続・オエダラ(オイダラ)箕

オエダラ(オイダラ)箕


イタヤカエデ、藤、桜、根曲竹を使う箕と聞いくとカンの良い方は寒い地方だとすぐにお分かり頂けます。根曲竹は寒い地方にしかありませんし、カエデも温かい地方の樹木は素材が柔らかくて使えません。このオエダラ箕は秋田太平山麓の一部の集落でだけ作られきたものです、太平山源正寺というお寺が近くにありますけれど「大江源正」→「大江平」→「大平」→「太平」→オエダラ(オイダラ)と呼ばれるようになったようです。


オエダラ(オイダラ)箕


さて、純白のイタヤカエデを使うオエダラ箕に対して、この飴色に変色した箕は又どこか別の地域で作られる箕かと思われる方もいるかも知れません。しかし、実は全く同じ箕で経年変色してこのような成熟した色合いになっているのです。この30年ブログでも、よく青竹細工が渋く変色していくお話しをさせて頂きます、それと同じようにイタヤや藤など自然素材の素晴らしい一面です。


オエダラ(オイダラ)箕


西日本から遠く離れていますが、これだけ数種類の素材を使う箕作りは桜皮と蓬莱竹など複数の山の素材を使う箕にイメージが重なります。また、オエダラ箕には桜皮で縁起の良い矢羽の形が飾りにされていました。


オエダラ(オイダラ)箕製造


そう言えば、箕は十日えびす等で福をすくう「福箕」が縁起物としても扱われています。この矢羽根模様が何故されているのか訊ねるのを忘れましたけれど、箕が単なる農具として使われていただけでは無かった事がうかがい知れます。


イタヤカエデ細工


箕は風の力を利用して米から籾殻を吹き飛ばすなど選別に使う道具です。その用途から来たものだと言われますが病人を箕であおいで身体についた悪いモノを消し去る習慣や、箕を立てた内側で食事をして不幸から自分達を守るという言い伝えがある等、箕にはある種の民間信仰のようなものがありました。箕を自宅入り口に立てておくと来客を拒む意味があるとも聞きます、つまり箕がある種の結界のような役割をしてきたのです。


土佐箕


オエダラ箕に入れられた桜皮を見た時、竹とは全く違う遠い山の素材で編まれたものなのにどこか同じものを見た気持ちになりました。


オエダラ(オイダラ)箕

オイダラ箕


土佐箕をはじめ箕には不思議な魅力があります。古老の職人さんから譲れた小冊子には、西日本の竹箕と籐箕の事が詳しく調べられており35種類もの分類に分けられて掲載されています。今では全く見る事のできない箕や、激減している産地がその昔には津々浦々にあって珍しくも何ともなかったことを物語っていますが、それもそのはずで箕は農家の毎日の生活に欠かせない必需品のひとつだったのです。


オエダラ(オイダラ)箕


前にもお話しした事がある話で、箕はあの有名なミレーの絵画「箕をふるう人」にも登場します。つまり日本やアジア地域だけでなく穀物の選別の為に世界的に使われていた道具でもあった事が分かります。そんな普遍的とも言える道具です、昔の農村でその地域で手に入りやすい素材が使われ様々な箕が作られていたのは当然の事だったと思います。


サキアリ箕


因みに田舎生まれの自分などは小さい頃から馴染みのある「唐箕」という木で作られた道具があります。さすがに今は実際に使っている農家さんは見た事がなくて資料館のような所で拝見するしかありません。唐箕の「唐」は中国の事で竹細工が中国からやって来たのと同じように当時の最新式の農具も中国から入って来たのです。


唐箕は風の力を利用して効率的に穀物を選り分ける事ができましたので、今まで両手を使い箕を振って作業していた農家の人達は目を丸くして驚いたのではないかと推察します。自分達が流行りのAI技術で無人コンビニや自動運転の車に驚くのと同じ事が起こっていた訳です。


オエダラ(オイダラ)箕


ただ木製とは言え唐箕は結構大がかりな装置であり、小回りの利く箕はやはり個々の家では使われ続けてきました。そして、農作業に使うだけに止まらず箕には他の竹細工とは違う呪力のようなものがあるとされ祈祷や儀式と結び着いています。


イタヤカエデ、藤、桜、根曲竹を使った美しいオイダラ箕の話をしようと思っていたら、少し遠回りしてしまいました。続きはまた。


春の行楽にカジュアルな籐かごバッグ

籐手提げ籠バッグ


籐(とう)は日本にはない植物ですので籐細工の材料として主にインドネシアなどから輸入されています。しなりがあり、軽くて強いという特性を持つていますので、家具などにも多用される素晴らしい素材です。


数年前までは、このナチュラルな籐を使った昔のお母さん方が買い物に愛用していたような手提げ籠バッグがありました。非常に腕のよい職人さんでしたが、お仕事ができなくなってからは竹虎ではずっと欠品だったのです。しかし、あれから何年も経ってようやく綺麗な籠を編む職人さんが現れ籐買い物籠が復活しました。


籐手提げ籠バッグ


以前の籐手提げ籠バッグとの一番の大きな違いは二本になった持ち手部分です。デザイン的にも格好が良く、耐久性もアップして言うことなし、これからの春の行楽シーズンに外にお出かけする機会も増えるのではないでしょうか?物の出し入れがしやすく、丈夫で自然な色合いの籐手提げ籠バッグなら、もっと気軽にお花見も楽しめそうです。


籐手提げ籠バッグ


ナチュラルな細工に対して、籐素材を染めてから編み込む染籐のバッグは落ち着いた感じでお洒落にお持ちいただく事ができます。一見どこにでもありそうな籐の籠ですけれど、サイズ感が絶妙で、奧行きがキリッと引き締まっていてシャープにお使いいただけます。


籐手提げ籠バッグ


熟練の籐職人が編み上げているので実用性や堅牢性は当然の事、この手提げ籠バッグの使いやすい優れた一番の特徴は持ち手部分に隠されています。


バッグは手に提げるばかりでなく、室内、あるいは車内で置いておく場合も多いものです。そのような時にも、持ち手と本体取り付けジョイント部分に大き目の籐製の輪が付いていますので両方の持ち手がパタンとコンパクトな形で本体に添って折れますので邪魔になりません。実際にご愛用いただく女性の方々の声を聞きながら少しづつ改良して完成された籐籠バッグなのです。


静かなる竹工房

六ツ目編み籠


この竹工房の近くには大きな川が流れていた、かって鵜飼が盛んだったのだろうか?丸みを帯びた大きな籠が天井から吊り提げられている。鵜籠かと思ったけれど、このような籠は地鶏を入れるのにも良く使われていたので全くの見当違いかも知れない。


そんな事を考えながら薄暗い通路を奥に進んでいくと、これも大きな六ツ目編み籠みの平籠が壁にかかってあって明かり取りから差し込む光が面白い模様を作っている。


竹工房


この竹工房は素晴らしい、居間から一段低くなった作業場からは長い竹材を床下に入れて自由に操る事が出来るようになっている。一面に張られている板も見惚れるほど年期が入っていて懐かしさと心地よさで時間を忘れてしまうほどだ。


菊割


最近ではあまり使われていない竹材置き場の下に菊割が置かれていた。


今度の出番はいつだろうか?


