まっこと「世界でまとう虎斑竹」などと書いていただいて、田舎の小さな竹屋やのに、ちっくと大袈裟な感じもしますけんど、今朝の毎日新聞にロンドンの英国王立美術大学での虎竹を取り入れたファッションショーの事を掲載頂いちょりますぜよ!
虎竹は高知でも須崎市安和の、わずか1.5キロの間口の虎竹の里にしか成育しない虎模様の浮かびあがる不思議な竹ではありますが、どちらかというと地味な存在であって、華やかなファッションショーに使われる事など、そうある事ではないですし、それが遙々と海を渡ったイギリスとなれば尚更の事ながです。
高知県出身のデザイナー中山直哉さんから初めて連絡を頂いたのは確か、今年の3月の事やったと覚えちょります。日本から遠く離れた地でのコレクション製作の中で、自分の生まれ育った日本の、高知の美しさを改めて感じられたように思うたぞね。なんや、それやったら竹しかないですろう。ご自身の生まれ育った故郷、高知の大自然が育んだ世界でもここにしか成育しない虎斑竹を使わずして一体何を使うがぜよ?初めてご連絡をいただいた瞬間から、そう思いよりました。
だから、英国など行ったこともないので、一体、時間も費用もどれくらいかかるも分からず、英語も話せんきに、どうしたら辿りつけるのか見当もつかないものの、自分も必ず見に行くと最初から決めちょったのです。土佐の若者が海外で勝負するなら日本唯一の虎竹の他に素材はないがぜよ。けんど、自分にしたら、虎竹一本一本がこの地の若武者達ですろう。ジッと座っておることなど、どうしてできますろうか?
日程がタイトでパリからロンドンに日帰りせねばならず、飛行機とユーロスターという汽車を乗り継ぎ行ってきたのですが、実際お伺いしてみて、海外の異文化の中で一人になった時、今まで、あまり意識していなかった和の心が自然と湧き上がることが、やはり自分としては一番喜ばしい事であり、若い人達の奥底には伝統の感性が宿っていると知る事ができたような気がして、こじゃんと(とても)嬉しい気持ちで帰ってきたのです。
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