に並んでいたりすると本当に美しいものですけれど、これが時間の経過と共に色褪せ、枯れた風合いになってからでも又味わいが出てくるので竹はいつまでも楽しめるものです。


パリの犬矢来


さて、ところで先日パリのケ・ブランリー美術館で開催されている日本の竹工芸展を拝見に行った帰り道に面白いものを見つけました。竹と鉄と言う素材の違いはありますものの壁に沿ってずっと向こうまで並べられている物は紛れもなく日本の犬矢来のようです。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI、山岸義浩)


しかし、日本から遠く離れたフランスで文化も違うのに同じようなものがあるのだろうか?何か別の意味合いなどもあるのではないだろうか?帰りの機内でもずっと気になって考えていましたが、そう考えて竹虎FBに投稿してみたら、物知りな方が教えてくれました。


やはり設置の理由は日本と大差ないようです、特に道路が舗装されていなかった時代には馬車が通ると泥がはねて汚れるのでそれを防ぐためだというのは納得できます。確か、ニューヨークの住宅でも泥はねを防ぐために一階部分が階段になって入り口が高く作られていると何かで読んだ覚えがあります。


それにしても同じようなものが日本では竹で、パリでは鉄でそれぞれ誕生して今でも使われているのは興味深い事です。