編み台


竹職人たちの息づかいが聞こえてくるような静かな工房、ポツリと残った竹編み台が物寂しげに語りかけてくる。このような竹の仕事場を誰よりも多く見てきた。


そのせいだろうか?


竹の行き先を聞かれることが多いが自分ような田舎者に明日をたずねられても分かろうはずがない。しかし、ひとつ言えることがある。変わる事をためらっていては、あの日の活気は蘇りはしないに違いない。


思い出す、廣島一夫作の魚籠(シタミ)

廣島一夫作シタミカゴ


もう5年程前の事になりますが竹細工の名人だった故・廣島一夫さんの竹籠や竹ざるを拝見する機会がありました。色々な籠の中で特に気になったのが、シタミと呼ばれる鮎を入れるための魚籠だったのです。ご本人は「竹細工は道具」だと常々お話しされていたようです、一度お会いさせてもらった時の静かなまなざしを思い出します。


あの自然体、気負いの無さから生み出された竹は、言葉通り作り手と使い手の長い共同作業で進化するものでもありました。しかし、それにしても飾っておきたくなるような惚れ惚れするフォルムにただ魅入るだけでした。


魚籠腰テゴ


いつもお話しさせていただくように竹はイネ科であり、世界一美味しいお米の育つ日本の竹は最高の素材です。そして大陸より渡ってきた竹の技は、その秀逸な素材と日本人の美意識によって昇華されて来たのだと思います。


ネパール魚籠


大阪にある国立民族学博物館にはネパールで使われていた魚籠が展示されています。驚くのは鹿児島の職人さんが父親から作り方を習ったという細くなった口、特徴的な碇肩の魚籠(腰テゴ)と瓜二つだった事です。


竹虎四代目、シタミ


廣島さんの鮎籠は、遠く海を渡って伝わって来たであろう魚籠の形を取り入れながら毎日の仕事で磨かれ、洗練されてアートの領域にまで高められているかのようです。


鮎籠、シタミ、魚籠


あの魚籠が欲しくて、ずっと近くで廣島さんに師事されていた職人さんに製作をお願いしたのは2014年の事だったのか...。数年を経て手元に届いたシタミは、まだ若く青々としていますがそのうち落ち着いた色合いに変わっていくのです。


改めて思う、虎竹の魅力

牧野植物園の虎竹


どうしても気になって牧野植物園に足が向くのです。高知市五台山の山頂にある牧野植物園は、最近ではパワースボットと言われているようですが自分の場合には前々から県外のお客様から土佐観光のオススメを聞かれたら桂浜でも高知城ではも無く、まず一番にココをお教えしていました。


やはり普段は自然から離れて暮らしている都会の方ほどリラックスされるようです、一度行ったらつい長居をしてしまって飛行機が最終便になった等はよくある話です。因みに「五台山」などと言うと凄く山の中のように思われる方もおられますけれどご安心ください、高知龍馬空港は意外とすぐ近くなのです。


さて、この牧野植物園に何故通ってしまうのかと言うと日本唯一の虎竹が移植されているからなのです。この牧野植物園の牧野富太郎博士は自らを「植物の精」と言うほどの世界的な植物学者でした、そしてこの偉大な植物学者は何を隠そう虎竹の命名の父でもあります。


日本唯一の虎竹


そんな縁があり虎竹の里から色付きの良い虎竹を移植させて頂いていますので気になってしまうのです。しかし、あれから既に20年近く。毎月のように立ち寄るらせてもらう事もあるほど見続けてきました。


虎竹に関して言えば職員の方より長く見ているかも知れません。子が生え、孫が生え、月日が経ち世代交代をした虎竹は今ではすっかり普通の淡竹(はちく)になってしまっています。虎竹の里の虎竹と比べると違いは良くお分かりいただけます。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI、山岸義浩)


牧野植物園に移植した虎竹を見るたびに改めて不思議な気持ちになります。なぜ虎竹の里でしか成育しないのか?大学の研究者の方は土中の細菌だと言い、山の職人は寒さや潮風を言います。


どうしてか理由が分からないものの時期が来れば色付く竹の恵み。ますます魅力的に感じずにはいられません。


竹文化振興協会発刊「竹」掲載、第11回世界竹会議メキシコ 基調講演「日本唯一の虎竹と共に100年、持続可能な地域資源活用」

竹文化振興協会発行「竹」


今回で139号という長い歴史と格式を誇る竹文化振興協会発行の「竹」に掲載いただきました。一般の方にはあまり馴染の少ない冊子でもあるかと思いますので全文を掲載しておきたいと思います。


世界竹会議(World Bamboo Congress )
昨年の8月にメキシコ・ハラパで開催されました第11回世界竹会議(11th World Bamboo Congress )で「日本唯一の虎竹と共に100年、持続可能な地域資源活用」と題して基調講演をさせていただく機会をいただきました。お力添え頂きました皆様のお陰です、ありがとうございます。


竹虎四代目(山岸義浩)、世界竹会議


今回、光栄にも世界50カ国から500名もの参加のある世界竹会議での登壇の招待を頂きましたのは、当社の100年を超える日本唯一の虎斑竹(とらふだけ)への取り組みを評価いただいての事だったと思います。虎竹の里は高知県須崎市安和にあり、前方には須崎湾、三方は山に囲まれている本当に狭い地域です。そして虎竹は、この里の間口たった1.5kmの範囲でしか成育しない不思議ななのです。


竹の正式名称は「土佐虎斑竹」と言います。竹の表面に虎のような模様が浮かび上がることから、大正五年(1916年)に世界的な植物学者の牧野富太郎博士により命名されました。虎竹模様が出るのは、土中の細菌の作用とも言われていますが潮風や気温の微妙な変化など様々な要素があると考えられ今だにその要因は謎のままです。江戸時代には年貢として土佐藩山内家に献上された記録の残る銘竹でもあり、険しい山道で交通の難所だったという土地柄と藩令によって禁制品とされていたために広く知られることのなかった「幻の竹」であったと言う歴史もあります。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


さて、しかし世界竹会議といいましても日本では竹に携わる方でもご存じない方がおられます。当社の社員なども含めて馴染のない方々に説明するにはどうすれば良いか?思案した末に「世界各地で3年に1度開催される竹のオリンピックのような竹の祭典」と話す事にしてますが、前回の韓国・潭陽、そして今回のハラパに参加してみてその感を更に強くいたしました。


世界の竹の生育地域を考えますと日本をはじめ竹海を有する中国、そして東南アジアが思い浮かぶびます。しかし、南方系の竹は赤道直下の国々、オーストラリア、中南米、アフリカなどの温暖で湿潤な地域に広く分布しているのです。世界竹会議(WBC)にはこのような竹生産国はもちろん、アメリカ、ヨーロッパなど世界中の竹産業界、竹研究者が集結し、竹の活用や開発において世界中で何が起きているかを確認し合い、最新の情報交換を行っています。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」
2020年には日本でオリンピックが開催されます、そこで外務省が日本文化発信基地としてロンドン、ロサンジェルス、サンパウロに開設したJAPAN HOUSEと言う施設があり、様々な展示スペースを持って活発に活動されています。ブラジルには世界最大級の竹林がアマゾン流域にあるそうで竹の活用には予想以上に関心を持たれています、そこで 2017年にJAPAN HOUSE Sao Pauloにお招きいただき持続可能な地域資源としての竹について講演させて頂きました。また、サンパウロ州立パウリスタ大学では「サスティナブルな竹利用の可能性」について講義させてもらう機会がありました。竹産業に関わる皆様も、若い学生さん達も非常に熱心でしたが、このような場にお招きいただいたのは恐らく日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」プロジェクトへの組み等が評価されていたのではないかと考えています。


