雨上がり、虎竹の里

虎竹名刺入れ


「もう、購入したのは10年くらい前ですよ」虎竹名刺入れを片手に笑顔で挨拶いただいたがです。初めてお伺いした場所での竹サミット。右も左も分からない会場で声をかけていただいて、まっこと感激したがです。使い込んだ虎竹がエイ色に輝きゆう。ワシも虎竹の名刺入れを一生の友にしようとずっと愛用しちょりますので、初対面の方やのに懐かしささえ感じるような妙な気分ながです。こうやって、こんな笑顔で、こんなに楽しそうに、虎竹を使うてもらいゆうがや。


昨夜からの雨もあがって、向こうの山がクッキリ見えゆう。虎竹と話がしたくなったちや。竹皮草履をブーツに履き替えて(※ブーツ=長靴)、今日もひとり、竹林へ行ってみるがぜよ。


竹節の道

竹節


曲がりくねった坂道を上り、曲がりくねった坂道を下り、はるばるやって来た山深い集落。今日は、竹と向き合うて生きる一人の職人さんに会いに来たがぜよ。熟練の竹職人さんは年々少なくなってきて、びっくと(少し)心細い思いをすることもありますけんど、なんの、まだまだ。若い力が立派に育ってやりよりますぞね。


おまんの顔は、まだ見てもないけんど、声すら聞いた事もないけんど、いやいや、分かる、分かる。ここに無数に落ちている、ずっと向こうの山道まで落ちている竹節を見たら分かるちや。おまんが、どんな男か知らんけんど、こんなん見たらおまんと分かり合えんはずがないがやきに。こんな景色に出会うた瞬間に、見たこともない山々や、小川のせせらぎや、竹林を揺らす風。煙がたなびいている向こうの民家までが、妙に懐かしささえ感じてきて、どうにも初めての場所とも思えなくなってくるのでまっこと(本当に)不思議ながですちや。


祖父の茶室

竹虎の茶室


竹虎の本店の歴史は結構古くて、もうかれこれ40年以上もやらせて頂きゆうがです。こうやって長い間営業させてもらっているのも、ご愛顧いただく皆様のおかげ、まっことありがたいです。ありがとうございます。


だから、祖父がこだわって店内に造ったこの茶室もかなりの年数が経っちゅうがです。竹とお茶や華道は密接な関係がありますきに、お茶を通して竹を知って頂きたいという思いもあったようです。以前は、定期的にお茶席などもありましたが、今ではお茶を習う方もいなくなって、ちょっとした物置のようになって久しい茶室。竹に真っ直ぐだった祖父が造りましたので、なかなか思いきれずこじゃんと迷いもしましたが、スペース確保のために取り壊す事にしたがです。


茶室


空いたスペースは何に使うかと言いますと、黒竹箸箱虎竹男箸などへの刻印用のレーザー刻印の機械を設置する予定ながです。この機械は結構大きなものですし、作業をはじめると排気をかける関係で音もなかなか大きい。社員には効率よく明るく広いところで、のびのび仕事をしてもらいたいと思うたのです。心落ち着く思い出のお茶室がなくなるのは残念ですけんど、なんの、なんの、こうすることによって少しでも多くのお客様に竹を知っていただく事ができて、竹で笑顔の輪を広げる事が出来るとしたら天国で見てくれゆう、おじいちゃんの顔も、おばあちゃんの顔も、会うた事はないけんど初代宇三郎曾じいさんも、イト曾ばあさんもきっと笑顔になるはずながぜよ。


ウツボ漁師さんの道具

ウツボ籠


やっぱり漁師さん達は魚のを捕ってなんぼなので、道具へのこだわりは素人の比ではないがです。そりゃあ、そう、魚を捕る事を生業とするプロ集団やきに。そこで先日、製作させて頂いちょりましたウツボ籠のウケ口に、「少し、ここを直してもらいたのだけれど...」こんなご相談を受けたがです。


