別注で作った5種類の竹ヘラ

竹虎四代目(山岸義浩)、竹ヘラ


竹ヘラと言えばキッチン道具とばかり思ってしまいそうですが、実は料理関係だけではありません。粘土細工や絵画に使う事もありますし、焼物作家の方が使う事もあれば、塗壁など建築関係に使用するなど色々なモノ作りにも使われます。また、化粧・メイク用や美容用としてスキンケアの際に使うジェルやクリームを塗る際に使われてたりと結構多岐にわたっています。


別注竹ヘラ


今回の竹ヘラ5種類も建設現場で使われるとの事でしたが、幅や先端部分の作りがそれぞれ異なっていますので微妙な使い分けをされているようです。


別注竹ヘラ


初めて見本をお預かりした時に、非常にしっかりした作りでしたので別の仕事をされている職人さんが手作りしたと聞いて驚きました。


別注竹ヘラ


しかし餅は餅屋と言います。これだけしっかりした竹ヘラですと、旬のよい孟宗竹が必要ですけれど何処でも一年中材料があるわけではありません。せっかくお問合せがあっても今時の竹では細工には使えなくて結局お役に立てる事はないのです。日頃から竹材を持っている強みは、こんな時に発揮されるものです。


虎竹を六ツ目に編んだコーヒードリッパーの朝

虎竹コーヒードリッパー


1日に4杯、5杯とコーヒーを楽しむ自分は根っからのコーヒー党で、とにかく朝はコーヒーを飲まないと落ち着きません。もしかしたら同じような方かおられませんでしょうか?たとえば特別な用事があって朝に入れたてのコーヒーが飲めなくて、そのまま昼過ぎくらいまでバタバタするような日は一杯のコーヒーの大切さが身に染みます。


虎竹コーヒードリッパー


そんな自分ですので、お陰様で多くの方にご愛顧いただいています虎竹ドリッパーに少し大きめのサイズも欲しいと思って新しく仲間入りさせましたのが六ツ目タイプの虎竹コーヒードリッパーなのです。


虎竹コーヒードリッパー


元々コーヒードリッパーは、昔からあった塩取りかごを元に考えていましたので編み目はギッシリ詰んでいないといけないと思い込んでいたものの、ペーパーフィルターを使うのであれば竹編みの目が粗くとも良いのではという発想でザックリ六ツ目で編み込んだのです。


虎竹コーヒードリッパー


試作したもので早速コーヒーを入れてみましたが、虎竹を滴り落ちる入れたてのコーヒーが良い感じです(笑)。


虎竹コーヒードリッパー


都会ではテレワークとかリモートワークとか言われています。通勤がないし以前に比べますと朝もゆっくりされている方もおられるのでしょうか。自分などは会社まで1時間半かかっても、5分であっても結局朝はバタバタしそうですので少しだけ気持ちが豊かになる、こんなアイテムは大切です。




竹の魅力は奥が深い

無双編み籠


無双盛籠を漆で仕上げて欲しいというご注文をいただきました。それ自体はそれほど珍しい事ではないのですが、その理由が湿度の高い海外で使用するからという事なのです。そもそも竹は温暖で湿潤な地域に広く成育していますので竹細工や竹製品も多用されているはずなのですけれど、今までの竹籠はどういう訳か長く使うことができなかったと言われます。


無双籠


漆で加工して耐久性がどこまで高まるのか個人的にも非常に楽しみにしていますので仕上がりを心待ちにしている所です。漆は湿気に強い耐性をもっていますので、高温多湿の土地でその真価を発揮してくれるのではないかと期待しています。


ところで、この籠は無双編みの名人が修行をはじめて頃に編んだ古い籠です。どうでしょうか?見た目は拭き漆でも施したような質感です、もしかして既に漆加工した籠は今までに作ったことがあったのでしょうか?いえいえ、もちろん違います、漆は使っていません。名人が数十年前に編んだ籠は、長い時間の経過で元々は白かった竹がこのような風合いに変色しているのです。竹の魅力は奥が深い、しみじみ感じます。


竹炭歯磨きの作り方のお葉書を頂きました。

竹炭ハミガキ


あれは2016年秋の事なのですが咥内手術を受けて親知らずを抜かなけばならなくなりました。簡単に考えていましたものの結局8日間も入院することになり、神経がしびれて違和感はあるし食事は食べられないし本当に自分の歯を軽んじて来たことを思い知ります。そして無事に退院できてから竹炭の消臭効果、美白効果などを歯磨きに使えるのではないかと思って、早速開発することにしたのが現在の竹炭歯磨きなのです。

竹炭ハミガキ作り方


竹虎には嬉しい事に多くのお客様からメールやハガキで色々なお便りを毎日のように頂きます。先日はご購入いただいた竹炭パウダーを使って手作りの歯磨き粉を作られている方からレシピを教えてもらいました。こうして各ご家庭でそれぞれに楽しまれている事がよく分かります、また何と言いましても手書きのお便りはお客様の温かみが文字として伝わって来ますので大好きなのです(笑)さらに今回は、イラストまで描いてくださって見やすいし感激してしまいました。


竹炭ハミガキ


お客様のお教えくださった竹炭ハミガキにも是非チャレンジしてみたいと思いますが、葉書を拝見させていただいて思い出しました。竹虎の竹炭歯磨きは土佐黒潮天日塩を使った塩歯磨きにしています。製造いただくメーカーさんとの出会いは中学の時ですからもう数十年も前の事、あの頃には、まさかこのようなお付き合いになるとは考えもしていません。ご縁の有難さと繋がりの大切さをしみじみ思っています。