虎竹を使い電気自動車を製作したいと考えたのには理由があります。2000年から毎年開催しているインターンシップに参加いただく大学生の皆さんが青竹踏みを知らないのです。自分達からすれば昔からある手軽な健康法として日本全国の各ご家庭に一つはあるものだとばかり思っていたものが、今の若い世代の「竹離れ」を痛切に感じるようになっていました。このような事では、これからの日本の竹文化自体消え去ってしまうのではないか?何とか竹に興味を持っていただきたい、そう思っていた矢先に東洋竹工(株)さんが京都の地元企業や研究所、大学と共同開発した電気自動車を知り、虎竹で製作する事を思いついたのです。


ところが、田舎の小さな竹屋が単独で製作するには、あまりに時間と費用がかかります。そこで活用したのがクラウドファンディングでした。クラウドファンディングとは今では一般的になりましたが群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語であり主にインターネットを活用して不特定多数の方から資金提供を受ける仕組みです。自分がお客様を横に乗せて竹を体感しながら走りたいと思い二人乗りの電気自動車にこだわったために光岡自動車のLike-T3をベースに製作しましたので若干予算オーバーしましたもののクラウドファンディングを活用して全国135名様から3,511,455円という費用を調達して虎竹電気自動車「竹トラッカー」を完成させました。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


チャレンジラン・横浜
クラウドファンディングには思わぬ副産物がついていました。資金提供いただいたお客様へのリワード(返礼)のひとつで高知から神奈川県横浜市まで走って行かねばならなかったのです。しかし、これもプラスに考えますとその道中では沢山の方にご覧いただくチャンスにもなりますし、メディアへの露出も期待できます、まさに竹トラッカーを製作した甲斐があるのではないかと思い「チャレンジラン横浜」のプラン作りに入ります。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」、チャレンジラン横浜


高知県須崎市安和の虎竹の里から神奈川県横浜市までは約1000キロの距離。竹トラッカーは電気自動車のため連続して走れる距離は60キロです。荷物の重量加算や余裕を考えて40~45キロ走った時点で一回充電できるよう、国道沿いにあるコンビニ各店に充電協力のお願いとアポイントを取りました。竹トラッカーで45キロを走るには約2時間かかります。そして充電を満タンにするのには6時間が必要。早朝から走り出したとしても一日に充電できるのは3回が限界です。途中、箱根峠での充電切れなどトラブルもありつつ、1日に3回×6時間の充電を繰り返しながら高知から横浜まで、1000キロの道のりを11日間かけて無事走り切る事ができました。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、世界竹会議(11th World Bamboo Congress Mexico)


チャレンジラン・メキシコ
第11回世界竹会議(11th World Bamboo Congress )での基調講演は、サンパウロから帰国してすぐにお話しを頂戴いたしました。ただ、せっかくメキシコまで行くのであれば日本唯一の虎竹自動車「竹トラッカー」も連れていきたいと考えます。しかし、簡単に考えていた輸送が電気自動車という事で結構難しい事を知ります。輸出いただける運輸会社がないのです、慌ててあちこちの会社を当たるうちに、どうにか一社だけ運んでもらえそうな所がありました。


ところが虎竹の里から神戸港までトレーラーで陸送し、船でメキシコはマンザニーロの港へ、上陸したあとは会場のあるハラパの町まで1000キロのトラック移動です。全部の費用を見積もりして頂くと驚くことに302万円もかかってしまいます!この見積書が届いた時には、自分達に到底無理だと諦めの気持ちもありました。しかし諦めきれず、すがる思いで再びクラウドファンディングに挑戦させていただきます「チャレンジラン横浜」に続き「チャレンジラン、メキシコ」の始まりでした。 1ヵ月という短い期間でしたが、全国の皆様の応援のお陰でギリギリで無事達成することが出来てハラパまでの輸送が可能になります。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


それからは、沢山の応援を頂き、せっかく竹トラッカーをメキシコまで運んで行くのだから、どうしても現地の皆様と一緒にメキシコの町を走りたいとメッセージを送り続けていました。実は、世界竹会議が始まってからも竹トラッカーは会場に展示されているものの公道を走れる見通しは立っていない様子だったのです。しかし、今回こうして無事展示できているのはクラウドファンディングを応援いただいた皆様のお陰です、メキシコの空の下を疾走する姿を夢見て援助を下さった皆様のためにも、このまま帰国はできないと思っていました。


そこで初日から大会関係者の皆様への嘆願活動を開始します。自分の基調講演の出番は最終日の一番最後でした、講演はもちろん大事ですが目的の半分でしかありません。竹トラッカーでメキシコを走りたい、その思いを毎日伝えますが、そこではハラパの会場で自分を助けてくれる通訳の方や現地スタッフが大いに動いてくれました。


世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


かくして、沢山の協力者のお陰で竹トラッカーは初めて海外の道路を走りだす事になります。大会関係者の自動車4台に前後を守られながら、世界竹会議の会場であるGAMMA FIESTA AMERICANA XALAPA NUBARAから公道に滑るように走り出した時には感無量でした。地元ハラパ市民の方にも「Tiger Bamboo car」と親しまれ、道路脇に停車させると写真撮影を求める人だかりが出来て大いにメキシコの方々を熱狂させたのです。この時の様子は動画にまとめてフェイスブックで公開していますが、わすがこの5ヶ月で再生回数72万回を突破する大人気コンテンツとなっています。
※再生回数は2019年3月に100万回突破しました。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


21世紀は竹の時代(the 21st century is the age of bamboo)
第11回世界竹会議メキシコでの基調講演ではお伝えしたい事が二点ありました。まず一点は、文献に残るだけでも江戸時代から生産と製造を続けている虎竹の里と、竹虎の営みを世界に知ってほしい事。そして「虎竹の模様は霜が降りると綺麗に出る」という昔からの言い伝えどおり近年温暖化の影響から虎竹の色付きが悪くなってきている事です。虎竹の現状をお伝えし、環境問題に対して人が竹から学ぶことがもっとあるのではないかと問題提起をしたいと思いお話しさせていただきました。


環境問題は個人ではとうてい解決できない大きな問題です。でも、そんな課題に立ち向かう時、竹に学ぶことがあるように思っています。竹は天を目指して真っ直ぐに伸びていきます、それは目標に向かい迷う事なく真っ直ぐに進んでいくお手本となります。竹は柔軟性を持ち、しやなかで、強い風にも決して折れることがありません。それは、困難に突き当たった時にも粘り強く立ち向う姿を示唆してくれます。そして竹は地下茎で沢山の竹と繋がって「地震の時には竹林に逃げろ」と教わってきた強い地盤を形成します。これこそ仲間同士が繋がり連携し、助け合う事の大切さを教えてくれているようです。