そもそも、ウツボ籠など使う地域は、自分たちの暮らすこの高知と、和歌山、漁師さんからご注文いただいた宮崎県くらいではないろうか?同じ黒潮が流れて、気候も何となく似た3つの県のように思いますが、なので、もともと沢山需要がある訳ではないので、当然、職人さんも少なくてそれで、わざわざ遠く竹虎まで注文が来るのです。ご満足してもらえんかったら、こりゃあ大変やきに、すぐに送り返していただいたがです。


うつぼ籠ウケ口


そして、「これなら、どうですろうかっ!!!!!」ずっと昔に腕の良いと言われていた職人さんが作ったという見本のウケ口を参考にもしながら、ゼッタイにご満足いただける品物を改めて竹職人に編んでもろうたがです。おおっ!今度は、更にこじゃんと(とても)エイものが出来上がったちや。これで、イカンかったら、日本では、もうこれ以上の品質のものは出来んと思うちょります。


竹屋の四代目に生まれて

安和駅


虎竹の里は昔から交通の難所と言われよりましたので、ここに来る海岸線は断崖絶壁。幾つものトンネルをぬけながら汽車は走って行くがぜよ。ここ十数年も安和駅から汽車に乗ったことはないけんど、たまに汽車でゆられてやってくるお客様は、風光明媚な景色の事を必ずというて良いくらい褒めてくれますぞね。


日本唯一の虎竹が育つ、この谷間をつらぬく、この線路からおばちゃんは嫁いで行きました。ワシの幼い頃、この場所からモクモクと煙をあげて走る真っ黒い大きな汽車に乗って、あのトンネルに吸い込まれるようにして遠く知らない町に嫁いで行ったがです。あの日の安和駅には、おじいちゃんも、おばあちゃんも、父も母も、おじさんも、おばさんも近所の人たちもいっぱいやった。小さな駅舎のホームには人があふれちょった。


皆で手をふった。汽車が見えなくなっても手をふりよった。蒸気機関車の煙が消えて、いつもの静かな虎竹の里に戻ったら、キラキラ光る海から波の音が聞こえてきた。あんな温かい安和駅にもう一度してみたいにゃあ。あんな優しさに包まれた日は又来るろうかにゃあ。ここに来る度、いつもそう思うがです。


白竹のこだわり

白竹


白竹は、真竹を湯抜きと言うて竹の油分を取り去り、表皮を拭きあげて天日で晒すことにより、竹の美しさと強さを引き出した竹細工には広く使われる素材です。天気の良い日に太陽に晒すので「晒し竹」(さらしだけ)とも呼ばれよります。


小さい頃、祖父に連れられていった自動車旅行で、広い田んぼ一面に、この白竹が並べられ、天日干しされていた風景を覚えていたがですが、それが京都の取引先の竹屋さんだったと後で知ってビックリぜよ。どうしてち?今、訪ねてみたらそんな田畑は全くなくなって、マンションやら駐車場やらになってしもうちゅうがです。昔はあちらこちらで見られていた冬の風物詩のような光景も、時代の流れとともに変わってしもうたと言う事かにゃあ。


白竹選別


さて、そんな白竹ですがこだわって作ろうとしたらその製造は考えるより、まっこと(本当に)大変な事ばっかり。急な山からの切り出し、運搬、晒しの加工まで竹の美しい表皮を損なわないように注意して作業するため、こじゃんと手間と時間がかかるがです。この山の職人さんの技術こそ、これから継続していく事が一番難しゅうて竹細工の世界では非常に大切な部分ではないかと思うがです。


そして、けんどまだ凄いのは、こうやって製竹された白竹をキズや色別に何種類にも選り分けゆう職人魂ですちや。自然の竹なので色が多少違うとか、小さなキズなど当たり前に付いちょります。けんど、それを妥協せず一つの竹籠を編んでゆく。モノ作りの、こだわりと言うかプライドというか...こんな職人さんが、まだまだ健在やきにやっぱり竹の世界は面白いがぜよ。


竹骨の衣装ケース

竹編みの箱


この四角い箱は一体なんやろうか?もちろん、竹ヒゴで編まれた箱ながですが、太いフレームの部分も全部竹で出来ちょります。一体、これがどんな商品になるかと言いますと、実はこの竹編みの上に和紙を貼りうるしを塗り、一閑張り加工をほどこされて衣装ケースになるのです。