竹の記憶

根付孟宗竹


この根付の孟宗竹の何と立派なことか、京都の清水銘竹店さんにお伺いすると威風堂々たる風格で出迎えてくれる竹達です。竹林にある美しい姿をそのままに掘り出し、運び出し製竹するには大変な労力と技術が必要なのですが一般的にはあまり目にする機会の少ない根付の竹を見る度に思い出す光景があります。


竹虎本店パンフレット昭和45年


それが今から50年前の昭和45年に開店したばかりの竹虎本店なのです。高知県西部の清流四万十川が全国的に知られるようになる少し前だったように思いますが、当時四国一長いと言われた焼坂トンネル開通で交通量の増加しだす国道56号線沿いに竹虎としては初の展示場としてオープンした店舗の正面屋根には、この根付の孟宗竹が一文字に飾られていました。


真新しいアスファルトの道路の向こうから、沢山の社員さんや地元の方々と共に見上げた空の色まで今でもハッキリと覚えています。


ゴマ竹


さて、ゴマ竹という竹があます。名前の通り、まるでゴマのようなブツブツが出来る面白い竹で、アピオスポラ・シライアナ(Apiospora shiraiana)あるいはアピオスポレラ・バンブサエ(Apiosporella bambusae)と呼ばれる糸状菌によってゴマが出るのだそうです。このような難しい菌の名前は知りませんでしたが、小学校の頃など竹林で遊んでいると立枯れした竹にゴマが出ていたり、長く放置されている竹材にも同じようなゴマで出ているのを見て育ちましたので身近な存在の竹でした。


煤けたゴマ竹


自分の見ていたゴマは自然に発生したもの、ところがゴマは人工的に作って銘竹として仕立てられている事を後になって知ります。今ではあまり使われていない竹虎のバックヤードの柱には図面角竹のゴマ竹が使われていました。角竹というのは筍の時に四角い木型をはめて成長させて四角い形にします。そしてゴマ竹にするには成長した竹の枝をすべて打ち払い立ち枯れ状態にします、そうすると竹に菌がついてゴマ状の竹になっていくのです。自然界の力に人が手を添える形ですので、どのようなゴマになるかは職人にも分かりません。


バックヤードの柱に使われている竹を良くご覧いただきますと煤けているのがお分かりいただけます。実はこれは自分が大学4回生の時に起こった大火災の名残なのです。一晩中燃え続けて竹虎は工場も事務所も本店も商品を満載した大型トラックも全てが無くなりました。遠くまで見渡せる、一面焼け野原となって何とも言えない無力感でした。


しかし、自分は火事の第一発見者となったからこそ竹虎に入社して今があります。現在、あの時とは比べようもない程の変化に今後どうなっていくのかも分かりませんが、いつかは「あの事があったから今がある」と思える日が必ず来ると強く信じています。


京都から届いた筍

筍


は衣食住とすべてに関わって日本人の暮らしに深く根差した植物だ。古から人に寄り添い文化、思想にも大きく影響してきたので竹を全く知らない方でも竹林に入ると知らぬ間に笑顔になる。それもそのはず、笑うという文字には「竹」が入っているのだ。


筍


さて、この季節の楽しみと言えば、やはり筍だろう、今日は遠く京都から美味しそうなものが届いていて一日中ワクワクしていた。筍は薄く切って豚肉と一緒に甘辛く煮るのが山岸家の定番、大きな鍋で作って、来る日も来る日も筍を食べる。最後に煮詰まったところにとき卵を入れてタケノコ丼にすると格別に旨い。自宅で食事をする事が多くなっているが、あちこちで我が家の名物料理が生まれているのではないだろうか。


四方竹の筍寿司


そうそう筍と言えば、何も今の季節とは限らない。高知の南国市白木谷には有名な四方竹があって、この筍の季節は秋。直径で言うと黒竹くらいの細い竹でありシャキシャキとした歯ごたえが何とも言えず美味。特徴は丸いはずの竹が四角い事であり名前の由来ともなっている。中国原産で高知に持ち帰り育てられるようになったのが明治10年頃らしいけれど今や土佐の郷土料理のひとつとして定着しているから、やはり竹は凄い。


竹ブローチの後ろに驚愕の竹工芸の技あり

竹ブローチ


この八重桜のような竹ブローチは、45年間仕舞われていた倉庫から奇跡的に見つかった当時は大人気だった竹細工のアクセサリーのひとつです。竹を細く薄いヒゴににして弾力としなりを活かした造形は見事であり、美しい花のイメージを見事に再現されています。


竹ブローチ


自分の小さい頃には、それこそ大人たちは洋服につけていたと思うくらい流行っていました。もしかしたら虎竹の里だけかもと思いましたが、いやいや...製作されていた種類や数を考えたら全国津々浦々で販売され愛用されていたことを伺い知ることが出来ます。


ちょうど今回の母の日の企画に使っている竹ブローチも色違いだけで8種類、しかし実際にはこの数倍の色のバリエーションがありました。同じ技法で様々な形に応用できるのもこの製品が沢山作られた理由の一つであったと思います。竹ヒゴをまとめて製造し、素材を複数の内職さんの手で編み上げることによって、現在では見られなくなった大量生産を可能にするしくみが作られていたのです。