竹虎では1985年から「21世紀は竹の時代」とずっと言ってきました。竹の成長はとても早く3ヶ月で親竹と同じ大きさになり、3~4年で製品に加工できる事から持続して活用することのできる唯一の天然資源であるからです。そして、環境問題が大きな課題の中で昔ながらの伝統的な竹細工にとどまらず、竹の持つ抗菌性や消臭性、竹繊維等の高度利用まで含めると無限の可能性を秘めていると考えています。世界の人々が人種や国籍を越えて、竹に学ぶ時代が来たのだと思います。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI)、世界竹会議メキシコ(11th World Bamboo Congress Mexico)


「笑」=「竹」+「二人」
竹が日本人の暮らしに深く関わってきたと言うことは漢字を見てだけでも分かります。「籠」「笊」はもちろんですが、「箸」「竿」「箱」「筆」「筒」など実に多くの漢字に「竹」が付いているのです。そして、そんな漢字の中に「笑」という文字があります。この「笑」という文字は、「竹」に「二人」という漢字で構成されます、つまり、竹とあなたと私で笑顔になると言う事です。竹は古の昔から人々の生活に役立ち、笑顔を創って来られたからこそ「笑」という感じが生まれたのだと思います。これからの未来に向けても、竹が人を笑顔にする存在であり続けられるようにするのが自分達の使命です。


再生回数100万回を越え!遠い異国のメキシコを大疾走する日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」の雄姿をご覧ください。


イタヤ細工、竹細工の足技

 
イタヤ弁当箱


イタヤカエデをはじめ樹木の皮を使う細工は雪に閉ざされる東北で伝統的に作られ愛されてきた工芸品です。同じ編組細工として竹か木かという素材の違いだけで、このイタヤ弁当箱など出来あがりは非常に良く似ています。


サワグルミ


竹と木とは同じような成育地域にありますが、見た目が違うように性質から何から全く異なる材質であり、それぞれの特性の良さを活かした使われ方をしてきました。なのに何故、そのような樹木に興味を魅かれるかと言いますと理由があります。


サワグルミと言う手提げ籠バッグ等にも多用される木があります。その名前の通りに沢沿いに成育している樹木で種が川の流れに落ちて下流へ広がっていきますので、東北の川岸では広範囲に見られますが材質が弱く商品価値が低いのです。地元では伐採して運んでいると「そんな木を何に使うんだ?」と聞かれると言います、さらに沢に生えているので誰でも手に入れやすいと聞いて高知のシンニョウチク(一般的には蓬莱竹)という護岸用の竹材を使った細工をする職人さんの顔が浮かび、一気に親近感が沸いたのです。


イタヤカエデ木肌


竹の艶やかな表皮とは又違うイタヤカエデの木肌も良く見ていると味があります。丸太を割って年輪に沿って剥いでヘギ材を取りますのでイタヤ特有の風合いです。


イタヤ職人刃物


職人の道具は、それぞれ違って面白いものですがイタヤ職人も例外ではありません。


イタヤ職人足技


更に、このような足技まで使うのでたまりません。足の指に剥ぎにくいヘギ材を挟んで一本また一本と取っていきます。竹と違って剥ぐ工程や、ヘギ材を薄くするために刃物を当てる時にも力を必要としますので、足を頻繁に使うのです。


竹職人の足技


竹細工でも足を手のように使う職人は多いのです、さて、こうなると足技対決でしょうか(笑)しかし、どちらも手が四本ある職人...いやいや編み込みにまで足を使うので竹職人有利です。




続・誰も見た事がない竹製アタッシュケース

竹製アタッシュケース、竹ダレスバッグ


「自慢しに次の出張に持って行くか」


誰も見た事がない竹製アタッシュケースの事を、今月14日の30年ブログでお話しさせてもらっていました。普通は言うだけとう事が多いと思いますが、自分は本当に提げて行きます。


竹製アタッシュケース、竹スリムダレスバッグ


こので編まれたアタッシュケースを持って飛行機に乗るのは初めての事で少し緊張します。荷物は座席シートの上の棚に入れなければなりませんが、他の方との荷物との兼ね合いが気になりました、大きなトランクに挟まれたらどうしよう...?


しっかり堅牢に製作された竹アタッシュは、そんなにヤワではありません。けれど始めてのフライトですし...そこで考えた末に、ちょうど格安で手配できるようだったので普段はあまり乗る事のないプレミアムシートを予約する事にしたのです。


竹製アタッシュケース、竹スリムダレスバッグ


さて、何とか一日を終え無事に仕事を終えて再び空港に帰って来た時には正直ホッと胸をなでおろしました。しかし、後で思えばこのバッグを持たれるお客様というのは飛行機での移動もおそらくこのような座席に座られる方てはないか?また、このようなシートでないと、竹アタッシュケースに失礼ではないかという気持ちもあっての事だったのですが結局大正解でした。


竹製アタッシュケース、竹スリムダレスバッグ


それにしても、この日は機内のみならず訪問先でも何処でも色々な方にお声を掛けられます。


だいたいが「酒屋さんですか?ステキなバッグですね」


ある飲食店では仲居さんに「裏から入って」と言われた事もあります。皆さん、お酒は造ってませんよ!「竹」+「二」+「人」=「笑」、竹を通して笑顔は作っています。


竹炭パウダーお湯溶きドリンクとは?

竹炭ドリンク


もう数年前になりますがニューヨークで竹炭をドリンクにして飲むバンブーチャコールダイエットなるものが流行しているよと教えてもらった事があります。竹炭の黒色は地味になのに、物凄く洒落でカッコイイ感じになっていて驚きました。しかし、更に驚く飲み物が竹虎の事務所では飲用されていたのです!それが、ただの竹炭パウダーお湯溶きドリンクです。


竹炭パウダー


前々からコーヒーに入れたり水と一緒に飲用している社員はいたのですが、このようにデスクに常備する社員は最近の事です。良く見ると調味料を入れるような小さなガラス瓶に真っ黒い竹炭パウダーを入れて机の片隅に置いてあります、他の飲み物にも入れているようです。


竹炭パン


高温で焼き上げられた竹炭を15ミクロンの微粉末にしてあります。パン焼き器があるご家庭でしたら小麦粉に竹炭を混ぜて焼くだけなので本当に簡単です。お好みによって3%程度が適量ですのでお試ください。


竹炭黒ネコクッキー


このようなクッキーに焼きますと黒ネコやコウモリなど雰囲気バッチリの楽しいお菓子ができあがります。たとえデトックスなど健康効果がなかったとしても、色味の面白さで無味無臭の竹炭は人気の食品添加物になっていたに違いありません。


竹炭フレーク


竹炭なんて聞いた事も、食べた事もないよと言われる方がおられるかも知れません。けれど、竹炭を使ったスイーツや料理は結構多くてちょっとした色味のアクセントなどにも使われている事もあるので、もしかしたら知らない間に食されているかもです(笑)。