こういう箱物を細工される職人さんは、こじゃんと(とても)少なくなりましたきに、仕上がった商品は比較的高価なものとなりよりますが、箱の角はキチッと折り曲がって箱の形もしっかりと整うた四角い美しい形やし、まっこと腕がエイ。さすがに数十年の熟練の技としか言いようがないちや。今の時代にも、こういう本物が少ないとは言え残っており、製造が続けられちゅう事には、感動すらするのです。


続・牧野植物園の虎竹クジラ!?

虎竹くじら


ジャジャ~~~~~~~~~~~~~~~ン!昨日のブログで言いよりました 虎竹 のクジラには、こうやって花が飾られちょります!この池の向こう側には押しボタンがあって、ボタンを押すとなんと、クジラから噴水がブシューーーーーーーーと上がります。


花皿鉢


高知の食文化の代表というと、何というても宴会の時の皿鉢料理。大きな大きなお皿にドドーーーンと料理が豪快に盛られちょります。今回の 牧野植物園 の花々たちもこの皿鉢に盛られた花皿鉢!園内には色とりどりの皿鉢が来場された方々の目を楽しませちゅうがです。


虎竹尾長鶏


そして、クジラの他に高知と言うたら尾長鶏も有名ぞね。そこで、 虎竹を細く割った尾をつけた虎竹尾長鶏もおりますちや。しかし、今日は天気も良くて最高ぜよ!!!皆さん、晴れた休日は牧野植物園に行くがぞね~。


牧野植物園温室


最後に新しくなった温室に向かうたがです。実は、ここの中には、前に竹で組み上げた竹の小屋を作らせてもらいました。おっと、様子をのぞいてみましたら、以前より、熱帯の植物が育って更に雰囲気が良くなっちゅう!温室の熱気も手伝うてか、心まで熱うなってきましたちや。けんど、まっこと(本当に)緑には癒されます。 花と緑に囲まれてのんびり散策するような時間は大切やにゃあ。つくづく感じたがです。


牧野植物園の虎竹クジラ!?

牧野植物園くじら骨組み


先日、竹虎の工場に、何やら見慣れない造形物がトラックで運ばれて来たがです。ピーピーピー......とバックしながら入ってきて、荷台から慎重に慎重に、何やらおろしてみたら、なんと、なんとこりゃあたまるか!!!おらんくの池(太平洋)に泳ぐクジラやいかっ!!!


言うたちイカンちや、おらんくの池には潮吹く魚が泳ぎよる♪
※よさこい節


まっこと(本当に)、鉄筋で作られた大迫力のクジラだったのです。


牧野植物園くじら


この鉄筋に高知特産の虎竹を貼り付けて。虎竹のクジラに仕上げ、中に花を飾ってから池の上を泳がせるという壮大な計画!?仕掛け人は牧野植物園で働かれゆうワシの先輩ぜよ。そもそも土佐虎斑竹の命名の父は、高知県が産んだ世界的植物学者であられた牧野富太郎博士やきに。牧野植物園からのご要望とあったらそりゃあ、イヤも何もない。聞かんとイカンがです。


牧野植物園虎竹クジラ


虎竹を割ってフレームにあてがって、結構、苦労もしながらまあ、一応の形はできあがりましたぞね。さてさて、後はどんな花のあしらいをされるがやうろか?噴水も付けると言うけんどそれは、一体......!?夏にホエールウォッチングに行った時のような豪快なクジラが見られるろうか?続きは明日ぜよ~。


竹の伝道師になる

竹虎工場


大阪からお客様が来られちょりました。遠くからの皆さんには、いつも安和の虎竹の里の山を見ていただきます。竹虎の工場から見える山々が日本唯一の虎竹の故郷ながです。焼坂の山を正面にみて、山に囲まれたこの谷間でしか竹が生育しないというお話をいつもさせて頂いちょります。


