土佐藩山内家に伝わる日傘

 
土佐藩山内家の日傘


かっての土佐藩主、山内家のお殿様が実際に使用していた日傘だと言うので吸い寄せられるように見に行きました。日傘といっても現代の片手で持てるような傘とは違い、野点の時に立てられている傘のような特大サイズです。日差しの強い南国土佐ですから日中の外出には欠かせなかったのかも知れませんが、これを持ってお殿様に従う家来の方は大きいし、重いし大変だったのではないでしょうか。


傘に吸い寄せられたのには二つの理由があります。明治27年、今から124年前の竹虎の創業は傘用の竹材を取り扱う事から始まったからです。この山内家の傘も骨部分などすべて竹で出来ていて今でも現役で使用できる美しさなのに驚きます。


竹はこのように大切に扱っていれば、壊れやすい個所を修繕しながらでも何代にも渡り使い続ける事が出来ます。この傘も江戸時代のものにしては傷みが少なかったので恐らく後の時代の職人の手が入っているものだと思いました。


虎竹


もう一つの理由が、日本唯一の虎竹は藩政時代には藩の財産として手厚く保護されていて山内家への年貢として納められていた竹です。まさか、この傘に虎竹が使われているとは思いませんが、やはり竹を多用する傘であります。山内家に代々伝わってきた逸品と言うと「もしかして」と心が騒いだからなのです。


毎日の生活の中でこのような和傘を一般の方がご覧になられる事は、特別な機会を除いてほとんど無いと思います。若い頃は自分も母から譲られた和傘をボロボロになるまで使っていました。雨に濡れたら広げて乾かすなど手間がかかる事も楽しいと思っていましたが今ではもっぱらコンビニのビニール傘です。何処かに出かける時には少し不便な和傘ではありますが、また使ってみたい気分になりました。


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