変わりゆく竹肌の魅力

竹虎四代目、経年変色の竹籠


この二つのは別の種類の竹材ではありません、同じ竹材を使って同じような籠を編んでいるのですが時間の経過によってこれだけ色合いが違ってきます。ご存じない方が見れば、まるで別の竹を使ったのか?それとも染付けしたのか?と思われるかも知れません。


竹虎四代目、経年変色の竹籠


竹の経年変色はこのように渋く深い色合いになるのが何とも言えない魅力です。生活道具として身の周りにあった籠や笊は少しくらい壊れても捨てられる事はありませんでした、傷んだ部分を手直ししながら一つの籠の寿命が尽きるまで愛用し続けたのです。


経年変色の竹編み


そうした竹編みには時間の経過だけでは物語れない色艶が残されていて、それが昔の囲炉裏の生活による煙でした。今でも茅葺の家にお邪魔すると入ったとたんに懐かしい炭の香というのでしょうか、囲炉裏からは煙がもうもうと立ち昇っている事があります。


ミニ飯籠


台所のカマドも薪を使っていましたので家の中が燻されているような状態です。それが茅葺屋根を長持ちさせると共に暮らしの中に溶け込んでいた竹を色づかせてきました。


竹虎四代目、経年変色の竹籠


ただ、囲炉裏の生活がなくなった今にあっても30年、40年前に編まれた籠は独特の美しい竹肌に成長しています。


古い竹籠


また、納屋に置かれたり軒先に吊るされたりしていた籠は又違う進化を遂げていて趣があります。


網代編み、経年変色の竹籠


この枯れたような網代網の圧倒される迫力はどうでしょうか?長く働いてきた熟練職人の手を見るようです。


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