正直な事を言うと、幼い頃からずっと見てきた山、ずっと親しんできた竹林なので、わざわざ説明する必要もないのではないか...?かなり前は、自分達ではそう思うちょったのですが、実は県外から、いえいえ高知県の方であっても、そして、頻繁にこの国道を車で通ることのある方でしても。虎竹の不思議な生育の事については何もご存じなくて、当然、イギリスBBC放送が来た事など全く知るよしもないのです。


竹工場


だから、当たり前の山々を見てもらい、竹屋の普通のお話をさせてもらうだけで「ええっ?そんな話はじめて聞いた」と、皆様が結構興味を持っていただけるがです。日本人と竹は長い長い歴史があるはずなのに、つい、この数十年で急に距離が開いてしまったのではないですろうか?けんど、まったく忘れられてしもうたワケではないと思うちょります。「エバンジェリスト」と言う言葉を知りましたぞね。伝道師という意味やそうです。自分らあが竹の事をもっともっとお伝えする。伝道師になる努力が必要やと最近とくに感じちゅうがです。


別注の枝折り戸

別注枝折り戸


枝折り戸と書いて「しおりど」と読むがです。裏庭などの入り口に、控えめではあるものの、しっかり境界線を引く。そんな役割を持っている門戸のひとつだと思います。ワシは縁側が大好きやったです。小さい頃、日当たりのよいここで遊びよったら、近所のおばちゃんやら、おんちゃんがやって来る。郵便配達のお兄さんが声をかけてくれる。


まっこと、日本の庭の良さというのは、この風通しの良さですきに。先日の竹サミットで話しを聞かせていただいたC・W・ニコルさんも森の風通しの事を何度も言われよりましたが、生け垣、竹垣など自分の空間を確保しながらも、他の人を拒むことない通気性のよい日本の暮らしは素晴らしいと思うがです。枝折り戸も、まさにそんな日本の文化の現れですが、最近は製造されている職人さんも竹屋さんもめっきり少なくなってきたがやろうか?遠い町からの別誂えのご注文があるだびに嬉しさもあるがですが、ほんのびっくと(少しの)寂しさも感じることがあるがです。


カメラマンのトニーさん

虎竹油抜き取材


虎竹の油抜きはガスバーナーで、こうやるぜよ!」その横で、カシャ、カシャ、カシャ......と写真を撮るイギリスから来られたトニーさん。さすがに楽天市場の取材は違いますぞね。社内公用語が英語と聞いちょりますけんど、カメラマンの方まで英語圏の方やきに(笑)外国のカメラマンが来られたのはイギリスBBC放送以来ぜよ。


袖垣


バシャ、バシャ、バシャ......心地よいカメラのシャッター音についつい、竹の袖垣づくりの説明にも力が入ってくるがちや。バシャ、バシャ、バシャ......けんど、こんなに撮ってから一体何枚載るがやろうか?


虎竹竹林


この日の虎竹竹林は少し曇りがちやけんど、静まりかえった雰囲気は神々しく感じられるほどで、はじめて来られた方や海外の方には衝撃的でさえあるかも知れませんちや。竹が運び出されて、選別され、製品となり出荷されるという昔ながらの仕事が延々と続く。もう、日本の他の地域ではおそらく見ることはできないであろう。昔ながらの竹の仕事が残る貴重な山。ずっと守っていくワシらあの山ながです。


たまるか!照明の竹傘

照明の竹傘


この饂飩屋さんは、古い民家を改築した、こじゃんと(とても)ユニークな造りながです。外から眺めても面白いにゃあ。と思いよりましたが、中に入ったら座敷や二階部屋があって、さらに楽しいお店で何かワクワクしてくるがやき。迷わず二階にあがって、ふと横を見たら、こりゃあたまるか!!!太い力竹を入れた年期の入った竹籠を逆さにして照明の傘にしちゅうぜよ。


こうやって見たら竹虎にある竹ざる、竹籠たちも照明の傘として使えるものばっかりやにゃあ。味のある建物と、味のある照明で、味のエイお饂飩を頂けるとは、まっこと、まっこと幸せなお昼ごはんながです。