小菅小竹堂作束ね編み


当時、新潟県竹工芸指導所に勤務され竹製品の開発に携わっておられた小菅小竹堂さんが、これらの竹アクセサリーを考案されたと聞きますがその背景には驚愕するような竹の技がありました。ご覧になられている結び編みと言う技法も難度は全く異なるものの同じように竹ヒゴを細く薄くして編まれた竹の芸術です。


小菅小竹堂作束ね編み


裏側から拝見しても魅入ってしまうような迫力ですが、このような大作になると小菅さんでしか創作できません。昭和の時代を一世風靡した竹ブローチは、多くの方の手に取って使っていただいたり、手軽なプレゼントになるように価格を抑え、大量に製造するために編みを簡素化して考え出された逸品だったのです。


もう6年ほど前になります、昔を知る職人さんに製作されていた竹アクセサリーを作っていただいた事がありました。自分にとっても見覚えのある懐かしい竹細工でしたのでこの目で実際に見られた嬉しさでいっぱいだった事を思い出します。




竹炭を盛皿として使う

竹炭皿


竹炭盛皿を使うと聞いても、もしかしたらあまりイメージできないかも知れません。多くの方に炭といえばバーベキューなどに使う燃料用の炭が一般的かも知れませんが、高温で硬く焼き上げた竹炭は実際ご覧になられたり、触れられたりすると違いがすぐに体感いただけます。


竹炭皿


窯から出したままの状態ですので一度軽く水洗いしてから煮沸消毒した後にお使いいただきます。熱湯から取り出して熱を取った竹炭は指で触っても黒く付く事はありません、また硬度が高いため磁器のお皿のようにお使いいただけるのです。ただし、もちろん通常の焼物以上に割れやすいものですので繊細に扱う必要があります。


竹炭素材、孟宗竹


竹炭は炊飯や飲料水用など食に関わる領域で少しづつ浸透してきました。盛り付けに使うお皿としても野趣あふれる趣が人気です、しかしあまり目にする機会が少ないのには理由があって実は製造が非常に難しい品なのです。現在商品化している竹炭皿は長さが15センチ、30センチの2種類ありますけれど竹炭は焼き上げる過程で2割以上収縮してしまいますので、これだけの幅と長さのサイズにしようとすると大量の孟宗竹の中から太さ、厚み、曲がり、乾燥具合など適材を厳選せねばなりません。


竹炭皿


その上、大きいサイズで焼き上げるので捻じれや割れが生じやすく美しく仕上がるのは極一部です。土窯にこだわる竹炭焼は季節の気候変化で熱の入り方が違います、竹材も乾燥度合いや竹の性質により同じように焼きあがる事はありません。そんな中で製品化できる見込みの少ない竹炭皿はよほどの好条件がそろわないと焼けないのです。


竹炭盛皿の選別は2度されていて、お客様のお手元に届く直前でB級品にしてしまった竹炭を今回の動画でご紹介しています。よろしければご覧ください。




昨年秋の帰り道

秋の山里


昨年の秋、帰り路を急ぐ山道で思わず立ち止まった事がりました。大きな樹木に沢山立てかけられている木材は、足場か何かかと思っていたのですが改めて見てみると足場にしては随分と太く長さも様々でし。建材にするために仮に置いているのではないかと思いましたが、どうも既視感があるのです。どこかで見たような...?


白竹


そっくりな光景は、すぐに思い出しました。湯抜きした真竹を同じように樹木に立てかけて天日に晒している時の様子です。熱湯で油抜きしたばかりの竹は最初は黄色い色目をしてますけれど、こうして太陽の光を浴びることによって白竹になります。白竹の事を「晒竹(さらしだけ)」と呼ぶのは、こうして天日に晒すからなのです。


建材用の木材にしても白竹にしても、どちらも樹木に多すぎるくらい沢山立てかけて、まるで添え木をして支えているようにも見えます。コロナウィルスで揺れる社会を皆が心を一つにして支えなければならない今の世界みたいです。添え木は一本でも多いほうがいい、多すぎることは決してありません。


竹ビーズネックレスでほっこりコーデ

竹ビーズネックレス


色とりどりのビーズでつながれたネックレスですが、言わなければ一体何で出来ているのか?分からない方がほとんどかと思います。実は孟宗竹で作られた竹ネックレス、しかも現代に作られたものではなく原点は60年も前にさかのぼる古い歴史のあるものなのです。かっては一世を風靡して多くの女性の胸元を飾っていた竹細工も時代と共に忘れられ今では知る人もありません。


竹ブローチ


ところが、数奇な運命とでも言いますか、たまたま訪れた工場の倉庫の片隅にホコリをかぶっているのを見つけたのでした。約45年ぶりに光を浴びた竹アクセサリーたち、竹のハンドバッグやポシェット、そして母の日にご提案しています竹ブローチなども人と竹が今よりずっと近しい関係だった頃に思いを寄せていただくには最適の品々です。




竹虎ライブ配信、生電話チャレンジとは?

