国産竹皮草履の稲藁

竹皮草履製造


竹皮草履は夏場の履物のように思われていますが長年愛用される皆様ならご存知のように寒い季節になると自然な温もりがあって一年通してお使いいただける室内スリッパなのです。


竹皮草履鼻緒製造


国内では竹林の活用もほとんどされなくなっていますので当然の事ながら竹皮についても使われる事無くこれだけ素晴らしい素材であるにも関わらず竹林で朽ちているのが現状です。そんな中にあって、自分が竹虎に入社以来地元の竹皮を使った国産竹皮草履として少しづつ認知を高め、こうして沢山の方にお使いただけるようになってきたのは大きな喜びでもあります。


しかし、竹皮草履の材料集めも楽ではありません。下に剥がれ落ちた竹皮だけを使いますので連日竹林に入り竹皮を集めて干していく作業も実は大変な重労働です。


竹皮草履製造用の藁


さらに、竹皮だけでなく最近では藁の確保も大変になってきました。稲にも品種によって茎の長さに違いがあるのですが近年は大型台風が上陸するようになっていますので茎の短い品種である「短稈(たんかん)」に改良されています。稲作には良いことであろうかと思いますが竹皮草履づくりには出来るだけ長い稲藁が必要で、このあたりも思いがけず製造量に影響を与えているのです。


台風が大型になってきているのは地球の温暖化が原因ですし、虎竹の里の竹の色づきが良くないのも温暖化が大きな要因と考えられます。テレビや新聞で見聞きしても自分の事のように思えない地球規模の異変が、自然に近い仕事をしていると身近に感じられる事があります。




トントントン...竹皮草履用の稲藁を叩いてしなやかにしていく機械音が、急いだ時計の針の音のように自分を急かしているように聞こえてきました。


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