「炭職人に胃腸の悪い人はいない」昔から民間薬として活用され、伝承されていた健康法がこのようにして見直されています。


ANA機内の安全動画に注目!漆を使った一閑張り

 
Japan Creative、竹虎四代目


竹虎に来社された事もあり、ストックホルムで「Japan Creative」の展示会にもご一緒させていただいた廣村正彰さんが東京五輪ピクトグラムを開発されたとニュースで放映されていました。


誰でも見ただけでスポーツをイメージできる分かりやすいデザインは、さすがだと思いましたが来年にせまった東京オリンピックに向けて、このような海外から来日される方に向けた色々な動が活発になっているように感じています。


ana機内安全ビデオ


ANA機内にて離陸前に放映されている機内安全ビデオも歌舞伎風に変更されています。日本らしくて素晴らしいと思いますけれど、これもオリンピックで海外からのお客様が増える事を意識しての事ではないでしょうか。


ANA機内安全ビデオ


この動画は、さすが全日空と思える凝った作りになっていて何度見ても楽しいのです。特にご注目いただきたいのが隈取(くまどり)した歌舞伎役者が手荷物を棚に上げるシーン、使っている小道具ひとつにもこだわりを感じます。


一閑張行李


本当に短いカットで一瞬ですので気づかれない方が多いかも知れません。しかし、良くご覧いただくと棚に上げている荷物は今では国産は少なくなった漆で仕上げた一閑張です。


そしてさらに、見えにくのですが昔の衣類収納の定番であったスズ竹で編まれた行李もチラリと写っています。(連日沢山の方が搭乗されると思いますが一閑張、スズ竹行李に気づいた方はアッパレ!)


一閑張行李


あまり光沢のある細工が好きではないので今まで竹虎では地元の土佐和紙を使い、柿渋で仕上げた自然な感じのモノ作りを目指してやってきました。国産の竹編みを使って柿渋で仕上げる一閑張行李など恐らく竹虎だけではないかと思います。


ですが先日のブログでお話しさせてもらったように、この動画に登場するような漆塗りの一閑張を試作中です。ビデオに出てくる黒塗りは少し重たいだろうかと考えていますが、耐水性だけでなく化学物質などにも強いと言う漆に期待しています。


続・イタヤカエデ細工の鉄線編み丸皿

イタヤ細工丸皿


イタヤカエデ細工の泥染めは古い歴史があるわけでなく、ここ数十年の間に開発された技術だそうです。自然素材を自然素材で染めると経年変色も独特です、10年以上も経過した丸皿は白いイタヤ材は飴色になり、黒色やグレーは色褪せて風合いが全く異っています。しかし、どう変化しようと自然素材は綺麗で面白いものです。


虎竹染め


そう言えば自然染めの退色を見て虎竹の葉で染めた虎竹染めを思い出していました。優しさや温もりなどを感じさせる天然素材による染色は、化学染料と比べると時間の経過や太陽光線での色褪せは考えておかねばなりません。もちろん竹の経年変色を楽しんでもらいたと自分が考えるように、イタヤ細工の染めも経年変色を十二分に楽しむ事ができます。


イタヤ材


ただ、イタヤ材に限って言えばこの泥染めはあまり適していないのだと言います。特有の色合いにイタヤ材を染める泥染めには地下水を使いますが、含まれる鉄分がイタヤ材には適してなくて10年、20年と長く愛用しているうちに、柔らかさがなくなり折れやすくなるのです。木材用の化学染料で染めると20年経っても良い風合いで材質がもろくなる事もないと職人さんは話されますので何でも天然ばかりが良いという事ではないのです。


イタヤ細工


これは竹材で編まれたものではありません、イタヤ材からヒゴを取り編みまれているものです。本当に木材を削ったものだろうか?と思うくらい柔らかく、しなやかで折り曲げても折れない材質です。実際に丸太から細工に使われるヘギ材まで手にしてみると、つくづく先人の知恵の深さに頭が下がる思いです。


イタヤ手提げ籠バッグ


その特性を活かしたイタヤ手提げ籠バッグイタヤ弁当箱などは人目に触れる機会の多い製品ですが、泥染めの製品を見た事がないのにはこのように理由がありました。


イタヤカエデ細工の鉄線編み丸皿

イタヤ細工


イタヤカエデ細工の工房で目を引くのは丸皿用に編まれた部材でした。この美しいモダンな色合いは、そのままのヘギ材、泥染、化学染料の三種類で編みこんであるのです。白×グレー×黒という組合わせは若い職人の手によるものだそうですが、これは新しい感覚です。


イタヤカエデ


そもそもイタヤ細工は、一本のタイヤカエデの丸太を割ってヘギ材を取っていきます。直径10から15センチ程度の頃合いの良い木材を使って、根元から高さ30センチから最初の枝の生える高さ120センチくらいの間の木材しか使えません。枝が生える部分は性質の良い繊維を取る事ができないからなのです。材料が少なくなっているイタヤカエデはヘギ材作りにも力が必要で体力がないとできない作業です。


イタヤカエデ細工


木槌が置かれていますが、これは丸太材を割る時に使うものです。刃物に当てて叩き割るイメージです。しかし木材の年輪にそって剥いでいくものの、竹のようにパンパン割れていく訳ではなく繊維がねじれているので材料取りもかなり大変そうです。見ていると木材によって節のような部分があればヘギ材にできず破棄されています。


イタヤ細工丸皿


さて、そんなイタヤカエデ細工には何と泥染めがありました。泥染めと言えば石垣島の職人さんに編んでもらったアダン手提げ籠バックを思い出される方もいるかも知れません。泥染は、アダン葉の細工だけでなく様々な繊維を独特の色合いに加工するのに使われます、あの有名な大島紬も泥染めされていますので自然素材を泥染めするのは実はかなり広く取り入れられてきた一般的な加工法なのです。


イタヤ細工


染めは時間と共に段々と変化してきます、随分と落ち着いた感じになっています。


イタヤカエデ丸皿


10年経つとこれだけ変わっていきます。最初の現代的な幾何学模様のような印象から自然な温かみを感じさせるイタヤ細工へ変身しました。しかし、このような泥染めの製品を今まであまり見かけた事はありませんでした。どうしてでしょうか?その理由は次回の30年ブログでお話ししてみたいと思います。


「小さい会社だからチャンスは大きい」竹虎新卒採用動画ショートバージョン完成

日本唯一の虎竹の里


四年前に竹林見学をしたいとやって来られた美術系大学を卒業予定の学生さんがいました。日本唯一の虎竹にもあまりピンと来ていない様子でしたが、竹虎に入社頂けることになったのです。初めてやる事ばかり、最初は慣れない仕事に戸惑いもあったようですがその後、持ち前の創作センスを発揮してメキメキと腕を上げて行きます。


先日、たまたま一緒に竹林に入る機会があってカメラを向けました。そういえば初めて虎竹の里に来た時と同じジャケットを着ているようです、しかし格好は同じでも中身はまるで違います。新社会人として働きだしてから数年の成長が画面からも伝わってくるようでした。




今回はじめて新卒採用に向けた動画を製作する事になりました。自分はあまり関わらず社員に任せっきりでした。


5分間もの長い動画をご覧になられる方は竹虎に関心のある本当にごく一部ではないかと思います。そこで、この動画を1分にまとめた動画を作ってもらました。どうやって短くするのかと思っていたら、なかなか素晴らしい出来栄えです。




