幸せな虎竹達

渡辺竹清作虎竹盆


ニューヨークの有名宝石店T社と言うたら、あの有名な映画女優も朝ご飯を食べた言うきに、こじゃんと(とても)有名ではありますが、自分たちからしたら祖父の時代から親しくしていただきよります竹芸作家の渡辺竹清先生が作品を提供しよったと言うことで、かなり特別な思いのある、ブランドのお店となっちゅうがです。あのT社からデザイナーが、わざわざやって来られてご自分の創作された竹編みの仕事が海を渡るち、まっこと夢のある、凄い事やにゃあと渡辺先生の工房にお伺いする度に思います。


この日も、ぶらりと立ち寄らせてもろうちょりました。別に用事もないけんどここに居ると、妙に祖父を思い出すがです。ほんで、ついつい落ち着いて長居してしまうがぞね。そう言うたら父も、いっつもここに来よった。もしかしたら、同じ気持ちやったがやろうか?

ふと見たら、こじゃんと(とても)渋い虎竹のお盆があるぜよ。


「先生!これはエイですねえ!」


先生は、いつものゆったりされた表情で頷くだけやんど、虎竹に言うちゃりました。先生には聞こえないように、言うちゃりました。


「オマンらあ、幸せやにゃあ」


世界の認めた竹の巨匠のお眼鏡にかない作品に使うていただいた虎竹達。さぞ、嬉しいがですろう。編み込みの一つ、一つが一人、一人に見えてくる。みんなあが、笑いゆうように思えてなりませんちや。


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