先輩の根曲竹が言う「お前まだまだ青いなあ」

根曲竹玉入れ籠、竹虎四代目(山岸義浩)


根曲竹玉入籠なんて、普通の真竹で編まれた玉入れ籠でも珍しい時代にほとんど知られていないのではないかと思う。製造数も少ないし多くの方の目にふれる機会はほとんどない言わば幻の籠の一つである。今年も青々とした籠が編まれてきたが自分の愛用している籠と比べると色合いがこれだけ違う、「お前まだまだ青いなあ」先輩の籠が話しかけているように見える。


根曲竹


この根曲竹は自分もよく紹介しているのでご存知の方も多いかも知れないが兎に角堅牢な竹である。粘りとしなりのあるスズ竹よりも少し太目な感じで同じ笹類ではあるが、より野趣にあふれる野武士のような印象を受ける。しかし、これは山から運ばれて来て初めて拝見した根曲竹が紐やロープではなく、伐採した同じ竹をロープ代わりにして縛られていた事にもよる。


雪と竹


子供の頃には虎竹も同じように竹の束は竹を使って縛られていた。職人が竹林に入るのには鉈一本だけででかけたものなのである。その格好良さにしびれてしまったのであるが、根曲竹の荒々しい雰囲気はその生い立ちにも関係している。雪の降り積もる東北など寒い地方で成育するため、冬は降雪に耐えるために根部分が曲がっている。真竹や孟宗竹に冬が降り積もって大きくうなだれているのも凄いが、根が曲がってそれが竹自身の名前になっているからそれどころではないという事だ。


根曲竹りんご籠


根曲竹も昔の籠は農作業や生活道具に使われるものが多かったので見栄えより強さが求められた。山から伐り出された根曲竹と、この手付籠の竹表皮の違いがお分かりいただけるだろうか?表皮部分が磨かれてツヤツヤと輝いている。こうして表皮を綺麗に磨くようになったのは一般の方に買い物籠や洗濯籠として流通するようになってからの事である。


根曲竹玉入れ籠


さて、根曲竹の玉入籠であるが実は自分も強烈に気に入っている。そこで自分の机の横に逆さまに置いてサイドテーブルとして愛用しているのだ。ノートパソコンや書類の入った結構な重さのバッグも置く事もあるが全く平気、さすが根曲竹なのである。


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