ふたつの虎竹ペン

虎竹つけペン


これは精悍な面構えの虎竹ペンですぞね。文字を書いたり、線を引くたびにインクを先に付けて書くタイプ。いわゆる、つけペンながですが、虎模様と、先端に開けられちゅう穴が目玉のように見えてまるで大空を自由に飛び回る鷹か何か。こじゃんとスピードを出す鳥のようやちや。日頃、つけペンなどは、あまり使う事がありませんが、面白い線が引ける事と忙しい毎日に、文字を書くことの楽しさや、ゆとりのようなものを思い起こさせてくれるがです。


竹製のつけペンは意外と種類も多くて、見かける度に手にしちょりますので数本持っちょりますが、特にこのペンは虎竹という事。そして、持ち手に籐がしっかりと巻かれちょって手に馴染み使いやすそうなので気に入っちゅうがです。


虎竹ペン


同じ虎竹のペンでも、こちらは、もうちっくと手が込んじょります。自分は水性ペンを使う事が多いので中身は水性ペンなのですが、このペン一つとっても色々な思い出があるがです。


大阪で手作りペンの工房があると聞いて訪ねて行くと、なんと、その場所は親戚の米屋のすぐ裏手やったがです。見慣れた下町だと思っていたら、それもそはず。学生の頃、この親戚の紹介で働いていたバイト先は目と鼻の先。これは、縁があるにゃあと思って話しをしていたらやっぱり話が合うて、


「お宅は竹虎だから、虎模様にしときなはれ」


と、アセチロイド製の本体を虎模様に作ってくれたがです。ペンは専門外でしたけんど手先の動きや、しぐさを拝見しよったら、その腕前は伝わってきますぞね。そうやって仕上げていただいた本体を使い完成させた虎竹ペン。最近は竹筆で書くことが増えたのですがたまに、これで手紙でも書きたくなる事があるがちや。なんと、ハガキをデスクに置いてから


「さて、誰に書こうかにゃあ...。」


冗談ではなく、本気でそんな事もあるがです。けんど、使うと、やっぱり気持ちがゆったりしてくる。エイ道具は使うだけで心が豊かになりますちや。


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