黒光り、背負い籠

古い背負い籠


秋は山菜の季節という事で竹の背負い籠が気になってくるがです。竹は不思議なもので、堅牢にあまれて硬そうに見えるものでも、背中当たりはそれ程でもなく、そして軽く、通気性も良いので、今でもずっと愛用されている竹細工の一つながぜよ。


背負い籠と言うたら忘れる事のできない籠がひとつあって、それは長い間竹に向き合われてきた職人さんが、ずっと若い頃に編み上げたと言われていた竹籠ながです。


竹籠の色合いは飴色を通り越して黒光りしよります。着物の生地か何かを縫って付けられちょった背負い紐もボロボロでしたが、職人さんは、こじゃんと大事にされよりました。籠の中には大事な思い出が入っちゅうがですろう。どんな熟練の手練れでも、美しい竹編みでも、絶対に敵わないのが時間職人。竹自身が長い時を経てこそ輝く存在感には勝てないがです。自分も歳を重ねていったら、いつかはこんな渋い竹籠を身近に置けるろうか?沢山の竹に囲まれてちゅう中で見回しながら思うがです。


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