竹と金

茶杓


豊臣秀吉が金の茶室を作って、その中で金の茶釜や茶道具でお茶を点てたという話は有名です。そう言うたら、いつだったか忘れましたけんど、黄金展なるものが開催されていて、その目玉として復元された金の茶室を見た事もありますちや。あまりの絢爛豪華さ、キラキラ光るゴールドの世界に圧倒されたがです。


太閤秀吉ほど金を使うことはなかなか出来ないのですが、虎竹茶杓をお買い求めいただいたお客様が、ご自分で金箔をあしらわれたとの事で拝見させてもろうたがです。虎竹、白竹とも、上手に金が使われちょって、なかなか気品を感じる出来映えにビックリしましたぞね。


竹と金。まったく相容れない素材同志のようですが、前にニューヨークの有名宝石店T社の竹パーティーバックでも、竹網代編みに金箔を貼ったのか、金色にそめたのか少し忘れましたが、黄金に輝くバックがありました。最初は妙な先入観がありましたけんど、実物を見ると、まっこと意外と相性は悪くないがです。竹の新しい可能性は、こうやって「?」のチャレンジから始まるかも知れませんちや。


最後の米とぎざる

米とぎざる


米とぎざるはご存じですろうか?今では無洗米などもあってお米を研がない事もあるようですが、精米技術の進んでいなかった昔からほんの最近まで、日本の台所にはこんな米研ぎざるが一つはあって、毎日、毎日お米を洗うのに使われよったがです。けんど、どうですか、この美しい竹ざるたち。だんだんと小さいサイズを作っていくので、それぞれが内側に綺麗に収まるようになっちょります。


横から見ても、上から見ても、下から見ても、手にとってしげしげ眺めてみてもやっぱり美しいのです。そして、このサイズのバリエーション。昔は生活の必需品として竹ざるが使われていましたので、当然それぞれ少しづつ違う大きさの竹ざるがあって、毎日の暮らしの中で、それぞれの使い方を、役割をしよったのです。今では、もうこんな同じ形の竹ざるを、何種類もの大きさ違いで編む職人さんなどほとんどいません。まあ、せいぜい大か小かくらいぞね。だから、こうやって昔ながらの職人さんの仕事を見る機会はこれが最後かも?ワシがしっかり目に焼き付けておかねば...。そんな事も思うたりするがです。


竹の同志

虎竹名刺入れ


自分がいつも虎竹のお話をさせていただく時には、一期一会の出会いを演出する。虎竹名刺入れを手にもって説明させていただくがです。この時もそうやった。「百聞は一見にしかず」まっこと(本当に)その通りですちや。日本唯一の虎竹がどんな模様なのか一目瞭然なのです。この虎竹を明治27年からなので今年で118年。竹のように真っ直ぐに竹だけやっていたら、イギリスのBBC放送が来てくれた、そんな自分たちのお話です。


竹の同志


虎竹や、会社の歴史などは確かに自分達の宝物ですけんど、竹の元に集ってこれからの竹の未来を考える熱い同志の皆さんも同じように大切な宝やと思うがです。それぞれの地方にある竹を特性を活かして、竹と人との関係を考えていくのには、竹のようにしなやかに強靱に辛抱強い地道な活動が必要かも知れませんぞね。


竹のメンコ

竹めんこ


久しぶりに童心に返ることのできる事がありましたちや。子供たちが楽しそうにワイワイやっているので、近寄ってみたら、おおっ!!!なんと「パン」をやっているではないですか!おっと、そうです、そうです。「パン」などと言うたら、餡パンなど食べるパンをまず思い浮かべてしますちや。高知では「パン」と呼びよりましたが、全国的には「メンコ」が一般的ではないかと思います。小さい頃には友達の家の庭に集まっては、色々なキャラクターの描かれたパンを持ち寄って朝から夕方まで飽きることなく遊んだものですちや。


竹メンコ


けんど、今日ちびっ子たちが楽しんでいるのは、びっくと(少し)違うようですぞね。なんと、なんと、竹のパンぜよ!!しかも、印刷されたキャラクターではなくて、すべてお気に入りの動物や、キャラクターや文字を手描しちゅう。まず、絵を描いて遊べて、できたパンで友達と遊べる。まっこと(本当に)これぞ、一粒で二度美味しい言う事やにゃあ。