竹虎では700人しかいない虎竹の里から日本唯一の虎竹を世界に発信する若い仲間を社員募集しています。採用動画を制作したこの彼女も、四年目は何も知らず何もできませんでした。竹虎は小さい会社です、だからチャンスは大きいのです。


竹虎四代目と高校生


それは県レベルで考えても同じかも知れません。先月の地場産大賞の受賞式でご一緒させて頂いた農業高校の皆さんがおられました。あの学生さん達もこれから様々な進路へ目指し、県外の学校や会社に出る事もあるかも知れませんが地元にとってみたら金の卵です。


高校生の今でさえ、あれだけの成果を上げられる優秀な方々が多くを学び、そしてUターンして帰って来てもらえようにするのは小さい高知県に暮らす自分たち大人の使命とも言えます。


誰も見た事がない竹製アタッシュケース

竹アタッシュケース、竹鞄


今日は虎竹の里の皆に凄いものを見せたくてやって来た。大都会に行くと街をさっそうと歩く数えきれない程のビジネスマンがいて、その手にはブリーフケースやビジネスバックを持っている。しかし誰か一人でも、こんなバッグを提げている人がいるだろうか?


竹アタッシュケース、竹スリムダレス


いや別にビジネスシーンだけではない、旅行でもいい、高級ブランドでも何でもいい、兎に角、他を圧倒して目を釘付けにしてしまうこれだけの存在感を放っている鞄があれば教えて欲しい。


竹アタッシュケース、竹ダレス


男の鞄にはロマンが詰まっている。日本では1950年当時に度々来日したアメリカのダレス国務長官が持っていた鞄という事でダレスバッグという名前の定着している手提げ鞄などその典型だ。学生の頃から憧れてずっと欲しかったダレスやアタッシュケースがある。雑誌で一目惚れした鞄も、半年待ちして手に入れたオーバーナイトも確かに素敵だが、残念ながら足元にも及ばない。


この竹アタッシュケースは日本人が囲炉裏の生活だった当時の煤竹を追及し、限りなく自然な形の中で燻されたスズ竹で編まれている。だから単に竹を染めたり、塗ったりしたのとは全く違う深い風合いがある。何と竹素材作りだけで2年を費やしているこだわりだ。


竹アタッシュケース、竹ダレス


しかし、男の鞄はカチリと開けた瞬間が勝負。追随を許さない外見であっても内側が手抜きだったら意味がない。だから大きく開いて「どうだ」と言わんばかりに竹達に見てもらう。革職人と念密に打ち合わせした設え、色、素材感。ストッパーの革ベルトもいい、竹虎のロゴマークもいい。


さて、皆に自慢した後は次の出張にでも持って行くか。


虎竹男箸が品切れになる理由

虎竹箸製造


日本唯一の虎竹男箸は時々欠品になってしまう。お待ちいただくお客様には申し訳ないけれど材料が無くなってしまえばいくら製造したくても出来ないのだ。このお箸を自分は竹虎生地の箸袋に入れていつも携帯している、マイ箸としていつも使っているかと言うと実はそうではない。キチンとした料理屋さんでは割箸にも気を使っているので、そう言う所では出していただいたお箸を使う。ただ、日常的に行く機会の多い手頃なお値段の店舗で、刺激臭のする竹割箸を使うのにどうも抵抗があるのだ。


虎竹、竹虎四代目


どうして虎竹男箸の材料がなくなってしまうかと言うと、虎竹は真竹より少し小振りな竹なのだが淡竹(はちく)の仲間であり身が若干薄いのである。そこで太く、長い男箸の材料が品薄になってしまう。


虎竹箸製造


出来あがった虎竹男箸を見て「いくら身が薄いと言っても、これくらいなら材料もあるのでは?」とごく自然な疑問を持たれる方もいる。しかし、これは削り出す前の虎竹素材を見れば一目瞭然にご理解いただけるのかも知れない。


虎竹箸製造


虎竹男箸は全て熟練職人の手削りで製造されている。高速で回転するグラインダーに触れないように器用に指先を動かして竹を削っていく。あれよ、あれよと言う間に太い角材のようだった虎竹がお箸の形になる。


竹は根元に近い方が身が厚い、ところが節間が短くなってくるので世の中上手くはいかない。虎竹男箸の場合24センチの箸の長さがとれる節間があって、しかも厚い身の材料でなくてはならない。そんな竹材は本当に少ない上に、更に虎竹の場合は色づきの良し悪しがあって竹を厳選してしまう。


そして、気がつけば虎竹男箸は品切れになってしまっているのだ。




続・再生回数100万回突破!「日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」メキシコの街を大疾走!」

竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)


嬉しくても、悲しくても此処にやって来る。今日はもちろん嬉しい報告を持って来ました!昨日の30年ブログでもお話しさせてもらったように日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」のフェイスブック動画が再生回数100万回を超えたのです。さっき見てみたら108万回になっています、今この瞬間にも沢山の方にご覧いただけているのだと改めて実感します。


虎竹の里には700名しかいない小さな集落です、こんな田舎から発信した動画が世界中で再生され、高知県の人口でさえも75万人なのにそれを多く越えて100万回とはインターネットのテクノロジーの素晴らしさです。ただ、どのような動画でもこのように多くの注目を集められる訳ではありせん。そこには竹職人の技があります。


竹虎、竹職人


ところが、本人達にはその自覚がいまひとつありませんでした。昔から続いてきた伝統技術、仕事は何ひとつ軽んじられるものはありません。竹に携わるだけで胸を張ってもよいくらいに思っている自分からすれば、日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」を世界中からこれだけ評価いただいている事に、もっと自信を持ってよいと思っています。


メディア取材、竹虎


お陰様でメディアの方にお越しいただいたり、見学やインターンシップの取り組みなどで外部の方に接する機会も出来て少しづつ竹工場の雰囲気は変わってきましたけれどまだまだです。100万回突破は簡単ではありません、しかし人の心の壁を突破するのは比較できないくらい難しい事なのです。




再生回数100万回突破!「日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」メキシコの街を大疾走!」

日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


昨年の8月末にフェイスブックに投稿した動画「日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」メキシコの街を大疾走!」の再生回数が遂に100万回突破しました!


先々月の1月末にたまたまFB再生回数を見た時には確か45万回くらいでした。それで多くの再生回数にかなり驚いていましたが、それからわずか1ヵ月と少しで55万回!?もご覧いただいた事になります。これは凄い事ではないかと思って、SNSの事情に詳しい方に聞いてみると「バズってますね!」と言われました。


「パズル」ですか...?