【ライブ配信】生電話チャレンジ


一昨日の4月16日に少し思い立ってYouTubeのライブ配信をすることにしました。実は、今回のコロナウィルスの影響で竹虎でも本社工場やウェブサイトの運営は通常通り行っていますものの、工場に隣接した本店はどうしても接客業務となりますので閉めた方が良いだろうと思って今週から臨時休業とさせてもらっていたのです。今年で創業126年になる竹虎は実店舗を立ち上げてからでも50年になりますけれど、この長い歴史の中でも災害の他で長期のお休みするのは初めての事だと思います。


竹虎本店


昼間なのに電気を消した薄暗い店舗を歩いていると沢山の竹籠や竹ざる、花籠、手提げ籠バッグたち、それから弁当箱、竹箸、カトラリー、竹炭製品や作家の工芸作品など様々な竹製品たちが寂しそうに語りかたけくるようです。せっかく、これだけの日本の竹が一堂に会していながら店を開けられないというのは、いかにも残念で。そこで、ふと思いついたのが最近動画配信に使っているYouTubeでした。


確か動画をライブ配信できる機能があったはず...!?


竹虎本店


すぐに見つかりました!こうなると、すぐにやってしまいたいのが自分の性格です。でも、これが正確かも知れません(笑)悪い頭で色々考えるて仕方ないのです、とにかくまずやってみようと思い開始したのがYouTubeライブ配信「竹虎四代目 生電話チャンレジ」なのです。


電話番号を大きく入れたプラカードを首から提げていますけれど、ライブ中にお客様からの電話をリアルに受けて何でもお問い合わせにもお応えしますし、商品を販売しようと考えたのです。結果、先日の第一回目の配信では違う電話がかかってきて、その通話中にお客様から電話いただいてしまって出ることができず、30分間の配信は失敗に終わりましたが、やってみないと分からない事が数点あって次に繋げられます。


竹虎本店


来週は第二回目のライブ配信を予定しています。今度はフェイスブックはじめSNSで日時を予告してから始めようと考えています。30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」をご覧いただいております皆様も是非よろしくお願いします!


第一回配信の様子はコチラからご覧いただけます。


トンノスという名の背負い籠

トンノス、背負い籠


冬は雪で閉ざされるに違いない急な山道を登っていくと道路工事のために通行止めだ。慌てて違うルートを探すと何とか車一台が通れるだけの道幅がある田んぼをぬうように走る道が見つかった。そうして2時間近く遠回りして、ようやく辿り付いた農家さんにあったのが「トンノス」と呼ばれる背負い籠だ。


山芋籠


背負い籠と言うと昔から農作業、山仕事に多用されてきたので竹虎にも六ツ目の定番の形を含めて7~8種類の籠があったが現在ではあまり作られることもなくなった。




先日の動画に登場した山芋籠なども、鰻ウケを入れて撮っているので冗談のように思われる方がいたらいけない。本当にあの籠は山で掘った長い山芋を、そのまま持ち変えるための背負い籠なのである。


トンノス、背負い籠


この「トンノス」という背負い籠も製作できる職人はただ一人となっている。鳥の巣に似ていることから知らぬ間にトンノスと名前がついた、縦の丈夫な骨竹には孟宗竹が使われて、横編みにはしなりのある真竹が使われている。藁で編まれた背負い紐を見ていたら、在りし日の名人を思い出して胸が熱くなった。




鬼おろし、リニューアル

鬼おろし


鬼おろしをリニューアルした事には何度かお話しさせていただいていますが、タイミングは良かったのかも知れないと思っています。竹は毎年季節になると筍が頭をだし、3カ月で親竹と同じ背丈まで成長し、わずか3~4年で製品加工できるというサイクルの早い植物です。そのため継続利用可能な優しい自然素材のと言われます、そして同時に樹齢の長い木材などに比べて自然の変化を受けやすい植物でもあるのです。


虎竹の里、竹虎四代目(山岸義浩)


虎竹の里では「霜が降りると色がつく」と聞かされてきた伝承があります。近年の温暖化で竹の色が芳しくなくり、それが本当だったのかと身に染みて感じているのが正直なここしばらくの感想です。気候の変化は虎竹だけでなく他の竹、例えばこの鬼おろしの素材である孟宗竹にも影響しているように思えてなりません。真竹などにしても、その年により微妙に差がありながらも全国的にその品質は段々に下がっているように感じます。


鍋セット


気温だけでなく、山の職人の高齢化が関係していることも考えられますけれど昨年のような竹製品への虫害は避けなければなりません。それが今回のリニューアルに繋がりました。薬剤を使って防虫するのではなく熱と圧力で蒸焼状態にする加工法ですので安全です。ただ良い事ばかりでもなくて色が黒っぽくなりますから最後ウレタン塗装のシミが見えやすくなります。昨年まで販売されていた本来の白い竹肌に慣れている方には又ご意見なども頂きながら、ひとつづつ進んでいかねばなりません。




ニギョウ箕を眺めながら

ニギョウの箕


この赤っぽい色合いの箕をご存知でしょうか?縦にヤナギや桜皮、横にニギョウ(サルナシ)の皮を編み込み縁には根曲竹を使った知る人ぞ知るニギョウ箕なのです。見たばかり強調される事が多いようですが、意外なほど軽く柔軟性のある使い心地はさぞ多くの農家さんで喜ばれた事だと思います。


岩手県北部の山間、美しい緑の中を沢伝いに上って行った所にある面岸(おもぎし)地区。今では、わずか数名の職人さんが残るだけの静かな集落ですが、昔から面岸の箕と呼ばれてきたこの箕作りが盛んだった場所です。竹ではないものの山の恵みを十二分に生かし切った緻密な編み込みと形が魅力的でたまに思い出したように他の箕と共に眺めています。


