武市さんの無農薬文旦と黒竹

武市さんの文旦


まだまだ寒い冬というのに、この辺りは昔から日当たりが良く、南国土佐の陽射しでポカポカしちゅう。だから、それでなくても竹の積み込み作業は汗だくなのに、カーハートの上着もセーターも脱ぎ捨ててTシャツ一枚で黒竹を担ぐがです。


黒々とした稈が特徴の黒竹はその渋い色目から虎竹同様に人気の竹で、細いので用途は限られるものの色々な竹細工に利用されよります。日本唯一の虎竹と違うて黒竹は高知の他は和歌山なども産地として知られちょりますが、高知にしろ、和歌山にしろ成育している地域が似ている気がするがです。どうも海沿い、そして温暖な土地を好む竹ではないろうか?


そしたら、この辺りに黒竹が多いのも納得ぜよ。心地よい海風の吹きぬける南向きの斜面は絶好の場所かも知れんぞね。そんな黒竹が沢山繁る、この山の急勾配の文旦果樹園からガタガタと音をたてて、収穫を終えた武市のおんちゃんはモノレールで上がってきたがやきに。


「ありゃあ、オマンらあ汗びっしょりやいか」


そう言うて一人に一個づつ文旦を手渡ししてくれたがです。周りには自動販売機も何もなくて喉はカラカラやったきに、こじゃんと嬉しゅうて早速いただくと、これが甘酸っぱい香りが口いっぱいに広がってから力仕事で疲れきった身体が何から、またまた元気になってくるがぜよ。


「ワシくの文旦は無農薬ぜよ、美味いろう?」


見栄えはあんまり良いとは言えない文旦ですが、無農薬の安心感と武市のおんちゃんの人柄を感じる一房。皆で草の上に腰掛けてキラキラ輝く太平洋を眺めながら食べるがです。まっこと贅沢な休憩時間があるもんやにゃあ。


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