「バズるです」


どうやらSNSで沢山閲覧される事を最近の用語では「バズる」と表現されるそうです。又ひとつ勉強になりました。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


再生回数には更に拍車がかかって、先週の金曜日午後に確認した時に100万回を越えたのですが、昨日の日曜日の午後には103万回になっていました。そして、今朝は何と106万回です!自分でも「ええっ!本当に?」という再生回数の伸びです、もしかしたら想像以上に爆発的な拡散がされているのかも知れません。


世界竹会議 (World Bamboo Congress)


竹トラッカーのメキシコ走行が実現したのは、世界竹会議 (World Bamboo Congress)に基調講演で呼んでいただいたからでした。WBCには世界50カ国の国と地域から竹の専門家が集結されていました、現在の主な動画閲覧者は海外からのものが多いのではないかと考えていますが、これだけ竹製の竹電気自動車が関心を集めているのは竹の可能性と活用をもっと進めたいという方が世界中に多数おられるからに他ありません。


竹虎四代目(YOSHIHIRO YAMAGISHI、山岸義浩)


今、まさに世界は竹を必要としているのです。竹虎が1985年からずっと言い続けてきた「21世紀は竹の時代」が到来しています。


再生回数100万回を越えた遠い異国のメキシコを大疾走する日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」の雄姿をご覧ください。




「ベスト菅笠ニスト」大賞

竹虎四代目、菅笠


それにしても、この時期の竹林は気持ちがよい。柔らかい日差しが竹葉の間から差し込み竹林全体がやさしい雰囲気につつまれているようなのです。あちこち飛び回りメジロたちも賑やかに遊び出すし、遠くではウグイスの声がしています。


「ホーホケキョ」


なかなかの美声、こうやって上手な歌声が聞こえてくれば春近し。


菅笠


先日この30年ブログでお話しさせていただいた400年も続く越中福岡の菅笠はさすがに素晴らしい、実際に被って竹林にやって来ました。虎竹の里の山を歩けば軽くて使いやすい事はすぐに分かるのです。被りやすさだけでなく、防水性など機能的にも優れているから古来ずっと愛用されてきた民具です。


確かベストジーニスト賞というのがあります。ジーンズの似合う方が選ばれて表彰されているようですが「ベスト菅笠ニスト」賞はないだろうか?この笠、我ながら良く似合っている。


八重山クバ笠(畑用)


おっと、しかしそれなら八重山のクバ笠も忘れる訳にはいきません。「ベストクバ笠ニスト」賞、もちろん、こちらにも応募せねばなるまいて!


春を彩る、籐手提げ籠バッグたち新登場

染籐手提げ籠バッグ(黒革持ち手)


南国高知と言われるだけあって虎竹の里も随分と温かくなってきました。そろそろ桜の話題もチラホラとでるようになってきた今日この頃に、新しく仲間入りした籐バッグ達をご覧いただきたいと思います。


染籐手提げ籠バッグ(黒革持ち手)


春はお出される機会も多くなる季節かと思いますが、そんな機会に一緒にお連れいただきたい黒革持ち手籐バッグの良いところは何と言っても、しなやかさと強さにあります。耐久性に富む籐ヒゴは柔らかく腰当たりも良くので気軽に持ち歩くのには最適の素材です。美しい仕上げができる加工性の高さと、思うよりもずっと軽くて長時間持っても疲れないのも人気となっています。


虎竹ワンポイント


今回の籐バッグシリーズには、それぞれ細かい所に日本唯一の虎竹をワンポイントに使ってみましたが、いかがでしょうか?


籐手提げ籠バッグ


籐手提げミニ籠バッグは小ぶりで可愛いサイズですので、ちょっとした外出にお連れいただきたいバッグです。


籐手提げ籠バッグ


明るく軽快な感じのナチュラルホワイトと、渋い染の二種類をご用意しています。どちらも細部まで丁寧に作り込んだ籐バッグです。


染籐手提げ籠バッグ


染籐の色合いも編み込も熟練職人ならではの美しい仕上がり。特にこの籐手提げミニ籠バッグは優しいフォルムにこだわり、口部分も胴体部分も穏やかな曲線美をお楽しみいただけるようになっています。


染籐手提げ籠バッグ


最後にイチオシの染籐手提げ籠八ツ目バッグです。特徴は本体ボディを縦一文字に入れた日本唯一の虎竹です。口部分、持ち手留部分にも虎竹を使ってバッグ全体をキリリと引き締めているのです。


染籐手提げ籠バッグ


しっかり編みこまれた八ツ目編みにもご注目いただきたいです。実際に手にされると見た目以上に軽く持ちやすい事を実感される秘密はここにあります。


染籐手提げ籠バッグ


好きな手提げ籠を持つとそれだけでウキウキして心弾みます。心地よい春の一日を籐手提げ籠バッグたちが更に楽しい時間にしてくれます。


一閑張に新しい仲間が登場予定、お楽しみに!

一閑張買い物籠素地


最近でもたまに建築中の住宅を注意して見てみますと柱と柱の間に格子状にした割竹を組んでいる事があります。高知のような田舎でも珍しいので都会の住宅では、あまり見かける事は無いかも知れませんが、この割竹に練った赤土などを塗り固めて土壁にしていくのです。


思えば一閑張は、この土壁の技法に似ていて四ツ目編みされた素地に和紙を貼り重ねた後、漆や柿渋で仕上げていきます。大きな違いと言えば土壁は、組まれた壁竹が全く見えなくなりますので土壁の中に竹材が入れられている事をご存じない方もおられる程ですが、一閑張は薄い和紙で加工されますから下地の竹編みが行李や手提げ籠バッグ等、作られる製品の雰囲気に大きく影響するのです。


一閑張行李竹骨


一閑張に使われる竹材は旬の良い時期に伐採された竹を使います。しかし、だからといって虫が喰わないと言う事ではありません。貼り付けた和紙にも穴を開けてしまうので竹材の管理はキッチリせねばならないのです。従って、下地の竹編みも良質の材料が無くなれば次のシーズンまでは作りたくても作れません。


一閑張手提げ籠バッグ竹編み


一閑張の技法は元々は昔から日本各地にあったものの、段々と職人さんも少なくなって四国では香川県などに少し残っているだけでした。漆や柿渋など最後に塗布する材質により仕上がりが全く異なります、竹虎では自然で経年変色も楽しめる柿渋仕上げを中心に製作してきましたが、新しい竹編みに挑戦するにあたって漆の製品も出来ないかと模索しています。


まだまだ試作段階ですから、どうなるのかは正直変分かりませんが、和紙の下に隠れてしまう脇役の竹編みから国産にこだわった一閑張の手提げ籠バッグができそうで楽しみにしています。


青竹踏みで大切な事に気づかせてもらったインターンシップ

青竹踏み


少し前にテレビ番組で頻尿が改善するという事で紹介されました青竹踏みは、第二の心臓と言われるくらい細かい血管が集中する足の裏を刺激する事によって血圧や血糖値、メタボ予防などにも良い効果が報告されてもいます。しかし、そのような健康面への働きかけと言う前に昔からずっと愛され続けて来たのは足裏への心地よい刺激、気持ち良さでした。


孟宗竹


青竹踏みの材料は身に厚みがある丈夫な孟宗竹を使います。同じような太さの竹を集めねばなりませんので半割しただけの簡単な商品だと思われがちですが実は竹材伐採の時からかなりの手間と時間がかかっています。しかも、40センチ程度の長さの中に強度を考えて竹節を二つ入れていますので更に厳選した竹材となります。


青竹踏み製造


そのように選び抜いた孟宗竹から次々と新しい製品が出来あがっています。健康効果の面でメディアに取り上げられたりする青竹踏みではありますが、20年近く前から少しづつ力を入れてご紹介してきたのは若い方がこの青竹踏みを知らなかった事に端を発しているのです。


2001年の春休みから地元大学の学生さんがインターンシップにお越しいただいています。そこで、若い皆様とお話しさせてもらうと、どこの家庭にも一本くらいはあるだろうと勝手に信じていた常識がガタガタと音をたてて崩れ去りました。


これでは、これからの竹文化は一体どうなっていくのか?少し危機感も持ちながら、誰が見ても竹と分かる素朴な製品を多くの方に告知することにより、他の竹や竹細工にも関心が少しでも向かえばと祈りにも似た気持ちでいるのです。




青竹踏みで大切な事に気づかせてもらったインターンシップは、その後も毎年ずっと続いています。もちろん、今年の夏も熱く募集中です!