別注箕


ニギョウ箕のようにハ型に広がったものもあれば、先日職人さんに別注で編んでもらった口を閉じ気味に仕上げる箕もあります。農家さんの注文によって箕も様々な形や大きさが今でも編まれているのです。


桜箕、日置箕


実はニギョウ箕は数ある箕の中でも美しい事で知られていますけれど、イタヤカエデを使うオエダラ箕も編み上がったばかりの優美な白さ、使い込まれた深い飴色の艶やかさは引けを取りません。しかし、どれか一つと言われれば、やはり蓬莱竹を使う桜箕が最高傑作だと思っています。


竹炭で木琴!?だから出来るペンダント

竹炭ペンダント


竹炭ペンダントと聞いても、あまりイメージできない方が多いかも知れません。炭だから服や手に黒く付いてしまいそうでアクセサリーとは程遠い存在のように感じられると思うのです。ところが、1000度の窯で焼き上げた最高級竹炭は硬度が高まり簡単に割れる事もありませんし、磨けば黒く色が付着してしまうような事もありません。


どんなに硬くなるかと言いますと、叩くと金属音がするほどです。それでは一体どんな音でしょうか?実は竹炭で木琴ができるほどなのです!かなり古い動画ではありますが、高知の動物園で撮影した貴重な演奏です(笑)。




ご覧いただきまして、いかがだったでしょうか?これが竹炭の音!?と驚かれるような澄んだ音色だったと思います。焼き上げた竹炭を一本づつ音を聞いて作られた竹炭の木琴、昔はこのような凝った竹炭楽器もあったのです。


孟宗竹


さて、この竹炭の原材料は皆様ご存知の通り日本最大級の竹であります孟宗竹。太く、身も厚く竹炭には最適の素材です、綺麗な節がありますので竹炭ペンダントにも場合によっては節の入った面白いものま交じっています。


竹炭首飾り


孟宗竹を焼き上げたペンダントトップに、虎竹を使った丸竹炭を合わせて一つのペンダントにしました。勾玉、しずく、ハート、ダイヤ、丸の5種類、それぞれ限定で今回限りのご紹介です。


竹炭ネックレス


表面は美しく磨かれ素肌に触る感触も心地よいのは本物の竹炭ならではです。ただし、硬いと言っても強い衝撃などには割れてしまう事もありますので十分ご注意ください。自分も愛用していた半月形の竹炭ペンダントを割ってしまった苦い経験がありますので。


竹炭ペンダント


さらに竹炭ペンダントには「竹虎」の文字入り、黒に赤が映えてなかなかの出来栄えです。




プロの目利きが選んだ一膳の竹箸

竹箸


お箸という漢字は「竹」が冠についているだけあって竹ほどの適材はないと思う。日本全国なら北海道や沖縄を除いて何処に行っても太い孟宗竹や真竹、淡竹が身近にあって材料に困らない。加工にしても、竹を割った性格と昔から言われるように縦に割りやすい、竹林整備を兼ねたキャンプやイベントで竹箸を作られた事のある方がいれば、使い捨てのお箸であれば誰でも簡単に作れてしまう事を実感されてていると思う。自分が山に行ってお箸を忘れた時には黒竹の細い小枝を伐って使った。製作時間は数秒である。


軽く、細くてもしなりがあり丈夫、使い心地も最高の竹箸だから古より数えきれない程の量が作られて来たろうし、種類も様々できて来たことだろう。現在でも、竹箸の種類は大きな製造工場で作られるものから、職人手削りのものまで実に多くのものがある。さて、しかし、そんな沢山の竹箸の中で、どれか一膳だけ選ぶとなると一体どうだうろか?


自分は、仕事がら沢山の竹箸を持っていて食事の度に色々と変えて使っている。たまに入れ替われもあるけれど、右手でガッと握って一束くらいある中から毎回選んでいるのだ。希少な煤竹を手削りしたお箸がある、極太の孟宗竹を男性用に太く削ったお箸もある、真竹の節が入ったお箸、虎竹の男箸、丸いお箸、角箸、五角箸、漆仕上げ、ウレタン塗装、鮮やかな色に塗ったお箸、その日の気分で並べるお箸の中にプロが選ぶ一膳がある。


竹虎本社


虎竹のお箸なら嬉しいが、実はそうではない。昭和45年(1970年)から50年近くに渡って竹虎本店で竹箸を販売し続けてきて、自分自身も家族も使い続けて来た母がこれなら間違いないという一膳が研出箸である。値段も800円という普通の竹箸なので肩透かしをくった思いの方もおられるかも知れない。


ところがこんな事もあった。自身も竹細工のたしなみがあり竹工芸家から若手職人まで数十年にわたって産地の様々な職人の仕事を見てきた女将と談笑していた時、ふいに竹箸の話しになったのだ。そして、奥の台所から今までで一番の品質であり長く愛用するというお箸を持って出てきたが、その手にはやはりこの同じ竹箸が握られていた。


さすがに、この時には鳥肌がたったがプロの目利きが選び続けてきたのは、高級な素材や見てくれの格好良さではない、使いやすさ、耐久性、価格全てにおいてのベストワンの、この竹箸なのである。