コートやバックの収納に便利籠

脱衣かご


そもそも南国生まれの、南国育ちやきに。誰ち?ワシ、ワシ、ワシの事ですぞね。そりゃあ、初代の宇三郎曾じいさんは大坂生まれちや。けんど、竹虎創業したのは118年も前の事やきに。ワシはもう南国土佐の環境にバッチリ順応して、こじゃんと寒がりになっちゅうがです。だから、冬はコート、マフラー、手袋......。おっと、それから頭がボウズやきに帽子!それを部屋に入ったら流石に、それぞれ脱いでハンガーにかけたり椅子の背中にかけたり。けんど、皆さんもどうですろうか?わざわざハンガーにかけたりするのは面倒ではありませんか?脱いだものをササッと放り込める籠があったら、まっこと便利やと思うた事ありませんか?


そうそう、たまに飲食店などにテーブル席の下にあるではないですか。席にすわるお客様の上着や鞄を入れておく。そういう風な籠。そう思うて今回の丸籠は内側を一閑張りして、まあ、一閑張り言うたち和紙の上をポリウレタン塗装ですけんど。衣類を手軽に入れられるように仕上げたがです。ほいたら、自分が使うてみて、こりゃあ、エイ!こりゃあエイ!やきに。帽子、手袋など小物をササッといけるのがエイ。作って良かったにゃあ(笑)そう、思えるコート脱衣籠ぞね。


カマタスエコさん

カマタスエコさんご主人さんと


竹虎には、こじゃんと沢山の恩人がおりますけんど、2000年そこそこのインターネットを始めたばかりの頃。はじめて竹虎四代目を広い広いインターネットの海の中で見つけてくれて、わざわざ遠く茨城から高知の田舎まで飛んでやって来られた方がおったがです。カマタスエコさん。おまさんは、高知に生まれちょったら間違いなく「ハチキン」ぜよ。ええっ?ハチキンが分かりませんろうか?坂本龍馬を鍛えたお姉さんも「ハチキン」やったそうなけんど、つまりは、「金」が「八」やきに、男勝りもエイところの女性という事ながです。


けんど、嬉かったちや。虎竹の林に行って熱心に竹の事を聞いてくれて、今でもワシの中に生きちゅうアドバイスをくれたがじゃあ。先日は、ぼっちり5回忌の次の日やったろうか。ご主人さんと、あの日に虎竹の里まで一緒に来られた倉田さんと食事をさせてもろうたがです。今やきに教えてもらいたい事がいっぱいやけんど、もうしばらくは会えんきにカマタさんのくれた封筒をコピーしてデスクに貼っちゃある。


「カマタさんやったらどうするかにゃあ?」


「カマタさんに怒られんろうかにゃあ?」


とことん最後になったら今でもカマタさんを思い出す。竹虎には、こじゃんと心強いサポーターがおる。サポーターがおるがぜよ。


四国旅マガジンGajA[ガジャ]掲載!

四国旅マガジンGajA[ガジャ]


実は毎号拝読させてもらいよります。四国旅マガジンGajA[ガジャ]さんを見よったら、まっこと(本当に)同じ四国でも行った事のない場所、知らない行事、見たことのない風景、食べたことのない食べ物。たまるか?こんなに沢山あるがやろうか?と言うくらい色々あるのです。この雑誌の素晴らしいところは画像の美しいところ、だから、ついついページを楽しくめくってしまうがですが、どんどん読みすすめていくたび「ふうっーーーーー。」ため息が出る事もあるばあぜよ。


それくらい地元の事をワシは知らんがちや。余所の遠くの県もエイ、海外もエイ。けんど、自分の足元をもっともっと見たら、面白い光る石が転がっちゅう事もあるかも知れませんぞね。ほやき、「日本唯一の虎竹」と声を張り上げて言って、少しは皆さんに知ってもろうちゅう気になっても本当は、まだまだ、まだまだ。誰も、こんな竹の事は知っちゃあせんがやき。虎模様の不思議な竹の事は、ワシらあがもっと、もっとお伝えせんとイカンがちや。