タネガシマとサツマ

二重竹ざる(ふたえばら)


これからの季節は梅干しを干したりするのにも大活躍する二重竹ざる(ふたえばら)は直径60センチというゆったりサイズ。昔からの農家では干し野菜づくりをはじめ色々な用途に使ってきた定番の道具のひとつです。特にこの、ふたえばらと呼ばれる竹ザルは網代編みの裏側を六ツ目編みで補強しており耐久性抜群なのが特徴です。竹表皮を剥いで竹ヒゴ取りされた最初は白っぽい色をした竹ヒゴも時間の経過と共に色合いが変わってきます。


竹編み


数十年使っていると、こんなに渋い感じに変化するのは竹のたまらない魅力のひとつです。


古老の職人


ところで、高知の古老の職人は網代編みされた竹ざるの事を「サツマ」と呼びます。しかし、どうして「サツマ」と言うのかは誰ひとり知っている人はないのです。


古い竹ざる


「父が、祖父がそう呼んでいたから。」


皆一応にそう話ますが、きっとこれは「サツマ」=「薩摩」に違いありません。この網代編みの技術は九州から黒潮の流れにのってやって来たのか?そこまでは分かりませんが鹿児島の竹編み職人が技を伝えたのだと確信しています。


たとえば時代はさかのぼって戦国時代。種子島に伝わった火縄銃がそれまでの武士の戦を一変させます。武将達が見た事もなかった最新式の武器の名前は「タネガシマ」でした。


この大きな美しい竹ざるに、伝わってきた遠い国の名前が付いて土佐国中に広がったのは自然な成り行きだったと思います。


別注の塗り脱衣籠

別注塗り脱衣籠


大きな角物の竹籠は思うよりもずっとやっかいなものです。材料は真竹ではなく、普段あまり竹細工には使われる事は少ないものの身の厚みや丈夫さでは一番の孟宗竹を使います。ちょうどの竹材が無くて、まずその竹材の伐採からせねばなりませんでした。


同じサイズを沢山製作するのとは違い別注サイズでは予期せぬ手間がかかってしまう事もあり、どうしても仕事が後回しになります。結局出来あがったのはお客様の注文から数ヶ月もかかって編み上がって来ました。しかし、さすがに時間をかけただけあって、素地はこのまま使っても良いくらいの完成度の高さです。


別注塗り脱衣籠


定番で製作している約W49×H10×D34センチの脱衣籠だけでも手いっぱです。実はこの塗り脱衣籠には少し小ぶりなサイズもありましたが、なかなか製造が間に合ないので(大)は(小)を兼ねるという事で現在は大きいサイズだけに集中しています。ですからこの籠に関しては別誂えのご注文などお引き受けできるはずもなく、ずっとお断りさせてもらっていますが今回はどうしてもという事で一組だけ大きなサイズの物を作らせてもらったのです。


元々竹細工はそれぞれオーダーメイドのようにして編まれた事もありました、その当時の職人もきっと使う方々の笑顔を見て同じような気持ちだったに違いありません。美しい出来映えです、末永くご愛用いただけると嬉しいです。


美しい定番の山ぶどう手提げ籠バッグ

山葡萄棚編み手提げ籠バッグ


山葡萄の手提げ籠バッグは、東北の山々で採取された葡萄のツルを使って編まれています。温暖化の影響もあって竹の北限はどんどんと北に上がっていますが、孟宗竹や真竹、淡竹といった日本三大有用竹と呼ばれる加工性が高く細工に適した竹材は東北にはあまりありませんでしたので生活や仕事の中で使われる道具類にはスズ竹や根曲竹といった笹類の仲間が多用されてきました。そして、それと同時に驚く程の耐久性がある山葡萄などのツルや、アケビ、山桜や胡桃の樹皮で作る細工が発達してきたのです。


古い山葡萄籠


今でこそ海外からの輸入品含めて多種多様な製品があふれている山葡萄ですが、35~40年くらい前までは、大きな箱に入れられて一山いくらというような取引をされていた時代もありました。当時は知る人も少なく、母なども自分で使ってはじめて山葡萄の良さを知ったといいます。


山ぶどうセカンドバッグ


そんな母から譲られたセカンドバッグは使い込んで黒光りしていて、まるで上等な革細工のような風合いになっています。しかし実際手にしてみますと、その辺の革などとは比べ物にならないほどの強さと山育ちの無骨な風合いが何とも言えない魅力を醸し出しているのが分かります。


山葡萄棚編み手提げ籠バッグ


いつだったか東北の農家さんで腰籠として使っていたという古い山葡萄の籠と出会いました。畑や山仕事に使うための籠ですので棚編みされたヒゴは粗々しく決して整っていると言う訳ではありませんでしたが魅かれるものがあって山葡萄の職人さんに持ち手を付けてもらって手提げ籠として愛用さてせもらっています。やはり好きな物を持つて歩くと訳もなくウキウキしてきます。


山葡萄手提げ籠バッグ


実は近年、素朴さや味わいのある籠が少なくなり山葡萄にはあまり魅力を感じなくなっています。技巧に走りすぎるものではなく昔ながらの自分の好きな定番の編み方と形、大きさの山葡萄の手提げ籠バッグが久しぶりにありました。端正な形はさすがに熟練職人の技です。




凄い片口ざる

片口ざる


竹ざるは日常使いされる竹細工の代表選手のようなものですから竹の種類やら編み方やら大きさ、形など実に色々な種類があります。職人が少なくなっているとは言え新しい製品が出来たりもして、竹虎では先日も深竹ざる70センチと言う特大サイズの堅牢な新しい仲間が増えたばかりです。


しかし、そんな中にあっても格好の良い、他を圧倒するような風格の漂う片口ざるがありました。見た目も良いのですが持ってみるとハッとする質感があります。


片口ざるg


独特の作りをした片口部分も面白いですが、さらに変わったところがあります。竹表皮に注目してご覧いただきますと...


片口ざる


外側に竹表皮を向けて編まれていますが、実は内側にも竹表皮が見えるように編み込まれてるのです。竹は表皮部分が一番強いので表皮が表裏にあると最強です。つまり、この片口ざるは一見何でも無いように見えて実は二重編みという非常に手のこんだ竹ざるなのです。


片口ざる


凄い片口ざるです。