竹とプラスチックと

雑誌「BE-PAL」


今月の雑誌「BE-PAL」は、いつもながらわくわくする内容が満載だ。テント100張を全部立ててみた、という企画があって大学時代に自転車で北海道を一周して以来テント生活とは縁遠くなっているが見ているだけで、あれこれ考えて楽しくなる。


雑誌「BE-PAL」


先日の30年ブログで取材にお越しいただいたお話しをしているが「今日からはじめるサステナブルLIFE」という特集で自然素材としての竹を取り上げていただいている。毎年自然に生えて、あっと言う間に成長する不思議な生命力は今言われている持続可能な社会の大きな光にも見える。


雑誌「BE-PAL」


毎日、竹に触れ、竹で生活をしている自分達からすれば、実はそれほど簡単な問題でもないが竹ほど可能性に満ちたものはないのは確かな事だ。


洗濯籠


近頃登場させたお一人様の脱衣籠は、ウェブサイトのページにも記載した通り、脱水した洗濯物を持ち運ぶ場合など水に強い素材が便利なので市販されているポリエチレン素材のランドーバスケットがジャストサイズで内側に入る大きさで製作している。


虎竹の里のすぐ前には美しい太平洋が広がる、小さい頃は毎日泳いだ海だからマイクロプラスチック等の問題は、もちろん人一番身近に感じている。しかし、異素材を全く否定していては竹の存在も存続もない。




「こんなモノが欲しかった!」きっと見つかる、あなたの青竹踏み

青竹踏み


高知県でもコロナウィルスによる感染拡大を受けて、不要不急の外出を自粛する呼びかけが日増しに強まっています。自然に囲まれた地域でも外に出る機会が減ると明るい気分にはなりにくいのですが、コンクリートに囲またれ都会なら尚の事ではないかと思います。


身体が鈍らないように室内でできる簡単な運動やストレッチで身心のリフレッシュをしていただきたいと思います。そして、そんな時に忘れずに簡単でお手軽な日本古来の健康法、青竹踏みで足裏マッサージはいかがでしょうか?丸い竹を半分に割ってカマボコ状にしただけの何ということのない道具のようではありますものの、実はその効果は絶大!昔からずっと使われて続けてきたのには理由があります!


しかし、近年は青竹踏みを知らないという若い方も増えてきていて、日本の家には一本必ずあると信じていた自分など本当に驚いてしまいます。そこで、まず青竹踏みの事を深く分かりやすく知っていただくべくYouTubeでそれぞれご紹介しているのです。




まず、青竹踏みと言えばコレ!という定番の青竹踏みです。日本最大級の孟宗竹を使って、肉厚で丈夫、そして初めての方でも使いやすい緩やかなカーブが特徴で一番多くの方に愛されている竹踏みを解説しています。




次に、青竹踏みと一口に言いましても何種類かのバリエーションがあります。簡易な製品に思えるかも知れませんが、竹虎は当然国産にこだわります。日本の竹、日本の職人が作りだす老舗竹屋ならではの種類と品数は圧倒的、それぞれの種類の特徴を分かりやすいように動画にしました。




最後は青竹踏み上級者の方だけにオススメする超強力タイプのご紹介をしています。通常の青竹踏みが孟宗竹という日本最大級の竹で製作するのに対して、こちらは少し細身の真竹を使いました。元々は竹虎社員の声から生まれた商品です、細い竹材を使用する事によってアールの急角度でガツンの刺激のくるので今までにない心地良さなのです。


青竹踏みを使い慣れない方にはご案内できかねますけれど、今までの青竹踏みに満足できない上級者の方でしたら「こんなモノが欲しかった!」と喜んでいただける逸品、是非ご自宅でゆっくりと味わっていただきたいと思っています。


マタタビ米研ぎざるを手にして

マタタビ蕎麦ざる


マタタビという素材は面白い。黒い木肌の下には真っ白い生地が隠されている。


マタタビ米研ぎざる


薄く剥いで使うと柔軟で粘りがあって、まるで竹と同じように扱える。やさしい手触り、耐水性も抜群であるこのマタタビ米とぎざるは素晴らしい。


マタタビ米ざる


水分を含むとヒゴが膨張して目から締まって米が目につまったり下に落ちてしまうことがないのが秀逸である。


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そして使うほどに深まってくるこの経年変色は、知らない方が見たら別の籠かと思われるほど。いつも申し上げることだが自然素材のこんな魅力的なざる一つで、都会の暮らしがどれほど豊になるだろうか。


スズ竹の開花、大きな自然のサイクルの中で

スズ竹手提げ籠バッグ


30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」を前々からご覧いただいている皆様でしたらご存知のようにスズ竹は120年に一度とも言われる開花で竹林全体が枯れてしまい籠の製造ができなくなっています。良質な竹材が出されていた山々だったのに、段々と質の低下があったりして数年前から開花の予兆がありはしたものの実際にこのような状態になると人の力では何ともする事ができません。


スズ竹弁当箱


少しだけ残された竹材で限定的な製造の模索も続きますが、市場籠など大きな籠は本当にできなくなっています。少ない材料で細々と編まれていたのがスズ竹弁当箱、数ある竹弁当の中でも、しなやかさと抜群の強さを誇り竹弁当の中の竹弁当です。


