竹壁のお店

竹の壁


前に教えて頂いたお店は都会の真ん中にありましたけんど、壁という壁全てを竹編みで設えちょってまっこと心落ち着く静かな空間やったがです。それぞれの壁の仕切りで編み方を違えちゅうあたりが、心憎い技が入っちょりますぜよ。編み目の違いで外に漏れてくる光の見え方に変化があって面白いがです。若い方などがこのお店にこられたら、もしかしたら竹と知らなくても何か心静まる思いをされるのではないろうか?飾らない自然そのままの竹ヒゴの風合いに温もりを感じて、出していただく食事が何倍も美味しく感じることもあるかも知れませんぞね。


けんど、実は日本人はもともとこのような家に暮らしよったのです。初めて来店されたお客様の中にも、懐かしさや今まで知らなかったな心地良さに、つい長居をしたくなる気持ちになってくるような方がおられるとしたら、それはDNAではないかと思うがです。


もともと、このような家やったと言うてもちっくと語弊がありますぞね。日本の家は土壁が主だったがですが、その土壁の中には、このような竹編みの芯が入っていたのです。自分の小さい頃には、高知でもこのような昔ながらの家があって、建築中のお家に行くと壁はすべてこのような竹格子やったぜよ。そうそう、だからそのような新築の現場に通りかかると、竹を細くわった束が沢山積まれちょったりしたものです。


もちろん、こんなに竹編みが細かかったり、編み方にバリエーションがあったワケではありません。けんど、この壁はかっての日本の暮らしそのもの。何度見ても、ひとつも飽きないのは、きっとそのせいですろうか。


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