ふたたび幻...!?メゴ笹洗濯かご

洗濯かご


自分が竹虎に入社して竹の仕事を始めた頃には若い社員は一人もおらず。お歳を召された年配の職人さんばっかりで、話しの話題が全くあわずに当時は結構大変な思いをしよったがです。竹の事、山の事、昔の暮らしの事、道具の事などなど若かった自分には、あまり興味の無い事ばっかり。


「ワシの若かった頃にはにゃあ......」


と話しが始まると今、70歳過ぎたおんちゃんの若い頃ち一体何十年前の話ぜよ?そう思うて、ため息をつく事もあったがです。けんど、実は、それが今となっては、こじゃんと自分の財産になっちゅう事が多いと感謝しちょります。もしかしたら、ああやって周りの職人さんが、都会の事や、流行ばっかりに目を奪われちゅう自分に少しづつ竹の教育してくれよったがではないかと思うてあの言葉、あの話しぶりを思い出して胸が熱くなるがぜよ。今更ながら、まっことありがとうございました。


メゴ笹


そんな話しの中に出てきた一つが「メゴ笹洗濯かご」それこそ昔は、どこの家庭にも一つや二つはあって衣類かごとして活躍していたという話しをしてくれたがです。説明を聞いていますとどうやら、祖父に連れられて全国の竹屋さんを回った幼い時に温泉場や銭湯では、見た覚のある、あの竹籠のことやろうか?なんとなく想像はできるのですが、その時は作る職人さんもいなくなって実物もありませんし、竹虎でも随分前から販売する事もできなくなって幻の竹籠とも言われるほどやったがです。


たまたま出会いがあって、このメゴ笹洗濯かごを再びご紹介できる時には、もしかしたら自分のように待ち焦がれゆう人もいるろうか?そんな事も思うて、こじゃんと嬉しくて「幻の竹かご復活」と説明しましたけんど、よくよく考えたら若い方々で初めてご覧になられる方にとったら新しく考案した新製品のように思われたかも知れませんちや。そもそも材料不足なども一つの大きな原因で幻となっていたメゴ笹洗濯かご。お一人しかおられない職人さんの高齢化で、だんだん編み上がる竹籠が少なくなってきましたぞね。


職人さんが、つぶやきます「エイ、材料がないがやきに...」


メゴ笹を山に伐採にいく事は自分達にもできますけんど、自分の気に入った竹を伐採し自分の気にいる大きさの竹籠を編んできた職人さんは今更そのスタイルを変えることもできないがです。再び、幻となってしまいそうなメゴ笹洗濯かご。今度は自分が、知らない世代の方達に向けて言うがやろうか?


「ワシの若かった頃にはにゃあ......」


そんな未来も近づいて来よりますちや。


コメント(2)

すずらんの花束 返信

竹かごを編む職人さんが高齢になり、伝統が絶えてしまうことは残念です。職人さんが良い仕事をするには、納得のいく材料が必要なのだと分かりました。今は、何でもプラスチックや輸入品が多くなっています。芸術的な美しさを持つかごは、貴重品だと思いました。

竹虎四代目 返信

すずらんの花束 様

コメントありがとうございます!
高齢化は日本の竹産業の直面しちゅう問題です
後継者のいない竹の技も少なくないのですが
何とか少しでも多くの伝統の技術が後の世代にも残っていけるよう
微力ながら頑張っていきたいと思うちょります。

ありがとうございます!

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