スズ竹手提げ籠バッグ


スズ竹弁当箱にしろ、少しだけ残されたスズ竹手提げ籠バッグにしろ今後の製造が未定のものばかりです。今回の材料不足は、虎竹はじめ他の竹でも開花の時期となれば同じような事が起こる事を思えば、自分達の仕事は大きな自然のサイクルの中で続けさせてもらっている事を改めて感じます。




嬉しい網代底の竹ざる

網代底竹ざる


とても嬉しい竹ザルをご紹介したいと思います。それがコチラ!網代底で編まれているという事以外は、1.8尺(55センチ)サイズの何ということもない竹ザルに見えるかも知れません。


古い網代底竹ざる


ところが確かこの1月でしたか、たまたま一体何年くらい前のものか分からないほど古い竹ザルに出会っていたのです。よくご覧いただきたいのですが、それが同じ竹ザルでした。


古い網代底竹ざる


大事に使われてきたであろう年期の入った竹ざるは、それは美しく歳を重ねた感じで魅力的でした。


古い網代底竹ざる


磨きの竹ヒゴの縁巻も枯れ具合も大好きです。


古い網代底竹ざる


もちろん同じ職人のものではありませんので力竹の差し込み具合など微妙に違うところはあります。


古い網代底竹ざる


手にしている竹ザルも編み上がったばかりという訳ではないものの、この竹ザルから見れば、まだまだヨチヨチ歩き?(笑)でしょうか。しかし、いずれこのように風格が出てくるのかと思えば笑みがこぼれます。


清水銘竹店の火抜き

清水銘竹店


京都には祖父の代から親しくお付き合いさせていただいている清水銘竹店さんと言う会社様があります。こちらでは竹虎とは少し違った方法で油抜きの加工をされていますので今日はじっくり拝見したいと思ってお邪魔しました。


虎竹


虎竹は日本でも高知県須崎市の一部でしか成育しない虎模様が特徴の竹ですが最初から虎模様が竹にあるわけではなく、油抜き専用窯に入れ700度のガスバーナーの熱で一気に加工していきます。窯に入れる前と後では竹表皮のツヤが全くちがって虎模様がクッキリと浮かび上がるのですが、この油分をウエスで拭き取って磨いていきます。そして、すぐ後ろには置かれている矯め木でまだ竹が熱せられて熱いうちに曲がりを矯正していくのです。


清水銘竹店、職人


さて、一方京都の清水銘竹店さんには敷地内に入るやいなや沢山の竹が並んでいます。おっと工場入口では竹を一本一本、丁寧に水洗いされています。油抜きの前にひと手間かけるのが京銘竹のこだわり、こうして大事に製竹した竹が会社建物前から裏側にまでもズラリと立てかけらてれいました。


昭和45年に竹虎本店が完成した際には、店舗正面の屋根部分に孟宗竹の根付がそのまま使われていましたけれど最近ではあまり見ることのなくなった竹根のついた竹や、中には角ばった竹まであります(笑)


清水銘竹店、竹根


ええっ?角い...竹は丸くないの?


とか言われそうですが、筍の時に四角いかぶせをして大きく成長させた竹は四角に形に育つのです。清水銘竹店さんは、この角竹を創ったり、図面竹とよばれる人工的に竹に模様をつけて育てる竹のスペシャリストでもあるのです。


清水銘竹店


孟宗竹も真竹もあります、それぞれ天日干しされているのは油抜きされて白く変色した竹達です。色が白いので「白竹」、あるいは天日で晒して色を出しますので「晒し竹」ともいいます。しかし、それにしても美しい、竹を使う方からすると竹の材料と見えるかも知れませんけれどここにある竹はすべて竹の製品、一流の完成品です。


清水銘竹店、油抜き


竹は油分の多い植物ですので、熱を加えて文字通り余分な油を抜いていく、そしてその油分で竹表皮を磨いて美しく仕上げていくという加工です。青物細工と言われる竹素材をそのままに、あるいは表皮を薄く剥いで編んでいく磨き細工などの他には一部で青竹そのままに使う製品がありますが、多くの場合はこの油抜きという加工をします。


清水銘竹店、油抜き


昔は竹の油抜きは炭火でされていました。さすがに現在では炭火を使う事はせず、ガスバーナーの火を使います。片面づつ、ゆっくりと熱を加えることによって内側まで火を入れられるのがコチラの火抜きの特徴です。


竹に熱があるうちに矯め加工するのは同じ、竹と相性のよい椋の木で作られた矯め木で曲がりを矯正しています。体重をかけて調整し、ロープをかけて冷まして固定しています、大きな孟宗竹なので虎竹と違い少し時間がかかるようです。何気なく竹にのっているように見える仕事も竹の節をしっかり殺して真っ直ぐな竹材にされています。仕上がった竹は流石に見事です。


清水銘竹店


それにしても竹がそれぞれ本当にキレイです。京都という土地柄長い時間をかけて整備されこのような頃合いの孟宗竹が生産されているのだと思いますが立ててある竹も、まるで別モノのように素晴らしい竹ばかりです。太く長い孟宗竹なので何度かに分けて油抜きしていますが、油抜きした所、していない所のラインも綺麗にそろえられている仕事を拝見していても竹への深い愛情を感じます


熱を加えられて竹から油が染み出してツヤツヤと輝いています。竹をまず丁寧に水洗いして汚れを落としている事で油抜きがより加工しやすくなっています。当社と比べると拭き取っているウエスの汚れ具合が、まったく違っているのです。


