虎竹ヒシギについて

虎竹ひしぎ


虎竹ヒシギとは、丸い竹一定の長さに切断して一箇所だけを縦方向に割った後、金槌の先端が細くなったような専用の道具で割延ばして板状にしていくものですぞね。竹虎の場合ですと、このヒシギを袖垣に使うことが多いのですが、このヒシギを全面に貼り付けたヒシギ垣のようなものもありますし、内装用の腰張り等にも使われることある竹素材の一つながです。


ヒシギは、こじゃんと手間のかかる材料でもあります。竹を一本一本叩きながら平たく熨して行く作業は時間と根気の必要な工程ぜよ。一時はヒシギ叩きの機械を作った事がありますが職人が手で叩くのには遠く及びませんでした。袖垣を沢山製造していた頃にはヒシギ専門の内職さんに沢山来ていただいてトントン...トントン...朝から夕方まで賑やかな音が響いていたのを今でも覚えちゅうのです。


虎竹ヒシギ貼り天井


さて、そんな虎竹ヒシギを、この度堂々リニューアルした東京は赤坂にある土佐料理「祢保希(ねぼけ)」さんが使うてくれちゅうと言うのです。けんど、さすがに大都会の真ん中で何十年も暖簾を守り続けられる老舗店だけあって、普通の使い方はされちょりませんぞね。なんと、天井の一部のワンポイントに寄木細工を思わせるような切り貼りした絶妙な模様の出し方をされています。さすが...上を見上げたまま暫く顎を下げることができませんでしたちや。


土佐漆喰の龍


高知の食を伝えるお店様だけあって、店の構えや内装にも土佐独特のものを使いたいという社長様の考え方で日本唯一の虎竹もこうやって天井を飾らせて頂いちょります。けんど、圧巻ながは土佐漆喰の壁で睨みをきかす龍ですぞね。実は土壁の土台には竹を使いますので、自分も少しは関心があり漆喰壁の建物を見てまわった事もあるかですが、このような立派な龍が舞う壁というのは、そうそうあるものではないのです。土佐の味と、土佐の技、高知にいても感じる事のできない「高知」を赤坂で堪能できることに感激した夜やったがぞね。


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