ベルギーOPRINS社の竹たち その2

 
広大なOPRINS社の竹成育場


このOPRINS(オプリンズ)社さんの施設は数カ所に別れているのですが、その一つ、一つが圧倒的な広さで、まっこと圧巻ぜよ。何ヘクタールと聞いてもピンと来ないのですが、あのずっと遠くに見える林までが一つの区切りで、その向こうに同じ面積の畑が何個ある...という様な説明をいただくと、規模を身体で体感できるのです。


OPRINS社Wouterさん


今回の訪問では社長様が東南アジアに出張されていましたので、Genrral Managerのウォルターさんにご案内いただきましたぞね。わざわざパワーポイントまで用意して頂いて会社の概要から、現在の業務内容まで詳しくご説明いただけました。自分は観葉植物としての竹という事で、こちらの会社様を知ったのですが、竹の割合は一番大きいものの、竹以外にも害虫に強い新しい品種の植木など、庭園の樹木全般をされていてフランスの宮殿や美術館などで見ることのできる、美しい刈り込みをした庭園の中にもOPRINS社の仕事のものが多々あるそうなのです。


OPRINS社の金明竹


それにしても80種類もの竹を集められて、それぞれ気候に合わせた成育具合を研究されよります。中には、緑色の竹表皮に筋状の黄色い色合いが入る金明竹などもあり、さすがに観賞用の竹の会社様と感心するのですが、これだけ高さのある竹でも鉢植えで育てているのが印象的ですぞね。


竹への自動給水


大きな竹用のハウスの中には天井にスプリンクラーが取り付けられていましたが、屋外で沢山育てている鉢植えには、それぞれに細いホースが伸びて土中に刺さっています。これは自動給水システムで一定の時間で水が供給されるようになっちゅうがです。OPRINS社さんは日本では考えられないような広さと規模を誇ります。そんな中で竹という生き物を管理されよりますので、人の力も当然多用されよりますが、あちらこちらで自動化の工夫が目につくのです。これをウォルターさんは「カイゼン」と笑いながら話されます。さすが竹を中心にされちゅう会社様という事もないと思うのですが、日本の会社の企業文化を、積極的に取り入れられちょりましたぜよ。


OPRINS社バイオルーム


OPRINS社さんでも非常に大事な部分は竹の培養技術ですが、完全に外部の雑菌をシャットアウトした無菌ルームを見学させてもらいました。ここで生まれた竹の赤ちゃんが少しづつ成長するにしたがって場所を移動していく工程は、まるで進んだ農業を見るような気持ちです。


竹の苗


日本で竹と農業といえば、まず筍栽培を思い浮かべるのですが、竹そのものを、こうやって大切に増やし、育てていくという発想自体が新鮮で、今まで自分が考えてきた竹とは全く違う異文化に触れた気がして、湧き上がる興奮を抑える事ができないのです。


「凄い...!凄い...!凄い...!」


こちらのプラントに来させてもらって何度この言葉で唸ったことか。まっこと世界は広く、自分の知識が狭く、いかに事を知らずにいたか思い知るがです。


竹苗の根


ウォルターさんがポットから竹を引き抜いて見せてくれましたぞね。竹の生命力は、こじゃんと(とても)強いのです。根を張る力も尋常ではありません、小さなポットの中で、竹の生きる力が渦巻いているように思えます。


OPRINS社の竹虎四代目(山岸義浩)


こんなポットが、はるか彼方の向こうまでズラリと並んでいるのです。一体ここは何ながやろうか...!?ずっと広がる緑の絨毯のような光景に圧倒されて、本当に言葉を無くして、ただ魅入るだけぜよ。竹の声が聞こえるか?ですか?もちろん、子供達の声が聞こえますぞね。けんど、多すぎて、元気すぎてガヤガヤやかましい(汗)。しかも半分がフランス語、半分がオランダ語で何を言いゆうのか、さっぱり分からんがぜよ(笑)。


ベルギーの美しい田舎町


OPRINS社の本社や農園のあるベルギーの街は、まるでテーマパークか何かのように美しく、静かで、豊かな空気に包まれちゅう。人と自然が見事に調和する、この素晴らしい環境で、ヨーロッパ各地で見られる竹が育てられゆうと思うたら、この街は、その竹達の故郷であるわけやにゃあ。日本唯一の虎竹の故郷も、この街のようにいつまでもありたい、そんな事を心に誓うたのです。



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