清水銘竹店、真竹


工場にはこの白竹の他にも図面竹、煤竹、紋竹はじめ京都らしい銘竹がいっぱいです。実は、竹の油抜きには湯抜きと言って熱湯を使ってする方法と、今回見ていただきましたガスの火を使う火抜きという2つの方法があります。しかし、竹はやはり、火抜きの綺麗です、特に時間が経つにしたがって飴色の何ともいえない色合いに変色するのは火抜きならでは清水銘竹店さんは火抜きにこだわり様々な竹を製竹されるのです。




虎竹と図面竹

白石白雲斎虎竹花籠


祖父と懇意だった白石白雲斎さんの沢山の遺作に触れて、自社に展示している作品を見直してみた。虎竹花籠の底に入れられた銘を見てから、ふと横にある図面竹であまれた籠を手に取った。図面竹を籠に編んだ作品はかなり珍しいのではなかろうか?竹虎に数ある花籠の中でも改めて考えたらこの一点限りである。


白石白雲斎虎染め花かご


同じく白雲斎さんの作品でも、これだけハッキリと色が違っていれば別の竹材だとお分かりいただけるかと思うのだが、もしかしたら虎竹と図面竹を区別付けづらいのかも知れない。


白石白雲斎図面花籠


明日の日曜日には朝8時から関口宏さんが司会を務める「サンデーモーニング」という番組がある。毎回豪華な花が中央に活けられていてスタジオを明るく彩っているが、少し離れた横側に同じく装飾の一部として図面竹が使われている。「あのテレビに使われているのが虎竹ですね?」と何度か言っていただいた事があるけれど、その都度「あれは虎竹ではなく図面竹という竹ですよ」と教えて差し上げている。そんな事を図面竹で編まれた籠の底と虎竹の籠の底を見比べながら思い出した。


毎日の暮らし潤う、粗編み四ツ目籠たち

白竹ランドリーバスケット


またまた毎日の暮らしが少しだけ楽しくウキウキしてきそうな竹籠たちが出来あがります。こちらの竹籠は、皆様もよくご存知のスーパーマーケットで使われているプラスチック製の買い物籠をモデルに製作しています。最初はプラスチックの買い物がスッポリと中に入ってしまうのも良いのではと構想練っていましたけれど、出来あがりサイズを考えると大きすぎます。


洗濯籠


とにかく一つ形にするという事で出来あがった籠でさっそくスーパーに行ってあれこれ買い物してみました。帰って重量を測ってみたら4キロもありましたが、ビクともしない丈夫な籠です。しかし、どうでしょうか?


形はスーパーの買い物籠に近いものの手提げ買い物籠としてお使いいただくよりはランドリーバスケットとして活躍できるのではないかと思っています。こうして持ち手を折りたためば洗濯機の横に置いても邪魔になりません。洗ったあとのお洗濯を運ぶ強さはさきほど申し上げた通り全く問題ないのです。


白竹粗四ツ目衣装籠


先日、同じ白竹を使った四ツ目タイプで衣装籠をご紹介しています。竹籠好きの方でしたらハッと目にとまる新鮮さを感じるのではないかと思います。


ランドリーバスケット


自分はいつも竹に囲まれて当たり前になっていますが、それでも沢山ある竹製品の中でふと手にとって心安らぐ気持ちになる事があります。普段、自然素材の籠など身近に置かれていない皆様でしたら尚のこと毎日の暮らしに潤いを感じていただけると思っています。


竹簾、いぶし銀の脇役

別注簾、竹虎四代目


簾を意識される方はあまりいないかも知れません。ザル蕎麦を食べる時にも、運ばれて来たお蕎麦の色がどうだとか、盛り付けがどうだとか言うことには大いに気を回すと思いますが食べ終わったあとに、ようやく現れる簾には目もくれないのではないでしょうか。


気を付けていると食の世界では色々なシーンで竹の簾が活躍していますが多くの場合は主役を引き立てる脇役に徹しています。しかしテレビのドラマと同じで主人公がキラリと光って人気となっているのは、いぶし銀の脇役あってこそ。


別注すだれ


そして本日の30年ブログでご紹介したいのは脇役の中でも更に出番の少ない別誂えの簾たちです。大量に使われる事も多いので輸入されている製品も多々ある中、この別注簾は国産の強みを活かしてどんなサイズでも、たったの10枚単位で製造可能なのです。


こんな竹簾が、わずか10枚の注文で自分にピッタリサイズが編み上がるなんて凄いと思いませんか。そうは言いましても簾自体知られていないのに自分にピッタリサイズと聞かされてもピンと来ないのかも知れません。実際にお問合せも注文も決して多くはありません、けれど欲しい方には本当に喜んでいただけるサービスのひとつです。


創業126年、新年度の朝

竹虎社員旅行


竹虎は創業明治27年、お陰様で今年で126年目を迎えさせていただいている。新年度を迎えて改めて先人の皆さんの事を思う。自分の生まれる数年前の社員旅行に写る懐かしい方々。


虎竹の里、竹虎四代目(山岸義浩)


このような一人一人のお力添えがあって虎竹が守られ、今日まで続いてきた。厳しい時期を迎えようとしているが、きっと長い歴史の中には幾度となくあった事に違いない。


「あの空から見ている」


こんなに多くを与えていただいた。
やれて当然だ。