黒竹丸窓の技

黒竹丸窓


竹と言うと真っ直ぐに天を目指し、スッーーーと美しく伸びる姿を思い浮かべます。実際に竹林に入って竹を1本、1本見上げてみても、ただひたすらに何の迷いもなく上を目指している。そんな竹の姿勢に自分の背筋もピンとする気持ちがするがです。しかし、真っ直ぐに伸びていると思っている竹でも、いざ伐り倒してみたら何の曲がりも、ゆがみも無いかと言いますと、実は真っ直ぐな竹は1本としてなくて程微妙な曲がりがあります。それは、そうですちや。もちろん自然のものですので人工的に製造するようにはイカンがです。


だから、全ての竹は熱を加えて油抜き加工しますが、その際に矯め直しと呼ぶ曲がりを矯正する加工をしていくのです。これも何十年というベテランの職人がいる特殊な技術が必要とされる仕事のひとつ。熟練の職人の手にかかったら曲がった竹は、あれよ、あれよという間に、真っ直ぐに矯め直されていくのです。


さて、曲がった竹を真っ直ぐにしていく技術は非常に難しいですけんど、真っ直ぐな竹を曲げていく加工というのもこれは、さらに難度の高い竹加工の技ながです。竹節をちょうど中心にそろえて丸く円を描くように曲げられた黒竹。竹と竹が、しっかり合わさって握手しているようにも見えます。


黒竹の「結び」。飾り窓と言われる日本建築の室内装飾に使われちょりますが、今の時代にも、こじゃんと(とても)大切なものを表現しているようでもあります。竹の熟練の腕はこんな素晴らしい作品も可能にするのです。


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