籐のランドリーボックス

ランドリーボックス


籐細工と言うたら細く割った籐ヒゴを編んだりする。細かい細工を思い浮かべる事が多いですけんど、この丸籐ランドリーボックスは、足のフレームの部分には太い籐、衣類を入れる籠の部分には細めの籐と使い分けて、籐をそのまま使うて細工しているところが、こじゃんと気に入っちょります。丸籐をそのまま使うことで衣類に優しいし、高さがあるので、実際に使われることの多いお母さん方にも優しい。軽くて、丈夫という使い勝手のエイところも人気のひとつかも知れんぞね。


丸籐ランドリーボックス


けんど、機能美というがですろうか?職人さんの技の光るこの脱衣籠は、使いやすさより何より見た目の形が何とも美しいがです。正面から見たフォルムも、横から見たフォルムも、何とも格好がエイちや。一本、一本の丸籐を同じ角度に丁寧に曲げてそろえた曲線美。ご家庭の中で使うていただく籠は、やっぱり、こうでないとイカンぜよ。


竹かごの縁巻き若竹

若竹


竹は成長が早いものですので、たったの3ヶ月で親竹と同じ大きさになってしまうがです。けんど、大きさは同じになっても、身の硬さ、色目などやはり少しづつ成熟されるものもあってから、3年から4年くらいの竹でないと竹細工には使えないのです。日本唯一の虎竹なども1年、2年の若い時には虎模様の色付きが良くなくて、3年目あたりから渋い色合いが出て伐採に適してくるがです。


そんな竹ですが例外的に1年生の若い竹を伐る事があります。その年に生えた竹を地方によって違いますが、秋から冬くらいに伐採して特別に置いちょきます。若竹など一体何に使うのだろう?竹の世界を知らない頃には不思議に思いよりましたが、竹ざる竹かご等の口の部分をグルグル竹で巻いちゅうのを、ご覧になった事はありますろう。「縁巻き」と呼びよりますが、この縁巻きには柔らかく、しなやかな若い竹が適しているという事ながです。


この若竹も、丸竹のまま置いておくと半年くらいで使えなくなるそうながです。そこで、どうするかと言うと、こうやって半割にして風通しのよい場所に保管しちょきます。どうやら湿気の関係ですろうか。若竹を一年通して使える工夫も長い間の竹職人の知恵の一つぞね。


竹職人の早さは美しさ

竹ざる


昨日は竹籠を編み込むスピードの話をさせてもらいましたけんど、お客様からこんなご質問いただきましたぞね。


「早いことも必要だと思いますが、出来映えが大事では?」


まっこと(本当に)その通りながですちや。いくら沢山竹かごが出来上がったとしても、それを使うて頂く皆様にご満足いただける物でなかったら意味がありません。けんど、ご安心ください。早く竹編みの出来る職人さんの籠は出来映えも、こじゃんと(とても)美しいがです。


竹ひご


たとえて言うなら、美味しい料理をつくるシェフは、サッサッサッ!と手際よく作って、塩をふって、パッ、パッと焼いて、盛り付けて、ハイ出来上がり...!ですろう?これと、同じながです。手間暇かける仕込みでも同じ、流れるような無駄のないテキパキした仕事ぜよ。竹細工で言うなら竹ひごを取る工程。リズミカルな動きで見ているだけで飽きる事がない、楽しくなってくる。腕のいい竹職人は必ず、ここでもスピードが違うがです。


竹籠一日十個!?竹職人の底力

竹かご


楽天市場の三木谷浩史社長さんは知っちょりますろうか?たまにテレビ等や雑誌にも出てこられる方ですけんど、この三木谷さんが前に言いよった事のひとつに「スピード、スピード、スピード」と、言うことがあるがです。とにかく、早さを一番重要視して、即対応していく事の大切さを周りに伝えたかったがと思いますけんど、実は竹の世界でも同じで、一つの竹籠竹ザルをつくるスピードをどこまで意識しちゅうかで竹細工の明日は変わってくると思うがです。


自分の親の世代くらいの竹職人さんは、とにかく仕事の速さを競い合い、励みにしてきた方ばかりです。だから、今聞くと信じられないような編みこみの早さ。これは実際見てもらえば分かりますきに。動画でご覧いただけるうにしますが、最初は、まるで早送りしているかと思うほどの手さばき!けんど、これかが日本の匠の技やったがです。毎日、毎日


「直径40センチ程度の竹籠を一日に十個編みあげていた」


こちらを見て、フッと笑いながら


「今は歳をとったから8個やね」


無くなりつつある日本の物作りの底力を感じた気がして、思わず熱いものがこみ上げてくる。目頭をおさえながら思うがです。「日本ち、素晴らしいがぜよ」みなさん、この美しい国、日本の事を知っちょりますろうか?


ビルの谷間の竹

竹の植え込み


都会を歩きよりましたら竹を見かける事が多くなりましたちや。これは前にもお話したかも知れませんけんど、屋外だけでなくて、建物の中などにも鉢植えにされた竹が青々とした葉をゆらしゆう。まっことアチコチで見かけますぞね。「ふ~ん、竹ねえ......」もしかしたら、つい見過ごされゆうかも知れない竹の植え込みですが、じっくりと見たら、どうもワシくの山に生えちゃある竹とは妙に違うよ。びっくと(少し)不思議に思いよった方はいないでしょうか?


実は、都会の植え込みに使われる竹は、品種改良をして大きくならないように作られた竹ながです。考えたらそうちや、山に生えているように20数メートルもの高さになったら困る事もありますろう。だから、「おかしいにゃあ孟宗竹やに、なんか小さいぜよ......」そんな疑問にも頷けると言うもんです。


竹の花が咲くのは60年に一回とも120年とも言われて、実際はっきりした事は分かっていないので、こんな品種改良は時間も必要やし、かなり難しいものだと生産される職人さんから聞いた事があります。ううん......。ここにも竹の匠の技が生きちゅうよ。眺めながら、何度も何度も頷くがです。(腕組して難しい顔をしちゅうきに通行人が避けてゆくぞね。)


小さな小さな蒸籠

蒸籠


この可愛い蒸籠はどうですろう!2本の指でつまめるくらいの大きさぜよ。ミニサイズながらフタの網代編みもガッチリしちゅうよ。こりゃあ、凝ったつくりのミニミニ蒸籠や。蒸籠料理は手軽でヘルシーという事で、こじゃんと人気ですけんど、こりゃあ、このサイズの蒸籠はあんまり見た事がないちや。


ミニ蒸籠


この大きさに、一体どんな料理かと思うたら、口に入れたら、アツっ!アツっ!こんなお洒落な食べ物を食べ慣れんきに、何が入っちゃあるか分かりませんが、まっこと(本当に)美味い。この一口サイズの蒸籠に入れて料理を出していただくお店の方のセンスには感激したがです。けんど、香港で購入されたという竹製品。こんなステキなお店でも重宝されちょって、自分とは関係ないがですけんど、嬉しいがです。


たまるか古代米

古代米


「古代」言うたら宇宙戦艦ヤマトを思いだすがは自分の世代だけですろうか?職人さんの家で色々話をしよりましたら、自分の田んぼで作ったいう古代米を持って来てくれたがです。こりゃあ、宇宙食ではないにゃあ...。昔のお米はこんながやったがやろうか。今の白米を見慣れちょりますので違和感がありますけんど、山々の自然の力を感じるようなお米ちや。食べたら結構美味しいですし何か健康になった気さえしてきます。


古代米ほうき


そんな事があってから暫くして、別の竹職人さんを訪ねたところ、ふと見たら真っ黒い箒があるがです。こりゃあ、一体?聞いてみたら何とこれも古代米。お米も黒っぽかったり独特ですけんど、稲穂も普通のものと全く違うてこんな色目とは、まっこと(本当に)面白いちや。人工的に染めちゅう訳ではないので値打ちがある天然の色やきにそうそう、安和の自然が色付けする虎竹と同じぜよ。